[index] CentreCOM AR415S コマンドリファレンス 2.9

インターフェース/概要・基本設定


  - インターフェースの階層構造
  - インターフェース名
  - 物理インターフェース
   - スイッチポート
    - QoS(IEEE 802.1p)
   - Ethernetインターフェース
   - BRIインターフェース
   - PRIインターフェース
  - 回線制御モジュール
   - ISDNモジュール
   - TDMモジュール
  - データリンク層インターフェース
   - VLANインターフェース
   - Ethernetインターフェース
   - PPPインターフェース
  - ネットワーク層インターフェース
   - IPインターフェース
   - IPv6インターフェース


ここでは、本製品が装備する物理インターフェースとその上に作成するデータリンク層インターフェース、ネットワーク層インターフェースの基本的な設定方法について解説します。物理インターフェースとデータリンク層インターフェースの間をとりもつ回線制御モジュールや、インターフェースの階層構造についても解説します。

 

インターフェースの階層構造

ルーターの設定は、最下位に位置する物理インターフェースの上にさまざまな論理インターフェースを重ねていく形で行います。次に本製品のインターフェース階層図を示します。


最下層にあるインターフェースが、本体内蔵あるいはPIC(Port Interface Card)モジュールの形で提供される物理インターフェース(ポート)です。本製品では、LAN側スイッチポート(PORT)、WAN側Ethernetポート(ETH)、BRI、PRIの4種類があります。

その上にあるのが、物理インターフェースに接続されている回線を制御するソフトウェアモジュールです。スイッチポート、Ethernetの場合は特に設定の必要がないため、明確な形では存在しません。BRI、PRIインターフェースでISDN網に接続するときは発信接続等を担当するISDNモジュールを、専用線に接続するときはタイムスロットの処理を行うTDMモジュールを使います。また、トンネリングプロトコルL2TPを使う場合は、L2TPモジュールが仮想的な呼の発着信を制御します。ここまでがOSI参照モデルでの物理層に相当すると考えられます。

Note - 図中の「L2TP」は、IPネットワーク上に仮想的な回線を構築するVPN(Virtual Private Network)用のトンネリングプロトコルです。詳細は「L2TP」の章をご覧ください。

回線制御モジュールの上位にくるのが、OSI参照モデルの第2層にあたるデータリンク層インターフェースモジュールです。本製品ではVLAN、Ethernet、PPPの3種類をサポートしています。この層では、単なるビット列をフレームと呼ばれる単位に組み立て、同一回線(データリンク)上での通信を制御します。Ethernetインターフェースは物理層とデータリンク層が一体となっているため、特に設定の必要はありません。LAN側スイッチポートは、ご購入時の状態で全ポートがvlan1(VLAN default)に所属していますが、VLANを追加作成することによって任意のグループに分割することができます。VLANの設定は、CREATE VLANコマンド、ADD VLAN PORTコマンドで行います。PPPの場合は、CREATE PPPコマンドで明示的にインターフェースを作成します。このとき、下位インターフェースとして、回線制御モジュールか物理インターフェースを指定します。

データリンク層の上には、第3層にあたるネットワーク層プロトコルのインターフェースモジュールが位置します。本製品ではIP(IPv4)をサポートしています。ネットワーク層インターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドを使って、データリンク層インターフェース上に追加(ADD)する形となります。

 

インターフェース名

ここでは、インターフェースの名前付け規則について解説します。

インターフェース名は、インターフェースの種類を示す略称(ETH、BRIなど)に、インターフェース番号(0、1、2)またはVLAN ID(VID)をつなげた形式で表します。種類を示す略称は次のとおりです。

表 1:インターフェース名
種別略称
説明
物理インターフェース
PORT port1 LAN側スイッチポート(1〜)
ETH eth0 Ethernetインターフェース(データリンク層と一体)
BRI bri0 BRIインターフェース
PRI pri0 PRIインターフェース
データリンク層(論理)インターフェース
PPP ppp0 PPPインターフェース
VLAN vlan1 VLANインターフェース(数字はVLAN ID)
ETH eth0 Ethernetインターフェース(物理層と一体)


