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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #4

ISDNによるIP2点間接続(BAP/BACPによる帯域制御)


ISDN回線を使って2つの拠点をIP接続します。この例では、BAP/BACPを使って帯域制御を行うときのポイントについて解説しています。

BAP(Bandwidth Allocation Protocol)/BACP(Bandwidth Allocation Control Protocol)は、マルチリンクPPP(MP)使用時に帯域制御を行うプロトコルです。

ここでは、次のような構成のネットワークを考えます。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
ISDN番号 03-1234-1111 06-1234-2222
ISDNコール名 TOOS TOOS
ISDN発着優先 発呼優先 着呼優先
ISDN識別方式 発番号識別 発番号識別
WAN側物理インターフェース bri0 bri0
PPPユーザー名 AAA BBB
PPPパスワード PasswordA PasswordB
PPP認証方式 CHAP CHAP
マルチリンクPPP(MP) 使用する 使用する
WAN側(ppp0)IPアドレス 192.168.100.1/24 192.168.100.2/24
LAN側(vlan1)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24



ルーターAの設定

  1. 接続先情報(ISDNコール)を定義します。ここではコール名を「TOOS」とし、接続先番号として「0612342222」を指定しています。「PRECEDENCE=OUT」は、ルーターBと同時に通信が発生した場合に、発呼を優先するよう指示するものです。また、「INTREQ=bri0」により、発呼に使用する物理インターフェースとしてbri0を指定します。


  2. 「SEARCHCLI=ON」により、NUMBERパラメーターで指定した相手からの着信呼にのみ応答するよう設定します。


  3. ISDNコール「TOOS」上にPPPインターフェース「0」を作成します。また、「IDLE=ON」により、必要に応じて自動発呼するダイヤルオンデマンド機能を有効にします。


  4. ppp0にデマンドリンク(Bチャンネル×1)を追加します。これにより、使用するBチャンネルの数が通信量に応じて1〜2本の範囲で調整されます。デマンドリンクを使用しない場合、この行は入力不要です。


  5. 接続相手(ルーターB)のPPPユーザー名とパスワードをユーザー認証データベースに登録します。これは、PPPのネゴシエーションで相手を認証するためのものです。


  6. 自分のPPPユーザー名とパスワードを設定します。これは、PPPのネゴシエーションで相手から認証を受けるためのものです。


  7. PPP認証方式(相手を認証するときの方式)をCHAPに設定します。


  8. IPモジュールを有効にします。


  9. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  10. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  11. 経路情報を設定します。


  12. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。


ルーターBの設定

  1. 接続先情報(ISDNコール)を定義します。ここではコール名を「TOOS」とし、接続先番号として「0312341111」を指定しています。「PRECEDENCE=IN」は、ルーターAと同時に通信が発生した場合に、着呼を優先するよう指示するものです。また、「INTREQ=bri0」により、発呼に使用する物理インターフェースとしてbri0を指定します。


  2. 「SEARCHCLI=ON」により、NUMBERパラメーターで指定した相手からの着信呼にのみ応答するよう設定します。


  3. ISDNコール「TOOS」上にPPPインターフェース「0」を作成します。また、「IDLE=ON」により、必要に応じて自動発呼するダイヤルオンデマンド機能を有効にします。


  4. ppp0にデマンドリンクを追加します。これにより、使用するBチャンネルの数が通信量に応じて1〜2本の範囲で調整されます。デマンドリンクを使用しない場合、この行は入力不要です。


  5. 接続相手(ルーターA)のPPPユーザー名とパスワードをユーザー認証データベースに登録します。これは、PPPのネゴシエーションで相手を認証するためのものです。


  6. 自分のPPPユーザー名とパスワードを設定します。これは、PPPのネゴシエーションで相手から認証を受けるためのものです。


  7. PPP認証方式(相手を認証するときの方式)をCHAPに設定します。


  8. IPモジュールを有効にします。


  9. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  10. WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  11. 経路情報を設定します。


  12. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ

■ MP使用時に2B目をどちらが発呼するかを指定するには、次のコマンドを使います。たとえば、ルーターBからリンク追加の要求があった場合に、実際の発呼をルーターAに行わせたいときは、ルーターBに以下の設定を追加します。


デフォルトでは要求送信側が発呼します(BAPMODE=CALL)。


■ MP(BOD)接続の「しきい値」を変更するには次のコマンドを使います。ここでは、リンクの使用率が全帯域幅の10%を超えた状態が5秒間続いたら2Bチャンネル目を加え、同様に5%未満の状態が120秒間続いたら2Bチャンネル目を取り除きます。


デフォルトでは、リンク使用率80%を超える状態が30秒間続いたら2本目のBチャンネルが追加され(UPRATE=80、UPTIME=30)、リンク使用率20%未満の状態が60秒間続いたら2本目のBチャンネルが取り除かれる(DOWNRATE=20、DOWNTIME=60)設定になっています。


■ 現在のBAP/BACP設定(およびPPPの設定)を確認するには、以下のコマンドを使用します。



■ BAP/BACPを使用しない場合はルーターA、ルーターBで以下のコマンドを実行します。デフォルトはBAP=ON(使用する)です。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=TOOS NUMBER=0612342222 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0
SET ISDN CALL=TOOS SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-TOOS IDLE=ON
ADD PPP=0 OVER=ISDN-TOOS TYPE=DEMAND
ADD USER=BBB PASSWORD=PasswordB LOGIN=NO
SET PPP=0 USER=AAA PASSWORD=PasswordA
SET PPP=0 OVER=ISDN-TOOS AUTHENTICATION=CHAP
ENABLE IP
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.2


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=TOOS NUMBER=0312341111 PRECEDENCE=IN INTREQ=bri0
SET ISDN CALL=TOOS SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-TOOS IDLE=ON
ADD PPP=0 OVER=ISDN-TOOS TYPE=DEMAND
ADD USER=AAA PASSWORD=PasswordA LOGIN=NO
SET PPP=0 USER=BBB PASSWORD=PasswordB
SET PPP=0 OVER=ISDN-TOOS AUTHENTICATION=CHAP
ENABLE IP
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.1





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PN: J613-M0710-04 Rev.P

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