運用・管理 / コンフィグレーション


ランニングコンフィグとスタートアップコンフィグ
基本操作
ランニングコンフィグの確認
ランニングコンフィグの保存と復元
スタートアップコンフィグの確認
スタートアップコンフィグの実体ファイル
スタートアップコンフィグの消去
スタートアップコンフィグのバックアップと復元


本製品では、コマンド入力によって設定した内容を、テキスト形式のコンフィグファイルとして保存することができます。これにより、さまざまな設定を異なる名前のファイルとして保存しておき、必要に応じて切り替えて使うようなことが可能です。

ランニングコンフィグとスタートアップコンフィグ

本製品では、ランタイムメモリー上にある現在の設定内容を「ランニングコンフィグ」(running-config)と呼びます。

グローバルコンフィグモードを始めとする各種「設定モード(コンフィグモード)」で入力したコマンドの大部分は、このランニングコンフィグに対して作用します。

ランニングコンフィグの内容は設定コマンドの入力とともに変更され、通常はただちに動作に反映されますが、ランニングコンフィグはランタイムメモリー上にあるため、システムを再起動すると消えてしまいます。

そこで、ランニングコンフィグを保存しておきたい場合は、ランニングコンフィグをファイルに書き出しておきます。

このとき、書き出し先を「スタートアップコンフィグ」(startup-config)と呼ぶ特殊なファイルにしておけば、次回起動時に現在の設定内容(ランニングコンフィグ)が自動的に復元されるようになります。

また、書き出し先をスタートアップコンフィグ以外にした場合であっても、コマンド操作によって、該当ファイルの内容をランニングコンフィグに反映したり、該当ファイルの内容をスタートアップコンフィグにコピーして次回起動時に復元されるよう設定したりすることができます。

次にランニングコンフィグとスタートアップコンフィグの関係を図示します。

Note
「copy FILE startup-config」の書式では、既存のスタートアップコンフィグを上書きすることはできません。同書式でスタートアップコンフィグの内容を変更する場合は、あらかじめerase startup-configコマンドでスタートアップコンフィグを消去しておく必要があります。

基本操作

以下では、ランニングコンフィグとスタートアップコンフィグに関するさまざまな操作について解説します。

ランニングコンフィグの確認

■ ランニングコンフィグの内容を確認するには、show running-configコマンドを使います。また、write terminalコマンドでも同じことができます。
awplus# show running-config

Note
show running-configコマンドは特権EXECモードのコマンドですが、グローバルコンフィグモードをはじめとする各種設定モードでもdoコマンドを用いることなく実行できます。一方、write terminalコマンドは特権EXECモードでしか実行できません。

show running-configコマンドでは、オプションパラメーターを与えることにより、特定の設定だけを確認することもできます(write terminalコマンドではできません)。たとえば、vlan1インターフェースの設定だけを確認するには次のようにします。
awplus# show running-config interface vlan1
!
interface vlan1
 ip address 192.168.10.1/24
!

Note
どのようなオプションパラメーターを指定できるかは、機種やバージョンによって異なります。詳しくは、コマンドラインから「show running-config ?」と入力して確認してください。

ランニングコンフィグの保存と復元

■ ランニングコンフィグを任意のファイルに保存するには、copyコマンドを「copy running-config REGULARDST」の書式で実行します。ファイルの拡張子は任意ですが、通常は.cfgとします。
たとえば、現在の設定内容をカレントディレクトリーのファイルmylan.cfgに保存するには、次のようにします。指定したファイルが存在しない場合は新規に作成され、すでに存在していた場合は上書きされます。
awplus# copy running-config mylan.cfg

本コマンドで作成したファイルには、設定内容が一連のコマンドとして書き込まれています。ただし、設定内容は一定の基準にしたがって独自の書式に変換されているため、コマンドラインで入力したものとまったく同じではありません。たとえば、configure terminalコマンドやexitコマンドなどは書き込まれません。また、コマンド入力時に指定した値が初期値と同じだった場合、該当コマンドは書き込まれません。しかし、保存されている情報は同じです。

