バーチャルシャーシスタック(VCS) / 導入
VCSの設定/運用方法について、各機器に対する初期設定、各機器の接続、VCSグループの起動、VCSグループとしての設定から運用開始まで、順を追って説明します。
本バージョンにおけるVCSの仕様
ファームウェアバージョン5.5.5-0.1におけるVCSの仕様は以下のとおりです。VCSの設定は、以下の各項目を念頭に置きながら進めてください。
基本仕様
スタック台数(VCSグループあたり)
4台 (マスター 1台、スレーブ 1~3台)
スタックポート数(メンバーあたり)
2ポート または 4ポート または 8ポート
同一VCSグループを構成可能なスタックメンバー(機器)の組み合わせ
SwitchBlade x908 GEN2同士で構成します。
スタック接続に使用できるポート、モジュール、ケーブル
AT-SP10T(カッパーSFP+モジュール)
AT-SP10SR(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10LR(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10LRa/I(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10ER40/I(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10ER40a/I(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10ZR80/I(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10BD10/I-12・13(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10BD20-12・13(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10BD40/I-12・13(ファイバーSFP+モジュール)
AT-SP10TW1(SFP+ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
AT-SP10TW3(SFP+ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
AT-SP10TW7(SFP+ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
AT-XEM2-12XT(100/1000/10GBASE-T×12 拡張モジュール)
AT-XEM2-12XTm(100/1000/2.5G/5G/10GBASE-T×12 拡張モジュール)
AT-XEM2-12XS(SFP/SFP+×12 拡張モジュール)
AT-XEM2-12XS v2(SFP/SFP+×12 拡張モジュール)
AT-XEM2-8XSTm(100/1000/2.5G/5G/10GBASE-T×4・SFP/SFP+x4 拡張モジュール)
AT-XEM2-4QS(QSFP+×4 拡張モジュール)※QSFP+モジュール、QSFP+ダイレクトアタッチケーブルを装着して使用
AT-XEM2-1CQ(QSFP28×1 拡張モジュール)※QSFP28モジュール、QSFP28ダイレクトアタッチケーブルを装着して使用
AT-QSFPER4(ファイバーQSFP+モジュール)
AT-QSFPSR (ファイバーQSFP+モジュール)
AT-QSFPSR4(ファイバーQSFP+モジュール)
AT-QSFPLR4(ファイバーQSFP+モジュール)
AT-QSFP1CU(QSFP+ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
AT-QSFP3CU(QSFP+ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
AT-QSFP28LR4(ファイバーQSFP28モジュール)
AT-QSFP28SR4(ファイバーQSFP28モジュール)
AT-QSFP28ZR4(ファイバーQSFP28モジュール)
AT-QSFP28-1CU(QSFP28ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
AT-QSFP28-3CU(QSFP28ダイレクトアタッチケーブル。モジュール2個とケーブル1本の一体型です)
レジリエンシーリンク
カッパーポート、カッパーモジュール、ダイレクトアタッチケーブル使用時は必須(使用しない構成はサポート対象外)
ファイバーモジュール使用時は任意
レジリエンシーリンクとして使用可能なポート
デフォルトではスタックポートが設定されていないため、初期設定時に「スタックポートとして使用するポートの指定」 を参照し、スタックポートとして使うポートを指定してください。
メンバーあたりの最大スタックポート数と通信速度は以下の通りです。
表 1
ポート
通信速度
スタックポート数
SFP+スタックモジュール(AT-XEM2-12XS, AT-XEM2-12XS v2, AT-XEM2-8XSTm)
10Gbps
最大8ポート
100/1000/10GBASE-Tポート(AT-XEM2-12XT)
100/1000/2.5G/5G/10GBASE-Tポート(AT-XEM2-12XTm, AT-XEM2-8XSTm)
QSFP+スタックモジュール(AT-XEM2-4QS)
40Gbps
最大4ポート
QSFP28スタックモジュール(AT-XEM2-1CQ)
100Gbps
最大2ポート
スタックモジュール間は直結してください。
スタックモジュール間に他のネットワーク機器を接続することはできません。
スタックモジュールはホットスワップ対応のため、取り付け・取りはずしの際に、本体の電源を切る必要はありません。異なる種類(型番)のモジュールへのホットスワップも可能です。ただし、AT-XEM2-1CQが取り付けられていたスロットに異なる種類(型番)の拡張モジュールを取り付けるとき、または、異なる種類(型番)の拡張モジュールが取り付けられていたスロットにAT-XEM2-1CQを取り付けるときは、システムを再起動してください。また、シャーシを起動してから使用されていないスロットにAT-XEM2-1CQを取り付けるときも、システムを再起動してください。
