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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #163

CUGサービスを利用した拠点間のPIM-DMによるIPマルチキャストルーティング(L2TP+IPsec)


CUG(Closed Users Group)サービス(フレッツ・VPNワイド、フレッツ・グループアクセス(NTT東日本)、フレッツ・グループ(NTT西日本))の「端末型払い出し」を利用し、拠点間でIPsec通信を行い、PIM-DMを使用したマルチキャスト ルーティングを行います。


本構成では、L2TPを使用しPIM-DMによる拠点間のマルチキャストルーティングを行い、L2TPでカプセリングされたパケットを暗号化することにより、IPsec上でのマルチキャストルーティングを行います。

CUGサービスのプライベートグループ(以下、グループ)管理者からは、次の情報を提供されているものとします。

表 1:グループ管理者から提供された情報
 
ルーターA
ルーターB
ルーターC
PPPユーザー名 userA@cug userB@cug userC@cug
PPPパスワード cugpasswdA cugpasswdB cugpasswdC
IPアドレス(端末型) 172.16.0.1/32 172.16.0.2/32 172.16.0.3/32


表 2:L2TPの設定
 
ルーターA
ルーターB
ルーターC
L2TPコール名 remote1(AB間)、remote2(AC間) remote1(AB間) remote2(AC間)
L2TP終端アドレス 172.16.0.1/32 172.16.0.2/32 172.16.0.3/32
L2TPサーバーモード LAC/LNS兼用(BOTH)
L2TPサーバーパスワード l2tpA l2tpB l2tpC


表 3:マルチキャストネットワークの構成
 
ルーターA
ルーターB
ルーターC
PIMで使用するPPP(ppp1x)上のアドレス 172.16.1.1(ppp11)、172.16.2.1(ppp12) 172.16.1.2(ppp11) 172.16.2.2(PPP12)



ルーターAの設定


  1. セキュリティーモードで各種設定を行うことのできるSecurity Officerレベルのユーザー「secoff」を作成します。パスワードは「PasswordS」とします。

    Note - Security Officerレベルのユーザーを作成しておかないと、セキュリティーモードに移行できませんのでご注意ください。

  2. マルチキャストパケットをL2TPでカプセリングして送受信するために使用する L2TP を有効にします。


  3. L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。


  4. 相手側からL2TPのコネクション確立要求が来たときに相手を認証するためのパスワードを設定します。


  5. L2TPコールを定義します。これはISDNにおけるISDNコールに相当するもので、接続先のL2TPサーバーとの間に仮想回線を張るための情報を定義します。CALLには任意の名前を、REMOTEには相手側で定義されているL2TPコールの名前を指定します。 LAN間接続の場合、TYPEにはVIRTUALを指定します。IPは接続先のL2TPルーター、PRECEDENCEは優先する呼の方向です。また、相手側にL2TPパスワードが設定されている場合は、PASSWORDパラメーターで接続パスワードを指定します。ルーターB向けコールとルーターC向けコールの設定を行います。


  6. WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェースを作成します。
    「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。


  7. グループ管理者から通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  8. 各ルーター間でIGMPおよびPIMを有効にするインターフェースとしてL2TPコール上にPPPインターフェースを作成します。CREATE PPPコマンドでL2TPコールを物理インターフェースとして指定するときは、L2TPコール名の前に「TNL-」を付けます。ルーターB向けおよびルーターC向けのPPPインターフェースを作成します。


  9. IPモジュールを有効にします。


  10. IPCPネゴシエーションでISPから取得したIPアドレスをPPPインターフェースで使用できるように設定します。


  11. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  12. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。また、PIMが使用するソースアドレスとしてL2TP上のPPPインターフェース(ppp11/ppp12)にIPアドレスを割り当てます。


  13. L2TPトンネルを設定するためのルートを設定します。


  14. PIMはユニキャストのルートテーブルを流用するのでRIPv2を有効にしダイナミックにルートテーブルを作成します。


  15. グループメンバー管理のためIGMPを有効にします。


  16. 各インターフェースでIGMPを有効にします。


  17. PIMを有効にします。


  18. 各インターフェースでPIM-DMを有効にします。


  19. ファイアウォール機能を有効にします。


  20. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  21. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  22. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  23. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  24. 相手ルーターから受信したIKEパケット(UDP500番)がファイアウォールを通過できるように設定します。