物理インターフェースの番号は固定です。本製品は以下の物理インターフェースを備えています。


また、PICベイには以下のどちらかを装着できます。


データリンク層インターフェースの番号は、Ethernetは物理インターフェースの番号と同じですが、PPP、VLANの場合は、CREATE PPPコマンド、CREATE VLANコマンドで作成するときにユーザーが指定した番号になります。PPPの場合は0〜511、VLANの場合は2〜4094(VID(VLAN ID)。VID=1はVLAN defaultが予約済み)から選択できます。

Note - ご購入時の状態では、「default」という名前のVLAN(VID=1)が定義されており、すべてのスイッチポートがこのVLANに所属しています。VLANを複数必要としない限り、VLANの設定を意識する必要はありません。

Note - LAN側に対してIPアドレスなどを設定するときは、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。

 

物理インターフェース

本製品で使用可能な物理インターフェースは以下の4種類です。


物理インターフェースは、本製品と各種回線を接続するための接続口(ポート)です。ソフトウェア的には、ポートを制御するドライバーなどを含んでおり、上位の回線制御モジュールやデータリンク層インターフェースにサービスを提供します。

Note - 本製品は、このほかに非同期シリアルインターフェース(asyn)1ポートを装備していますが、同ポートはコンソール接続専用となっております。モデムなどを接続してのネットワーク接続はサポートしておりません。

以下、インターフェースの種類ごとに設定方法を説明します。

 

スイッチポート

本製品のLAN側は4ポートの10/100M Ethernetスイッチになっており、複数のコンピューターを接続することができます。これらのポートは、port1〜port4(数字はポート番号)という名前で表します。

LAN側スイッチはポートVLANとタグVLAN(802.1Q)をサポートしているため、設定により任意のグループ分けが可能です。

ご購入時の状態では、すべてのスイッチポートが「default」という名のVLAN(vlan1)に所属しているため、複数のVLANを必要としないのであれば、特にVLANの設定を意識する必要はありません。デフォルト状態のまま、LAN側スイッチ全体を「vlan1」という名前のデータリンク層インターフェースとして扱うことができます。

VLANを複数作成する場合は、CREATE VLANコマンドでVLANを作成し、ADD VLAN PORTコマンドでVLANにポートを割り当てます。詳しくはこの章の「VLANインターフェース」および「VLAN」の章をご覧ください。

Note - LAN側に対する上位層の設定(IPアドレスの割り当てなど)は、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。詳しくは「VLAN」の章をご覧ください。

■ スイッチポートはデフォルトでオートネゴシエーションが有効に設定されています。個々のポートの通信モード(通信速度とデュプレックスモード)を変更するには、SET SWITCH PORTコマンドを使います。


■ LAN側スイッチの情報(MACアドレスなど)は、SHOW SWITCHコマンドで確認できます。


■ LAN側スイッチの各種統計カウンターは、SHOW SWITCH COUNTERコマンドで確認できます。


■ スイッチポートの情報は、SHOW SWITCH PORTコマンドで確認できます。


 

QoS(IEEE 802.1p)

本製品のLAN側スイッチは、VLANタグ内にあるユーザープライオリティーフィールド(802.1p)の値にしたがって、スイッチポートからフレームを送信するときの優先順位を制御できます。

LAN側スイッチポートは、それぞれ4レベル(0〜3。3が優先度最高)の送信キューを備えています。フレームは相対的に最も優先度の高いキューからのみ送信されるようになっているため、たとえば、キュー3とキュー2にフレームが格納されている場合、キュー3が空になるまでキュー2内のフレームは送信されません。

フレームがどのキューに格納されるかは、ユーザープライオリティー(0〜7)と送信キュー(0〜3)のマッピング設定によって決まります。デフォルトのマッピングは次のとおりです。送信キューは、3が優先度最高、0が優先度最低です。

表 2
プライオリティー
送信キュー
0 1
1 0
2 0
3 1
4 2
5 2
6 3
7 3


Note - QoS(802.1p)は、スイッチポートから出力されるフレームで、なおかつ、同一VLAN内でスイッチングされたフレームにだけ適用されます。本製品自身が送信するフレーム、および、本製品によってルーティングされたパケット(を運ぶフレーム)は、一律ユーザープライオリティー0として扱われます。

