バーチャルシャーシスタック(VCS) / 導入


本バージョンにおけるVCSの仕様
基本仕様
併用不可機能
その他注意事項
初期設定から運用までの流れ
必要な機材の準備
スタックメンバーの初期設定
スタックポートとして使用するポートの指定
設定手順
関連する情報表示コマンド
スタックメンバーの接続
VCSグループの起動
VCSグループの初期設定
VCSグループの運用設定と運用開始


VCSの設定/運用方法について、各機器に対する初期設定、各機器の接続、VCSグループの起動、VCSグループとしての設定から運用開始まで、順を追って説明します。

本バージョンにおけるVCSの仕様

ファームウェアバージョン5.4.9-0.1におけるVCSの仕様は以下のとおりです。VCSの設定は、以下の各項目を念頭に置きながら進めてください。

基本仕様

Note

併用不可機能

VCS構成時は以下の機能を使用できません。

その他注意事項


初期設定から運用までの流れ

VCSの初期設定から運用までの流れは次のようになります。
  1. 必要な機材の準備
    スタックメンバーとなるスイッチ、スタックモジュールなどを準備します。

    「必要な機材の準備」をご覧ください。

  2. スタックメンバーの初期設定
    VCSの物理的な接続をする前に、各メンバーの設定状態を確認し、必要な初期設定を行っておきます。

    「スタックメンバーの初期設定」をご覧ください。

  3. スタックメンバーの接続
    各メンバーの初期設定が終わったら、メンバー同士を接続してVCSの物理的構成を完成させます。

    「スタックメンバーの接続」をご覧ください。

  4. VCSグループの起動
    接続が完了したら、各メンバーの電源を入れてVCSグループを起動します。本製品は、専用のLED表示でマスターの確認はできませんが、LED ON/OFFボタンによってLED OFF(エコLED)に設定することで、ステータスLED(LED ON設定時にスタックメンバーIDが表示されている場所)の横3セグメントに、マスターであれば上側のライン" ̄"、スレーブであれば下側のライン"_"が点灯します。LED ON設定時にはステータスLEDの表示でメンバーIDがどのように割り振られているか確認できます。また、CLIコマンドを使うことによっても、VCSグループの情報を知ることができます。

    「VCSグループの起動」をご覧ください。

  5. VCSグループの初期設定
    VCSグループが正しく起動したことを確認したら、その後の設定や運用をしやすくするため、IDやプライオリティーの調整など、いくつかの初期設定を行います。

    「VCSグループの初期設定」をご覧ください。

  6. VCSグループの運用設定と運用開始
    VCSグループの初期設定が完了したら、その後はVCSグループを1台のスイッチと見なして、運用ネットワークのための設定を行い、運用を開始します。

    「VCSグループの運用設定と運用開始」をご覧ください。

  7. VCSグループの運用状態確認
    VCSグループの運用を開始したら、CLIで運用状態を定期的に確認します。

    → 運用編の「VCSグループの運用状態確認」をご覧ください。

  8. VCSグループ運用中のメンテナンス作業
    VCSグループ運用中に構成を変更する場合や障害が発生した場合は、メンテナンス作業が必要です。

    → 運用編の「VCSグループ運用中のメンテナンス作業」をご覧ください。

必要な機材の準備

VCSグループを構築するのに必要な機材を手元に準備してください。

スタックメンバーの初期設定

スタックメンバーとなるスイッチを用意したら、最初に各スイッチを単体で起動し、以下の作業を行ってください。


また、本製品はデフォルトでスタックポートが設定されていないため、下記の初期設定も実施してください。

以下、具体的な手順を説明します。
  1. スタックモジュールやスタックケーブルを装着しない状態でスイッチを単体起動したら、コンソールからログインしてください。

  2. enableコマンドを実行して、特権EXECモードに移行します。
    awplus> enable
    awplus# 
    

  3. show bootコマンドを実行して、通常用と緊急用のファームウェアイメージを確認します。すべてのスイッチで「Current boot image」と「Backup boot image」の設定が同じになっていることを確認してください。違いがある場合は、必要に応じてイメージファイルをダウンロードし、boot systemコマンドを実行して、これらの設定をあわせてください。
    awplus# show boot
    Boot configuration
    --------------------------------------------------------------------------------
    Current software   : x950-5.4.9-0.1.rel
    Current boot image : flash:/x950-5.4.9-0.1.rel (file exists)
    Backup  boot image : Not set
    Default boot config: flash:/default.cfg
    Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
    Backup boot config : Not set
    Autoboot status    : disabled
    

