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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #120

トンネリングによるIPv6インターネット接続(専用線環境)


IPv6 over IPv4トンネリングによってIPv6インターネットに接続します。この例では、インターネットサービスプロバイダー(ISP)と専用線でIPv4接続していることを前提に、ISPが提供するIPv6トンネル接続サービスを利用してグローバルIPv6ネットワークに接続します。IPv4ではファイアウォールを使ってDMZ構成をとり、IPv6ではIPv6フィルターを使って外部からのアクセスを制御します。

IPv6 over IPv4トンネリングではIPv4を利用してIPv6の接続性を得るため、最初にIPv4の設定が必要になります。本例では、専用線を使ってISPとLAN型接続します。

IPv4は、次のような方針で設定を行います。


IPv4までの基本設定を次にまとめます。

表 2:ルーターの基本設定
TDMグループ名 ISP
回線速度 128Kbps
WAN側物理インターフェース bri0
WAN側(ppp0)IPアドレス Unnumbered
グローバルLAN側(eth0)IPアドレス 4.4.4.1/29
プライベートLAN側(vlan1)IPアドレス 192.168.10.1/24


次にIPv6の設定を行います。


IPv6の基本設定を次にまとめます。

表 4:ルーターのIPv6基本設定
WAN側インターフェース virt0(トンネル)
WAN側(virt0)IPv6アドレス リンクローカルアドレスのみ
グローバルLAN側(eth0)IPv6アドレス 3ffe:1:1:1::1/64
プライベートLAN側(vlan1)IPv6アドレス 3ffe:1:1:2::1/64




ルーターの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対し、TDMグループ「ISP」を作成します。


  3. PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISP」上に作成します。LQRはオフにします。


  4. IPモジュールを有効にします。


  5. サーバー用LAN側(eth0)インターフェースには、ISPから割り当てられたグローバルアドレスの先頭アドレス(4.4.4.1)を設定します。アドレスを8個や16個といった単位で割り当てられる場合は、ネットマスクが変則的になるので注意してください。


  6. クライアント用LAN側(vlan1)にはプライベートIPアドレスを割り当てます。


  7. WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumbered(0.0.0.0)に設定します。


  8. デフォルトルートを設定します。


  9. ファイアウォール機能を有効にします。


  10. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  11. ファイアウォールで拒否したパケットをログに記録するよう設定します。


  12. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  13. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  14. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  15. ダイナミックENATの設定を行います。クライアントLAN(vlan1)側のプライベートIPアドレスを、サーバーLAN(eth0)側インターフェースに設定したグローバルIPアドレス4.4.4.1に変換するよう設定します。


  16. 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。


  17. ここからがIPv6の設定です。最初に、ISP側終端点(1.2.3.4)からルーター(4.4.4.1)に宛たIPv6トンネリングパケット(IPプロトコル番号41)を通過させるファイアウォールルールを追加します。


  18. IPv6モジュールを有効にします。


  19. サーバー用LAN側(eth0)インターフェースにIPv6アドレス3ffe:1:1:1::1/64を設定します。「PUBLISH=YES」は、LAN上にプレフィックスなどを通知するよう指示するものです。


  20. クライアント用LAN側(vlan1)インターフェースにIPv6アドレス3ffe:1:1:2::1/64を設定します。「PUBLISH=YES」は、LAN上にプレフィックスなどを通知するよう指示するものです。IPv6対応クライアントホストは、ルーターから通知を受けることにより、自身のアドレスとデフォルトゲートウェイを自動設定できます。


  21. ルーター通知(RA)を有効にします。これにより、「PUBLISH=YES」と指定されたインターフェースでプレフィックスなどの通知を行うようになります。


  22. ISPとの間にIPv6 over IPv4トンネルを作成します。LOCALにはルーター側終端IPv4アドレス、TARGETにはISP側の終端IPv4アドレスを指定します。本コマンドを実行することにより、仮想的なIPv6インターフェース(virt0)が作成され、リンクローカルアドレスが自動設定されます。IPv6的にはvirt0が外部(WAN側)インターフェースとなります。


  23. IPv6のデフォルトルートをトンネルインターフェース(virt0)側に向けて設定します。


  24. 外部からのIPv6トラフィックを制限するため、IPv6フィルターの設定を行います。最初に、トンネルインターフェース(virt0)に適用するIPv6フィルター「1」を作成します。


  25. IPv6フィルター「1」をトンネルインターフェース(virt0)に適用します。


  26. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ

■ IPv6インターフェースの情報はSHOW IPV6 INTERFACEコマンドで確認できます。


■ IPv6トンネルの情報はSHOW IPV6 TUNNELコマンドで確認できます。


■ IPv6フィルターには、条件を指定するさまざまなパラメーターがあります。詳しくはコマンドリファレンスをご覧ください。

■ IPv6フィルターはパラメーターが多いため、コマンドラインが長くなりがちです。コマンドラインの入力文字数制限によりコマンドを入力できない場合は、省略形を使ったり、コマンドを複数行に分けるなどして対処してください。

■ IPv6フィルターの設定状況を確認するには次のコマンドを使います。


■ どのIPv6インターフェースにどのソフトウェアIPフィルターが適用されているかを確認するには、次のコマンドを使います。


■ IPv6インターフェースからIPv6フィルターを削除するには、SET IPV6 INTERFACEコマンドのFILTERパラメーターにNONEを指定します。IPv6インターフェースvirt0からIPv6フィルターの適用を取り消すには、次のようにします。


■ ファイアウォール関連のログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。


■ 現在の設定内容を表示するには、次のコマンドを使います。

まとめ

ルーターのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.248
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=80
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.3 PORT=25
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=53
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP IP=4.4.4.4 PORT=53
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=5 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=41 IP=4.4.4.1 GBLIP=4.4.4.1 REMOTEIP=1.2.3.4
ENABLE IPV6
ADD IPV6 INT=eth0 IP=3ffe:1:1:1::1/64 PUBLISH=YES
ADD IPV6 INT=vlan1 IP=3ffe:1:1:2::1/64 PUBLISH=YES
ENABLE IPV6 ADVERTISE
ADD IPV6 TUNNEL LOCAL=4.4.4.1 TARGET=1.2.3.4
ADD IPV6 ROUTE=::/0 INT=virt0 NEXT=::
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=1 DEST=3ffe:1:1::/48 PROTO=TCP SESS=ESTABLISHED
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=2 DEST=3ffe:1:1::/48 PROTO=UDP SPORT=53
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=3 DEST=3ffe:1:1:1::2/128 PROTO=TCP DPORT=80
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=4 DEST=3ffe:1:1:1::3/128 PROTO=TCP DPORT=25
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=5 DEST=3ffe:1:1:1::4/128 PROTO=UDP DPORT=53
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=6 DEST=3ffe:1:1:1::4/128 PROTO=TCP DPORT=53
ADD IPV6 FILTER=1 SOURCE=:: ACTION=INCLUDE
SET IPV6 FILTER=1 ENTRY=7 DEST=:: PROTO=ICMP ICMPTYPE=ANY ICMPCODE=ANY
SET IPV6 INT=virt0 FILTER=1





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