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CentreCOM AR260S V2 設定例集 3.3.3 #13

ダイナミックDNSを利用した動的IPアドレスを持ったルーター同士のIPsec VPN


PPPoEでインターネットに接続している2つの拠点をIPsec(ESP)トンネル(仮想トンネルインターフェース)で結ぶVPN構築例です。

両方の拠点が動的IPアドレスの割り当てを受けるため、対向機器のIPアドレスはDynDNSのダイナミックDNSサービスを利用して特定します。

Note - ダイナミックDNSサービスに障害が発生した場合、IPsec VPNの確立が行えない場合があります。信頼性が必要とされるネットワークでは、固定IPアドレス契約の利用をご検討ください。

インターネットサービスプロバイダー(ISP)からは、次の情報が提供されているものとします。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
ユーザーID(PPPユーザー名) user1@example user2@example
パスワード(PPPパスワード) password password
サービス名 指定なし 指定なし
グローバルIPアドレス 不定(動的取得) 不定(動的取得)


DynDNS (http://www.dyndns.com/)には、次の設定が完了しているものとします。

表 2
 
DynDNSのアカウント
アカウント名 userD
パスワード password
  ルーターA ルーターB
Hostname router1.dyndns.org router2.dyndns.org


各ルーターは、以下のように設定するものとします。

表 3
 
ルーターA
ルーターB
LAN側IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24
WAN側IPアドレス 自動取得(取得アドレスは不定) 自動取得(取得アドレスは不定)
VPN接続設定
キープアライブ 有効 (DPD) 有効 (DPD)
仮想トンネルインターフェース 有効 有効
インターフェース 新規作成 (tunnel0) 新規作成 (tunnel0)
フェーズ2ローカルID 192.168.10.0/24 192.168.20.0/24
フェーズ2リモートID 192.168.20.0/24 192.168.10.0/24
リモートゲートウェイ router2.dyndns.org router1.dyndns.org
IKE設定
交換モード アグレッシブ アグレッシブ
事前共有鍵 secret secret
暗号化認証アルゴリズム 3DES & SHA1-DH2 3DES & SHA1-DH2
フェーズ1ローカルID/フェーズ1リモートID router1.dyndns.org / router2.dyndns.org router2.dyndns.org / router1.dyndns.org
IPsec設定
暗号化認証アルゴリズム ESP 3DES HMAC SHA1 ESP 3DES HMAC SHA1
PFSグループ なし なし



本構成における設定のポイントは、次の通りです。


ルーターA(AR260S V2)の設定

  1. IPアドレスを自動取得するよう設定したPCを接続し、Webブラウザーを起動します。
    Webブラウザーから「http://192.168.1.1/」を開くとユーザー名、パスワードの入力を求められますのでユーザー名「manager」、パスワード「friend」を入力すると、次の画面が表示されます。


    次に、左側のメニューから[LAN]-[IP]を選択します。
    [IPアドレス]を192.168.10.1に変更して[適用]を押します。


    [適用]を押した後、IPアドレスを再取得するためにPCを再起動します。PCが起動完了したら、再度Webブラウザーを起動して「http://192.168.10.1/」を開きます。

  2. 左側のメニューから[LAN]-[DHCP]を選択します。
    [始点IPアドレス]を192.168.10.10に、[終点IPアドレス]を192.168.10.41に変更して[適用]を押します。


  3. 左側のメニューから[WAN]-[WAN]を選択します。
    [WAN設定]の[接続モード]に PPPoE を選択し、[デフォルトゲートウェイ]を pppoe0 とします。
    pppoe0の[ユーザー名][パスワード]に、ISPから提供された内容を入力して[適用]を押します。


    その他のパラメーターは、初期状態のままで問題ありません。

  4. 左側のメニューから[WAN]-[ダイナミックDNS]を選択します。
    [ダイナミックDNS設定]に、次の内容を設定します。

    表 4
    [登録するインターフェース] pppoe0
    [登録するFQDN] router1.dyndns.org
    [DynDNSのアカウント名] userD
    [DynDNSのパスワード] password


    設定が完了したら、[適用]を押します。


  5. 左側のメニューから[VPN]-[VPN接続]を選択します。
    [VPN接続設定]に、VPNポリシーとして次の内容を設定します。

    表 5
      [簡易設定]を選択
    [ポリシー名] vpn_ab
    [キープアライブ] 有効 
    [種別] DPD
    [仮想トンネルインターフェース] 有効
    [インターフェース] 新規作成
    [リモートゲートウェイ]-[種類] FQDN
    [FQDN] router2.dyndns.org
    [フェーズ2ID]-[ローカル] 192.168.10.0/24
    [フェーズ2ID]-[リモート] 192.168.20.0/24



    次に、[IKE設定]を設定します。

    表 6
    [IKE交換モード] アグレッシブ
    [事前共有鍵] secret
    [フェーズ1 ローカル ID]-[種類] FQDN
    [FQDN] router1.dyndns.org
    [フェーズ1 リモート ID]-[種類] FQDN
    [FQDN] router2.dyndns.org


    設定が完了したら、[追加]を押します。


    画面下部の[サイト間アクセスルール]にて、以下のルールが追加されているかご確認ください。

    表 7
    [ID] 1
    [ポリシー名] vpn_ab
    [ピアアドレス] router2.dyndns.org
    [トンネルインターフェース] tunnel0



  6. 左のメニューから[ルーティング]を選択し[スタティックルーティング設定]を行います。

    表 8
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.20.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [ゲートウェイ]-[インターフェース] tunnel0
    [優先度] 1(高、通常設定)



