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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #96 
L2TPによるLAN間接続基本設定(AppleTalk)
L2TPによるLAN間接続の基本設定です。ここでは、IPだけしかルーティングされないLAN環境において、2つのサブネット間にL2TPのトンネルを張り、AppleTalkの通信を可能にする例を示します。LAN上でのトンネリングという点が若干変則的ですが、L2TPルーター同士がIPで通信できさえすれば、どのような環境にでも適用できる構成です。
ここでは、すでにサブネット間のIPルーティングを行うルーターが設置されているものとします。本製品は、L2TPトンネルを仮想回線と見なして対向ルーターとPPPのコネクションを張り、その上でAppleTalkのルーティングだけを行うものとします。
最初にIPレベルでの構成についてまとめます。ルーターA、Bは、IPアドレスを1つしか持っていないため、IPレベルでは単なるホストです。
表 1:IP設定
  |   | 
  ルーターA | 
  ルーターB | 
  | eth0のIPアドレス | 
  192.168.10.2 | 
  192.168.20.2 | 
  | ゲートウェイアドレス | 
  192.168.10.1 | 
  192.168.20.1 | 
IPレベルでのネットワーク構成は次のようになります。

次にIP上にL2TPのトンネルを構築した場合の構成についてまとめます。L2TPトンネルは、ルーターAのeth0(192.168.10.2)とルーターBのeth0(192.168.20.2)の間に張られます。
表 2:L2TP・AppleTalk設定
  |   | 
  ルーターA | 
  ルーターB | 
  | L2TPコール名 | 
  apple | 
  apple | 
  | L2TP終端アドレス | 
  192.168.10.2 | 
  192.168.20.2 | 
  | L2TP発着優先 | 
  発呼優先 | 
  着呼優先 | 
  | L2TPサーバーモード | 
  LAC/LNS兼用(BOTH) | 
  LAC/LNS兼用(BOTH) | 
  | L2TPサーバーパスワード | 
  なし | 
  なし | 
  | WAN側(ppp0)ネットワーク番号 | 
  なし | 
  なし | 
  | LAN側(eth0)ネットワーク番号 | 
  10 | 
  20 | 
  | LAN側デフォルトゾーン名 | 
  NetA | 
  NetB | 
AppleTalkの視点から見たネットワーク構成は次のようなイメージになります。AppleTalkレベルでは、ルーターA、Bが各セグメントのシードルーターとなります。

- IPの基本設定をします。L2TPトンネルを張るには互いのルーターがIPで通信できなくてはなりません。
  
    
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.2 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth0 NEXT=192.168.10.1 ↓
    
  
 - L2TPモジュールを有効にします。
  
 - L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。
  
    ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
  
 - L2TPコール「apple」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。
  
    ADD L2TP CALL=apple IP=192.168.20.2 TYPE=VIRTUAL REMOTE=apple PRECEDENCE=OUT ↓
  
 - L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=TNL-apple IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
  
 - AppleTalkモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにAppleTalkポートを作成します。「SEED=10」はシードルーターとして機能させるためのパラメーターで、LAN側のAppleTalkネットワーク番号を10としています。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=10 ↓
  
 - LAN側ネットワークのデフォルトゾーン名を設定します。ここではNetAという名前にしています。
  
    ADD APPLETALK ZONE=NetA PORT=1 DEFAULT ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースにAppleTalkポートを作成します。「DEMAND=ON」はルーティング情報(RTMP)の交換を行わないようにするための指定です。ppp0は、L2TPトンネル上に作成した仮想的なPPPインターフェースです。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=ppp0 DEMAND=ON ↓
  
 - スタティックルートを設定します。この例ではRTMPを使っていないため必須です。
  
    ADD APPLETALK ROUTE=20 PORT=2 HOPS=2 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
- IPの基本設定をします。L2TPトンネルを張るには互いのルーターがIPで通信できなくてはなりません。
  
    
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.2 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth0 NEXT=192.168.20.1 ↓
    
  
 - L2TPモジュールを有効にします。
  
 - L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。
  
    ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
  
 - L2TPコール「apple」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。
  
    ADD L2TP CALL=apple IP=192.168.10.2 TYPE=VIRTUAL REMOTE=apple PRECEDENCE=IN ↓
  
 - L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=TNL-apple IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
  
 - AppleTalkモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにAppleTalkポートを作成します。「SEED=20」はシードルーターとして機能させるためのパラメーターで、LAN側のAppleTalkネットワーク番号を20としています。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=20 ↓
  
 - LAN側ネットワークのデフォルトゾーン名を設定します。ここではNetBという名前にしています。
  
    ADD APPLETALK ZONE=NetB PORT=1 DEFAULT ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースにAppleTalkポートを作成します。「DEMAND=ON」はルーティング情報(RTMP)の交換を行わないようにするための指定です。ppp0は、L2TPトンネル上に作成した仮想的なPPPインターフェースです。
  
    ADD APPLETALK PORT INT=ppp0 DEMAND=ON ↓
  
 - スタティックルートを設定します。この例ではRTMPを使っていないため必須です。
  
    ADD APPLETALK ROUTE=10 PORT=2 HOPS=2 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
ルーターAのコンフィグ
[テキスト版]
ENABLE IP ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.2 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth0 NEXT=192.168.10.1 ↓ 
ENABLE L2TP ↓ 
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓ 
ADD L2TP CALL=apple IP=192.168.20.2 TYPE=VIRTUAL REMOTE=apple PRECEDENCE=OUT ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=TNL-apple IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓ 
ENABLE APPLETALK ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=10 ↓ 
ADD APPLETALK ZONE=NetA PORT=1 DEFAULT ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=ppp0 DEMAND=ON ↓ 
ADD APPLETALK ROUTE=20 PORT=2 HOPS=2 ↓ 
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ルーターBのコンフィグ
[テキスト版]
ENABLE IP ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.2 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth0 NEXT=192.168.20.1 ↓ 
ENABLE L2TP ↓ 
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓ 
ADD L2TP CALL=apple IP=192.168.10.2 TYPE=VIRTUAL REMOTE=apple PRECEDENCE=IN ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=TNL-apple IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓ 
ENABLE APPLETALK ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=eth0 SEED=20 ↓ 
ADD APPLETALK ZONE=NetB PORT=1 DEFAULT ↓ 
ADD APPLETALK PORT INT=ppp0 DEMAND=ON ↓ 
ADD APPLETALK ROUTE=10 PORT=2 HOPS=2 ↓ 
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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #96 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
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