設定例集#134: 朝日ネット”v6 コネクト”(固定IP)の標準方式によるIPv4・IPv6インターネットへの同時接続(ひかり電話契約なし)


構成
設定開始前に
自動設定の確認と削除
システム時刻の設定
ルーターの設定
設定の保存
ファイアウォールログについて
ルーターのコンフィグ




IPoE方式によるIPv4 over IPv6トンネルを構築し、NTT東日本・NTT西日本が提供するフレッツ 光ネクスト回線を経由してIPv4インターネットに接続するための設定例です。
本例は株式会社朝日ネットが提供する国内標準プロビジョニング方式(IPIP)を利用した接続設定例となります。

構成

ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース eth1
WAN側(eth1)IPv6アドレス リンクローカルアドレス
LAN側(vlan1)IPv6アドレス RAで受信したプレフィックス
ISPから提供された情報 (注1)
ユーザー名 userA
パスワード passwdA
Note
(注1) 本設定例では例示用IPアドレス、URL等を使用しており、実際に設定する値とは異なります。実際の設定時には、ユーザーごとに通知される各種情報をご使用ください。

ここでは、次の方針で設定を行います。

設定開始前に

自動設定の確認と削除

本設定例に掲載されているコマンドは、設定がまったく行われていない本製品の初期状態(スタートアップコンフィグなしで起動した状態)から入力することを前提としています。

そのため、通常は erase startup-config を実行し、スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動してから、設定を始めてください。

ただし、本製品はスタートアップコンフィグなしで起動した場合でも、特定の条件を満たすと自動的な設定を行うことがあるため、その場合は設定例にしたがってコマンドを入力しても、コマンドがエラーになったり、全体として意図した動作にならない可能性があります。

これを避けるため、設定開始にあたっては次のいずれかの方法をとることをおすすめします。
自動設定が行われる条件などの詳細については、AMF応用編のAMFネットワーク未検出時の拡張動作をご参照ください。

システム時刻の設定

ログなどの記録日時を正確に保ち、各種機能を適切に動作させるため、システム時刻は正確にあわせて運用することをおすすめします。
ご使用の環境にあわせ、次のいずれかの方法でシステム時刻を設定してください。

ルーターの設定

  1. LANポートにおいて初期状態で有効化されているスパニングツリープロトコル(RSTP)を無効化します。これにはspanning-tree enableコマンドをno形式で実行します。
    スパニングツリープロトコルの詳細は「L2スイッチング」/「スパニングツリープロトコル」をご覧ください。
    no spanning-tree rstp enable
    
  2. WANポートeth1にリンクローカルアドレスを自動設定し、RAを受信できるようにします。ただし本例では、実際にRAにもとづくアドレスを設定するのはLAN側インターフェースであるため、初期設定で有効になっているアドレス自動設定(SLAAC)は無効化します。また、WANポートで受信したNSに代理応答するためLAN側インターフェース(vlan1)へのNDプロキシー機能を有効にします。これには、ipv6 enableipv6 nd accept-ra-pinfoipv6 nd proxy interfaceコマンドを使います。
    interface eth1
     ipv6 enable
     no ipv6 nd accept-ra-pinfo
     ipv6 nd proxy interface vlan1
    
  3. LAN側インターフェースvlan1に対し、WANポートで受信したRAで通知されたプレフィックスにもとづきIPv6アドレスを自動設定するよう設定します。これにはipv6 address autoconfigコマンドを使います。
    また、IPv6設定情報をLAN側クライアントに通知するため、RAの送信を有効にします。これには、ipv6 nd suppress-raipv6 nd dns-serverコマンドを使います。
    IPv6インターフェースの詳細は「IPv6」/「IPv6インターフェース」をご覧ください。
    interface vlan1
     ip address 192.168.10.1/24
     ipv6 address autoconfig eth1
     no ipv6 nd suppress-ra
     ipv6 nd dns-server vlan1
    
  4. IPv6パケット転送機能を有効化します。これにはipv6 forwardingコマンドを使います。
    ipv6 forwarding
    
  5. LAN側ネットワークに接続されているコンピューターのためにDHCPサーバー機能の設定を行います。
    DHCPサーバー機能の詳細は「IP付加機能」/「DHCPサーバー」をご覧ください。

    これには、ip dhcp poolコマンドでDHCPプールを作成し、以下の情報を設定します。

    ・サブネット(network
    ・リースするIPアドレス(range
    ・デフォルトゲートウェイ(default-router
    ・DNSサーバーアドレス(dns-server
    ・リース時間(lease
    ip dhcp pool pool10
     network 192.168.10.0 255.255.255.0
     range 192.168.10.100 192.168.10.131
     dns-server 192.168.10.1
     default-router 192.168.10.1
     lease 0 2 0
    