Note - VLANタグが付加されていないフレーム(タグなしフレーム)は、一律ユーザープライオリティー0として扱われます。

Note - QoS(802.1p)は、LAN側スイッチポートでのみ使用できます。WAN側Ethernetインターフェースでは使用できません。WAN側EthernetからVLANにルーティングされたフレームは、すべてユーザープライオリティー0として扱われます。また、VLANからEthernetにルーティングされたフレームに対しては、優先制御の対象になりません(スイッチポートから出力されるのではないため)。

■ ユーザープライオリティーと送信キューのマッピングを変更するには、SET SWITCH QOSコマンドを使います。たとえば、次の表のようなマッピングにするには、次のコマンドを実行します。


表 3
プライオリティー
送信キュー
0 0
1 0
2 0
3 1
4 1
5 2
6 2
7 3


■ ユーザープライオリティーと送信キューのマッピングを確認するには、SHOW SWITCH QOSコマンドを使います。


 

Ethernetインターフェース

Ethernetインターフェースは、本製品をEthernet LAN(100BASE-TX、10BASE-T)に接続するためのインターフェースです。本製品はEthernetインターフェースを1つ備えており、「eth0」という名称を持っています。

Ethernetインターフェースを使用するにあたって、特に設定しなくてはならない項目はありません。Ethernetは物理層からデータリンク層(MAC副層)までをカバーする規格であるため、直接上位にレイヤー3インターフェース(IP、IPv6)を作成することができます。たとえば、eth0上にIPインターフェースを作成するには、次のようにします。


また、Ethernetインターフェースは、LANとの接続だけでなく、PPPoE(PPP over Ethernet, RFC2516)によるWAN接続にも使用できます。PPPoEはEthernet上でPPP(Point-to-Point Protocol, RFC1661)を使用するためのプロトコルで、xDSLなどのブロードバンドサービスで広く使用されています。

PPPoEインターフェースを作成する場合も、Ethernetインターフェースに対して特別な設定は必要ありません。CREATE PPPコマンドでPPPインターフェースを作成するときに、OVERパラメーターに「Ethernetインターフェース名」+ハイフン(-)+「PPPoEサービス名」を指定してください。ISPからPPPoEサービス名が指定されていない場合は、キーワードANYか任意の文字列を指定できます。たとえば、eth0上にPPPoEインターフェースを作成する場合、サービス名が「fuga」ならば「OVER=eth0-fuga」のように指定します。サービス名の指定がない場合は「OVER=eth0-any」とするか、任意の文字列を指定します。


■ Ethernetインターフェースはデフォルトでオートネゴシエーションが有効に設定されています。Ethernetインターフェースの通信モード(通信速度とデュプレックスモード)を変更するには、SET ETHコマンドを使います。


Note - オートネゴシエーション有効時、EthernetインターフェースではMDI/MDI-X自動認識が有効です。固定設定(AUTONEGOTIATE以外)にした場合はMDI固定になります。

■ Ethernetインターフェース上で動作しているソフトウェアモジュール、プロトコル、フレームタイプ等を確認するには、SHOW ETH CONFIGURATIONコマンドを使います。


■ EthernetインターフェースのMACアドレスは、SHOW ETH MACADDRESSコマンドで確認できます。


■ Ethernetインターフェースで受信するよう設定されているMACアドレスの一覧は、SHOW ETH RECEIVEコマンドで確認できます。


■ Ethernetインターフェースに関する各種統計カウンターは、SHOW ETH COUNTERSコマンドで確認できます。


■ Ethernetインターフェースの統計カウンターは、RESET ETH COUNTERSコマンドでクリアできます。


■ Ethernetインターフェースのリンクステータス、速度、デュプレックスモードは、SHOW ETH STATEコマンドで確認できます。


■ Ethernetインターフェースをリセットするには、RESET ETHコマンドを使います。


 

BRIインターフェース

BRI(Basic Rate Interface)インターフェースは、ITU-TがISDNのユーザー・網インターフェースとして定めたIインターフェースのうち、基本インターフェース(I.430)と呼ばれる規格に準拠したインターフェースです。BRIはWAN接続用のインターフェースで、ISDN網(INS64。2B+D)、専用線(64K、128K)との接続に使用できます。インターフェース名は「BRIn」の形式で表します。

