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CentreCOM AR410 V2 設定例集 2.6 #34
専用線によるインターネット接続(スタティックNAT)
専用線を使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。この例では、ISPから割り当てられたアドレスをルーターやホストに直接割り当てず、LAN側コンピューターはプライベートアドレスで運用します。クライアントはダイナミックENAT経由でインターネットにアクセスします。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、スタティックNATを使って特定のサーバーだけを外部に公開します。
専用線接続では、ISPからいくつか(8個、16個など)固定的にIPアドレスを割り当てられ、ユーザーのLANをISPのネットワークに直接接続する形になります。
表 1:ISPから提供された情報
WAN側インターフェース |
Unnumbered |
使用できるIPアドレス |
4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7) |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- LAN側はすべてプライベートアドレスで運用します。LAN側のクライアントがインターネットにアクセスできるよう、ダイナミックENATを使用します。ENAT用グローバルアドレスには4.4.4.1を使います。
- LAN側のサーバーにもプライベートアドレスを割り当てますが、外部からアクセスさせるため、スタティックNATを使って外からはグローバルアドレスを持っているように見せかけます。変換ルールは次のとおりとします。
- Webサーバー:192.168.10.2 → 4.4.4.2
- SMTPサーバー:192.168.10.3 → 4.4.4.3
- DNSサーバー:192.168.10.4 → 4.4.4.4
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
- 外部からのアクセスは基本的にすべて遮断しますが、スタティックNATで公開しているWebサーバー(4.4.4.2のTCP80番)、SMTPサーバー(4.4.4.3のTCP25番)、DNSサーバー(4.4.4.4のTCP、UDP53番)へのアクセスだけは特例として許可します。
以下、ルーターの基本設定についてまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
TDMグループ名 |
ISP |
回線速度 |
128Kbps |
WAN側物理インターフェース |
bri0 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
Unnumbered |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |

- BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
- bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「ISP」を作成します。
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
- PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISP」上に作成します。PPPリンクの状態を監視するLQRはオフにします。
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF ↓
- IPモジュールを有効にします。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumberedに設定します。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ファイアウォールで拒否したパケットをログに記録するよう設定します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE ↓
Note
- デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側インターフェース(vlan1)をPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- WAN側インターフェース(ppp0)をPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- スタティックNATによるサーバー公開設定を行います。
- Webサーバー(192.168.10.2)を、外部からは4.4.4.2であるかのように見せかけます。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.2 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.2 ↓
- SMTPサーバー(192.168.10.3)を、外部からは4.4.4.3であるかのように見せかけます。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.3 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.3 ↓
- DNSサーバー(192.168.10.4)を、外部からは4.4.4.4であるかのように見せかけます。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.4 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.4 ↓
- ダイナミックENATの設定を行います。LAN側のプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレス4.4.4.1に変換するよう設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1 ↓
- 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。
- Webサーバー(4.4.4.2のTCP80番)へのパケットは通過させます。スタティックNATを使用しているため、NAT後のグローバルアドレス(GBLIP、GBLPORT)とNAT前のプライベートアドレス(IP、PORT)の両方を指定します。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.2 GBLPORT=80 IP=192.168.10.2 PORT=80 ↓
- SMTPサーバー(4.4.4.3のTCP25番)へのパケットは通過させます。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.3 GBLPORT=25 IP=192.168.10.3 PORT=25 ↓
- DNSサーバー(4.4.4.4のTCP、UDP53番)へのパケットは通過させます。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ ISPからログイン名とパスワードを指定されている場合は、手順3の次に以下のコマンドを追加してください。ここでは、ログイン名として「ispuser」、パスワードとして「isppasswd」を設定しています。
SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd ↓
■ ISPがUnnumberedを使用しておらず、WAN側インターフェース(ppp0)にもIPアドレスを割り当ててきた場合は、手順6でppp0に該当するIPアドレスを設定します。
たとえば、ISPから12.34.56.78/30というアドレスを割り当てられた場合は、手順6の代わりに次のように設定します。
ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.252 ↓
■ ファイアウォール関連のログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ 現在の設定内容を表示するには、次のコマンドを使います。
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.2 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.2 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.3 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.3 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=vlan1 IP=192.168.10.4 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.4 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.2 GBLPORT=80 IP=192.168.10.2 PORT=80 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.3 GBLPORT=25 IP=192.168.10.3 PORT=25 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53 ↓
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CentreCOM AR410 V2 設定例集 2.6 #34
(C) 2002 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M3048-02 Rev.M
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