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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #99
L2TPによるLAN間接続(IPX。片側アドレス不定。インターネットアクセスなし)
L2TPを使って、インターネット経由でIPXネットワーク同士を接続します。ダイヤルアップ接続など、片側の拠点のIPアドレスが不定な場合の基本設定です。なお、この例ではL2TPによるLAN間接続の基本設定を示すため、拠点間のIP通信、および、各拠点からのインターネットアクセスについては考慮していません。インターネットを安価な交換回線網としてのみとらえています。
Note
- L2TPはPPPをトンネリングするだけで、暗号化などのセキュリティー機能は持っていません。暗号化が必要なときは、IPsec(トランスポートモード)と併用する必要があります。なお、L2TPとIPsecの併用が必要なのは、VPN上でIP以外のプロトコル(IPXやAppleTalk)を使いたいときだけです。VPN上で使うプロトコルがIPだけであれば、IPsec(トンネルモード)単体で目的を達成できます。
IPレベルでのネットワーク構成は次のようになります。
表 1:ISP接続の設定
|
ルーターA |
ルーターB |
TDMグループ名 |
ISPA |
− |
回線速度 |
128Kbps |
− |
ISDNコール名 |
− |
ISPB |
ISPアクセスポイントの番号 |
− |
03-1234-5678 |
WAN側物理インターフェース |
bri0 |
bri0 |
PPPユーザー名 |
− |
ispuser |
PPPパスワード |
− |
isppasswd |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
200.100.10.1/28 |
0.0.0.0(動的割り当て) |

L2TPの設定、および、その上で動作するIPXのネットワーク構成は次のとおりです。この例では片側のアドレスが不定なため、つねにルーターBからルーターAに発呼する形になります。L2TPトンネルは、ルーターAのグローバルアドレス(200.100.10.1)とルーターBのグローバルアドレス(不定)の間に張られることになります。
表 2:L2TP・IPX設定
|
ルーターA |
ルーターB |
L2TPコール名 |
ipx |
ipx |
L2TP終端アドレス |
200.100.10.1 |
不定(ISPから動的割り当て)) |
L2TP発着優先 |
着呼優先(着呼専用) |
発呼優先 |
L2TPサーバーモード |
LAC/LNS兼用(BOTH) |
LAC/LNS兼用(BOTH) |
L2TPサーバーパスワード |
l2tpA |
− |
WAN側(ppp1)IPXネットワーク番号 |
129 |
129 |
LAN側(eth0)IPXネットワーク番号 |
401 |
12 |
ルーターMACアドレス |
0000f4740012 |
0000f4740022 |
Ethernetフレームタイプ |
802.3 |
802.3 |
ファイルサーバー名 |
Accounts |
(なし) |
ファイルサーバー内部ネットワーク番号 |
7500 |
(なし) |
ファイルサーバー内部ステーション番号 |
00000001 |
(なし) |
NCPソケットアドレス |
0451 |
(なし) |

- BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
- bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「ISPA」を作成します。
CREATE TDM GROUP=ISPA INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
- PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISPA」上に作成します。
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPA LQR=OFF ↓
- IPモジュールを有効にします。
- WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=ppp0 IP=200.100.10.1 MASK=255.255.255.240 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
- L2TPモジュールを有効にします。
- L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
- 他のL2TPサーバーから接続要求を受けた際の認証用パスワードを設定します。
SET L2TP PASSWORD=l2tpA ↓
- L2TPコール「ipx」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには通常相手ルーターのIPアドレスを指定しますが、この例ではルーターA側から接続しにいくことがないため「0.0.0.0」を指定しています。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。
ADD L2TP CALL=ipx IP=0.0.0.0 TYPE=VIRTUAL REMOTE=ipx PRECEDENCE=IN ↓
- L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。
CREATE PPP=1 OVER=TNL-ipx IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
- IPXモジュールを有効にします。
- LAN側(eth0)インターフェースにIPXサーキット「1」を作成します。CIRCUITには任意の番号、INTERFACEには物理インターフェース、NETWORKにはネットワーク番号、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=401 ENCAPSULATION=802.3 ↓
- WAN側(ppp1)インターフェースにIPXサーキット「2」を作成します。CIRCUITは任意の番号、INTERFACEは物理インターフェース、NETWORKはネットワーク番号です。また、DEMAND=ONを指定して、RIP、SAPパケットの定期交換を行わないようにします。ppp1は、L2TPトンネル上の仮想PPPインターフェースです。
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp1 NETWORK=129 DEMAND=ON ↓
- スタティックルートを設定します。
ADD IPX ROUTE=12 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740022 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
- ISDNコール「ISPB」を作成します。
ADD ISDN CALL=ISPB NUMBER=0312345678 PREC=OUT INTREQ=bri0 ↓
- PPPインターフェース「0」をISDNコール「ISPB」上に作成します。ISPからIPアドレスを取得するため、「IPREQUEST=ON」を指定します。また、LQRはオフにします。
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-ISPB IPREQUEST=ON IDLE=60 LQR=OFF ↓
- ISPBへの接続に必要なユーザー名とパスワードを設定します。
SET PPP=0 USERNAME="ispuser" PASSWORD="isppasswd" ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションでISPから割り当てられたIPアドレスを、PPPインターフェースで使用するよう設定します。