  4. 同じshow bootコマンドの出力にある「Current boot config」欄を確認します。「(file exists)」と表示されている場合は、スタートアップコンフィグが存在していることを示していますので、その内容をファイルにバックアップしておいてください。これにはcopyコマンドを使って次のようにします。ここでは、例として「StandaloneConfig.cfg」というファイルにバックアップしています。
    awplus# copy startup-config StandaloneConfig.cfg
    Copying..
    Successful operation
    

  5. VCS機能とスタックポートを有効にします。これには、stack enableコマンドを使います。
    awplus# configure terminal
    awplus(config)# stack enable
    % Automatically enabling 'stack virtual-mac' to minimize disruption from failovers.
    % Please check that the new MAC 0000.cd37.03b0 is unique within the network.
    % Save the config and restart the system for this change to take effect.
    
    Note
    バーチャルMACアドレス機能は、stack enableコマンドでVCS機能を有効化すると自動的に有効化されます。stack virtual-macコマンドをno形式で実行することにより無効化もできますが、VCS使用時は必ずバーチャルMACアドレス機能を有効にした状態で運用してください。無効状態での運用はサポート対象外となります。

  6. どれかひとつのシャーシのみ、スタックメンバーIDを2に変更します。
    awplus(config)# stack 1 renumber 2
    

  7. 現在のコンフィグをスタートアップコンフィグとして保存します。
    awplus(config)# end
    awplus# copy running-config startup-config
    

    show bootコマンドで再度確認すると、「Current boot config」欄の末尾に「(file exist)」と表示されていればスタートアップコンフィグは保存されています。
    awplus# show boot
    Boot configuration
    --------------------------------------------------------------------------------
    Current software   : x950-5.4.9-0.1.rel
    Current boot image : flash:/x950-5.4.9-0.1.rel (file exists)
    Backup  boot image : Not set
    Default boot config: flash:/default.cfg
    Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
    Backup boot config : Not set
    Autoboot status    : disabled
    

  8. 最後に、フィーチャーライセンスの必要な機能を利用する場合は、show licenseコマンドを実行して有効化されているライセンスを確認します。すべてのメンバーで同じライセンスが有効化されていることを確認してください。

    Note
    フィーチャーライセンスが適用された機器でVCS 構成を利用する場合は、各VCS メンバーに同一の「License issue date」を持つフィーチャーライセンスがインストールされている必要があります。各VCS メンバー間でフィーチャーライセンスの「License issue date」が異なる場合には、ライセンスパスワードを更新する必要がありますので、弊社窓口までご連絡ください。フィーチャーライセンスの「License issue date」は、show licenseコマンドでご確認いただけます。

  9. 以上でスタックメンバーの基本的な初期設定は完了です。
    なお、本製品の初期状態ではスタックポートが設定されていないため、続けて以下の説明にしたがいスタックポートとして使用するポートを指定してください。


スタックポートとして使用するポートの指定

本製品の初期状態ではスタックポートが設定されていないため、stackportコマンドを使ってスイッチポートをスタックポートに設定する必要があります。
Note
スタック接続に使用できるポート、モジュール、ケーブルについては、基本仕様をご参照ください。

設定手順

スタックポートとして使用するスイッチポートを指定または変更するには、以下の手順を実行します。
Note
以下の説明では、すでにスタートアップコンフィグの確認・バックアップ・消去、ファームウェアバージョン、フィーチャーライセンスの確認と統一は完了しているものとします。

  1. グローバルコンフィグモードに移行します。
    awplus> enable
    awplus# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    awplus(config)# 
    


  2. switch provisionコマンドを実行し、スタックメンバー1と2の機種を事前設定します。
    Note
    スタックメンバー分の設定が必要です。
    awplus(config)# switch 1 provision x950-28
    awplus(config)# switch 2 provision x950-28
    

  3. スタックポートとして使用したいインターフェースを指定し、インターフェースモードに移行します。
    stackportコマンドを実行し、ポート1.1.1、1.1.5、ポート2.1.1、2.1.5をスタックポートとして設定します。
    awplus(config)# interface port1.1.1,1.1.5
    awplus(config-if)# stackport
    % Save the config and restart the system for this change to take effect.
    awplus(config-if)# exit
    
    awplus(config)# interface port2.1.1,2.1.5
    awplus(config-if)# stackport
    % Save the config and restart the system for this change to take effect.
    awplus(config-if)# end
    

  4. ここまでに行った設定内容をスタートアップコンフィグに保存します。
    awplus# write
    Building configuration...
    [OK]
    

