[index] CentreCOM 9924Ts コマンドリファレンス 3.1

運用・管理/記憶装置とファイルシステム


  - 物理デバイス
   - NVS
   - フラッシュメモリー
  - ファイルシステム
   - ファイル名
   - ワイルドカード
   - ファイルの操作


本製品の2次記憶装置とファイルシステムについて説明します。

 

物理デバイス

本製品は、システム再起動後もデータが保持される2次記憶装置として、NVS(Non-Volatile Storage)とフラッシュメモリーを搭載しています。

NVSとフラッシュメモリー上には独自のファイルシステムが構築されており、ファイル単位でデータにアクセスすることが可能です。詳しくは次節「ファイルシステム」をご覧ください。

 

NVS

NVS(Non-Volatile Storage:バッテリーバックアップされたCMOSメモリー)は小容量の記憶装置で、モジュールのコンフィグレーションテーブルや、パッチファイル、スクリプトファイルなどを保存できます。コマンド上での名称は「nvs」です。

■ NVS上のファイルシステムに関する情報はSHOW NVSコマンドで確認できます。


 

フラッシュメモリー

フラッシュメモリーは(NVSに比べて)大容量の記憶装置で、ファームウェア(パッケージ)ファイル、設定スクリプトファイルなどを保存するために使います。

フラッシュメモリーは一般的なコンピューターのハードディスクに相当する記憶装置です。通常のファイル操作はこのメモリーに対して行います。後述するファイルの操作では、デバイス名を省略するとフラッシュメモリー上のファイルに対する操作となります。コマンド上での名称は「flash」です。

■ フラッシュメモリー上のファイルシステムに関する情報はSHOW FLASHコマンドで確認できます。


 

ファイルシステム

本製品では、NVSとフラッシュメモリー上にファイルシステムが構築されており、物理デバイス上のデータを「ファイル」としてアクセスすることが可能です。このとき、物理デバイスの違いを意識する必要はありません。

 

ファイル名

ファイル名は次の形式で表されます。device:は省略可能です。


表 1
device デバイス名。flash(フラッシュメモリー)、nvs(NVS)のいずれか。大文字・小文字の区別はありません。省略時はflashを指定したことになります
filename ファイル名(ベース名)。文字数は「filename.ext」(ファイル名、ピリオド、拡張子)全体で1〜32文字。大文字・小文字の区別はありません
ext 拡張子。文字数は「filename.ext」(ファイル名、ピリオド、拡張子)全体で1〜32文字。大文字・小文字の区別はありません


■ ファイル名(ベース名)に使用できる文字は以下のとおりです。


Note - 半角記号 " * / : < > ? \ | は使用できません。

Note - コマンド中で名前に半角空白か等号(=)を含むファイルを指定する場合は、ファイル名全体をダブルクォート(")で囲んでください。

Note - 「ピリオドだけ」をファイル名(ベース名)とするファイルを作成した場合(例:..cfg)、該当ファイルをDELETE FILEコマンドで削除できなくなりますのでご注意ください。

■ 以下の名前はファイル名(ベース名)として使用できません。


■ 拡張子に使用できる文字は以下のとおりです。ファイル名(ベース名)とほぼ同じですが、ピリオドは使用できません(最後のピリオドより後が拡張子とみなされるため)。


Note - 半角記号 " * . / : < > ? \ | は使用できません。

■ 次におもな拡張子の一覧を示します。

表 2
拡張子
ファイルタイプ
pkg ファームウェアパッケージファイル
bin ブートローダーイメージファイル。システムの起動に必要なファイルです。絶対に削除しないでください
core コアダンプファイル
cfg 設定スクリプトファイル。システムの設定情報を保存します。scpとの間に明確な区別はありませんが、慣例として設定内容を保存するスクリプトにはcfgを使います
scp 実行スクリプトファイル。cfgとの間に明確な区別はありませんが、慣例としてトリガースクリプトやバッチファイル的なスクリプトにはscpを使います
hlp オンラインヘルプファイル。SET INSTALLコマンドのHELPパラメーターで設定し、HELPコマンドで閲覧します
lic ライセンスファイル。ファームウェア(パッケージ)や追加機能(フィーチャー)のライセンス情報を格納しているファイルです。絶対に削除しないでください
ins 起動時に読み込むファームウェアや設定ファイルの情報を格納しているファイルです
dhc DHCPサーバーの設定情報ファイルです。DHCPサーバーに関する設定を行うと自動的に作成されます
txt プレーンテキストファイル