  25. 相手ルーターから受信したL2TPパケット(UDP1701番)がファイアウォールを通過できるように設定します。



  26. ISAKMP用の事前共有鍵(pre-shared key)を作成します。ここでは鍵番号を「1」番とし、鍵の値は「secret1」という文字列で指定します(ルーターBと同じに設定)。


  27. ISAKMP用の事前共有鍵(pre-shared key)を作成します。ここでは鍵番号を「2」番とし、鍵の値は「secret2」という文字列で指定します(ルーターCと同じに設定)。


    Note - CREATE ENCO KEYコマンドは、コンソール上でログインしている場合のみ有効なコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵スクリーンエディター)などで設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても無効になりますのでご注意ください。

    Note - CREATE ENCO KEYコマンドで作成された鍵は、ノーマルモードでは、ルーターの再起動によって消去されます。暗号鍵を使用する場合は、必ずセキュリティーモードに移行して鍵が保存されるようにしてください。

  28. Security Officerレベルのユーザーでログインしなおします。


  29. 動作モードをセキュリティーモードに切り替えます。

    Note - セキュリティーモードでは、Security OfficerレベルでのTelnetログインが原則として禁止されています。セキュリティーモードにおいて、Security OfficerレベルでTelnetログインしたい場合は、あらかじめRSO(Remote Security Officer)の設定を行っておいてください。

  30. ルーターBおよびルーターCとのIKEネゴシエーション要求を受け入れるISAKMPポリシー「i-1」、「i-2」を作成します。KEYには、前の手順で作成した事前共有鍵(ルーターB:鍵番号「1」/ルーターC:鍵番号「2」)を、PEERには対向ルーターのIPアドレスを指定します。また、HEARTBEATMODEにBOTHを指定して、ISAKMP ハートビートを使用します。


  31. IPsec通信の仕様を定義するSAスペック「1」を作成します。トンネルモード(デフォルト)、鍵管理方式「ISAKMP」、プロトコル「ESP」、暗号化方式「DES」、認証方式「SHA」に設定します。


  32. SAスペック「1」だけからなるSAバンドルスペック「1」を作成します。鍵管理方式は「ISAKMP」を指定します。


  33. ISAKMPメッセージを素通しさせるIPsecポリシー「isa」を作成します。ポリシーの適用対象を、ローカルの500番ポートからリモートの500番ポート宛のUDPパケット(ISAKMP)に設定します。


    Note - ISAKMPを使用する場合は、必ず最初のIPsecポリシーでISAKMPメッセージが通過できるような設定を行ってください。「IPsecポリシー」は設定順に検索され、最初にマッチしたものが適用されるため、設定順序には注意が必要です。検索順はSHOW IPSEC POLICYコマンドで確認できます。また、検索順を変更するには、SET IPSEC POLICYコマンドのPOSITIONパラメーターを使用します。

  34. 実際のIPsec通信に使用するIPsecポリシー「vpn-1」/「vpn-2」を、PPPインターフェース「0」に対して作成します。
    鍵管理方式には「ISAKMP」を、PEERには対向ルーターのIPアドレスを、BUNDLEにはSAバンドルスペック「1」を指定し、IPsecポリシーに対して実際にIPsec通信を行うIPアドレスの範囲を指定します。本構成では、L2TPパケットが対象となります。
    コマンドが長くなるため、できるだけ省略形を用いてください。


  35. IPsecモジュールを有効にします。


  36. ISAKMPモジュールを有効にします。


  37. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



ルーターBの設定


  1. セキュリティーモードで各種設定を行うことのできるSecurity Officerレベルのユーザー「secoff」を作成します。パスワードは「PasswordS」とします。

    Note - Security Officerレベルのユーザーを作成しておかないと、セキュリティーモードに移行できませんのでご注意ください。

  2. マルチキャストパケットをL2TPでカプセリングして送受信するために使用する L2TP を有効にします。


  3. L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。


  4. 相手側からL2TPのコネクション確立要求が来たときに相手を認証するためのパスワードを設定します。


  5. L2TPコールを定義します。これはISDNにおけるISDNコールに相当するもので、接続先のL2TPサーバーとの間に仮想回線を張るための情報を定義します。CALLには任意の名前を、REMOTEには相手側で定義されているL2TPコールの名前を指定します。 LAN間接続の場合、TYPEにはVIRTUALを指定します。IPは接続先のL2TPルーター、PRECEDENCEは優先する呼の方向です。また、相手側にL2TPパスワードが設定されている場合は、PASSWORDパラメーターで接続パスワードを指定します。ルーターA向けコールの設定を行います。