以上で設定は完了です。各スイッチの電源を切ってください。

Note
stackportコマンドによる設定は、設定を保存し、機器を再起動するまで有効になりません。

Note
デフォルトではスタックポートが設定されていないため、必ずスタックポートを設定してください。

Note
異なるメディアタイプの2つのポートをスタックポートに設定することは、サポート対象外です。

関連する情報表示コマンド

上記の設定は、show stackコマンドをdetailオプション付きで実行したときに表示される「Stack portX.Y.Z status」欄で確認できます。

Note
表示される内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例ですので、ご了承ください。
awplus# show stack detail
Virtual Chassis Stacking detailed information
...
Stack member 1:
------------------------------------------------------------------
...
Stack port1.0.x status                  Learnt neighbor 2
Stack port1.0.y status                  Learnt neighbor 2

Stack member 2:
------------------------------------------------------------------
...
Stack port2.0.X status                  Learnt neighbor 1
Stack port2.0.Y status                  Learnt neighbor 1

以下の情報表示コマンドにもスタックポートの情報が表示されます。

スタックメンバーの接続

スタックメンバーの初期設定が終わったら、各スイッチを実際に接続します。
モジュールやケーブルの具体的な装着方法や注意事項については、取扱説明書をご覧ください。
  1. 各スイッチの電源が入っていないことを確認してください。

  2. 各スイッチにスタックモジュール、または、QSFP+ダイレクトアタッチケーブルを取り付けます。
    スタックポートは各スイッチ2ポートずつ、4ポートずつ、または8ポートずつ使用します。
    メンバーあたりの最大スタックポート数と通信速度は以下の通りです。
    ポート
    通信速度
    スタックポート数
    本体SFP/SFP+ポート 10Gbps 最大8ポート
    SFP+スタックモジュール(AT-XEM2-12XS)
    100/1000/10GBASE-Tポート(AT-XEM2-12XT)
    100/1000/2.5G/5G/10GBASE-Tポート(AT-XEM2-12XTm)
    本体QSFP28/QSFP+ポート 40Gbps 最大4ポート
    QSFP+スタックモジュール(AT-XEM2-4QS)
    本体QSFP28/QSFP+ポート 100Gbps 最大2ポート
    QSFP28スタックモジュール(AT-XEM2-1CQ)

    ここでは、例として下の図のように、スイッチAのスタックポート25をスイッチBのスタックポート29に、スイッチBのスタックポート25をスイッチAのスタックポート29に接続します。
    Note
    スタックポートは同じメディアタイプである必要があります。ただし、同じメディアタイプであっても、同一メンバー上で本体ポートと拡張モジュール上のポートを混在させるスタック接続はサポートしません。

    Note
    スタックケーブルは1本でも動作しますが、スタックリンクに冗長性を持たせ、耐障害性を高めるため、通常は2本使ってリング状に接続することをおすすめします。これ以降の説明はすべて、リング状に接続していることを前提としています。

    Note
    スタックを組む場合、スタックポート間に他の装置をはさまず、スタックポート同士を直接接続してください。

    3台以上の構成の場合も同様で、たとえばスイッチA、B、Cの3台構成の場合は、スイッチAのスタックポート25をスイッチBのスタックポート29に、スイッチBのスタックポート25をスイッチCのスタックポート29に、スイッチCのスタックポート25をスイッチAのスタックポート29に接続します。

    Note
    スタックリンクに冗長性を持たせ、耐障害性を高めるため、通常はスタックケーブルをリング状に接続することをおすすめします。これ以降の説明はすべて、リング状に接続していることを前提としています。


  3. 各スイッチのレジリエンシーリンク用ポート(eth0か任意のスイッチポート)同士をUTPケーブルで接続し、レジリエンシーリンクを形成します。


    Note
    eth0をレジリエンシーリンクだけでなく、通常のマネージメントポートとしても利用したい場合は、eth0間にリピーターHUBをはさんでください。スイッチポートをレジリエンシーリンクに設定する場合は、該当スイッチポートはレジリエンシーリンク専用となり、他の用途には使用できません。なお、リピーターHUBとの接続方法については、リピーターHUBのマニュアルをご参照ください。また、以降の説明ではeth0同士をUTPケーブルで直結しているものと仮定しています。


  4. 以上でスタックメンバーの接続は完了です。

VCSグループの起動

スタックメンバーの接続が終わったら、いよいよVCSグループを起動します。これは以下の手順で行います。
  1. 各スイッチに同時に電源を入れます。

  2. 各メンバーは、起動後にメッセージを交換してマスターを選出し、必要に応じてIDの再割り当てを行います。これらが済むと、VCSグループの起動は完了です。これは、各スイッチの本体前面にあるステータスLED・ SFP/SFP+スロットLED・QSFP+/QSFP28スロットLEDまたは拡張モジュール上のLEDを見ることで確認できます。