BRIインターフェースには、ISDNと専用線(TDM)の2つの動作モードがあります。接続する回線に応じて動作モードを切り替えてください。動作モードの切り替えはSET BRIコマンドで行います。

■ 本製品のBRIインターフェースはご購入時の状態でISDNモードに設定されているため、BRIインターフェースをISDN網との接続に使用する場合、特別な設定は必要ありません。接続先(ISDNコール)の設定に進んでください(詳細は「ISDN」の章をご覧ください)。

■ BRIインターフェースを専用線との接続に使用する場合は、SET BRIコマンドで常時起動のTDM(専用線)モードに切り替える必要があります。BRIインターフェース「0」を専用線モードに切り替えるには次のようにします。


Note - BRIインターフェースをTDMモードに切り替えるときは、回線速度に関係なく、すべてのタイムスロットをTDMモードに設定してください。BRIインターフェースの場合は、例のように1〜2の全スロットをTDMモードに切り替えます。一部のスロットだけをTDMモードに変更すると、残りのスロットはISDNモードのままとなりますが、日本国内では同一回線上でISDNの回線交換と専用線接続を行えるサービスがありませんので、誤動作を避けるためにも専用線使用時はすべてのスロットをTDMモードに変更してください。


 

PRIインターフェース

PRI(Primary Rate Interface)インターフェースは、ITU-TがISDNのユーザー・網インターフェースとして定めたIインターフェースのうち、一次群インターフェース(I.431)と呼ばれる規格に準拠したインターフェースです。PRIはWAN接続用のインターフェースで、ISDN網(INS1500。23B+D)、専用線(192K〜1.5M)との接続に使用できます。インターフェース名は「PRIn」の形式で表します。

PRIインターフェースには、ISDNと専用線(TDM)の2つの動作モードがあります。接続する回線に応じて動作モードを切り替えてください。動作モードの切り替えはSET PRIコマンドで行います。

■ 本製品のPRIインターフェースはご購入時の状態でISDNモードに設定されているため、PRIインターフェースをISDN網との接続に使用する場合、特別な設定は必要ありません。接続先(ISDNコール)の設定に進んでください(詳細は「ISDN」の章をご覧ください)。

■ PRIインターフェースを専用線との接続に使用する場合は、SET PRIコマンドでTDM(専用線)モードに切り替える必要があります。PRIインターフェース「0」を専用線モードに切り替えるには次のようにします。


Note - PRIインターフェースをTDMモードに切り替えるときは、回線速度に関係なく、すべてのタイムスロットをTDMモードに設定してください。PRIインターフェースの場合は、例のように1〜24の全スロットをTDMモードに切り替えます。一部のスロットだけをTDMモードに変更すると、残りのスロットはISDNモードのままとなりますが、日本国内では同一回線上でISDNの回線交換と専用線接続を行えるサービスがありませんので、誤動作を避けるためにも専用線使用時はすべてのスロットをTDMモードに変更してください。

 

回線制御モジュール

回線制御モジュールは、物理インターフェースに接続した物理回線の制御(発着信やタイムスロットの処理)を行うソフトウェアモジュールです。BRI、PRIの各インターフェースを使用するときは、データリンク層インターフェースを作成する前に回線制御モジュールの設定を行う必要があります。

回線制御モジュールには次の2種類があります。かっこ内はモジュールを使用する物理インターフェースの種類を示しています。


以下、それぞれのセットアップ方法について例を挙げながら簡単に説明します。なお、ISDNモジュールについては「ISDN」を、TDMモジュールについては「専用線」の章をご覧ください。

 

ISDNモジュール

ISDNモジュールは、BRI、PRIインターフェースでISDN回線に接続するときに使用するモジュールです。信号チャンネル(Dチャンネル)を通じて発信・着信などの制御を行います。

■ ISDN回線を使用するときは、接続先情報を「ISDNコール」として定義する必要があります。ADD ISDN CALLコマンドで、接続先番号などを指定してください。どの物理インターフェースを使用するかは、INTREQパラメーターで指定します。詳しくは「ISDN」の章をご覧ください。


