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CentreCOM 9600/8600シリーズ コマンドリファレンス 2.2
スイッチング/QoS
対象機種:8624、9606
- プライオリティータグと送信キュー
- ハードウェアIPフィルターによるIPベースのQoS
パケットごとに送信時の優先度を変化させるQoS(Quality of Service)機能について解説します。本製品はIEEE 802.1p準拠のプライオリティータグに基づくQoSと、IPヘッダー等の情報に基づくIPベースのQoSに対応しています。
802.1QのVLANタグヘッダーには、3ビットのユーザープライオリティーフィールド(802.1p)が設けられています。

本製品は、このフィールドの値にしたがって、受信フレームの送信に優先度をつけることができます。
本製品の各ポートは、それぞれ4レベル(0〜3)の送信キューを備えています(キュー3が優先度最高)。
9600シリーズの場合、フレームは相対的に最も優先度の高いキューからのみ送信されます。たとえば、キュー3とキュー2にフレームが格納されている場合、キュー3が空になるまでキュー2内のフレームは送信されません。
割り当てられる帯域は次のようになります(数値は一番左が相対的に最もレベルの低いキュー、一番右が相対的に最もレベルの高いキューに割り当てられる帯域(%)を示しています)。
- 同時に2つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:100
- 同時に3つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:0:100
- 同時に4つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:0:0:100
一方8624XLでは、各レベルのキューに割り当てられる帯域は、相対的に最も優先度の低いキューが0%で、残りのキューが100%を均等に共有するという割合になります。
- 同時に2つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:100
- 同時に3つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:50:50
- 同時に4つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:33:33:33
受信フレームがどのキューに入れられるかは、ユーザープライオリティー値とキューのマッピング設定によって決まります。
デフォルトのマッピングは次のとおりです。VLANタグのないフレーム(タグなしフレーム)は、ユーザープライオリティー0(すなわちキュー1に入る)として扱われます。キューは番号が大きいほど優先度が高くなります。
表 1
ユーザープライオリティー |
キュー番号 |
0 |
1 |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
2 |
5 |
2 |
6 |
3 |
7 |
3 |
■ ユーザープライオリティー値とキューのマッピングを変更するには、SET SWITCH QOSコマンドを使います。たとえば、下図のようなマッピングにするには、次のコマンドを実行します。
SET SWITCH QOS=0,0,0,1,1,2,2,3 ↓
表 2
ユーザープライオリティー |
キュー番号 |
0 |
0 |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
1 |
5 |
2 |
6 |
2 |
7 |
3 |
■ ユーザープライオリティーとキューのマッピングを確認するにはSHOW SWITCH QOSコマンドを使います。
ハードウェアIPフィルターによるIPベースのQoS |
ハードウェアIPフィルターを利用すると、IPアドレスやTOS優先度などのIPヘッダー情報、TCPやUDPのポート番号などに基づき、受信パケットを送信するときのキューレベルを設定することができます。
ハードウェアIPフィルターによるQoSでは、マッチしたパケットに内部的なプライオリティーを付与し、SET SWITCH QOSコマンドのマッピングに基づき送信キューレベルを決定します。この場合のプライオリティーは仮想的なものであり、受信フレームにプライオリティータグが付いている必要はありません。
■ ハードウェアIPフィルターを使って特定のパケットを任意の送信キューに入れるには、ACTIONパラメーターでSENDCOSを指定し、PRIORITYパラメーターで希望するユーザープライオリティーを指定します。たとえば、次のようなフィルターを設定すると、始点アドレスが192.168.10.2のIPパケットに対して、内部的なユーザープライオリティー7が付与されます。
ADD SWITCH L3FILTER MATCH=SIPADDR SCLASS=HOST ↓
ADD SWITCH L3FILTER=1 ENTRY SIPADDR=192.168.10.2 PRIORITY=7 ACTION=SENDCOS ↓
ENABLE SWITCH L3FILTER ↓
パケット送信時には、プライオリティーとキューのマッピング設定にしたがい、プライオリティー7に対応するキューに該当パケットが入れられます。
■ 次の例では、SSHトラフィックをユーザープライオリティー5に相当するキューから送出します。
ADD SWITCH L3FILTER MATCH=PROTOCOL,TCPDPORT ↓
ADD SWITCH L3FILTER MATCH=PROTOCOL,TCPSPORT ↓
ADD SWITCH L3FILTER=1 ENTRY PROTOCOL=TCP TCPDPORT=22 PRIORITY=5 ACTION=SENDCOS ↓
ADD SWITCH L3FILTER=2 ENTRY PROTOCOL=TCP TCPSPORT=22 PRIORITY=5 ACTION=SENDCOS ↓
ENABLE SWITCH L3FILTER ↓
ハードウェアIPフィルターの詳細については、「ハードウェアIPフィルター」をご覧ください。
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