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CentreCOM AR100 シリーズ コマンドリファレンス 2.3
インターフェース/概要・基本設定
対象機種:AR130、AR160
- インターフェースの階層構造
- インターフェース名
- 物理インターフェース
- Ethernetインターフェース
- BRIインターフェース
- 回線制御モジュール
- ISDNモジュール
- TDMモジュール
- データリンク層インターフェース
- Ethernetインターフェース
- PPPインターフェース
- ネットワーク層インターフェース
- IPインターフェース
ここでは、本製品が装備する物理インターフェースとその上に作成するデータリンク層インターフェース、ネットワーク層インターフェースの基本的な設定方法について解説します。物理インターフェースとデータリンク層インターフェースの間をとりもつ回線制御モジュールや、インターフェースの階層構造についても解説します。
ルーターの設定は、最下位に位置する物理インターフェースの上にさまざまな論理インターフェースを重ねていく形で行います。次に本製品のインターフェース階層図を示します。

最下層にあるインターフェースが、ルーター本体内蔵の物理インターフェース(ポート)です。本製品にはEthernet(ETH)とBRIの2種類があります。
その上にあるのが、物理インターフェースに接続されている回線を制御するソフトウェアモジュールです。Ethernetの場合は特に設定の必要がないため、明確な形では存在しません。BRIインターフェースでISDN網に接続するときは発信接続等を担当するISDNモジュールを、専用線に接続するときはタイムスロットの処理を行うTDMモジュールを使います。
回線制御モジュールの上位にくるのが、OSI参照モデルの第2層にあたるデータリンク層インターフェースモジュールです。本製品ではEthernetとPPPの2種類をサポートしています。この層では、単なるビット列をフレームと呼ばれる単位に組み立て、同一回線(データリンク)上での通信を制御します。Ethernetの場合は特に設定の必要はありません。PPPの場合は、CREATE PPPコマンドで明示的にインターフェースを作成します。このとき、下位インターフェースとして、回線制御モジュール(ISDNコールかTDMグループ)を指定します。
データリンク層の上には、第3層にあたるネットワーク層プロトコルのインターフェースモジュールが位置します。本製品がサポートするネットワーク層プロトコルはIP(Internet Protocol)のみです。IPインターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドを使って、データリンク層インターフェース上に追加(ADD)する形となります。
ここでは、インターフェースの名前付け規則について解説します。インターフェース名は、インターフェースの種類を示す略称(ETHなど)に、インターフェース番号(0、1、2)をつなげた形式で表します。
表 1:インターフェース名
種別略称 |
例 |
説明 |
物理インターフェース |
ETH |
eth0 |
Ethernetインターフェース(データリンク層と一体) |
BRI |
bri0 |
BRIインターフェース |
データリンク層(論理)インターフェース |
PPP |
ppp0 |
PPPインターフェース |
Ethernetインターフェースは物理層とデータリンク層が一体になっているため、物理インターフェース名とデータリンク層インターフェース名が同じになります。
これに対し、論理的なデータリンク層インターフェース(PPP)のインターフェース番号は、CREATE PPPコマンドで作成するときにユーザーが指定した番号になります。番号は有効範囲内で任意に選べますが、通例として0番から順に割り当てます。
本製品で使用可能な物理インターフェースは以下の2種類です。
- Ethernetインターフェース(eth)
- BRIインターフェース(bri)
物理インターフェースは、本製品と各種回線を接続するための接続口(ポート)です。ソフトウェア的に見ると、ポートを制御するドライバーなどを含んでおり、上位の回線制御モジュールやデータリンク層インターフェースにサービスを提供します。
Note
- 本製品は、このほかに非同期シリアルインターフェース(asyn)1ポートを装備していますが、同ポートはコンソール接続専用となっております。モデムなどを接続してのネットワーク接続はサポートしておりません。
以下、インターフェースの種類ごとに設定方法を説明します。
Ethernetインターフェースは、本製品をEthernet LAN(10BASE-T)に接続するためのインターフェースです。インターフェース名は「ETH0」となります。
Ethernetインターフェースを使用するにあたって、特に設定しなくてはならない項目はありません。Ethernetは物理層からデータリンク層(MAC副層)までをカバーする規格であるため、直接上位にIPインターフェースを作成することができます。eth0上にIPインターフェースを作成するには、次のようにします。
ADD IP INTERFACE=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ Ethernetインターフェース上で動作しているソフトウェアモジュール、プロトコル、フレームタイプ等を確認するには、SHOW ETH CONFIGURATIONコマンドを使います。