    ■ SFP/SFP+スロットLED
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 10Gbpsでリンクが確立しています。
    点滅 10Gbpsでパケットを送受信しています。
    点灯 1000Mbpsでリンクが確立しています。
    点滅 1000Mbpsでパケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。
    ■ QSFP+/QSFP28スロットLED
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 100Gbpsでリンクが確立しています。
    点滅 100Gbpsでパケットを送受信しています。
    点灯 40Gbpsでリンクが確立しています。または、10G×4モードで、いずれか1つ以上のポートでリンクが確立しています。
    点滅 40Gbpsでパケットを送受信しています。または、10G×4モードで、いずれか1つ以上のポートでパケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。
    ■ ステータスLED

    ■ 100/1000/10GBASE-TポートLED (AT-XEM2-12XT)
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 10Gbpsでリンクが確立しています。
    点滅 10Gbpsでパケットを送受信しています。
    点灯 100/1000Mbpsでリンクが確立しています。
    点滅 100/1000Mbpsでパケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。
    ■ 100/1000/2.5G/5G/10GBASE-TポートLED (AT-XEM2-12XTm)
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 2.5/5/10Gbpsでリンクが確立しています。
    点滅 2.5/5/10Gbpsでパケットを送受信しています。
    点灯 100/1000Mbpsでリンクが確立しています。
    点滅 100/1000Mbpsでパケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。
    ■ SFP/SFP+スロットLED (AT-XEM2-12XS)
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 10Gbpsでリンクが確立しています。
    点滅 10Gbpsでパケットを送受信しています。
    点灯 1000Mbpsでリンクが確立しています。
    点滅 1000Mbpsでパケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。
    ■ QSFP+スロットLED (AT-XEM2-4QS)
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 40Gbpsでリンクが確立しています。または、10G×4モードで、いずれか1つ以上のポートでリンクが確立しています。
    点滅 40Gbpsでパケットを送受信しています。または、10G×4モードで、いずれか1つ以上のポートでパケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。
    ■ QSFP28スロットLED (AT-XEM2-1CQ)
    LED
    状態
    表示内容
    L/A 点灯 リンクが確立しています。
    点滅 パケットを送受信しています。
    消灯 リンクが確立していません。
    LED ON/OFFボタンによってLED OFFに設定されています。

  3. LED表示に問題がなければVCSグループの起動は完了です。

VCSグループの初期設定

VCSグループが起動したら、その後の設定や運用がしやすいように、スタックメンバーIDやプライオリティーを調整します。また、運用ネットワークとVCS管理用VLAN/サブネットアドレスが重複しないことを確認し、必要なら管理用VLAN/サブネットアドレスを変更します。

たとえば、2台のスイッチでVCSグループを構成している場合、2台のスイッチを配置順にID=1、ID=2としておき、ID=1をマスターにするのがもっとも直感的で、ケーブルの接続時やポートの設定時にもわかりやすく便利です。

ここでは、例としてVCSグループ起動直後のID割り当てが次のようになったと仮定して、これを前記のようなわかりやすい構成に変更する手順を示します。



  1. いずれかのスイッチにコンソールを接続してログインします。どちらのスイッチにコンソールを接続しても、表示されるのはマスター(VCSグループ)のコンソール画面となります。

  2. enableコマンドを実行して、特権EXECモードに移行します。
    awplus> enable
    awplus# 
    

  3. スタックメンバーIDを変更するため、次のコマンドを実行します。これによりスイッチAがID=1となり、スイッチBがID=2になります。stack renumber cascadeコマンドを実行すると、新しいIDを有効にするため、各スイッチが自動的に再起動します。
    awplus# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    awplus(config)# stack 2 renumber cascade
    Any existing interface configuration may no longer be valid
    Are you sure you want to renumber and reboot the entire stack? (y/n): y 
    

  4. ステータスLEDとSFP/SFP+スロットLED・QSFP+/QSFP28スロットLEDまたは拡張モジュール上のLEDでVCSグループの再起動が完了したことを確認します。手順3の操作により、VCSグループのID割り当てと役割分担は次のようになるはずです。


    次にスイッチAをマスターにするため、プライオリティーの変更を行います。

  5. もう一度ログインしたら、hostnameコマンドでVCSグループとしてのホスト名を設定し、VCSグループを識別しやすくします。
    awplus> enable
    awplus# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    awplus(config)# hostname vcg
    

