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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #32
専用線によるインターネット接続(DMZ)
専用線を使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。この例では、LAN側を2つのサブネットに分割し、一方をグローバルアドレスで運用するサーバー用、もう一方をプライベートアドレスで運用するクライアント用とします。クライアントはダイナミックENAT経由でインターネットにアクセスします。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、特定のサーバーだけを外部に公開します。
専用線接続では、ISPからいくつか(8個、16個など)固定的にIPアドレスを割り当てられ、ユーザーのLANをISPのネットワークに直接接続する形になります。
表 1:ISPから提供された情報
WAN側インターフェース |
Unnumbered |
使用できるIPアドレス |
4.4.4.0/29(4.4.4.0〜4.4.4.7) |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- LAN側をグローバルサブネット(4.4.4.0/29)とプライベートサブネット(192.168.10.0/24)に分割し、サーバー系はグローバルサブネットに、クライアント系はプライベートサブネットに配置します。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
- サーバーにはグローバルアドレスを割り当てますが、外部からのアクセスは下記の公開サービスだけに限定します。
- Webサーバー:4.4.4.2:80/tcp
- SMTPサーバー:4.4.4.3:25/tcp
- DNSサーバー:4.4.4.4:53/tcp、53/udp
- クライアントにはプライベートアドレスを割り当てます。これらのクライアントがインターネットにアクセスできるよう、ダイナミックENATを使用します。ENAT用グローバルアドレスには、グローバルサブネット側のインターフェースアドレス(4.4.4.1)を共用します。
ルーターの基本設定を次にまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
TDMグループ名 |
ISP |
回線速度 |
128Kbps |
WAN側物理インターフェース |
bri0 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
Unnumbered |
グローバルLAN側(eth1)IPアドレス |
4.4.4.1/29 |
プライベートLAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.10.1/24 |
- BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
- bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対し、TDMグループ「ISP」を作成します。
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
- PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISP」上に作成します。LQRはオフにします。
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF ↓
- IPモジュールを有効にします。
- LAN側は2つのサブネットに分割します。そのうちの1つeth1には、ISPから割り当てられたグローバルアドレスの先頭アドレス(4.4.4.1)を設定します。アドレスを8個や16個といった単位で割り当てられる場合は、ネットマスクが変則的になるので注意してください。
ADD IP INT=eth1 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.248 ↓
- もう一方のvlan1にはプライベートIPアドレスを割り当て、クライアント用のサブネットとします。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumbered(0.0.0.0)に設定します。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ファイアウォールで拒否したパケットをログに記録するよう設定します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE ↓
Note
- デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側インターフェース(eth1、vlan1)をPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- WAN側インターフェース(ppp0)をPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- ダイナミックENATの設定を行います。クライアントLAN(vlan1)側のプライベートIPアドレスを、サーバーLAN(eth1)側インターフェースに設定したグローバルIPアドレス4.4.4.1に変換するよう設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1 ↓
- 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。
- Webサーバー(4.4.4.2のTCP80番)へのパケットは通過させます。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=80 ↓
- SMTPサーバー(4.4.4.3のTCP25番)へのパケットは通過させます。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.3 PORT=25 ↓
- DNSサーバー(4.4.4.4のTCP、UDP53番)へのパケットは通過させます。
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ ISPからログイン名とパスワードを指定されている場合は、手順3の次に以下のコマンドを追加してください。ここでは、ログイン名として「ispuser」、パスワードとして「isppasswd」を設定しています。
SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd ↓
■ ISPがUnnumberedを使用しておらず、WAN側インターフェース(ppp0)にもIPアドレスを割り当ててきた場合は、手順7でppp0に該当するIPアドレスを設定します。
たとえば、ISPから12.34.56.78/30というアドレスを割り当てられた場合は、手順7の代わりに次のように設定します。
ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.252 ↓
■ ファイアウォール関連のログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
■ 現在の設定内容を表示するには、次のコマンドを使います。
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=eth1 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.248 ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 GBLIP=4.4.4.1 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=80 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.3 PORT=25 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP IP=4.4.4.4 PORT=53 ↓
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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #32
(C) 2005-2014 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M0710-04 Rev.P
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