■ ランニングコンフィグをファイルに保存しただけでは、次回起動時に自動復元されません。起動時に設定内容を自動復元させるには、copyコマンドを「copy REGULARSRC startup-config」の書式で実行して、コンフィグファイルの内容を「スタートアップコンフィグ」にコピーする必要があります。
たとえば、カレントディレクトリーにあるmylan.cfgの内容をスタートアップコンフィグにコピーするには、次のようにします。
awplus# erase startup-config
awplus# copy mylan.cfg startup-config
Note
「copy REGULARSRC startup-config」の書式では、既存のスタートアップコンフィグを上書きすることはできません。同書式でスタートアップコンフィグの内容を変更する場合は、あらかじめerase startup-configコマンドでスタートアップコンフィグを消去しておく必要があります。なお、後述しますが、次回のスタートアップコンフィグを変更する方法には、boot config-fileコマンドでスタートアップコンフィグの実体ファイルを切り替える方法もあります。コンフィグファイルの管理方針にしたがって適切な方法を選択してください。

■ 前の例では、ランニングコンフィグをいったん通常ファイルのmylan.cfgに書き出した後で、mylan.cfgの内容をスタートアップコンフィグにコピーしていましたが、ランニングコンフィグを直接スタートアップコンフィグにコピーすることもできます。これには、copyコマンドを「copy running-config startup-config」の書式で実行します。
awplus# copy running-config startup-config
Building configuration...
[OK]

また、write fileコマンド、write memoryコマンドでも同じことができます。
awplus# write memory
Building configuration...
[OK]

Note
この例のようにランニングコンフィグを直接スタートアップコンフィグに保存した場合、次に同じ操作を行うと前の設定内容は上書きされて失われてしまいます。そのようなときは、スタートアップコンフィグを更新する前に、現在のスタートアップコンフィグを通常ファイルにバックアップしておきます。詳しくは本解説編の「スタートアップコンフィグのバックアップと復元」をご覧ください。

スタートアップコンフィグの確認

■ スタートアップコンフィグの内容、すなわち、次回起動時に復元される設定内容はshow startup-configコマンドで確認できます。
awplus# show startup-config

スタートアップコンフィグの実体ファイル

■ 本製品において、「スタートアップコンフィグ」(startup-config)は一種のショートカットであり、その実体は、あらかじめ設定されたフラッシュメモリーや外部メディア(USBメモリー・SDHCカード)上のコンフィグファイル(拡張子.cfg)です。
Note
AT-AR2050VはUSBポートのみで、SDHCカードスロットは備えていません。

どのファイルがスタートアップコンフィグの実体ファイルとして使用されているかは、show bootコマンドで確認できます。「Current boot config」欄に表示されているのが、現在スタートアップコンフィグの実体ファイルとして使用されているファイルです。
awplus# show boot
Boot configuration
--------------------------------------------------------------------------------
Current software   : AR4050S-5.4.9-1.1.rel
Current boot image : flash:/AR4050S-5.4.9-1.1.rel (file exists)
Backup  boot image : Not set
Default boot config: flash:/default.cfg
Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
Backup  boot config: Not set
Autoboot status    : disabled


ここに表示されているとおり、初期設定では「flash:/default.cfg」というファイルがスタートアップコンフィグの実体ファイルに設定されています。

スタートアップコンフィグに関するコマンドは、この実体ファイルに対して作用します。たとえば、実体ファイルの設定が初期値のままだと仮定すると、copyコマンドを「copy running-config startup-config」の書式で実行するたびにflash:/default.cfgが書き換えられます。また、erase startup-configコマンドを実行するとflash:/default.cfgが削除されます。

Note
初期設定の実体ファイルである「flash:/default.cfg」は、直接的なファイル操作が行えないよう保護されています。たとえば、copyコマンドのコピー先に指定して上書きコピーしようとしたり、deleteコマンドで削除しようとしたり、moveコマンドで移動・リネームしようとしたりすると、「Cannot overwrite flash:/default.cfg as it is the default config file」というエラーになります。

■ スタートアップコンフィグの実体ファイルを変更するには、boot config-fileコマンドを使います。次の例では、flash:/startup.cfgをスタートアップコンフィグの実体ファイルとして指定しています。このように設定すると、以後スタートアップコンフィグに対する各種操作は、実際にはflash:/startup.cfgに対する操作となります。
awplus(config)# boot config-file flash:/startup.cfg

■ SDHCカード上のstartup.cfgをスタートアップコンフィグとして指定します。
awplus(config)# boot config-file card:/startup.cfg