  6. WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェースを作成します。
    「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。


  7. グループ管理者から通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  8. 各ルーター間でIGMPおよびPIMを有効にするインターフェースとしてL2TPコール上にPPPインターフェースを作成します。CREATE PPPコマンドでL2TPコールを物理インターフェースとして指定するときは、L2TPコール名の前に「TNL-」を付けます。ルーターA向けのPPPインターフェースを作成します。


  9. IPモジュールを有効にします。


  10. IPCPネゴシエーションでISPから取得したIPアドレスをPPPインターフェースで使用できるように設定します。


  11. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  12. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。PIMが使用するソースアドレスとしてL2TP上のPPPインターフェース(ppp11)にIPアドレスを割り当てます。


  13. L2TPトンネルを設定するためのルートを設定します。


  14. PIMはユニキャストのルートテーブルを流用するのでRIPv2を有効にしダイナミックにルートテーブルを作成します。


  15. グループメンバー管理のためIGMPを有効にします。


  16. 各インターフェースでIGMPを有効にします。


  17. PIMを有効にします。


  18. 各インターフェースでPIM-DMを有効にします。


  19. ファイアウォール機能を有効にします。


  20. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  21. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  22. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  23. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  24. 相手ルーターから受信したIKEパケット(UDP500番)がファイアウォールを通過できるように設定します。


  25. 相手ルーターから受信したL2TPパケット(UDP1701番)がファイアウォールを通過できるように設定します。



  26. ISAKMP用の事前共有鍵(pre-shared key)を作成します。ここでは鍵番号を「1」番とし、鍵の値は「secret1」という文字列で指定します(ルーターAと同じに設定)。


    Note - CREATE ENCO KEYコマンドは、コンソール上でログインしている場合のみ有効なコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵スクリーンエディター)などで設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても無効になりますのでご注意ください。

    Note - CREATE ENCO KEYコマンドで作成された鍵は、ノーマルモードでは、ルーターの再起動によって消去されます。暗号鍵を使用する場合は、必ずセキュリティーモードに移行して鍵が保存されるようにしてください。

  27. Security Officerレベルのユーザーでログインしなおします。


  28. 動作モードをセキュリティーモードに切り替えます。

    Note - セキュリティーモードでは、Security OfficerレベルでのTelnetログインが原則として禁止されています。セキュリティーモードにおいて、Security OfficerレベルでTelnetログインしたい場合は、あらかじめRSO(Remote Security Officer)の設定を行っておいてください。

  29. ルーターAとのIKEネゴシエーション要求を受け入れるISAKMPポリシー「i-1」を作成します。KEYには、前の手順で作成した事前共有鍵(ルーターA:鍵番号「1」)を、PEERにはルーターAのIPアドレスを指定します。また、HEARTBEATMODEにBOTHを指定して、ISAKMP ハートビートを使用します。


  30. IPsec通信の仕様を定義するSAスペック「1」を作成します。トンネルモード(デフォルト)、鍵管理方式「ISAKMP」、プロトコル「ESP」、暗号化方式「DES」、認証方式「SHA」に設定します。


  31. SAスペック「1」だけからなるSAバンドルスペック「1」を作成します。鍵管理方式は「ISAKMP」を指定します。


  32. ISAKMPメッセージを素通しさせるIPsecポリシー「isa」を作成します。ポリシーの適用対象を、ローカルの500番ポートからリモートの500番ポート宛のUDPパケット(ISAKMP)に設定します。


    Note - ISAKMPを使用する場合は、必ず最初のIPsecポリシーでISAKMPメッセージが通過できるような設定を行ってください。「IPsecポリシー」は設定順に検索され、最初にマッチしたものが適用されるため、設定順序には注意が必要です。検索順はSHOW IPSEC POLICYコマンドで確認できます。また、検索順を変更するには、SET IPSEC POLICYコマンドのPOSITIONパラメーターを使用します。

