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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #181
マルチグループVRRP設定(VLAN使用)
VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は、複数のルーターを連携させ1台のルーターであるかのように見せかけることで、IPネットワークの冗長構成を可能にする機能です。ここでは、VLANごとにVRRPを動作させるマルチグループVRRPの使用例を示します。
次のようなネットワーク構成を例に解説します。
本構成のマルチグループVRRPは複数のVLANでそれぞれ独立してVRRPを動作させることができます。
この構成ではルーターAとルーターBに192.168.10.100(VRID=10)と192.168.20.100(VRID=20)をバーチャルIPに設定しています。
ルーターAではVRID=10の優先度を、ルーターBではVRID=20の優先度をデフォルトよりも高く設定しています。
各ルーターのVRIDのステートは以下のようになります。
表 1:VRIDステート
VRID |
ルーターA |
ルーターB |
10 |
MASTER |
BACKUP |
20 |
BACKUP |
MASTER |
サーバー、クライアントには、バーチャルIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして設定します。
この例ではクライアントAには192.168.10.100を、クライアントBには192.168.20.100を設定することで、クライアントAからのトラフィックはルーターA経由、クライアントBからのトラフィックはルーターB経由で通信し負荷分散することができます。
なお、サーバーCからのトラフィックはルーターA経由となります。
ルーターAのvlan10の経路に障害が発生すると、同ルーターが定期的に送信しているVRRP AdvertisementパケットをルーターBが受信できなくなります。
この場合、ルーターBはルーターAのvlan10がダウンしたものと見なして、ルーターBのVRID=10のステートをマスターに移行し、デフォルトゲートウェイアドレスを引き継ぎます。
このとき、クライアントAからのトラフィックはルーターB経由となります。
ルーターAのvlan10の経路が復旧すると、ルーターBのVRID=10のステートはバックアップに戻ります。
また、ルーターBが故障した場合は、クライアントBからのトラフィックはルーターA経由で通信できます。
- 2つのVLAN(vlan10、vlan20)を作成しポートを割り当てます。ここではvlan10にスイッチポートの1〜2、vlan20にポート3〜4を所属させます。
CREATE VLAN=VLAN10 VID=10 ↓
CREATE VLAN=VLAN20 VID=20 ↓
ADD VLAN=VLAN10 PORT=1-2 ↓
ADD VLAN=VLAN20 PORT=3-4 ↓
- IPモジュールを有効にし、各インターフェースにIPアドレスを割り当てます。
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=ETH0 IP=192.168.2.1 ↓
ADD IP INT=VLAN10 IP=192.168.10.1 ↓
ADD IP INT=VLAN20 IP=192.168.20.1 ↓
- VRRPを有効にします。
- vlan10にVRID=10、vlan20にVRID=20を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.10.100および192.168.20.100とします。ルーターAのVRID=10をデフォルトのマスターにするため、優先度をデフォルトの 100 よりも高い 101 に設定します。
CREATE VRRP=10 OVER=VLAN10 IPADDRESS=192.168.10.100 PRIORITY=101 ↓
CREATE VRRP=20 OVER=VLAN20 IPADDRESS=192.168.20.100 ↓
- eth0にVRID=1を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.2.100とします。こちらをデフォルトのマスターにするため、優先度をデフォルトの 100 よりも高い 101 に設定します。
CREATE VRRP=1 OVER=ETH0 IPADDRESS=192.168.2.100 PRIORITY=101 ↓
- eth0がダウンした場合にvlan10側(VRID=10)の優先度を 99 に下げ、ルーターBのVRID=10がマスターになるよう設定します。
ADD VRRP=10 MONITOREDINTERFACE=ETH0 NEWPRIORITY=99 ↓
- vlan10がダウンした場合に eth0側(VRID=1)の優先度を 99 に下げ、ルーターBがマスターになるよう設定します。
ADD VRRP=1 MONITOREDINTERFACE=VLAN10 NEWPRIORITY=99 ↓
- vlan20がダウンした場合に eth0側(VRID=1)の優先度を 99 に下げ、ルーターBがマスターになるよう設定します。
ADD VRRP=1 MONITOREDINTERFACE=VLAN20 NEWPRIORITY=99 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
- 2つのVLAN(vlan10、vlan20)を作成しポートを割り当てます。ここではvlan10にスイッチポートの1〜2、vlan20にポート3〜4を所属させます。
CREATE VLAN=VLAN10 VID=10 ↓
CREATE VLAN=VLAN20 VID=20 ↓
ADD VLAN=VLAN10 PORT=1-2 ↓
ADD VLAN=VLAN20 PORT=3-4 ↓