■ バックアップ用のコンフィグとしてbackup.cfgを指定します。
awplus(config)# boot config-file backup flash:/backup.cfg
Note
boot config-fileコマンドで指定するファイルは、フラッシュメモリー上または、SDHCカードのルート上に実在している必要があります。また、拡張子は「.cfg」でなくてはなりません。

Note
boot config-fileコマンドで指定したスタートアップコンフィグの実体ファイルは、直接的なファイル操作が行えないよう保護されます。たとえば、copyコマンドのコピー先に指定して上書きコピーしようとしたり、deleteコマンドで削除しようとしたり、moveコマンドで移動・リネームしようとしたりすると、「Cannot overwrite 実体ファイル名 as it is configured as the boot config file」というエラーになります。スタートアップコンフィグの実体ファイルに変更を加えるときは、copyコマンドの書式「copy running-config startup-config」やerase startup-configコマンドなど、スタートアップコンフィグ専用のコマンドや書式を使ってください。

■ スタートアップコンフィグの実体ファイルを初期設定の「flash:/default.cfg」に戻すには、boot config-fileコマンドをno形式で実行します。
awplus(config)# no boot config-file

■ バックアップ用コンフィグの設定を削除するには、boot config-fileコマンドをno形式で実行するときにbackupオプションを指定します。
awplus(config)# no boot config-file backup

スタートアップコンフィグの消去

■ 次回、空の設定で起動させたいときは、erase startup-configコマンドでスタートアップコンフィグを消去します。これは、設定をいちからやりなおしたいときなどに便利です。
awplus# erase startup-config
Successful operation

このコマンドを実行すると、前述したスタートアップコンフィグの実体ファイルが削除されます。この状態でシステムを再起動すれば、設定ファイルを読み込んでいない状態、すなわち、初期設定状態でシステムが起動します。

Note
現在のスタートアップコンフィグをとっておきたい場合は、erase startup-configコマンドを実行する前に、スタートアップコンフィグを通常ファイルにバックアップしておきます。詳しくは次項「スタートアップコンフィグのバックアップと復元」をご覧ください。

■ スタートアップコンフィグだけでなく、他のコンフィグファイルやスクリプトファイル、ユーザーが作成したディレクトリーなども削除したい場合は、次の例のようにdeleteコマンドで個別に削除してください。なお、ファイル操作の詳細については、「運用・管理」の「ファイル操作」をご覧ください。
awplus# delete *.cfg
awplus# delete *.scp
awplus# delete recursive example_dir

Note
通常、deleteコマンドでファイルやディレクトリーを削除するときは、本当に削除してよいかを確認してきます。「delete force *.cfg」のようにforceオプションを付ければ確認なしで削除することもできますが、削除したファイル、ディレクトリーを元に戻すことはできませんので、操作対象を間違えないよう充分注意を払ってください。

また、スタートアップコンフィグの実体ファイルを初期設定の「flash:/default.cfg」から変更している場合は、前節でも述べたとおり、boot config-fileコマンドをno形式で実行することで初期設定に戻せます。
awplus(config)# no boot config-file

バックアップ用コンフィグの設定を初期状態(なし)にする場合も同様です。
awplus(config)# no boot config-file backup

スタートアップコンフィグのバックアップと復元

■ スタートアップコンフィグの内容を通常ファイルにコピー(バックアップ)するには、copyコマンドを「copy startup-config REGULARDST」の書式で実行します。
たとえば、現時点でのスタートアップコンフィグの内容をカレントディレクトリーのファイルmyconf01.cfgにコピーするには、次のようにします。
awplus# copy startup-config myconf01.cfg

あとで現時点のスタートアップコンフィグを復元したくなったときは、copyコマンドを使って次のようにします。
awplus# erase startup-config
awplus# copy myconf01.cfg startup-config
Note
copyコマンドの「copy REGULARSRC startup-config」の書式では、既存のスタートアップコンフィグを上書きすることはできません。同書式でスタートアップコンフィグの内容を変更する場合は、あらかじめerase startup-configコマンドでスタートアップコンフィグを消去しておく必要があります。なお、前述のとおり、次回のスタートアップコンフィグを変更する方法には、boot config-fileコマンドでスタートアップコンフィグの実体ファイルを切り替える方法もあります。コンフィグファイルの管理方針にしたがって適切な方法を選択してください。


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