  33. 実際のIPsec通信に使用するIPsecポリシー「vpn-1」を、PPPインターフェース「0」に対して作成します。
    鍵管理方式には「ISAKMP」を、PEERには対向ルーターのIPアドレスを、BUNDLEにはSAバンドルスペック「1」を指定し、IPsecポリシーに対して実際にIPsec通信を行うIPアドレスの範囲を指定します。本構成では、L2TPパケットが対象となります。
    コマンドが長くなるため、できるだけ省略形を用いてください。


  34. IPsecモジュールを有効にします。


  35. ISAKMPモジュールを有効にします。


  36. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



ルーターCの設定


  1. セキュリティーモードで各種設定を行うことのできるSecurity Officerレベルのユーザー「secoff」を作成します。パスワードは「PasswordS」とします。

    Note - Security Officerレベルのユーザーを作成しておかないと、セキュリティーモードに移行できませんのでご注意ください。

  2. マルチキャストパケットをL2TPでカプセリングして送受信するために使用する L2TP を有効にします。


  3. L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。


  4. 相手側からL2TPのコネクション確立要求が来たときに相手を認証するためのパスワードを設定します。


  5. L2TPコールを定義します。これはISDNにおけるISDNコールに相当するもので、接続先のL2TPサーバーとの間に仮想回線を張るための情報を定義します。CALLには任意の名前を、REMOTEには相手側で定義されているL2TPコールの名前を指定します。 LAN間接続の場合、TYPEにはVIRTUALを指定します。IPは接続先のL2TPルーター、PRECEDENCEは優先する呼の方向です。また、相手側にL2TPパスワードが設定されている場合は、PASSWORDパラメーターで接続パスワードを指定します。ルーターA向けコールの設定を行います。


  6. WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にCUGサービス接続用のPPPインターフェースを作成します。
    「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。


  7. グループ管理者から通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  8. 各ルーター間でIGMPおよびPIMを有効にするインターフェースとしてL2TPコール上にPPPインターフェースを作成します。CREATE PPPコマンドでL2TPコールを物理インターフェースとして指定するときは、L2TPコール名の前に「TNL-」を付けます。ルーターA向けのPPPインターフェースを作成します。


  9. IPモジュールを有効にします。


  10. IPCPネゴシエーションでISPから取得したIPアドレスをPPPインターフェースで使用できるように設定します。


  11. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  12. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。これは、ISPとの接続が確立するまでIPアドレスが確定しないことを示します。PIMが使用するソースアドレスとしてL2TP上のPPPインターフェース(ppp12)にIPアドレスを割り当てます。


  13. L2TPトンネルを設定するためのルートを設定します。


  14. PIMはユニキャストのルートテーブルを流用するのでRIPv2を有効にしダイナミックにルートテーブルを作成します。


  15. グループメンバー管理のためIGMPを有効にします。


  16. 各インターフェースでIGMPを有効にします。


  17. PIMを有効にします。


  18. 各インターフェースでPIM-DMを有効にします。


  19. ファイアウォール機能を有効にします。


  20. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  21. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  22. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  23. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。


  24. 相手ルーターから受信したIKEパケット(UDP500番)がファイアウォールを通過できるように設定します。


  25. 相手ルーターから受信したL2TPパケット(UDP1701番)がファイアウォールを通過できるように設定します。


  26. ISAKMP用の事前共有鍵(pre-shared key)を作成します。ここでは鍵番号を「1」番とし、鍵の値は「secret1」という文字列で指定します(ルーターAと同じに設定)。


    Note - CREATE ENCO KEYコマンドは、コンソール上でログインしている場合のみ有効なコマンドです。そのため、EDITコマンド(内蔵スクリーンエディター)などで設定スクリプトファイル(.CFG)にこのコマンドを記述しても無効になりますのでご注意ください。

    Note - CREATE ENCO KEYコマンドで作成された鍵は、ノーマルモードでは、ルーターの再起動によって消去されます。暗号鍵を使用する場合は、必ずセキュリティーモードに移行して鍵が保存されるようにしてください。

  27. Security Officerレベルのユーザーでログインしなおします。


  28. 動作モードをセキュリティーモードに切り替えます。

    Note - セキュリティーモードでは、Security OfficerレベルでのTelnetログインが原則として禁止されています。セキュリティーモードにおいて、Security OfficerレベルでTelnetログインしたい場合は、あらかじめRSO(Remote Security Officer)の設定を行っておいてください。

