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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #98

L2TPによるLAN間接続(IPX。両側アドレス固定。インターネットアクセスなし)


L2TPを使って、インターネット経由でIPXネットワーク同士を接続します。両側のルーターにグローバルアドレスが固定的に設定されている場合の基本設定です。なお、この例ではL2TPによるLAN間接続の基本設定を示すため、拠点間のIP通信、および、各拠点からのインターネットアクセスについては考慮していません。インターネットを安価な交換回線網としてのみとらえています。

Note - L2TPはPPPをトンネリングするだけで、暗号化などのセキュリティー機能は持っていません。暗号化が必要なときは、IPsec(トランスポートモード)と併用する必要があります。なお、L2TPとIPsecの併用が必要なのは、VPN上でIP以外のプロトコル(IPXやAppleTalk)を使いたいときだけです。VPN上で使うプロトコルがIPだけであれば、IPsec(トンネルモード)単体で目的を達成できます。

IPレベルでのネットワーク構成は次のようになります。

表 1:ISP接続の設定
 
ルーターA
ルーターB
TDMグループ名 ISPA ISPB
回線速度 128Kbps 128Kbps
WAN側物理インターフェース bri0 bri0
WAN側(ppp0)IPアドレス 200.100.10.1/28 200.100.20.1/28



L2TPの設定、および、その上で動作するIPXのネットワーク構成は次のとおりです。L2TPトンネルは、ルーターAのグローバルアドレス(200.100.10.1)とルーターBのグローバルアドレス(200.100.20.1)の間に張られます。

表 2:L2TP・IPX設定
 
ルーターA
ルーターB
L2TPコール名 ipx ipx
L2TP終端アドレス 200.100.10.1 200.100.20.1
L2TP発着優先 発呼優先 着呼優先
L2TPサーバーモード LAC/LNS兼用(BOTH) LAC/LNS兼用(BOTH)
L2TPサーバーパスワード l2tpA l2tpB
WAN側(ppp1)IPXネットワーク番号 129 129
LAN側(eth0)IPXネットワーク番号 401 12
ルーターMACアドレス 0000f4740012 0000f4740022
Ethernetフレームタイプ 802.3 802.3
ファイルサーバー名 Accounts (なし)
ファイルサーバー内部ネットワーク番号 7500 (なし)
ファイルサーバー内部ステーション番号 00000001 (なし)
NCPソケットアドレス 0451 (なし)





ルーターAの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「ISPA」を作成します。


  3. PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISPA」上に作成します。


  4. IPモジュールを有効にします。


  5. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  6. デフォルトルートを設定します。


  7. L2TPモジュールを有効にします。


  8. L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。


  9. 他のL2TPサーバーから接続要求を受けた際の認証用パスワードを設定します。


  10. L2TPコール「ipx」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。PASSWORDには、接続先で認証を受けるためのパスワードを指定します。


  11. L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。


  12. IPXモジュールを有効にします。


  13. LAN側(eth0)インターフェースにIPXサーキット「1」を作成します。CIRCUITには任意の番号、INTERFACEには物理インターフェース、NETWORKにはネットワーク番号、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。


  14. WAN側(ppp1)インターフェースにIPXサーキット「2」を作成します。CIRCUITは任意の番号、INTERFACEは物理インターフェース、NETWORKはネットワーク番号です。また、DEMAND=ONを指定して、RIP、SAPパケットの定期交換を行わないようにします。ppp1は、L2TPトンネル上の仮想PPPインターフェースです。


  15. スタティックルートを設定します。


  16. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



ルーターBの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「ISPB」を作成します。


  3. PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISPB」上に作成します。


  4. IPモジュールを有効にします。


  5. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  6. デフォルトルートを設定します。


  7. L2TPモジュールを有効にします。


  8. L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。


  9. 他のL2TPサーバーから接続要求を受けた際の認証用パスワードを設定します。


  10. L2TPコール「ipx」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。PASSWORDには、接続先で認証を受けるためのパスワードを指定します。


  11. L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。


  12. IPXモジュールを有効にします。


  13. LAN側(eth0)インターフェースにIPXサーキット「1」を作成します。CIRCUITには任意の番号、INTERFACEには物理インターフェース、NETWORKにはネットワーク番号、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。


  14. WAN側(ppp1)インターフェースにIPXサーキット「2」を作成します。CIRCUITは任意の番号、INTERFACEは物理インターフェース、NETWORKはネットワーク番号です。また、DEMAND=ONを指定して、RIP、SAPパケットの定期交換を行わないようにします。ppp1は、L2TPトンネル上の仮想PPPインターフェースです。


  15. スタティックルートを設定します。


  16. 接続先にNetWareサーバーが存在するため、サーバーのインターナルネットワークへの経路と、スタティックサービスを設定します。ROUTEはサーバーのインターナルネットワーク番号、SERVICEはサーバー名、ADDRESSはファイルサーバーのインターナルネットワーク番号:インターナルステーション番号:NCPソケットアドレス、TYPEはサービスの種類、HOPSはサーバーまでのホップ数です。


  17. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=ISPA INT=bri0 SLOTS=1-2
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPA LQR=OFF
ENABLE IP
ADD IP INT=ppp0 IP=200.100.10.1 MASK=255.255.255.240
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ENABLE L2TP
ENABLE L2TP SERVER=BOTH
SET L2TP PASSWORD=l2tpA
ADD L2TP CALL=ipx IP=200.100.20.1 TYPE=VIRTUAL REMOTE=ipx PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpB
CREATE PPP=1 OVER=TNL-ipx IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF
ENABLE IPX
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=401 ENCAPSULATION=802.3
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp1 NETWORK=129 DEMAND=ON
ADD IPX ROUTE=12 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740022


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=ISPB INT=bri0 SLOTS=1-2
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPB LQR=OFF
ENABLE IP
ADD IP INT=ppp0 IP=200.100.20.1 MASK=255.255.255.240
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0
ENABLE L2TP
ENABLE L2TP SERVER=BOTH
SET L2TP PASSWORD=l2tpB
ADD L2TP CALL=ipx IP=200.100.10.1 TYPE=VIRTUAL REMOTE=ipx PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpA
CREATE PPP=1 OVER=TNL-ipx IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF
ENABLE IPX
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=12 ENCAPSULATION=802.3
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp1 NETWORK=129 DEMAND=ON
ADD IPX ROUTE=401 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740012
ADD IPX ROUTE=7500 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740012
ADD IPX SERVICE=Accounts ADDRESS=7500:00000001:0451 TYPE=file CIRCUIT=2 HOPS=2





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