  6. DHCPサーバーを有効化します。これには、service dhcp-serverコマンドを使います。
    service dhcp-server
    
  7. 国内標準プロビジョニング方式によるIPv4 over IPv6トンネルインターフェースtunnel0を作成します。
    詳細は「IPv6」/「国内標準プロビジョニング方式」をご覧ください。

    ・上流インターフェース(tunnel provisioned upstream-interface
    ・プロビジョニングサーバーにアクセスするためのユーザー名、パスワード(tunnel provisioned authentication
    ・トンネル動作モード(tunnel mode provisioned
    ・MSS書き換え(ip tcp adjust-mss
    interface tunnel0
     tunnel provisioned upstream-interface vlan1
     tunnel provisioned authentication any username userA password passwdA
     tunnel mode provisioned
     ip tcp adjust-mss pmtu
    
  8. IPv4のデフォルト経路をtunnel0に向けます。これにはip routeコマンドを使います。
    IP経路設定の詳細は「IP」/「経路制御」をご覧ください。
    ip route 0.0.0.0/0 tunnel0
    
  9. ファイアウォールのルール作成時に使うエンティティー(通信主体)を定義します。
    エンティティー定義の詳細は「UTM」/「エンティティー定義」をご覧ください。

    IPv4の内部ネットワークを表すゾーン「ipv4-internal」を作成します。
    これには、zonenetworkip subnetの各コマンドを使います。
    zone ipv4-internal
     network dhcp
      ip subnet 0.0.0.0/0 interface vlan1
     network lan
      ip subnet 192.168.10.0/24 interface vlan1
    
  10. IPv4インターネットを表すゾーン「ipv4-internet」を作成します。
    前記コマンドに加え、ここではhostip addressの各コマンドも使います。
    zone ipv4-internet
     network wan
      ip subnet 0.0.0.0/0 interface tunnel0
      host nat
       ip address dynamic interface tunnel0
    
  11. IPv6の内部ネットワークを表すゾーン「ipv6-internal」を作成します。
    前記コマンドに加え、ここではipv6 subnetipv6 addressの各コマンドも使います。
    zone ipv6-internal
     network lan
      ipv6 subnet ::/0 interface vlan1
      host vlan1
       ipv6 address dynamic interface vlan1
    
  12. IPv6インターネットを表すゾーン「ipv6-internet」を作成します。
    zone ipv6-internet
     network wan
      ipv6 subnet ::/0 interface eth1
      host eth1
       ipv6 address dynamic interface eth1
    
  13. ファイアウォールのルール作成時に通信内容を指定するために使う「アプリケーション」を定義します。
    これには、applicationprotocoldportの各コマンドを使います。
    アプリケーション定義の詳細は「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

    DHCPv4パケットを表すカスタムアプリケーション「dhcpv4」を定義します。
    application dhcpv4
     protocol udp
     dport 67 to 68
    
  14. DHCPv6パケットを表すカスタムアプリケーション「dhcpv6」を定義します。
    application dhcpv6
     protocol udp
     dport 546 to 547
    
  15. ICMPv6パケットを表すカスタムアプリケーション「icmpv6」を定義します。
    application icmpv6
     protocol ipv6-icmp
    
  16. 外部からの通信を遮断しつつ、内部からの通信は自由に行えるようにするファイアウォール機能の設定を行います。
    これには、firewallruleprotectの各コマンドを使います。

    ・rule 10 - 内部でのDHCPv4による通信を許可します
    ・rule 20 - 内部から内部へのIPv4通信を許可します(ここでは本製品・端末間の通信)
    ・rule 30 - 内部から外部へのIPv4通信を許可します
    ・rule 40 - 本製品のトンネルインターフェースに設定されたIPv4アドレスから外部へのIPv4通信を許可します
    ・rule 100 - 内部から内部へのIPv6通信を許可します(ここでは本製品・端末間の通信)
    ・rule 110 - 内部から外部へのIPv6通信を許可します
    ・rule 120 - 本製品(LAN側インターフェースに設定したアドレス)から外部へのIPv6通信を許可します
    ・rule 130 - 本製品(WAN側インターフェースのリンクローカルアドレス)から外部へのIPv6通信を許可します
    ・rule 140 - 外部から本製品(LAN側インターフェースに設定したアドレス)へのICMPv6通信を許可します
    ・rule 150 - 外部から本製品(WAN側インターフェースのリンクローカルアドレス)へのDHCPv6通信を許可します