  29. ルーターAとのIKEネゴシエーション要求を受け入れるISAKMPポリシー「i-2」を作成します。KEYには、前の手順で作成した事前共有鍵(ルーターA:鍵番号「1」)を、PEERにはルーターAのIPアドレスを指定します。また、HEARTBEATMODEにBOTHを指定して、ISAKMP ハートビートを使用します。


  30. IPsec通信の仕様を定義するSAスペック「1」を作成します。トンネルモード(デフォルト)、鍵管理方式「ISAKMP」、プロトコル「ESP」、暗号化方式「DES」、認証方式「SHA」に設定します。


  31. SAスペック「1」だけからなるSAバンドルスペック「1」を作成します。鍵管理方式は「ISAKMP」を指定します。


  32. ISAKMPメッセージを素通しさせるIPsecポリシー「isa」を作成します。ポリシーの適用対象を、ローカルの500番ポートからリモートの500番ポート宛のUDPパケット(ISAKMP)に設定します。


    Note - ISAKMPを使用する場合は、必ず最初のIPsecポリシーでISAKMPメッセージが通過できるような設定を行ってください。「IPsecポリシー」は設定順に検索され、最初にマッチしたものが適用されるため、設定順序には注意が必要です。検索順はSHOW IPSEC POLICYコマンドで確認できます。また、検索順を変更するには、SET IPSEC POLICYコマンドのPOSITIONパラメーターを使用します。

  33. 実際のIPsec通信に使用するIPsecポリシー「vpn-2」を、PPPインターフェース「0」に対して作成します。
    鍵管理方式には「ISAKMP」を、PEERには対向ルーターのIPアドレスを、BUNDLEにはSAバンドルスペック「1」を指定し、IPsecポリシーに対して実際にIPsec通信を行うIPアドレスの範囲を指定します。本構成では、L2TPパケットが対象となります。
    コマンドが長くなるため、できるだけ省略形を用いてください。


  34. IPsecモジュールを有効にします。


  35. ISAKMPモジュールを有効にします。


  36. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
* 「#」で始まる行は、コンソールから入力しないと意味を持たないコマンドか、設定ファイル(.cfg)に記述しても無効なコマンドを示しています。詳細は本文の説明をご覧ください。
ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER
ENABLE L2TP
ENABLE L2TP SERVER=BOTH
ADD L2TP PASSWORD=l2tpA
ADD L2TP CALL=remote1 REMOTE=remote1 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.2 PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpB
ADD L2TP CALL=remote2 REMOTE=remote2 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.3 PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpC
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userA@cug PASSWORD=cugpasswdA LQR=OFF ECHO=ON
CREATE PPP=11 OVER=TNL-remote1 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF
CREATE PPP=12 OVER=TNL-remote2 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP INT=ppp11 IP=172.16.1.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp12 IP=172.16.2.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=172.16.0.2 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=172.16.0.3 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD IP RIP INT=ppp11 SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2
ADD IP RIP INT=ppp12 SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2
ENABLE IP IGMP
ENABLE IP IGMP INT=ppp11
ENABLE IP IGMP INT=ppp12
ENABLE IP IGMP INT=vlan1
ENABLE PIM
ADD PIM INT=ppp11 MODE=DENSE
ADD PIM INT=ppp12 MODE=DENSE
ADD PIM INT=vlan1 MODE=DENSE
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp11 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp12 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROT=UDP PO=500 IP=172.16.0.1
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROT=UDP PO=1701 IP=172.16.0.1
# CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret1"
# CREATE ENCO KEY=2 TYPE=GENERAL VALUE="secret2"
# LOGIN secoff
# ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE
CREATE ISAKMP POLICY="i-1" PEER=172.16.0.2 KEY=1 SENDN=TRUE HEARTBEATMODE=BOTH
CREATE ISAKMP POLICY="i-2" PEER=172.16.0.3 KEY=2 SENDN=TRUE HEARTBEATMODE=BOTH
CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA
CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1"
CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP
CREATE IPSEC POLICY="vpn-1" INTERFACE=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=172.16.0.2
SET IPSEC POLICY="vpn-1" LAD=172.16.0.1 LPORT=1701 RAD=172.16.0.2 RPORT=1701
CREATE IPSEC POLICY="vpn-2" INTERFACE=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=172.16.0.3
SET IPSEC POLICY="vpn-2" LAD=172.16.0.1 LPORT=1701 RAD=172.16.0.3 RPORT=1701
ENABLE IPSEC
ENABLE ISAKMP


