issu boot

モード: 特権EXECモード
カテゴリー: 運用・管理 / システム


# issu boot FILEPATH


コントロールファブリックカードAT-SBx81CFC960(以下、CFC960)を複数使用した冗長化構成において、システムを完全停止せずにコントロールファブリックカード(CFC)のファームウェアを更新するISSU(In-Service Software Upgrade)を実行する。

ISSUをサポートするのは以下の構成。

  1. 単体構成(CFC960を2枚装着)
  2. VCS構成(CFC960を2枚ずつ装着)
  3. VCS構成(CFC960を1枚ずつ装着)
Note - 単体構成(CFC960を1枚だけ装着)や、コントロールファブリックカードAT-SBx81CFC400を使用する構成はサポート対象外です。

各シャーシにCFCが2枚ずつ装着されている1、2の構成では、同一シャーシ内でのアクティブCFC切り替えだけが発生するヒットレス・アップグレード(hitless upgrade)が可能。2のVCS構成でも、マスターシャーシの切り替えは発生しない。

一方、各シャーシにCFCが1枚ずつしか装着されていない3の構成では、アクティブCFCの切り替えにともないマスターシャーシの切り替えが発生するローリング・アップグレード(rolling upgrade)となる。


パラメーター

FILEPATH ファームウェアのイメージファイルのパス。イメージファイルは、アクティブCFC上のフラッシュメモリーまたはUSBメモリーのルートディレクトリー(flash:/またはusb:/)になくてはならない。また、拡張子は「.rel」でなくてはならない


使用例

awplus# issu boot SBx81CFC960-5.4.5-1.2.rel


注意・補足事項

■ ISSUはファームウェアバージョン5.4.4-1.1以降のメンテナンスバージョン間(5.4.4-1.1から5.4.4-1.2など)でのみ使用可能。マイナーバージョン間(5.4.4-1.1から5.4.4-2.xなど)やメジャーバージョン間(5.4.4-1.1から5.4.5-x.xなど)でのファームウェア更新には使用できない。

■ 現在動作しているファームウェア(show bootコマンドの「Current boot image」)がフラッシュメモリー上に存在しない場合(「file exists」でない場合)、本コマンドは実行できない。

■ 本コマンドでUSBメモリー上のイメージファイルを指定するには、あらかじめboot systemコマンドのbackupパラメーターを使ってフラッシュメモリー上のイメージファイルをバックアップ用ファームウェアとして設定しておく必要がある。

■ 本コマンド実行後、本当にISSU処理を開始してよいか確認するプロンプトが表示される。いったんここで処理開始を選択したら、それ以降ユーザーがISSU処理を中断することはできない(ISSU処理を中断するコマンドや特殊なキーバインド(Ctrl/Cなど)は存在しない)。

■ ISSU処理の実行中は、CFCやラインカードの抜き差しを行わないこと。

■ ISSU処理を開始すると、CLIにログインしているユーザーのコマンドモードが個別コンフィグモードであった場合は、グローバルコンフィグモードに強制移動される。

■ ISSU処理の実行中、CLIのコマンドモードを個別コンフィグモードに移動したり、設定内容を変更したりすることはできない。ただし、非特権EXECモード、特権EXECモード、グローバルコンフィグモード間の移動は可能。また、show issuコマンドなどの実行は可能。

■ ログイン中のCLIには、ISSU処理中であることを示すメッセージが出力される。

■ ISSUの処理は次の順序で行われる。

Note - 以下の説明では、単体構成かVCS構成かを問わず、アクティブCFCが存在するシャーシを「マスターシャーシ」と呼んでいます。
  1. アクティブCFC上に指定されたファームウェアイメージファイルが存在するかどうかチェックする。

  2. スタンバイCFCのファームウェアを1枚ずつ更新する。
    ※更新順序はCFCスロット番号の大きい順(例:2.6 → 2.5 → 1.6)
    1. スタンバイCFCの起動ファームウェアを更新する。
    2. スタンバイCFCを再起動する。
      ※ローリング・アップグレード(各シャーシにCFCを1枚ずつ装着している構成3)では、CFCと同時にラインカードも再起動。
    3. スタンバイCFCがシャーシに復帰するまで待機する。
    4. スタンバイCFCが復帰してきたら、次のスタンバイCFCの更新処理に移る。
      すべてのスタンバイCFCを更新したら、アクティブCFCの更新処理に移る。

