[index] CentreCOM 8316XL/8324XL コマンドリファレンス 2.7
- 基本設定 - マルチプルSTPドメイン - スパニングツリーパラメーターの設定変更
スパニングツリープロトコル(STP)は、スイッチ(ブリッジ)ネットワークにおいて、冗長経路(複数経路)の設定を可能とし、ネットワークの耐障害性を高めるプロトコルです。
ネットワーク上に複数の経路を設定し、障害発生時に迂回路を使えるようにすることは自然な発想ですが、Ethernetではループ状の経路がブロードキャストストームによるネットワーク停止を招くため、そのままでは複数経路の設定自体ができません。
スパニングツリープロトコルを使用すると、ブリッジ同士がメッセージを交換し合うことにより、すべてのブリッジを含むツリー状の論理経路(スパニングツリー)が自立的に構築されます。物理的にループが存在しても、ツリーを構成しないポートは自動的にブロックされるため、パケットがループすることはありません。
また、障害が発生して一部の経路が不通になったときは、ツリーの再計算が行われ、自動的に新しい経路に切り替わる冗長機能も備えています。
スパニングツリープロトコルにはいくつかの種類がありますが、本製品では以下のバージョンをサポートしています。
スパニングツリープロトコル(STANDARDモード) | STP | IEEE 802.1D |
スパニングツリープロトコル(RAPIDモード) | RSTP (Rapid STP) | IEEE 802.1w |
マルチプルスパニングツリープロトコル | MSTP (Multiple STP) | IEEE 802.1s |
Note - STP/RSTPとMSTPを同時に有効化することはできません。
基本設定 |
Note - スパニングツリープロトコルとポート認証は併用できません。
Note - スパニングツリープロトコル(STP)とタグVLANの併用時、タグつきポートが単一のVLANに属する場合、BPDUにはタグを付加しません。タグつきポートが複数のVLANに属する場合は、BPDUにはタグが付加されます。
ENABLE STP=default ↓
DISABLE STP=default ↓
SHOW STP ↓
SHOW STP=default ↓
SHOW STP PORT ↓
SHOW STP PORT=1 ↓
SHOW STP COUNTER ↓
SHOW STP=default COUNTER ↓
マルチプルSTPドメイン |
Note - トランクポートでは、オーバーラップSTPを使用できません。
CREATE STP=mystp ↓
ADD STP=mystp VLAN=white ↓
Note - 本コマンドでは、デフォルトSTPドメインにVLANを追加することはできません。DELETE STP VLANコマンドを使ってVLANをデフォルト以外のSTPドメインから削除すると、自動的にデフォルトSTPの所属となります。
DELETE STP=mystp VLAN=orange ↓
DELETE STP=mystp VLAN=ALL ↓
DESTROY STP=mystp ↓
スパニングツリーパラメーターの設定変更 |
FORWARDDELAY | ルートブリッジのポートがフォワーディング状態に遷移するまでの時間を調整するためのパラメーター。MODEがSTANDARDのときは、ルートブリッジ内のポートがリスニングからラーニング、ラーニングからフォワーディング状態に遷移するまでの時間(秒)を示す。MODEがRAPIDのときは、ディスカーディングからラーニング、ラーニングからフォワーディング状態に遷移するまでの最大時間(秒)を示す。有効範囲は4〜30秒。デフォルトは15秒。 |
HELLOTIME | ハロータイム。ルートブリッジがBPDU(Bridge Protocol Data Unit)を送信する間隔(秒)。有効範囲は1〜10秒。デフォルトは2秒。 |
MAXAGE | 最大エージタイム。ルートブリッジからBPDUが届かなくなったことを認識するまでの時間(秒)。この時間内にBPDUを受信できなかった場合、STPD内の各ブリッジはスパニングツリーの再構成を開始する。2×(HELLOTIME + 1) 以上、かつ、2× (FORWARDDELAY - 1) 以下でなくてはならない。有効範囲は6〜40秒。デフォルトは20秒。 |
PRIORITY | ブリッジプライオリティー。小さいほど優先度が高く、ルートブリッジになる可能性が高くなる。MODEがRAPIDのときは4096の倍数で指定する(4096の倍数でない値を指定したときは、指定値より小さい直近の倍数に変換される)。有効範囲は0〜65535。デフォルトは32768。 |
MODE | STPの動作モード。STANDARD(802.1d)、RAPID(802.1w)から選択する。動作モードを変更すると、STPのプロセスが初期化される。デフォルトはSTANDARD。 |
RSTPTYPE | Rapid STP(MODE=RAPID)の動作モード。NORMAL(RSTP BPDUを使う)、STPCOMPATIBLE(標準のBPDUを使う)から選択する。デフォルトはNORMAL。 |
SET STP=default DEFAULT ↓
SET STP=ALL DEFAULT ↓
PATHCOST | パスコスト。該当ポートを通過する際のコストを示すもので、一般的にはポートの通信速度に応じて設定する。有効範囲はSTPの動作モードによって異なり、STANDARDモードでは1〜65535、RAPIDモードでは1〜200000000。通信速度ごとのデフォルト値と推奨範囲は別表を参照のこと。 |
PORTPRIORITY | ポートプライオリティー。小さいほど優先度が高く、ルートポートになる可能性が高くなる。MODEがRAPIDのときは16の倍数で指定する(16の倍数でない値を指定したときは、指定値より小さい直近の倍数に変換される)。有効範囲は0〜255。デフォルトは128。 |
EDGEPORT | MODEがRAPIDのとき、該当ポートがエッジポートかどうかを指定する。エッジポートとは、他のブリッジが存在しない末端(エッジ)のLANに接続されているポートのこと。ただし、EDGEPORT=YESを指定した場合でも、同ポートでRSTP BPDUを受信した場合はエッジポートとしては扱われなくなる。デフォルトはNO。 |
PTP | MODEがRAPIDのとき、該当ポートが他のブリッジとポイントツーポイントで接続されているかどうかを指定する。AUTOを指定した場合は、本製品が自動判別する。デフォルトはAUTO。 |
10Mbps | 50〜600 | 100 |
100Mbps | 10〜60 | 19 |
1000Mbps | 3〜10 | 4 |
10Mbps | 200000〜2000000 | 2000000 |
100Mbps | 20000〜200000 | 200000 |
1000Mbps | 2000〜20000 | 20000 |
SET STP PORT=1 DEFAULT ↓
SET STP PORT=ALL DEFAULT ↓
DISABLE STP PORT=2 ↓
ENABLE STP PORT=2 ↓
RESET STP=mystp ↓
PURGE STP ↓
Note - ランタイムメモリー上にあるスパニングツリープロトコル関連の設定がすべて削除されるため、運用中のシステムで本コマンドを実行するときは十分に注意してください。
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