VCSグループ内では、通信速度が同じであれば、カッパースタックモジュールとファイバースタックモジュールを混在させたり、伝送距離の異なるファイバースタックモジュールを混在させたりすることができます。SFP/SFP+スロット上のAT-SP10Tと1000/10GBASE-Tポートの接続も可能です。異なる通信速度のスタックポートを混在させることはできません。
VCSグループ内では、すべてのスタックリンクの帯域幅を統一する必要があります。
レジリエンシーリンクを使用する場合は、各メンバーのマネージメントポート(eth0)か任意のスイッチポート1ポートをレジリエンシーリンクに設定し、適切なケーブルで接続します。
eth0をレジリエンシーリンクだけでなく、通常のマネージメントポートとしても利用したい場合は、eth0間にリピーターHUBをはさむ必要があります。そのため、UTPケーブルを2本以上必要なだけ用意してください(スタックメンバー2台分+管理端末などの接続用)。なお、スイッチポートをレジリエンシーリンクに設定する場合は、該当スイッチポートはレジリエンシーリンク専用となり、他の用途には使用できません。
2台構成でeth0をレジリエンシーリンク専用として使う場合、リピーターHUBは不要です。eth0間をUTPケーブルで直結してください。
併用不可機能
VCS構成時は以下の機能を使用できません。
GVRP
DHCPクライアント
VRRP
PIMとRSTPの同時使用
NTPパケット始点IPアドレス(ntp source コマンド)
その他注意事項
初期設定から運用までの流れ
VCSの初期設定から運用までの流れは次のようになります。
必要な機材の準備
スタックメンバーとなるスイッチ、スタックモジュールなどを準備します。
→ 「必要な機材の準備」 をご覧ください。
スタックメンバーの初期設定
VCSの物理的な接続をする前に、各メンバーの設定状態を確認し、必要な初期設定を行っておきます。
→ 「スタックメンバーの初期設定」 をご覧ください。
スタックメンバーの接続
各メンバーの初期設定が終わったら、メンバー同士を接続してVCSの物理的構成を完成させます。
→ 「スタックメンバーの接続」 をご覧ください。
VCSグループの起動
接続が完了したら、各メンバーの電源を入れてVCSグループを起動します。本製品は、専用のLED表示でマスターの確認はできませんが、LED ON/OFFボタンかecofriendly led コマンドによってLED OFF(エコLED)に設定することで、ステータスLED(LED ON設定時にスタックメンバーIDが表示されている場所)の横3セグメントに、マスターであれば上側のライン" ̄"、スレーブであれば下側のライン"_"が点灯します。LED ON設定時にはステータスLEDの表示でメンバーIDがどのように割り振られているか確認できます。また、CLIコマンドを使うことによっても、VCSグループの情報を知ることができます。
→ 「VCSグループの起動」 をご覧ください。
VCSグループの初期設定
VCSグループが正しく起動したことを確認したら、その後の設定や運用をしやすくするため、IDやプライオリティーの調整など、いくつかの初期設定を行います。
→ 「VCSグループの初期設定」 をご覧ください。
VCSグループの運用設定と運用開始
VCSグループの初期設定が完了したら、その後はVCSグループを1台のスイッチと見なして、運用ネットワークのための設定を行い、運用を開始します。
→ 「VCSグループの運用設定と運用開始」 をご覧ください。
VCSグループの運用状態確認
VCSグループの運用を開始したら、CLIで運用状態を定期的に確認します。
→ 運用編の「VCSグループの運用状態確認」 をご覧ください。
VCSグループ運用中のメンテナンス作業
VCSグループ運用中に構成を変更する場合や障害が発生した場合は、メンテナンス作業が必要です。
→ 運用編の「VCSグループ運用中のメンテナンス作業」 をご覧ください。
必要な機材の準備
VCSグループを構築するのに必要な機材を手元に準備してください。
スタックメンバーになるシャーシ
スタック可能な台数、および、同一VCSグループを構成可能な機器の組み合わせについては、基本仕様 をご参照ください。
スタック接続用モジュール、ケーブルおよびレジリエンシーリンク用ケーブル
スタック接続に使用可能なポート、モジュール、ケーブル、および、レジリエンシーリンクの必要性については、基本仕様 をご参照ください。
スタックメンバーの初期設定
スタックメンバーとなるスイッチを用意したら、最初に各スイッチを単体で起動し、以下の作業を行ってください。
ファームウェアバージョンの確認と統一
スタートアップコンフィグの確認とバックアップ
VCS機能とスタックポートの有効化
スタックメンバーIDの設定
スタートアップコンフィグの保存
フィーチャーライセンスの確認と統一
また、本製品はデフォルトでスタックポートが設定されていないため、下記の初期設定も実施してください。
以下、具体的な手順を説明します。
スタックモジュールやスタックケーブルを装着しない状態でスイッチを単体起動したら、コンソールからログインしてください。
enable コマンドを実行して、特権EXECモードに移行します。
awplus> enable ↓
awplus#
show boot コマンドを実行して、通常用と緊急用のファームウェアイメージを確認します。すべてのスイッチで「Current boot image」と「Backup boot image」の設定が同じになっていることを確認してください。違いがある場合は、必要に応じてイメージファイルをダウンロードし、boot system コマンドを実行して、これらの設定をあわせてください。
awplus# show boot ↓
Boot configuration
--------------------------------------------------------------------------------