    設定が完了したら、[追加]を押します。

    IPsec SAが未確立時、IPsecパケットが平文のままインターネットに送出されることを回避するため、低い優先度のnull(破棄)ルートの設定を行います。

    表 9
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.20.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [ゲートウェイ]-[インターフェース] null(破棄)
    [優先度] 10(低)


    設定が完了したら、[追加]を押します。


    画面下部の[ルーティングテーブル]にて、以下のスタティックルートが追加されているかご確認ください。

    表 10
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.20.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [インターフェース] tunnel0
    [優先度] 1(高、通常設定)
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.20.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [インターフェース] null(破棄)
    [優先度] 10(低)



  7. 画面左上の[設定保存]を押します。
    設定保存ボタン下の「設定が保存されていません」という表示が消えれば設定完了です。

    設定は以上です。

Note - 本設定例では以下のIKEとIPsec設定を設定します。暗号化方式などを変更する必要がある場合は、<手順5>の[VPN接続設定]で[詳細設定]を選択してください。

表 11
IKE設定
暗号化認証アルゴリズム 3DES & SHA1-DH2
IPsec設定
暗号化認証アルゴリズム ESP 3DES HMAC SHA1
PFSグループ なし


ルーターB(AR260S V2)の設定

  1. IPアドレスを自動取得するよう設定したPCを接続し、Webブラウザーを起動します。
    Webブラウザーから「http://192.168.1.1/」を開くとユーザー名、パスワードの入力を求められますのでユーザー名「manager」、パスワード「friend」を入力すると、次の画面が表示されます。


    次に、左側のメニューから[LAN]-[IP]を選択します。
    [IPアドレス]を192.168.20.1に変更して[適用]を押します。


    [適用]を押した後、IPアドレスを再取得するためにPCを再起動します。PCが起動完了したら、再度Webブラウザーを起動して「http://192.168.20.1/」を開きます。

  2. 左側のメニューから[LAN]-[DHCP]を選択します。
    [始点IPアドレス]を192.168.20.10に、[終点IPアドレス]を192.168.20.41に変更して[適用]を押します。


  3. 左側のメニューから[WAN]-[WAN]を選択します。
    [WAN設定]の[接続モード]に PPPoE を選択し、[デフォルトゲートウェイ]を pppoe0 とします。
    pppoe0の[ユーザー名][パスワード]に、ISPから提供された内容を入力して[適用]を押します。


    その他のパラメーターは、初期状態のままで問題ありません。

  4. 左側のメニューから[WAN]-[ダイナミックDNS]を選択します。
    [ダイナミックDNS設定]に、次の内容を設定します。

    表 12
    [登録するインターフェース] pppoe0
    [登録するFQDN] router2.dyndns.org
    [DynDNSのアカウント名] userD
    [DynDNSのパスワード] password


    設定が完了したら、[適用]を押します。


  5. 左側のメニューから[VPN]-[VPN接続]を選択します。
    [VPN接続設定]に、VPNポリシーとして次の内容を設定します。

    表 13
    [簡易設定]を選択  
    [ポリシー名] vpn_ab
    [キープアライブ] 有効 
    [種別] DPD
    [仮想トンネルインターフェース] 有効
    [インターフェース] 新規作成
    [リモートゲートウェイ]-[種類] FQDN
    [FQDN] router1.dyndns.org
    [フェーズ2ID]-[ローカル] 192.168.20.0/24
    [フェーズ2ID]-[リモート] 192.168.10.0/24



    次に、[IKE設定]を設定します。

    表 14
    [IKE交換モード] アグレッシブ
    [事前共有鍵] secret
    [フェーズ1 ローカルID]-[種類] FQDN
    [FQDN] router2.dyndns.org
    [フェーズ1 リモートID]-[種類] FQDN
    [FQDN] router1.dyndns.org


    設定が完了したら、[追加]を押します。


    画面下部の[サイト間アクセスルール]にて、以下のルールが追加されているかご確認ください。

    表 15
    [ID] 1
    [ポリシー名] vpn_ab
    [ピアアドレス] router1.dyndns.org
    [トンネルインターフェース] tunnel0



  6. 左のメニューから[ルーティング]を選択し[スタティックルーティング設定]を行います。

    表 16
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [ゲートウェイ]-[インターフェース] tunnel0
    [優先度] 1(高、通常設定)


    設定が完了したら、[追加]を押します。


    IPsec SAが未確立時、IPsecパケットが平文のままインターネットに送出されることを回避するため、低い優先度のnull(破棄)ルートの設定を行います。

    表 17
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [ゲートウェイ]-[インターフェース] null(破棄)
    [優先度] 10(低)


    設定が完了したら、[追加]を押します。


    画面下部の[ルーティングテーブル]にて、以下のスタティックルートが追加されているかご確認ください。

    表 18
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [インターフェース] tunnel0
    [優先度] 1(高、通常設定)
    [宛先ネットワークアドレス] 192.168.10.0
    [宛先サブネットマスク] 255.255.255.0
    [インターフェース] null(破棄)
    [優先度] 10(低)



  7. 画面左上の[設定保存]を押します。
    設定保存ボタン下の「設定が保存されていません」という表示が消えれば設定完了です。
    設定は以上です。

Note - 本設定例では以下のIKEとIPsec設定を設定します。暗号化方式などを変更する必要がある場合は、<手順5>の[VPN接続設定]で[詳細設定]を選択してください。

表 19
IKE設定
暗号化認証アルゴリズム 3DES & SHA1-DH2
IPsec設定
暗号化認証アルゴリズム ESP 3DES HMAC SHA1
PFSグループ なし





CentreCOM AR260S V2 設定例集 3.3.3 #13

(C) 2008-2013 アライドテレシスホールディングス株式会社

PN: 613-000902 Rev.H

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