■ EthernetインターフェースのMACアドレスは、SHOW ETH MACADDRESSコマンドで確認できます。
■ Ethernetインターフェースで受信するよう設定されているMACアドレスの一覧は、SHOW ETH RECEIVEコマンドで確認できます。
■ Ethernetインターフェースに関する各種統計カウンターは、SHOW ETH COUNTERSコマンドで確認できます。
■ Ethernetインターフェースの統計カウンターは、RESET ETH COUNTERSコマンドでクリアできます。
■ Ethernetインターフェースのリンクステータスなどは、SHOW ETH STATEコマンドで確認できます。
■ Ethernetインターフェースをリセットするには、RESET ETHコマンドを使います。
BRI(Basic Rate Interface)インターフェースは、ITU-TがISDNのユーザー・網インターフェースとして定めたIインターフェースのうち、基本インターフェース(I.430)と呼ばれる規格に準拠したインターフェースです。BRIはWAN接続用のインターフェースで、ISDN網(INS64。2B+D)、専用線(64K、128K)との接続に使用できます。インターフェース名は「BRI0」となります。
BRIインターフェースには、ISDNと専用線(TDM)の2つの動作モードがあります。接続する回線に応じて動作モードを切り替えてください。動作モードの切り替えはSET BRIコマンドで行います。
■ 本製品のBRIインターフェースはご購入時の状態でISDNモードに設定されているため、BRIインターフェースをISDN網との接続に使用する場合、特別な設定は必要ありません。「ISDN」の章を参考に、接続先(ISDNコール)の設定に進んでください。
■ BRIインターフェースを専用線との接続に使用する場合は、SET BRIコマンドで常時起動のTDM(専用線)モードに切り替える必要があります。BRIインターフェース「0」を専用線モードに切り替えるには次のようにします。
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
Note
- BRIインターフェースをTDMモードに切り替えるときは、回線速度に関係なく、すべてのタイムスロットをTDMモードに設定してください。BRIインターフェースの場合は、例のように1〜2の全スロットをTDMモードに切り替えます。一部のスロットだけをTDMモードに変更すると、残りのスロットはISDNモードのままとなりますが、日本国内では同一回線上でISDNの回線交換と専用線接続を行えるサービスがありませんので、誤動作を避けるためにも専用線使用時はすべてのスロットをTDMモードに変更してください。
回線制御モジュールは、物理インターフェースに接続した物理回線の制御(発着信やタイムスロットの処理)を行うソフトウェアモジュールです。BRIインターフェースを使用するときは、データリンク層インターフェースを作成する前に回線制御モジュールの設定を行う必要があります。
回線制御モジュールには次の2種類があります。かっこ内はモジュールを使用する物理インターフェースの種類を示しています。
以下、それぞれのセットアップ方法について例を挙げながら簡単に説明します。なお、各回線制御モジュールについては、「ISDN」(ISDN)、「専用線」(TDM)の各章で解説していますので、詳細についてはそちらをご参照ください。
ISDNモジュールは、BRIインターフェースでISDN回線に接続するときに使用するモジュールです。信号チャンネル(Dチャンネル)を通じて発信・着信などの制御を行います。
■ ISDN回線を使用するときは、接続先情報を「ISDNコール」として定義する必要があります。ADD ISDN CALLコマンドで、接続先番号などを指定してください。どの物理インターフェースを使用するかは、INTREQパラメーターで指定します。詳しくは「ISDN」の章をご覧ください。
ADD ISDN CALL=remote NUMBER=0612342222 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0 ↓
SET ISDN CALL=remote OUTSUB=LOCAL SEARCHSUB=LOCAL ↓
この例では、06-1234-2222との接続をISDNコール「remote」として定義しています。作成したISDNコールは、データリンク層インターフェース(PPP)の作成時に下位インターフェースとして指定することができます。そのときは、ISDNコール名を「ISDN-」+「コール名」の形式で指定します(例:ISDN-remote)。
TDM(Time Division Multiplexing)モジュールは、BRIインターフェースでデジタル専用回線に接続するときに使用するモジュールです。使用するタイムスロットに応じてデータの組み立てや分解(時分割多重)を行います。
■ 専用線を使用するときは、物理インターフェース上で使用するタイムスロットを「TDMグループ」として定義します。使用するスロットは回線速度に応じて変わります。1スロットは64Kbpsなので、64Kbpsなら1スロットのみ、128Kbpsなら1-2スロットとなります。
