<前頁 次頁> << >> 目次 (番号順 (詳細)回線別 (詳細)機能別 (詳細)

CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #16

PPPコールバック


PPPネゴシエーション(LCPおよびPAP/CHAP)のレベルで相手を識別してコールバックするPPPコールバックの設定例です。IP2点間接続の構成例をもとに説明しています。

コールバックとは、かかってきた電話をかけなおす機能です。以下の例では、ルーターAがコールバックする側となります。つまり、ルーターBがまず最初に電話をかけ、ルーターAがその電話に応答してすぐ切断し、ルーターA側からルーターBへ電話をかけ直します。

このコールバック機能をうまく使用すれば、地域によって料金体系が異なるところで常に安い側がコールバックを行ったり、料金の請求先をまとめたり、より強力なセキュリティー体勢を築いたりすることができます。

本製品は、「ISDNコールバック」と「PPPコールバック」の2通りのコールバック方式をサポートしています。以下の図で違いを説明します。


図では、ルーターBからルーターAへコールバックを要求しています。つまり、最初に電話をかけるのがルーターBです。ルーターAは要求にしたがい、本当にかけなおして良い相手かチェックします。このチェックのことを認証と言います。

ISDNコールバックは、ISDNのDチャンネルのレベルで認証を行うことができます。Bチャンネルまでは接続されないため、ルーターB側には課金されません。

PPPコールバックは、PPPでCHAPまたはPAP認証を行うため(設定により、ISDNのDチャンネルレベルでの認証も併用可)、ルーターB側にも通話料金がかかります。

ここでは、次のような構成のネットワークを例に、PPPコールバックの設定例について解説します。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
役割 コールバックする 最初に電話をかける
ISDN番号 03-1234-1111 06-1234-2222
ISDNコール名 TOOS TOOS
ISDN発着優先 発呼優先 着呼優先
ISDN識別方式 サブアドレス識別 サブアドレス識別
WAN側物理インターフェース bri0 bri0
PPPユーザー名 AAA BBB
PPPパスワード PasswordA PasswordB
PPP認証方式 CHAP CHAP
WAN側(ppp0)IPアドレス 192.168.100.1/24 192.168.100.2/24
LAN側(eth0)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24



ルーターAの設定

  1. 相手ルーターのPPPユーザー名を登録します。また、コールバック時の電話番号もあわせて登録します。


  2. ISDNコールを作成し、接続先情報を登録します。


  3. PPPインターフェースを作成します。


  4. 「CBMODE=ACCEPT」で、PPP接続時に相手からのコールバック要求を受け入れるよう設定します。また、「CBDELAY=10」により、ルーターBからコールバック要求を受けたときに、回線切断してから実際にコールバックするまでの時間を0.1秒単位で指定します。デフォルトは1(0.1秒)ですが、ここでは10(1秒)に設定しています。


  5. IPの設定をします。


  6. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



ルーターBの設定

  1. 相手ルーターのPPPユーザー名を登録します。


  2. ISDNコールを作成し、接続先情報を登録します。


  3. PPPインターフェースを作成します。


  4. 「CBMODE=REQUEST」で、PPP接続時に相手にコールバックを要求するよう設定します。また、「CBOPERATION=USERAUTH」により、コールバック番号として、ルーターAのユーザー認証データベースに登録されている「コールバック時の電話番号(CBNUMBER)」を使用するよう要求します。


  5. IPの設定をします。


  6. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ

■ コールバック番号がよく変わるような場合には、ルーターAの手順1の「CBNUMBER...」部分を入力せず、ルーターBの手順4を次のように変更します。これは、コールバックを要求する側(ルーターB)が、コールバックする側(ルーターA)にコールバック番号を通知する設定になります。


■ コールバックしないようにするには、ルーターAで次のように設定します。


また、ルーターBで次のように設定します。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
ADD USER=BBB PASSWORD=PasswordB CBNUMBER=0612342222 LOGIN=NO
ADD ISDN CALL=TOOS NUMBER=0612342222 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0 OUTSUB=LOCAL SEARCHSUB=LOCAL
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-TOOS IDLE=ON USER=AAA PASSWORD=PasswordA AUTHENTICATION=CHAP
SET PPP=0 OVER=ISDN-TOOS CBMODE=ACCEPT CBDELAY=10
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.2


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
ADD USER=AAA PASSWORD=PasswordA LOGIN=NO
ADD ISDN CALL=TOOS NUMBER=0312341111 PRECEDENCE=IN INTREQ=bri0 OUTSUB=LOCAL SEARCHSUB=LOCAL
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-TOOS IDLE=ON USER=BBB PASSWORD=PasswordB AUTHENTICATION=CHAP
SET PPP=0 OVER=ISDN-TOOS CBMODE=REQUEST CBOPERATION=USERAUTH
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.1





CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #16

Copyright (C) 1997-2003 アライドテレシス株式会社

PN: J613-M0507-00 Rev.G

<前頁 次頁> << >> 目次 (番号順 (詳細)回線別 (詳細)機能別 (詳細)