  3. アクティブCFCのファームウェアを更新する。
    1. アクティブCFCの起動ファームウェアを更新する。
    2. アクティブCFCを再起動する。
      • 各シャーシにCFCを2枚ずつ装着している構成1、2では、これにより、マスターシャーシ上のもう一枚のCFC(スタンバイCFC)がアクティブCFCに昇格する。
      • 各シャーシにCFCを1枚ずつ装着している構成3では、これにより、スレーブシャーシ上のCFC(スタンバイCFC)がアクティブCFCに昇格する(マスターシャーシが切り替わる)。
        ※ローリング・アップグレード(各シャーシにCFCを1枚ずつ装着している構成3)では、CFCと同時にラインカードも再起動。
    3. 旧アクティブCFCがスタンバイCFCとしてシャーシに復帰するまで待機する。
    4. 旧アクティブCFCがスタンバイCFCとして復帰してきたら、アクティブCFCの更新処理は完了。

  4. CFC更新完了
    ※ヒットレス・アップグレード(各シャーシにCFCを2枚ずつ装着している構成1、2)の場合、この時点ではラインカードのファームウェアは更新されていない。このままでも通常運用は可能だが、新ファームウェアの追加機能を利用したり、新ファームウェアでの修正事項をシステム全体に適用したりするには、都合のよい時間帯に手動で各ラインカードを再起動する必要がある。
    ※ローリング・アップグレード(各シャーシにCFCを1枚ずつ装着している構成3)では、CFCと同時にラインカードも再起動されるため、この時点でCFC、ラインカードともファームウェアが更新されている。

[1. 単体構成(CFC960を2枚装着)]


[2. VCS構成(CFC960を2枚ずつ装着)]


[3. VCS構成(CFC960を1枚ずつ装着)]


■ なんらかの原因で一定時間内(issu abort-timeout)にスタンバイCFCが復帰しなかった場合、ISSU処理は中断される。
このとき、CFC間でファームウェアバージョンの不一致が発生するが、この状態での運用はサポート対象外であるため、手動で同一ファームウェアに設定しなおす必要がある。

ISSU中断後は「Current boot image」が旧ファームウェアのままになっているため、reboot/reloadコマンドのcardパラメーターを利用して更新済みのスタンバイCFCを再起動すれば、全CFCのファームウェアがISSU実行前のものに戻る。

その後は、再度issu bootコマンドを実行することが可能。
また、通常のファームウェア更新手順にしたがいboot systemコマンドで新ファームウェアを指定し、reboot/reloadコマンドでシステムを再起動することもできる。

■ ヒットレス・アップグレード(各シャーシにCFCを2枚ずつ装着している構成1、2)の場合、ISSUによって更新されるのはCFC上のファームウェアだけで、ラインカード上のファームウェアは更新されない。この状態でも通常運用は可能だが、新ファームウェアの追加機能を利用したり、新ファームウェアでの修正事項をシステム全体に適用したりするには、すべてのラインカードを手動で再起動し、システム全体を新ファームウェアで動作する状態にする必要がある。CFCのファームウェア更新後は、都合のよい時間帯に手動で各ラインカードを再起動し、ラインカード上のファームウェアもCFCと同じバージョンに更新すること。ラインカードの再起動には、reboot/reloadコマンドのcardパラメーターを使う。

一方、ローリング・アップグレード(各シャーシにCFCを1枚ずつ装着している構成3)では、CFCと同時にラインカードも再起動されるため、ISSU処理の実行完了によりすべてのCFC、ラインカードの更新が完了する。

■ VCS構成でマスター・スレーブの両シャーシにCFCが2枚ずつ装着されている場合、ISSUの実行によってマスターシャーシの切り替えは発生しないが、マスターシャーシ上のアクティブCFCは必ず切り替わる。なお、マスター・スレーブの両シャーシにCFCが1枚ずつしか装着されていない構成では、ISSUの実行によってマスターシャーシが切り替わる。


関連コマンド

issu abort-timeout(グローバルコンフィグモード)
issu rejoin-timeout(グローバルコンフィグモード)
reboot(特権EXECモード)
reload(特権EXECモード)
show issu(特権EXECモード)
type issu(トリガーモード)



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