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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #136

CUGサービス(LAN型)を利用したIP2点間接続


CUG(Closed Users Group)サービス(NTT東日本のフレッツ・グループアクセス(プロ)およびNTT西日本のフレッツ・グループ(ビジネスメニュー))の「LAN型払い出し」を利用して、2拠点間をIP接続するための基本設定例です。CUGサービスを利用すると、各拠点間でPCのファイル共有などが可能になります。ここでは、要点を示すため、必要最小限の設定だけを示します。

CUGサービスのプライベートグループ(以下、グループ)管理者からは、次の情報を提供されているものとします。グループのメンバーは、userA(ルーターA)とuserB(ルーターB)だけであると仮定しています。

表 1:グループ管理者から提供された情報
 
ルーターA
ルーターB
ユーザーID(PPPユーザー名) userA userB
パスワード(PPPパスワード) passwdA passwdB
IPアドレス 192.168.10.0/24(LAN型) 192.168.20.0/24(LAN型)


以下、ルーターの基本設定についてまとめます。

表 2:ルーターの基本設定
 
ルーターA
ルーターB
WAN側物理インターフェース eth1 eth1
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered Unnumbered
LAN側(eth0)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24



Note - 本設定例では、PPPインターフェースのリンクアップ・ダウンによって、トリガーの状態が動的に変化します。そのため、以下の設定コマンドはルーターのWAN側インターフェース(eth1)にケーブルを接続していない状態(PPPインターフェースがリンクアップしない状態)で入力してください。詳細については章末の「メモ」をご覧ください。

ルーターAの設定


  1. WAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェース「0」を作成します。


  2. グループ管理者から通知されたユーザーIDとパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  3. IPモジュールを有効にします。


  4. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  5. LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。グループ管理者から指定されたアドレスを設定してください。


  6. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  7. ルーターBのLAN側への経路を設定します。


  8. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  9. トリガー機能を有効にします。


  10. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  11. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。

ルーターBの設定


  1. WAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェース「0」を作成します。


  2. グループ管理者から通知されたユーザーIDとパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  3. IPモジュールを有効にします。


  4. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  5. LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。グループ管理者から指定されたアドレスを設定してください。


  6. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。


  7. ルーターAのLAN側への経路を設定します。


  8. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガースクリプトを作成します。


    Note - ADD SCRIPTコマンドは、コンソールなどからログインした状態で、コマンドラインから実行するコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)等を使って設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても意図した結果にならない場合がありますのでご注意ください。

  9. トリガー機能を有効にします。


  10. PPPoEセッションを自動再接続するためのトリガーを作成します。


  11. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


    Note - WAN側のケーブルを抜いた状態でここまでの設定を行った場合は、ファイル保存後にケーブルを接続してください。

メモ

■ グループメンバー(拠点)が追加されたときは、該当拠点への経路情報を追加することによって対応できます。たとえば、新拠点192.168.30.0/24が追加された場合は、ルーターA、ルーターBの両方で次のコマンドを実行します。


■ 本構成例では、PPPリンクのアップ・ダウンによってトリガー「1」の状態(有効・無効)が動的に変化します。そのため、WAN側インターフェースにケーブルを接続したまま設定を行うと、コマンド入力時と設定保存時でトリガー「1」の状態が変わってしまうことがあります。その場合、PPP の自動再接続機能が働かなくなりますので、必ず次のいずれかの方法で設定を行ってください。


設定が正しく保存されているかどうかを確認するには、SHOW FILEコマンドかSHOW SCRIPTコマンドで設定ファイルを表示し、トリガー「1」の設定内容を確認してください。正しく保存されている場合、トリガー「1」の設定は次のようになります。


手順が正しくなかった場合は、次のように「state=disabled」というパラメーターが付きます。この設定では、ルーター起動直後に再接続機能が働きません。


この場合は、EDITコマンドで設定ファイルを開き、「state=disabled」を削除して上書き保存してください。

■ 本設定では、ルーター起動直後にPPPoEセッションが確立され、以後常時接続された状態となります。したがって、PPPoEセッションの切断、再接続は手動で行う必要があります。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth1-any
SET PPP=0 OVER=eth1-any BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userA PASSWORD=passwdA LQR=OFF ECHO=ON
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 PERIODIC=3 SCRIPT=reset.scp
CREATE TRIGGER=2 INTERFACE=ppp0 EVENT=UP CP=IPCP SCRIPT=up.scp
CREATE TRIGGER=3 INTERFACE=ppp0 EVENT=DOWN CP=IPCP SCRIPT=down.scp


スクリプト「reset.scp」 [テキスト版]
RESET PPP=0


スクリプト「up.scp」 [テキスト版]
DISABLE TRIGGER=1


スクリプト「down.scp」 [テキスト版]
ENABLE TRIGGER=1


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth1-any
SET PPP=0 OVER=eth1-any BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userB PASSWORD=passwdB LQR=OFF ECHO=ON
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE TRIGGER
CREATE TRIGGER=1 PERIODIC=3 SCRIPT=reset.scp
CREATE TRIGGER=2 INTERFACE=ppp0 EVENT=UP CP=IPCP SCRIPT=up.scp
CREATE TRIGGER=3 INTERFACE=ppp0 EVENT=DOWN CP=IPCP SCRIPT=down.scp


スクリプト「reset.scp」 [テキスト版]
RESET PPP=0


スクリプト「up.scp」 [テキスト版]
DISABLE TRIGGER=1


スクリプト「down.scp」 [テキスト版]
ENABLE TRIGGER=1





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