    ファイアウォールの詳細は「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。
    firewall
     rule 10 permit dhcpv4 from ipv4-internal.dhcp to ipv4-internal.dhcp
     rule 20 permit any from ipv4-internal.lan to ipv4-internal.lan
     rule 30 permit any from ipv4-internal.lan to ipv4-internet
     rule 40 permit any from ipv4-internet.wan.nat to ipv4-internet
     rule 100 permit any from ipv6-internal to ipv6-internal
     rule 110 permit any from ipv6-internal to ipv6-internet
     rule 120 permit any from ipv6-internal.lan.vlan1 to ipv6-internet
     rule 130 permit any from ipv6-internet.wan.eth1 to ipv6-internet
     rule 140 permit icmpv6 from ipv6-internet to ipv6-internal.lan.vlan1
     rule 150 permit dhcpv6 from ipv6-internet to ipv6-internet.wan.eth1
     protect
    
  17. LAN側ネットワークに接続されているすべてのIPv4ホストがダイナミックENAT機能を使用してインターネットにアクセスできるよう設定します。
    これには、natruleenableの各コマンドを使います。
    NATの詳細は「UTM」/「NAT」をご覧ください。
    nat
     rule 10 masq any from ipv4-internal to ipv4-internet
     enable
    
  18. DNSリレー機能を有効にします。これには、ip dns forwardingコマンドを使います。
    DNSリレー機能の詳細は「IP付加機能」/「DNSリレー」をご覧ください。
    ip dns forwarding
    
  19. 以上で設定は完了です。
    end
    

設定の保存

■ 設定が完了したら、現在の設定内容を起動時コンフィグとして保存してください。これには、copyコマンドを「copy running-config startup-config」の書式で実行します。
awplus# copy running-config startup-config
Building configuration...
[OK]

また、write fileコマンド、write memoryコマンドでも同じことができます。
awplus# write memory
Building configuration...
[OK]

その他、設定保存の詳細については「運用・管理」/「コンフィグレーション」をご覧ください。

ファイアウォールログについて

■ ファイアウォールのログをとるには、次のコマンド(log(filter))を実行します。
awplus(config)# log buffered level informational facility local5

■ 記録されたログを見るには、次のコマンド(show log)を実行します。ここでは、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
awplus# show log | include Firewall

ルーターのコンフィグ

!
no spanning-tree rstp enable
!
interface eth1
 ipv6 enable
 no ipv6 nd accept-ra-pinfo
 ipv6 nd proxy interface vlan1
!
interface vlan1
 ip address 192.168.10.1/24
 ipv6 address autoconfig eth1
 no ipv6 nd suppress-ra
 ipv6 nd dns-server vlan1
!
ipv6 forwarding
!
ip dhcp pool pool10
 network 192.168.10.0 255.255.255.0
 range 192.168.10.100 192.168.10.131
 dns-server 192.168.10.1
 default-router 192.168.10.1
 lease 0 2 0
!
service dhcp-server
!
interface tunnel0
 tunnel provisioned upstream-interface vlan1
 tunnel provisioned authentication any username userA password passwdA
 tunnel mode provisioned
 ip tcp adjust-mss pmtu
!
ip route 0.0.0.0/0 tunnel0
!
zone ipv4-internal
 network dhcp
  ip subnet 0.0.0.0/0 interface vlan1
 network lan
  ip subnet 192.168.10.0/24 interface vlan1
!
zone ipv4-internet
 network wan
  ip subnet 0.0.0.0/0 interface tunnel0
  host nat
   ip address dynamic interface tunnel0
!
zone ipv6-internal
 network lan
  ipv6 subnet ::/0 interface vlan1
  host vlan1
   ipv6 address dynamic interface vlan1
!
zone ipv6-internet
 network wan
  ipv6 subnet ::/0 interface eth1
  host eth1
   ipv6 address dynamic interface eth1
!
application dhcpv4
 protocol udp
 dport 67 to 68
!
application dhcpv6
 protocol udp
 dport 546 to 547
!
application icmpv6
 protocol ipv6-icmp
!
firewall
 rule 10 permit dhcpv4 from ipv4-internal.dhcp to ipv4-internal.dhcp
 rule 20 permit any from ipv4-internal.lan to ipv4-internal.lan
 rule 30 permit any from ipv4-internal.lan to ipv4-internet
 rule 40 permit any from ipv4-internet.wan.nat to ipv4-internet
 rule 100 permit any from ipv6-internal to ipv6-internal
 rule 110 permit any from ipv6-internal to ipv6-internet
 rule 120 permit any from ipv6-internal.lan.vlan1 to ipv6-internet
 rule 130 permit any from ipv6-internet.wan.eth1 to ipv6-internet
 rule 140 permit icmpv6 from ipv6-internet to ipv6-internal.lan.vlan1
 rule 150 permit dhcpv6 from ipv6-internet to ipv6-internet.wan.eth1
 protect
!
nat
 rule 10 masq any from ipv4-internal to ipv4-internet
 enable
!
ip dns forwarding
!
end


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PN: 613-002107 Rev.BD