Current software : SBx908NG-5.5.5-0.1.rel
Current boot image : flash:/SBx908NG-5.5.5-0.1.rel (file exists)
Backup boot image : Not set
Default boot config: flash:/default.cfg
Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
Backup boot config : Not set
Autoboot status : disabled
同じshow boot コマンドの出力にある「Current boot config」欄を確認します。「(file exists)」と表示されている場合は、スタートアップコンフィグが存在していることを示していますので、その内容をファイルにバックアップしておいてください。これにはcopy コマンドを使って次のようにします。ここでは、例として「StandaloneConfig.cfg」というファイルにバックアップしています。
awplus# copy startup-config StandaloneConfig.cfg ↓
Copying..
Successful operation
VCS機能を有効にします。これには、stack enable コマンドを使います。
awplus# configure terminal ↓
awplus(config)# stack enable ↓
% Automatically enabling 'stack virtual-mac' to minimize disruption from failovers.
% Please check that the new MAC 0000.cd37.03b0 is unique within the network.
% Save the config and restart the system for this change to take effect.
バーチャルMACアドレス機能は、stack enable コマンドでVCS機能を有効化すると自動的に有効化されます。stack virtual-mac コマンドをno形式で実行することにより無効化もできますが、VCS使用時は必ずバーチャルMACアドレス機能を有効にした状態で運用してください。無効状態での運用はサポート対象外となります。
どれかひとつのシャーシのみ、スタックメンバーIDを2に変更します。
awplus(config)# stack 1 renumber 2 ↓
現在のコンフィグをスタートアップコンフィグとして保存します。
awplus(config)# end ↓
awplus# copy running-config startup-config ↓
show boot コマンドで再度確認すると、「Current boot config」欄の末尾に「(file exist)」と表示されていればスタートアップコンフィグは保存されています。
awplus# show boot ↓
Boot configuration
--------------------------------------------------------------------------------
Current software : SBx908NG-5.5.5-0.1.rel
Current boot image : flash:/SBx908NG-5.5.5-0.1.rel (file exists)
Backup boot image : Not set
Default boot config: flash:/default.cfg
Current boot config: flash:/default.cfg (file exists)
Backup boot config : Not set
Autoboot status : disabled
最後に、フィーチャーライセンスの必要な機能を利用する場合は、show license コマンドを実行して有効化されているライセンスを確認します。すべてのメンバーで同じライセンスが有効化されていることを確認してください。
フィーチャーライセンスが適用された機器でVCS 構成を利用する場合は、各VCS メンバーに同一の「License issue date」を持つフィーチャーライセンスがインストールされている必要があります。各VCS メンバー間でフィーチャーライセンスの「License issue date」が異なる場合には、ライセンスパスワードを更新する必要がありますので、弊社窓口までご連絡ください。フィーチャーライセンスの「License issue date」は、show license コマンドでご確認いただけます。
以上でスタックメンバーの基本的な初期設定は完了です。
なお、本製品の初期状態ではスタックポートが設定されていないため、続けて以下の説明にしたがいスタックポートとして使用するポートを指定してください。
スタックポートとして使用するポートの指定
本製品の初期状態ではスタックポートが設定されていないため、stackport コマンドを使ってスイッチポートをスタックポートに設定する必要があります。
スタック接続に使用できるポート、モジュール、ケーブルについては、基本仕様 をご参照ください。
設定手順
スタックポートとして使用するスイッチポートを指定または変更するには、以下の手順を実行します。
以下の説明では、すでにスタートアップコンフィグの確認・バックアップ・消去、ファームウェアバージョン、フィーチャーライセンスの確認と統一は完了しているものとします。
グローバルコンフィグモードに移行します。
awplus> enable ↓
awplus# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
awplus(config)#
switch provision コマンドを実行し、スタックメンバー1と2の機種を事前設定します。