この例では、06-1234-2222との接続をISDNコール「remote」として定義しています。作成したISDNコールは、データリンク層インターフェース(PPP)の作成時に下位インターフェースとして指定することができます。そのときは、ISDNコール名を「ISDN-」+「コール名」の形式で指定します(例:ISDN-remote)。

 

TDMモジュール

TDM(Time Division Multiplexing)モジュールは、BRI、PRIインターフェースでデジタル専用回線に接続するときに使用するモジュールです。使用するタイムスロットに応じてデータの組み立てや分解(時分割多重)を行います。

■ 専用線を使用するときは、物理インターフェース上で使用するタイムスロットを「TDMグループ」として定義します。使用するスロットは回線速度に応じて変わります。1スロットは64Kbpsなので、64Kbpsなら1スロットのみ、128Kbpsなら1-2スロットとなります。

64Kbps専用線の場合(BRI)


128Kbps専用線の場合(BRI)


512Kbps専用線の場合(PRI)


1.5Mbps専用線の場合(PRI)


作成したTDMグループは、データリンク層インターフェース(PPP、FR)の作成時に下位インターフェースとして指定することができます。そのときは、TDMグループ名を「TDM-」+「グループ名」の形式で指定します(例:TDM-remote)。

なお、TDMグループを定義するときは、あらかじめBRI、PRIインターフェースの動作モードをTDMモードに変更しておく必要があります。モード変更はSET BRIコマンド、SET PRIコマンドで行います。詳細は「物理インターフェース」をご覧ください。

 

データリンク層インターフェース

本製品で使用できるデータリンク層インターフェースは以下の3種類です。


データリンク層インターフェースは、物理インターフェースの上に直接作成する場合と、物理インターフェース上にセットアップした回線制御モジュール上に作成する場合があります。以下、それぞれのセットアップ方法について、例を挙げながら簡単に説明します。PPPインターフェースの詳細な設定方法については「PPP」の章を、VLANインターフェースの設定方法については「VLAN」の章をご覧ください(Ethernetインターフェースは特に設定の必要がないため、単独の章はありません)。

 

VLANインターフェース

VLANインターフェースは、LAN側スイッチポートを束ねたデータリンク層インターフェースです。本製品は、設定により、LAN側スイッチポートを任意のグループに分割できます。VLANの種類としては、ポートVLANとタグVLAN(802.1Q)をサポートしています。

Note - LAN側に対する上位層の設定(IPアドレスの割り当てなど)は、個々のスイッチポートではなく、スイッチポートを束ねたVLANインターフェースに対して行います。

ご購入時の状態では、「default」という名前のVLAN(VID=1)が定義されており、すべてのスイッチポートがこのVLANに所属しています。VLANを複数必要としない限り、VLANの設定を意識する必要はありません。この場合、LAN側スイッチ全体を「vlan1」という名前のデータリンク層インターフェースとして扱うことができます。

VLANを複数作成する場合は、CREATE VLANコマンドでVLANを作成し、ADD VLAN PORTコマンドでVLANにポートを割り当てます。

■ VLANを作成するには、CREATE VLANコマンドを使います。VLAN作成時には、VLAN名とVID(VLAN ID)の指定が必要です。


■ VLANにポートを割り当てるには、ADD VLAN PORTコマンドを使います。


■ VLANの情報を確認するには、SHOW VLANコマンドを使います。


■ 上位層の設定でVLANインターフェースを指定するときは、2とおりの方法があります。IPやIPv6のコマンドでVLANインターフェースを指定するときは、どちらの方法を使ってもかまいません。


■ VLANインターフェースは、Ethernetインターフェースとほぼ同等のデータリンク層インターフェースとして使用できます。たとえば、vlan10(white)上にIPインターフェースを作成するには、次のようにします。


VLAN名を使って次のように書くこともできます。


より詳しくは「VLAN」の章をご参照ください。

 

Ethernetインターフェース

Ethernetインターフェースは、物理層とデータリンク層が一体になっています。Ethernetインターフェースを使用するにあたって特別な設定は必要ありません。ネットワーク層インターフェースの設定時に、インターフェース名(eth0)を指定するだけで使用できます。

 