- IPモジュールを有効にし、各インターフェースにIPアドレスを割り当てます。
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=ETH0 IP=192.168.2.10 ↓
ADD IP INT=VLAN10 IP=192.168.10.10 ↓
ADD IP INT=VLAN20 IP=192.168.20.10 ↓
- VRRPを有効にします。
- vlan10にVRID=10、vlan20にVRID=20を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.10.100および192.168.20.100とします。ルーターBのVRID=20をデフォルトのマスターにするため、優先度をデフォルトの 100 よりも高い 101 に設定します。
CREATE VRRP=10 OVER=VLAN10 IPADDRESS=192.168.10.100 ↓
CREATE VRRP=20 OVER=VLAN20 IPADDRESS=192.168.20.100 PRIORITY=101 ↓
- eth0にVRID=1を割り当てます。バーチャルIPアドレスは192.168.2.100とします。優先度はデフォルト値の 100 とします。
CREATE VRRP=1 OVER=ETH0 IPADDRESS=192.168.2.100 ↓
- eth0がダウンした場合にvlan20側(VRID=20)の優先度を 99 に下げ、ルーターAのVRID=20がマスターになるよう設定します。
ADD VRRP=20 MONITOREDINTERFACE=ETH0 NEWPRIORITY=99 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ LAN上の各ホストには、デフォルトゲートウェイとして、バーチャルルーターのIPアドレスを設定します。
クライアントAには192.168.10.100を、クライアントBには192.168.20.100を設定します。
通常時には、ルーターAのVRID=10およびルーターBのVRID=20がマスターとして機能し、LAN間のトラフィックを転送します。
■ ルーターAのeth0がダウンした場合は、ルーターBのVRID=10、ルーターAのvlan10,vlan20がダウンした場合はルーターBのVRID=1がマスターとなりバーチャルルーターとしての役割を引き継ぎます。
このとき、バーチャルルーターのIPアドレスとMACアドレスは変化しないため、LAN上のホストがルーターの切り替えを意識することはありません。
ルーターAのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE VLAN=VLAN10 VID=10 ↓
CREATE VLAN=VLAN20 VID=20 ↓
ADD VLAN=VLAN10 PORT=1-2 ↓
ADD VLAN=VLAN20 PORT=3-4 ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=ETH0 IP=192.168.2.1 ↓
ADD IP INT=VLAN10 IP=192.168.10.1 ↓
ADD IP INT=VLAN20 IP=192.168.20.1 ↓
ENABLE VRRP ↓
CREATE VRRP=10 OVER=VLAN10 IPADDRESS=192.168.10.100 PRIORITY=101 ↓
CREATE VRRP=20 OVER=VLAN20 IPADDRESS=192.168.20.100 ↓
CREATE VRRP=1 OVER=ETH0 IPADDRESS=192.168.2.100 PRIORITY=101 ↓
ADD VRRP=10 MONITOREDINTERFACE=ETH0 NEWPRIORITY=99 ↓
ADD VRRP=1 MONITOREDINTERFACE=VLAN10 NEWPRIORITY=99 ↓
ADD VRRP=1 MONITOREDINTERFACE=VLAN20 NEWPRIORITY=99 ↓
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ルーターBのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE VLAN=VLAN10 VID=10 ↓
CREATE VLAN=VLAN20 VID=20 ↓
ADD VLAN=VLAN10 PORT=1-2 ↓
ADD VLAN=VLAN20 PORT=3-4 ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=ETH0 IP=192.168.2.10 ↓
ADD IP INT=VLAN10 IP=192.168.10.10 ↓
ADD IP INT=VLAN20 IP=192.168.20.10 ↓
ENABLE VRRP ↓
CREATE VRRP=10 OVER=VLAN10 IPADDRESS=192.168.10.100 ↓
CREATE VRRP=20 OVER=VLAN20 IPADDRESS=192.168.20.100 PRIORITY=101 ↓
CREATE VRRP=1 OVER=ETH0 IPADDRESS=192.168.2.100 ↓
ADD VRRP=20 MONITOREDINTERFACE=ETH0 NEWPRIORITY=99 ↓
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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #181
(C) 2005-2014 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M0710-04 Rev.P
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