  6. スイッチAをマスターにするため、スイッチAのプライオリティーを初期値の128より小さく設定します。ここでは例として64にします。これには、グローバルコンフィグモードのstack priorityコマンドを使います。このコマンドでは対象メンバーをIDで指定するため、ここではスイッチAのIDである1を指定しています。
    vcg(config)# stack 1 priority 64
    

  7. VCSマスター障害発生時のマスター切り替えをスムーズに行うため、stack virtual-macコマンドでバーチャルMACアドレス機能を有効化します。
    また、stack virtual-chassis-idコマンドで、バーチャルMACアドレスの下位12ビットとして使用されるバーチャルシャーシIDを設定します。

    vcg(config)# stack virtual-mac
    vcg(config)# stack virtual-chassis-id 127
    
    Note
    同一ネットワーク上に複数のVCSグループが存在するときは、該当するVCSグループ間でバーチャルシャーシID(stack virtual-chassis-id)が重複しないよう注意して設定してください。バーチャルシャーシIDは、show stackコマンドをdetailオプション付きで実行したときに表示される「Virtual Chassis ID」欄で確認できます。
    Note
    バーチャルMACアドレス機能は、stack enableコマンドでVCS機能を有効化すると自動的に有効化されます。stack virtual-macコマンドをno形式で実行することにより無効化もできますが、VCS使用時は必ずバーチャルMACアドレス機能を有効にした状態で運用してください。無効状態での運用はサポート対象外となります。

  8. VCS管理用VLANとサブネットアドレスの確認をし、必要に応じて変更します。運用ネットワークの設計資料を参照して、以下の2点を確認してください。


  9. ここまでに行ったVCSグループに対する初期設定内容をshow running-configコマンドで確認した上でスタートアップコンフィグに保存し、reloadコマンドかrebootコマンドでVCSグループを再起動します。
    vcg(config)# end
    vcg# show running-config
    ...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
    vcg# copy running-config startup-config
    Building configuration...
    [OK]
    Synchronizing file across the stack, please wait..
    File synchronization with stack member-1 successfully completed
    [DONE]
    vcg# reload
    Are you sure you want to reboot the whole stack? (y/n): y 
    

  10. ステータスLEDやスロットLEDでVCSグループの再起動が完了したことを確認します。ここまでの操作により、VCSグループのID割り当てと役割分担は次のようになったはずです。


これでVCSグループとしての初期設定は完了です。

VCSグループの運用設定と運用開始

スタックメンバーの初期設定が完了したら、運用ネットワークのための設定に入ります。VCSグループを仮想的な1台のスイッチと見なして、通常どおりネットワークの設定を行ってください。設定が完了したら最後にレジリエンシーリンクを有効化し、設定を保存してください。
  1. いずれかのスイッチにコンソールを接続してログインします。どちらのスイッチにコンソールを接続しても、表示されるのはマスター(VCSグループ)のコンソール画面となります。

    ログインしたら、単独のスイッチを設定するときと同じようにネットワーク構成に応じたインターフェースやプロトコルの設定を行ってください。

    設定コマンドでスイッチポート番号を指定するときは、「portX.Y.Z」の形式で指定します。

  2. ネットワークの設定が終わったら、レジリエンシーリンクを接続します。
    カッパーポート、ダイレクトアタッチケーブルを使用する場合、レジリエンシーリンクを使用しない構成はサポート対象外ですので、運用に入る前に必ずこの設定を行ってください。
    なお、ファイバースタックモジュールを使用する場合、レジリエンシーリンクの使用は任意ですが、使用するときは下記の手順にしたがって設定・接続してください。レジリエンシーリンクを使用しない場合、本手順は不要です。


  3. 設定内容を確認し、スタートアップコンフィグに保存します。
    vcg(config)# end
    vcg# show running-config
    ...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
    vcg# copy running-config startup-config
    Building configuration...
    [OK]
    Synchronizing file across the stack, please wait..
    File synchronization with stack member-2 successfully completed
    [DONE]
    vcg# 
    

  4. これで運用前の設定は完了です。各スイッチのポートを実ネットワークに接続し、運用を開始してください。VCSグループとしての動作状況は、スタンドアローン時にも使用する各種コマンドで確認できるほか、SNMPやログでも確認可能です。
    また、LED ON/OFFボタンによってLED OFF(エコLED)に設定することで、ステータスLED(LED ON設定時にスタックメンバーIDが表示されている場所)の横3セグメントに、マスターであれば上側のライン" ̄"、スレーブであれば下側のライン"_"が点灯します。

ナビゲーション

■ VCS導入後の日常作業の基本手順については、第3部 運用編をご覧ください。


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