スタックメンバー分の設定が必要です。
awplus(config)# switch 1 provision sbx908gen2 ↓
awplus(config)# switch 2 provision sbx908gen2 ↓
スタックポートとして使用したいインターフェースを指定し、インターフェースモードに移行します。
対象ポートをスタックポートとして設定するにはstackport コマンドを実行します。
ここでは例として、ポート1.1.1、1.1.5、ポート2.1.1、2.1.5をスタックポートに設定します。
awplus(config)# interface port1.1.1,port1.1.5 ↓
awplus(config-if)# stackport ↓
% Save the config and restart the system for this change to take effect.
awplus(config-if)# exit ↓
awplus(config)# interface port2.1.1,port2.1.5 ↓
awplus(config-if)# stackport ↓
% Save the config and restart the system for this change to take effect.
awplus(config-if)# end ↓
ここまでに行った設定内容をスタートアップコンフィグに保存します。
awplus# write ↓
Building configuration...
[OK]
以上で設定は完了です。各スイッチの電源を切ってください。
stackport コマンドによる設定は、設定を保存し、機器を再起動するまで有効になりません。
デフォルトではスタックポートが設定されていないため、必ずスタックポートを設定してください。
関連する情報表示コマンド
上記の設定は、show stack コマンドをdetailオプション付きで実行したときに表示される「Stack portX.Y.Z status」欄で確認できます。
表示される内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例ですので、ご了承ください。
awplus# show stack detail ↓
Virtual Chassis Stacking detailed information
...
Stack member 1:
------------------------------------------------------------------
...
Stack port1.1.x status Learnt neighbor 2
Stack port1.1.y status Learnt neighbor 2
Stack member 2:
------------------------------------------------------------------
...
Stack port2.1.X status Learnt neighbor 1
Stack port2.1.Y status Learnt neighbor 1
以下の情報表示コマンドにもスタックポートの情報が表示されます。
show interface コマンド
スタックポートでは、Hardware isの後ろにStackport Ethernetと表示されます。
表示される内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例ですので、ご了承ください。
awplus# show interface ↓
...
Interface port1.1.x
...
Hardware is Stackport Ethernet, address is e01a.ea46.0554
...
Interface port1.1.y
...
Hardware is Stackport Ethernet, address is e01a.ea46.0554
...
briefオプション付きで実行すると、スタックポートのProtocol欄には、リンクステータスの前にstackportと表示されます。
表示される内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例ですので、ご了承ください。
awplus# show interface brief ↓
Interface Status Protocol
...
port1.1.x admin up stackport running
port1.1.y admin up stackport running
...
show interface status コマンド
スタックポートのVlan欄にはstackportと表示されます。
表示される内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例ですので、ご了承ください。
awplus> show interface status ↓
Port Name Status Vlan Duplex Speed Type
...
port1.1.x notconnect stackport auto auto not present
port1.1.y notconnect stackport auto auto not present
...
port2.1.X notconnect stackport auto auto 10GBASE-T
port2.1.Y notconnect stackport auto auto 10GBASE-T
...
show running-config コマンド
show running-config interfaceで実行すると、以下のように表示されます。
表示される内容は機種やファームウェアのバージョンによって異なります。下記はあくまでも一例ですので、ご了承ください。
awplus# show running-config interface ↓
...
!
interface port1.1.x,1.1.y
stackport
!
...