- ppp0にIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISPとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
- L2TPモジュールを有効にします。
- L2TPサーバーをLNS/LACの兼用モードで起動します。
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
- L2TPコール「ipx」を作成し、L2TPの接続先情報を登録します。IPには相手ルーターのIPアドレスを指定します。TYPEは呼の種類を示すもので、LAN間接続の場合はVIRTUALを指定します。REMOTEには、このL2TPコールに応じて相手側が起動するL2TPコール名を指定します。PRECEDENCEはL2TPの通信が同時に開始された場合に発呼・着呼のどちらを優先するかを指定します。PASSWORDには、接続先で認証を受けるためのパスワードを指定します。
ADD L2TP CALL=ipx IP=200.100.10.1 TYPE=VIRTUAL REMOTE=ipx PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpA ↓
- L2TPコールを仮想的な物理回線と見なし、その上にPPPインターフェースを作成します。OVERパラメーターにL2TPコールを指定するときは、コール名の前に「TNL-」を付けます。また、ここでは「IDLE=ON」を指定して、必要なときだけ接続するよう設定します。
CREATE PPP=1 OVER=TNL-ipx IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
- IPXモジュールを有効にします。
- LAN側(eth0)インターフェースにIPXサーキット「1」を作成します。CIRCUITには任意の番号、INTERFACEには物理インターフェース、NETWORKにはネットワーク番号、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=12 ENCAPSULATION=802.3 ↓
- WAN側(ppp1)インターフェースにIPXサーキット「2」を作成します。CIRCUITは任意の番号、INTERFACEは物理インターフェース、NETWORKはネットワーク番号です。また、DEMAND=ONを指定して、RIP、SAPパケットの定期交換を行わないようにします。ppp1は、L2TPトンネル上の仮想PPPインターフェースです。
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp1 NETWORK=129 DEMAND=ON ↓
- スタティックルートを設定します。
ADD IPX ROUTE=401 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740012 ↓
- 接続先にNetWareサーバーが存在するため、サーバーのインターナルネットワークへの経路と、スタティックサービスを設定します。ROUTEはサーバーのインターナルネットワーク番号、SERVICEはサーバー名、ADDRESSはファイルサーバーのインターナルネットワーク番号:インターナルステーション番号:NCPソケットアドレス、TYPEはサービスの種類、HOPSはサーバーまでのホップ数です。
ADD IPX ROUTE=7500 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740012 ↓
ADD IPX SERVICE=Accounts ADDRESS=7500:00000001:0451 TYPE=file CIRCUIT=2 HOPS=2 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
ルーターAのコンフィグ
[テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
CREATE TDM GROUP=ISPA INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISPA LQR=OFF ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=200.100.10.1 MASK=255.255.255.240 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
ENABLE L2TP ↓
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
SET L2TP PASSWORD=l2tpA ↓
ADD L2TP CALL=ipx IP=0.0.0.0 TYPE=VIRTUAL REMOTE=ipx PRECEDENCE=IN ↓
CREATE PPP=1 OVER=TNL-ipx IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
ENABLE IPX ↓
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=401 ENCAPSULATION=802.3 ↓
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp1 NETWORK=129 DEMAND=ON ↓
ADD IPX ROUTE=12 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740022 ↓
|
ルーターBのコンフィグ
[テキスト版]
ADD ISDN CALL=ISPB NUMBER=0312345678 PREC=OUT INTREQ=bri0 ↓
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-ISPB IPREQUEST=ON IDLE=60 LQR=OFF ↓
SET PPP=0 USERNAME="ispuser" PASSWORD="isppasswd" ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
ENABLE L2TP ↓
ENABLE L2TP SERVER=BOTH ↓
ADD L2TP CALL=ipx IP=200.100.10.1 TYPE=VIRTUAL REMOTE=ipx PRECEDENCE=OUT PASSWORD=l2tpA ↓
CREATE PPP=1 OVER=TNL-ipx IDLE=ON BAP=OFF LQR=OFF ↓
ENABLE IPX ↓
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=12 ENCAPSULATION=802.3 ↓
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp1 NETWORK=129 DEMAND=ON ↓
ADD IPX ROUTE=401 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740012 ↓
ADD IPX ROUTE=7500 CIRCUIT=2 NEXTHOP=129:0000f4740012 ↓
ADD IPX SERVICE=Accounts ADDRESS=7500:00000001:0451 TYPE=file CIRCUIT=2 HOPS=2 ↓
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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #99
(C) 1997 - 2005 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M0507-00 Rev.H
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