64Kbps専用線の場合(BRI)
CREATE TDM GROUP=remote INT=bri0 SLOTS=1 ↓
128Kbps専用線の場合(BRI)
CREATE TDM GROUP=remote INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
作成したTDMグループは、データリンク層インターフェース(PPP)の作成時に下位インターフェースとして指定することができます。そのときは、TDMグループ名を「TDM-」+「グループ名」の形式で指定します(例:TDM-remote)。
なお、TDMグループを定義するときは、あらかじめBRIインターフェースの動作モードをTDMモードに変更しておく必要があります。モード変更はSET BRIコマンドで行います。詳細は「物理インターフェース」をご覧ください。
本製品で使用できるデータリンク層インターフェースは以下の2種類です。
- Ethernetインターフェース(eth)
- PPPインターフェース(ppp)
データリンク層インターフェースは、物理インターフェースの上に直接作成する場合と、物理インターフェース上にセットアップした回線制御モジュール上に作成する場合があります。以下、それぞれのセットアップ方法について、例を挙げながら簡単に説明します。PPPインターフェースの詳細な設定方法については「PPP」の章をご覧ください(Ethernetインターフェースは特に設定の必要がないため、単独の章はありません)。
Ethernetインターフェースは、物理層とデータリンク層が一体になっています。Ethernetインターフェースを使用するにあたって特別な設定は必要ありません。ネットワーク層インターフェースの設定時に、インターフェース名(eth0)を指定するだけで使用できます。
PPPインターフェースは、2点間のWAN接続に使用するデータリンク層インターフェースです。PPPインターフェースは、以下のインターフェース(物理インターフェースか回線制御モジュール)上に作成することができます。
- ISDNコール(ISDN接続)
- TDMグループ(専用線接続)
PPPインターフェースはCREATE PPPコマンドで作成します。下位のインターフェースは、OVERパラメーターで指定します。
■ ISDN上でPPPを使用するには、OVERパラメーターにISDNコール名を「ISDN-」+「コール名」の形式で指定します。ISDN回線では、通常「IDLE=ON」を指定してダイヤルオンデマンドを有効にします。
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-remote IDLE=ON ↓
■ BRIインターフェースによる専用線接続でPPPを使用するには、OVERパラメーターにTDMグループ名を「TDM-」+「グループ名」の形式で指定します。
CREATE PPP=0 OVER=TDM-remote ↓
■ 非同期コール(ACCコール)上でPPPを使用するには、OVERパラメーターにACCコール名を「ACC-」+「コール名」の形式で指定します。通常は「IDLE=ON」を指定してダイヤルオンデマンドを有効にします。
CREATE PPP=0 OVER=ACC-remote IDLE=ON ↓
本製品で使用できるネットワーク層インターフェースはIPのみです。
ネットワーク層インターフェースは、ルーターの基本機能であるルーティングのためのインターフェースです。本製品をルーターとして機能させるためには、IPルーティングモジュールを有効にし、IPインターフェースを2つ以上作成する必要があります。
ネットワーク層インターフェースは、データリンク層インターフェースの上に作成します。以下、セットアップ方法を簡単に説明します。IPプロトコルの詳細な設定方法については、「IP」の章をご覧ください
IPインターフェースは、IPパケットの送受信を行うためのインターフェースです。IPモジュールを有効にし、IPインターフェースを複数作成した時点でIPパケットの転送(ルーティング)が行われるようになります。
IPインターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドでデータリンク層インターフェースにIPアドレス(とネットマスク)を割り当てることによって作成します。詳細は「IP」の章をご覧ください。
作成したIPインターフェースは、データリンク層インターフェースと同じ名前で参照できます。たとえば、Ethernetインターフェース「0」上に作成したIPインターフェースを他のIP関連コマンドで指定するときは「eth0」とします。
■ IPモジュールを有効化するには、ENABLE IPコマンドを実行します。
■ EthernetインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ PPPインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ PPPインターフェースをUnnumberedで運用するには次のようにします。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
Copyright (C) 2001-2003 アライドテレシス株式会社
PN: J613-M2973-02 Rev.D