スタックメンバーの接続
スタックメンバーの初期設定が終わったら、各スイッチを実際に接続します。
モジュールやケーブルの具体的な装着方法や注意事項については、取扱説明書をご覧ください。
各スイッチの電源が入っていないことを確認してください。
各スイッチにスタックモジュール、または、SFP+/QSFP+/QSFP28ダイレクトアタッチケーブルを取り付けます。
スタックポートは各スイッチ2ポートずつ、4ポートずつ、または8ポートずつ使用します。
メンバーあたりの最大スタックポート数と通信速度は こちら をご覧ください。
スイッチ間を接続する際、使用するスロット番号、ポート番号に指定はありません。
異なる番号のスロット/ポート同士、同じ番号のスロット/ポート同士、いずれの組み合わせでも接続可能です。
また、スタックポートが同一拡張モジュール上のポートである必要もありません。
すべて異なる拡張モジュール上のポートを使用することもできます。
以下に、配線例を示します。A~Dいずれの組み合わせでも接続可能です。
A: 同一スロット、異なるポート同士(port1.1.1と2.1.13との接続)
B: 同一スロット、同一ポート同士(port1.1.5と2.1.5 との接続)
C: 異なるスロット、同一ポート同士(port1.1.9と2.4.9 との接続)
D: 異なるスロット、異なるポート同士(port1.1.13と2.8.1との接続)
ここでは、例として下の図のように、スイッチAのスタックポート1をスイッチBのスタックポート5に、スイッチBのスタックポート1をスイッチAのスタックポート5に接続します。
スタックを組む場合、スタックポート間に他の装置をはさまず、スタックポート同士を直接接続してください。
3台以上の構成の場合も同様で、たとえばスイッチA、B、Cの3台構成の場合は、スイッチAのスタックポート1をスイッチBのスタックポート2に、スイッチBのスタックポート1をスイッチCのスタックポート2に、スイッチCのスタックポート1をスイッチAのスタックポート2に接続します。
スタックリンクに冗長性を持たせ、耐障害性を高めるため、通常はスタックケーブルをリング状に接続することをおすすめします。これ以降の説明はすべて、リング状に接続していることを前提としています。
各スイッチのレジリエンシーリンク用ポート(eth0か任意のスイッチポート)同士をUTPケーブルで接続し、レジリエンシーリンクを形成します。
eth0をレジリエンシーリンクだけでなく、通常のマネージメントポートとしても利用したい場合は、eth0間にリピーターHUBをはさんでください。スイッチポートをレジリエンシーリンクに設定する場合は、該当スイッチポートはレジリエンシーリンク専用となり、他の用途には使用できません。なお、リピーターHUBとの接続方法については、リピーターHUBのマニュアルをご参照ください。また、以降の説明ではeth0同士をUTPケーブルで直結しているものと仮定しています。
以上でスタックメンバーの接続は完了です。
VCSグループの起動
スタックメンバーの接続が終わったら、いよいよVCSグループを起動します。これは以下の手順で行います。
各スイッチに同時に電源を入れます。
各メンバーは、起動後にメッセージを交換してマスターを選出し、必要に応じてIDの再割り当てを行います。これらが済むと、VCSグループの起動は完了です。これは、各スイッチの本体前面にあるステータスLEDまたは拡張モジュール上のLEDを見ることで確認できます。
■ ステータスLED
■ 100/1000/10GBASE-TポートLED (AT-XEM2-12XT)
LED
色
状態
表示内容
L/A
緑
点灯
10Gbpsでリンクが確立しています。
点滅
10Gbpsでパケットを送受信しています。
橙
点灯
100/1000Mbpsでリンクが確立しています。
点滅
100/1000Mbpsでパケットを送受信しています。
-
消灯
リンクが確立していません。
LED ON/OFFボタンがLED OFF、またはエコLED機能が有効に設定されています。
■ 100/1000/2.5G/5G/10GBASE-TポートLED (AT-XEM2-12XTm, AT-XEM2-8XSTm)
LED
色
状態
表示内容
L/A
緑
点灯
2.5/5/10Gbpsでリンクが確立しています。
点滅
2.5/5/10Gbpsでパケットを送受信しています。
橙
点灯
100/1000Mbpsでリンクが確立しています。
点滅
100/1000Mbpsでパケットを送受信しています。
-
消灯
リンクが確立していません。
LED ON/OFFボタンがLED OFF、またはエコLED機能が有効に設定されています。
■ SFP/SFP+スロットLED (AT-XEM2-12XS, AT-XEM2-12XS v2, AT-XEM2-8XSTm)
LED
色
状態
表示内容
L/A
緑
点灯
10Gbpsでリンクが確立しています。
点滅
10Gbpsでパケットを送受信しています。
橙
点灯
1000Mbpsでリンクが確立しています。
点滅
1000Mbpsでパケットを送受信しています。
-
消灯
リンクが確立していません。
LED ON/OFFボタンがLED OFF、またはエコLED機能が有効に設定されています。
