[index]
CentreCOM 9600シリーズ コマンドリファレンス 2.7
スイッチング/QoS
- プライオリティータグと送信キュー
- ハードウェアIPフィルターによるIPベースのQoS
パケットごとに送信時の優先度を変化させるQoS(Quality of Service)機能について解説します。本製品はIEEE 802.1p準拠のプライオリティータグに基づくQoSと、IPヘッダー等の情報に基づくIPベースのQoSに対応しています。
802.1QのVLANタグヘッダーには、3ビットのユーザープライオリティーフィールド(802.1p)が設けられています。

本製品は、このフィールドの値にしたがって、受信フレームの送信に優先度をつけることができます。
本製品の各ポートは、それぞれ4レベル(0〜3)の送信キューを備えています(キュー3が優先度最高)。フレームは相対的に最も優先度の高いキューからのみ送信されます。たとえば、キュー3とキュー2にフレームが格納されている場合、キュー3が空になるまでキュー2内のフレームは送信されません。
割り当てられる帯域は次のようになります(数値は一番左が相対的に最もレベルの低いキュー、一番右が相対的に最もレベルの高いキューに割り当てられる帯域(%)を示しています)。
- 同時に2つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:100
- 同時に3つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:0:100
- 同時に4つのレベルのキューにパケットがある場合 → 0:0:0:100
受信フレームがどのキューに入れられるかは、ユーザープライオリティー値とキューのマッピング設定によって決まります。デフォルトのマッピングは次のとおりです。VLANタグ付きのフレームは、このマッピングにしたがって処理されます。
表 1
ユーザープライオリティー |
キュー番号 |
0 |
1 |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
2 |
5 |
2 |
6 |
3 |
7 |
3 |
■ VLANタグのないフレーム(タグなしフレーム)は、次のように扱われます。
- 宛先MACアドレスが本製品の場合 → ユーザープライオリティー4
- 宛先MACアドレスが本製品以外の場合 → ユーザープライオリティー0
本製品によってルーティングされるIP、IPv6パケットは、宛先MACアドレスが本製品になるため、プライオリティー4で処理されます。一方、本製品によってルーティングされるIPマルチキャストパケットは、宛先MACアドレスが本製品ではなく、マルチキャストMACアドレスなので、プライオリティー0で処理されます。その他のレイヤー2スイッチングされるパケットは、プライオリティー0で処理されます。
■ ユーザープライオリティー値とキューのマッピングを変更するには、SET QOS HWPRIORITYコマンドを使います。たとえば、下図のようなマッピングにするには、次のコマンドを実行します。
SET QOS HWPRIORITY QUEUE=0,0,0,1,1,2,2,3 ↓
表 2
ユーザープライオリティー |
キュー番号 |
0 |
0 |
1 |
0 |
2 |
0 |
3 |
1 |
4 |
1 |
5 |
2 |
6 |
2 |
7 |
3 |
■ ユーザープライオリティーとキューのマッピングを確認するにはSHOW QOS HWPRIORITYコマンドを使います。
ハードウェアIPフィルターによるIPベースのQoS |
ハードウェアIPフィルターを利用すると、IPアドレスやTOS優先度などのIPヘッダー情報、TCPやUDPのポート番号などに基づき、受信パケットを送信するときのキューレベルを設定することができます。
ハードウェアIPフィルターによるQoSでは、マッチしたパケットに内部的なプライオリティーを付与し、SET QOS HWPRIORITYコマンドのマッピングに基づき送信キューレベルを決定します。この場合のプライオリティーは仮想的なものであり、受信フレームにプライオリティータグが付いている必要はありません。
■ ハードウェアIPフィルターを使って特定のパケットを任意の送信キューに入れるには、ACTIONパラメーターでSENDCOSを指定し、PRIORITYパラメーターで希望するユーザープライオリティーを指定します。たとえば、次のようなフィルターを設定すると、始点アドレスが192.168.10.2のIPパケットに対して、内部的なユーザープライオリティー7が付与されます。
ADD SWITCH L3FILTER MATCH=SIPADDR SCLASS=HOST ↓
ADD SWITCH L3FILTER=1 ENTRY SIPADDR=192.168.10.2 PRIORITY=7 ACTION=SENDCOS ↓
パケット送信時には、プライオリティーとキューのマッピング設定にしたがい、プライオリティー7に対応するキューに該当パケットが入れられます。
■ 次の例では、SSHトラフィックをユーザープライオリティー5に相当するキューから送出します。
ADD SWITCH L3FILTER MATCH=PROTOCOL,TCPDPORT ↓
ADD SWITCH L3FILTER MATCH=PROTOCOL,TCPSPORT ↓
ADD SWITCH L3FILTER=1 ENTRY PROTOCOL=TCP TCPDPORT=22 PRIORITY=5 ACTION=SENDCOS ↓
ADD SWITCH L3FILTER=2 ENTRY PROTOCOL=TCP TCPSPORT=22 PRIORITY=5 ACTION=SENDCOS ↓
ハードウェアIPフィルターの詳細については、「スイッチング」/「ハードウェアIPフィルター」をご覧ください。
(C) 2000 - 2006 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M6873-04 Rev.E