PPPインターフェース

PPPインターフェースは、2点間のWAN接続に使用するデータリンク層インターフェースです。PPPインターフェースは、以下のインターフェース(物理インターフェースか回線制御モジュール)上に作成することができます。


また、トンネリングプロトコルL2TPを使用すると、IPネットワーク上に仮想的な回線(L2TPコール)を構築し、その上にPPPインターフェースを作成することもできます。これについては、「L2TP」の章をご覧ください。

PPPインターフェースはCREATE PPPコマンドで作成します。下位のインターフェースは、OVERパラメーターで指定します。

■ ISDN上でPPPを使用するには、OVERパラメーターにISDNコール名を「ISDN-」+「コール名」の形式で指定します。ISDN回線では、通常「IDLE=ON」を指定してダイヤルオンデマンドを有効にします。


■ BRI、PRIインターフェースによる専用線接続でPPPを使用するには、OVERパラメーターにTDMグループ名を「TDM-」+「グループ名」の形式で指定します。


■ Ethernet上でPPP(PPPoE)を使用するには、OVERパラメーターに「Ethernetインターフェース名」+ハイフン(-)+「PPPoEサービス名」を指定します。ISPからPPPoEサービス名が指定されていない場合は、すべてのサービスを意味するキーワード「any」か任意の文字列を指定します。


必要なときだけ接続するようにするには、「IDLE=ON」を指定してオンデマンド接続を有効にします。



 

ネットワーク層インターフェース

本製品で使用できるネットワーク層インターフェースは以下の2種類です。


ネットワーク層インターフェースは、ルーターの基本機能であるルーティングのためのインターフェースです。本製品をルーターとして機能させるためには、使用するルーティングモジュール(IP、IPv6)を有効にし、ネットワーク層インターフェースを2つ以上作成する必要があります。

ネットワーク層インターフェースは、データリンク層インターフェースの上に作成します。以下、プロトコルごとにセットアップ方法を簡単に説明します。なお、IPの詳細詳細については「IP」を、IPv6の詳細設定については「IPv6」の章をご覧ください。

 

IPインターフェース

IPインターフェースは、IPパケットの送受信を行うためのインターフェースです。IPモジュールを有効にし、IPインターフェースを複数作成した時点でIPパケットの転送(ルーティング)が行われるようになります。

IPインターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドでデータリンク層インターフェースにIPアドレス(とネットマスク)を割り当てることによって作成します。詳細は「IP」の章をご覧ください。

作成したIPインターフェースは、データリンク層インターフェースと同じ名前で参照できます。たとえば、Ethernetインターフェース「0」上に作成したIPインターフェースを他のIP関連コマンドで指定するときは「eth0」とします。

■ IPモジュールを有効化するには、ENABLE IPコマンドを実行します。


■ VLANインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。


■ EthernetインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。


■ PPPインターフェースにIPアドレスを設定するには次のようにします。



 

IPv6インターフェース

IPv6インターフェースは、IPv6パケットの送受信を行うためのインターフェースです。IPv6モジュールを有効にし、IPv6インターフェースを複数作成した時点でIPv6パケットの転送(ルーティング)が行われるようになります。

IPv6インターフェースは、ADD IPV6 INTERFACEコマンドでデータリンク層インターフェースにIPv6アドレスとプレフィックス長を割り当てることによって作成します。詳細は「IPv6」の章をご覧ください。

作成したIPv6インターフェースは、データリンク層インターフェースと同じ名前で参照できます。たとえば、Ethernetインターフェース「0」上に作成したIPv6インターフェースを他のIPv6関連コマンドで指定するときは「eth0」とします。

■ IPv6モジュールを有効化するには、ENABLE IPV6コマンドを実行します。


■ VLANインターフェースにIPv6アドレスを設定するには次のようにします。


■ EthernetインターフェースにIPv6アドレスを設定するには次のようにします。


■ インターフェース上でプレフィックス通知を行う場合は、次のように「PUBLISH=YES」を付け、さらにENABLE IPV6 ADVERTISEコマンドを実行します。


■ PPPインターフェースにIPV6アドレスを設定するには次のようにします。


■ リンクローカルアドレスのみを自動設定で割り当てる場合は、CREATE IPV6 INTERFACEコマンドを使います。






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