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
* 「#」で始まる行は、コンソールから入力しないと意味を持たないコマンドか、設定ファイル(.cfg)に記述しても無効なコマンドを示しています。詳細は本文の説明をご覧ください。
ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER
ENABLE L2TP
ENABLE L2TP SERVER=BOTH
ADD L2TP PASSWORD=l2tpB
ADD L2TP CALL=remote1 REMOTE=remote1 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.1 PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpA
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userB@cug PASSWORD=cugpasswdB LQR=OFF ECHO=ON
CREATE PPP=11 OVER=TNL-remote1 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP INT=ppp11 IP=172.16.1.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=172.16.0.1 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD IP RIP INT=ppp11 SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2
ENABLE IP IGMP
ENABLE IP IGMP INT=ppp11
ENABLE IP IGMP INT=vlan1
ENABLE PIM
ADD PIM INT=ppp11 MODE=DENSE
ADD PIM INT=vlan1 MODE=DENSE
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp11 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROT=UDP PO=500 IP=172.16.0.2
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROT=UDP PO=1701 IP=172.16.0.2
# CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret1"
# LOGIN secoff
# ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE
CREATE ISAKMP POLICY="i-1" PEER=172.16.0.1 KEY=1 SENDN=TRUE HEARTBEATMODE=BOTH
CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA
CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1"
CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP
CREATE IPSEC POLICY="vpn-1" INTERFACE=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=172.16.0.1
SET IPSEC POLICY="vpn-1" LAD=172.16.0.2 LPORT=1701 RAD=172.16.0.1 RPORT=1701
ENABLE IPSEC
ENABLE ISAKMP


ルーターCのコンフィグ [テキスト版]
* 「#」で始まる行は、コンソールから入力しないと意味を持たないコマンドか、設定ファイル(.cfg)に記述しても無効なコマンドを示しています。詳細は本文の説明をご覧ください。
ADD USER=secoff PASSWORD=PasswordS PRIVILEGE=SECURITYOFFICER
ENABLE L2TP
ENABLE L2TP SERVER=BOTH
ADD L2TP PASSWORD=l2tpC
ADD L2TP CALL=remote2 REMOTE=remote2 TYPE=VIRTUAL IP=172.16.0.1 PRECEDENCE=IN PASSWORD=l2tpA
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=userC@cug PASSWORD=cugpasswdC LQR=OFF ECHO=ON
CREATE PPP=12 OVER=TNL-remote2 IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.30.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP INT=ppp12 IP=172.16.2.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=172.16.0.1 MASK=255.255.255.255 INTERFACE=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD IP RIP INT=ppp12 SEND=RIP2 RECEIVE=RIP2
ENABLE IP IGMP
ENABLE IP IGMP INT=ppp12
ENABLE IP IGMP INT=vlan1
ENABLE PIM
ADD PIM INT=ppp12 MODE=DENSE
ADD PIM INT=vlan1 MODE=DENSE
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp12 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROT=UDP PO=500 IP=172.16.0.3
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROT=UDP PO=1701 IP=172.16.0.3
# CREATE ENCO KEY=1 TYPE=GENERAL VALUE="secret1"
# LOGIN secoff
# ENABLE SYSTEM SECURITY_MODE
CREATE ISAKMP POLICY="i-2" PEER=172.16.0.1 KEY=1 SENDN=TRUE HEARTBEATMODE=BOTH
CREATE IPSEC SASPEC=1 KEYMAN=ISAKMP PROTOCOL=ESP ENCALG=DES HASHALG=SHA
CREATE IPSEC BUNDLE=1 KEYMAN=ISAKMP STRING="1"
CREATE IPSEC POLICY="isa" INT=ppp0 ACTION=PERMIT LPORT=500 RPORT=500 TRANSPORT=UDP
CREATE IPSEC POLICY="vpn-2" INTERFACE=ppp0 ACTION=IPSEC KEYMAN=ISAKMP BUNDLE=1 PEER=172.16.0.1
SET IPSEC POLICY="vpn-2" LAD=172.16.0.3 LPORT=1701 RAD=172.16.0.1 RPORT=1701
ENABLE IPSEC
ENABLE ISAKMP





CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #163

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