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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #107

アプリケーションゲートウェイ(SMTPプロキシー)


メールサーバー間の通信を仲介することで、不正なメールリレーやspamメールを防止することのできるSMTPプロキシーの設定例です。専用線によるインターネット接続環境を例としています。なお、本機能を使用するためには別途ライセンスが必要です。


Note - 本機能はファイアウォールのオプション機能ですので、ご使用にはフィーチャー(追加機能)ライセンスが必要です。

Note - SMTPプロキシーは、外部からの不正行為(spamメール、不正中継)を防止するための機能です。内部から外部への通信に対しては機能しませんのでご注意ください。

ISPからは下記の情報を提供されています。

表 1:ISPから提供された情報
WAN側インターフェース Unnumbered
使用できるIPアドレス 4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7)


ルーターには、次のような方針で設定を行います。


ルーターの基本設定を次にまとめます。

表 2:ルーターの基本設定
TDMグループ名 ISP
回線速度 128Kbps
WAN側物理インターフェース bri0
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered
グローバルLAN側(eth0-0)IPアドレス 4.4.4.1/29
プライベートLAN側(eth0-1)IPアドレス 192.168.10.1/24


メール関連の設定情報は次のとおりです。

表 3:メール関連の設定情報
内部メールサーバー 4.4.4.2
管轄ドメイン deilla.co.jp
同ドメインのMX 4.4.4.1(ルーター)




ルーターの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対し、TDMグループ「ISP」を作成します。


  3. PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISP」上に作成します。LQRはオフにします。


  4. IPモジュールを有効にします。


  5. LAN側(eth0)インターフェースには、マルチホーミングで2つのアドレスを割り当てます。そのうちの1つeth0-0には、ISPから割り当てられたグローバルアドレスの先頭アドレス(4.4.4.1)を設定します。アドレスを8個や16個といった単位で割り当てられる場合は、ネットマスクが変則的になるので注意してください。


  6. もう一方のeth0-1にはプライベートIPアドレスを割り当て、クライアント用のサブネットとします。


  7. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumbered(0.0.0.0)に設定します。


  8. デフォルトルートを設定します。


  9. ファイアウォール機能を有効にします。


  10. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  11. ファイアウォールで拒否したパケットをログに記録するよう設定します。


  12. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  13. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  14. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  15. ダイナミックENATの設定を行います。クライアントLAN(eth0-1)側のプライベートIPアドレスを、サーバーLAN(eth0-0)側インターフェースに設定したグローバルIPアドレス4.4.4.1に変換するよう設定します。


  16. 外部からDNSサーバーへのアクセスを許可するルールを追加します。


  17. SMTPプロキシーの設定を行います。最初に、内部メールサーバーが管轄するドメイン名を設定します。SMTPプロキシーは指定したドメイン宛てでないメールは拒否します(メールリレー防止)。


  18. SMTPプロキシーを有効にします。INTには内部サーバーのあるインターフェース、GBLINTには外部のインターフェースを指定します。また、IPには内部メールサーバーのアドレスを、DIRECTIONにはプロキシーを有効にする方向を指定します。通常はINを指定してください。


    Note - SMTPプロキシーは、外部からの不正行為(spamメール、不正中継)を防止するための機能です。内部から外部への通信に対しては機能しません。DIRECTIONパラメーターには必ずINを指定してください。DIRECTIONパラメーターにIN以外を指定しても意図した動作になりませんのでご注意ください。

  19. spamメール防止機能を有効にします。あらかじめ用意しておいたspamリストを指定してください。spamリストファイルは、メールの受け取りを拒否するドメイン名またはメールアドレスを1行に1個ずつ記述したテキストファイルです(拡張子は.spa)。EDITコマンドなどで作成してください。ここでは、list.spaというファイルがあるとします。


  20. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


spamリストファイルlist.spa



メモ

■ spamリストの内容を変更するときは、DELETE FIREWALL POLICY SPAMSOURCESコマンドでリストファイルをいったん削除してから編集し、編集が終わったら再度追加してください。単にファイルを編集するだけでは、SMTPプロキシーの動作には反映されません。

あるいは、spamリストを編集したあとでルーターを再起動してもかまいません(ただし、回線接続中にいきなり再起動すると再接続に支障をきたす場合がありますのでご注意ください。たとえば、PPPoEでISPに接続している場合は、DISABLE PPPコマンドを実行して接続を切ってから再起動してください)。

■ ISPからログイン名とパスワードを指定されている場合は、手順3の次に以下のコマンドを追加してください。ここでは、ログイン名として「ispuser」、パスワードとして「isppasswd」を設定しています。



■ ISPがUnnumberedを使用しておらず、WAN側インターフェース(ppp0)にもIPアドレスを割り当ててきた場合は、手順7でppp0に該当するIPアドレスを設定します。

たとえば、ISPから12.34.56.78/30というアドレスを割り当てられた場合は、手順6の代わりに次のように設定します。



■ 現在の設定内容を表示するには、次のコマンドを使います。

まとめ

ルーターのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0-0 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.248
ADD IP INT=eth0-1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0-0 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0-1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0-1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP IP=4.4.4.3 PORT=53
SET FIREWALL POLICY=net SMTPDOMAIN=deilla.co.jp
ADD FIREWALL POLICY=net PROXY=SMTP INT=eth0-0 GBLINT=ppp0 IP=4.4.4.2 DIRECTION=IN
ADD FIREWALL POLICY=net SPAMSOURCES=list.spa





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PN: J613-M0507-00 Rev.G

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