■ QSFP+スロットLED (AT-XEM2-4QS)
LED
色
状態
表示内容
L/A
緑
点灯
リンクが確立しています。
点滅
パケットを送受信しています。
-
消灯
リンクが確立していません。
LED ON/OFFボタンがLED OFF、またはエコLED機能が有効に設定されています。
■ QSFP28スロットLED (AT-XEM2-1CQ)
LED
色
状態
表示内容
L/A
緑
点灯
リンクが確立しています。
点滅
パケットを送受信しています。
-
消灯
リンクが確立していません。
LED ON/OFFボタンがLED OFF、またはエコLED機能が有効に設定されています。
本製品は、専用のLED表示でマスターの確認はできませんが、LED ON/OFFボタンによってLED OFF(エコLED)に設定することで、ステータスLEDの横3セグメントに、マスターであれば上側のライン" ̄"、スレーブであれば下側のライン"_"が点灯します。
ステータスLEDの7セグメントLEDの表示、またはCLIコマンドによって各スイッチのスタックメンバーIDを確認できます。すべてのスイッチでIDの重複がないことを確認してください。
スタックポートとして使用している拡張モジュール上のL/A LEDは、各スタックポートのリンクステータスを表しています。すべてのスイッチで各スタックポートのLEDが点灯していることを確認してください。
LED表示に問題がなければVCSグループの起動は完了です。
VCSグループの初期設定
VCSグループが起動したら、その後の設定や運用がしやすいように、スタックメンバーIDやプライオリティーを調整します。また、運用ネットワークとVCS管理用VLAN/サブネットアドレスが重複しないことを確認し、必要なら管理用VLAN/サブネットアドレスを変更します。
たとえば、2台のスイッチでVCSグループを構成している場合、2台のスイッチを配置順にID=1、ID=2としておき、ID=1をマスターにするのがもっとも直感的で、ケーブルの接続時やポートの設定時にもわかりやすく便利です。
ここでは、例としてVCSグループ起動直後のID割り当てが次のようになったと仮定して、これを前記のようなわかりやすい構成に変更する手順を示します。
いずれかのスイッチにコンソールを接続してログインします。どちらのスイッチにコンソールを接続しても、表示されるのはマスター(VCSグループ)のコンソール画面となります。
enable コマンドを実行して、特権EXECモードに移行します。
awplus> enable ↓
awplus#
スタックメンバーIDを変更するため、次のコマンドを実行します。これによりスイッチAがID=1となり、スイッチBがID=2になります。stack renumber cascade コマンドを実行すると、新しいIDを有効にするため、各スイッチが自動的に再起動します。
awplus# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
awplus(config)# stack 2 renumber cascade ↓
Any existing interface configuration may no longer be valid
Are you sure you want to renumber and reboot the entire stack? (y/n): y ↓
VCSグループの再起動が完了したことを確認します。手順3の操作により、VCSグループのID割り当てと役割分担は次のようになるはずです。
次にスイッチAをマスターにするため、プライオリティーの変更を行います。
もう一度ログインしたら、hostname コマンドでVCSグループとしてのホスト名を設定し、VCSグループを識別しやすくします。
awplus> enable ↓
awplus# configure terminal ↓
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
awplus(config)# hostname vcg ↓
スイッチAをマスターにするため、スイッチAのプライオリティーを初期値の128より小さく設定します。ここでは例として64にします。これには、グローバルコンフィグモードのstack priority コマンドを使います。このコマンドでは対象メンバーをIDで指定するため、ここではスイッチAのIDである1を指定しています。
vcg(config)# stack 1 priority 64 ↓
VCSマスター障害発生時のマスター切り替えをスムーズに行うため、stack virtual-mac コマンドでバーチャルMACアドレス機能を有効化します。
また、stack virtual-chassis-id コマンドで、バーチャルMACアドレスの下位12ビットとして使用されるバーチャルシャーシIDを設定します。
vcg(config)# stack virtual-mac ↓
vcg(config)# stack virtual-chassis-id 127 ↓
同一ネットワーク上に複数のVCSグループが存在するときは、該当するVCSグループ間でバーチャルシャーシID(stack virtual-chassis-id )が重複しないよう注意して設定してください。バーチャルシャーシIDは、show stack コマンドをdetailオプション付きで実行したときに表示される「Virtual Chassis ID」欄で確認できます。
バーチャルMACアドレス機能は、stack enable コマンドでVCS機能を有効化すると自動的に有効化されます。stack virtual-mac コマンドをno形式で実行することにより無効化もできますが、VCS使用時は必ずバーチャルMACアドレス機能を有効にした状態で運用してください。無効状態での運用はサポート対象外となります。
VCS管理用VLANとサブネットアドレスの確認をし、必要に応じて変更します。運用ネットワークの設計資料を参照して、以下の2点を確認してください。
ここまでに行ったVCSグループに対する初期設定内容をshow running-config コマンドで確認した上でスタートアップコンフィグに保存し、reload コマンドかreboot コマンドでVCSグループを再起動します。
vcg(config)# end ↓
vcg# show running-config ↓
...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
vcg# copy running-config startup-config ↓
Building configuration...
[OK]
Synchronizing file across the stack, please wait..
File synchronization with stack member-1 successfully completed
[DONE]
vcg# reload ↓
Are you sure you want to reboot the whole stack? (y/n): y ↓
ステータスLEDや拡張モジュール上のLEDでVCSグループの再起動が完了したことを確認します。ここまでの操作により、VCSグループのID割り当てと役割分担は次のようになったはずです。
これでVCSグループとしての初期設定は完了です。
VCSグループの運用設定と運用開始
スタックメンバーの初期設定が完了したら、運用ネットワークのための設定に入ります。VCSグループを仮想的な1台のスイッチと見なして、通常どおりネットワークの設定を行ってください。設定が完了したら最後にレジリエンシーリンクを有効化し、設定を保存してください。
いずれかのスイッチにコンソールを接続してログインします。どちらのスイッチにコンソールを接続しても、表示されるのはマスター(VCSグループ)のコンソール画面となります。
ログインしたら、単独のスイッチを設定するときと同じようにネットワーク構成に応じたインターフェースやプロトコルの設定を行ってください。
設定コマンドでスイッチポート番号を指定するときは、「portX.Y.Z」の形式で指定します。
XはスタックメンバーID(1~8)です。
Yは拡張モジュールスロットの番号(1~8)です。
Zは本体のポート番号です。
ネットワークの設定が終わったら、レジリエンシーリンクを接続します。
カッパーポート、ダイレクトアタッチケーブルを使用する場合、レジリエンシーリンクを使用しない構成はサポート対象外ですので、運用に入る前に必ずこの設定を行ってください。
なお、ファイバースタックモジュールを使用する場合、レジリエンシーリンクの使用は任意ですが、使用するときは下記の手順にしたがって設定・接続してください。レジリエンシーリンクを使用しない場合、本手順は不要です。
設定内容を確認し、スタートアップコンフィグに保存します。
vcg(config)# end ↓
vcg# show running-config ↓
...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
vcg# copy running-config startup-config ↓
Building configuration...
[OK]
Synchronizing file across the stack, please wait..
File synchronization with stack member-2 successfully completed
[DONE]
vcg#
これで運用前の設定は完了です。各スイッチのポートを実ネットワークに接続し、運用を開始してください。VCSグループとしての動作状況は、スタンドアローン時にも使用する各種コマンドで確認できるほか、SNMPやログでも確認可能です。
また、LED ON/OFFボタンによってLED OFF(エコLED)に設定することで、ステータスLED(LED ON設定時にスタックメンバーIDが表示されている場所)の横3セグメントに、マスターであれば上側のライン" ̄"、スレーブであれば下側のライン"_"が点灯します。
ナビゲーション
■ VCS導入後の日常作業の基本手順については、第3部 運用編 をご覧ください。
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