■ 以下のファイルは特殊な役割を持ちます。他のファイルも同様ですが、ファイルの取り扱い(削除、リネームなど)にはご注意ください。

表 3
ファイル名
役割
boot.cfg デフォルトの起動スクリプトファイル。SET CONFIGコマンドで起動スクリプトが設定されていない(none)ときは、本ファイルが存在していれば起動時に自動実行されます。起動スクリプトが設定されている場合は、設定されているファイルが実行されます。
config.ins 起動時に読み込む設定スクリプト(起動スクリプト)ファイルの情報を保存しているファイル。SET CONFIGコマンドを実行すると作成(上書き)されます。削除しないようご注意ください。
prefer.ins 起動時にロードするファームウェアファイルの情報を保存しています。削除しないようご注意ください。
enabled.sec セキュリティーモードへの移行時に自動作成されるファイル。システムに対し、起動時にセキュリティーモードへ移行すべきことを示すファイルです。
base_pkg.lic ファームウェアライセンスファイル。ファームウェア(パッケージ)のライセンス情報を持つファイルです。削除しないようご注意ください。
feature.lic フィーチャーライセンスファイル。追加機能(フィーチャー)のライセンス情報を持つファイルです。削除しないようご注意ください。
login.txt Welcomeメッセージ(ログインバナー)ファイル。本ファイルが存在している場合、ログインプロンプトの前に本ファイルの内容が表示されます。
autoexec.scp Userログイン時自動実行スクリプトファイル。本ファイルが存在している場合、Userレベルのユーザーがログインした直後に本ファイルの内容が自動的に実行されます。Managerレベル、Security Officerレベルのユーザーがログインしたときには実行されません。
snmpengn.sec SNMPv3用の設定情報保存ファイル。SET SNMP ENGINEIDコマンドやENABLE SNMPコマンドを実行すると作成(上書き)されます。削除しないようご注意ください。


Note - NVS、フラッシュメモリー上のファイルシステムには、ディレクトリー(フォルダー)の概念はありません。

 

ワイルドカード

ファイルを操作するコマンドの中には、ワイルドカード *(アスタリスク)と |(縦棒)を使って複数のファイルを一度に指定できるものがあります。

表 4:ワイルドカードの意味
ファイル名のどの部分で使うか
*(アスタリスク)
|(縦棒)
デバイス(device:)の指定においては 単独で「任意のデバイス」を示す。単独以外の使い方はできない 使用できない
ベース名(filename)の指定においては 単独で「任意のベース名」を示す。通常の文字列または縦棒と組み合わせた場合は「前方一致」の指定となる(単独でない場合、アスタリスクはベース名の末尾にのみ置くことができる) 「任意の一文字」を示す
拡張子(ext)の指定においては 単独で「任意の拡張子」を示す。通常の文字列または縦棒と組み合わせた場合は「前方一致」の指定となる(単独でない場合、アスタリスクは拡張子の末尾にのみ置くことができる) 「任意の一文字」を示す


以下、ワイルドカードの具体例を示します。

■ ファイルシステム(フラッシュメモリー、NVS)上にあるすべてのファームウェアパッケージファイル(.pkg)


■ フラッシュメモリー上にあるすべてのテキストファイル(.txt)


■ NVS上にあるすべてのスクリプトファイル(.scp)


■ フラッシュメモリー上にある、ベース名がaで始まるすべての設定ファイル(.cfg)


Note - 後方一致(*base.cfg)や中間一致(*foo*.cfg)は使えません。

■ フラッシュメモリー上にある、ベース名が4文字で、かつ、ベース名がzで終わるすべてのファイル


■ ワイルドカードが使えるコマンドには以下のようなものがあります。

 

ファイルの操作

おもなファイル操作についてコマンド例を示します。

■ ファイルの一覧は、SHOW FILEコマンドで表示できます。


■ 特定ファイルの一覧を見たいときはワイルドカードを使います。


■ ファイルの内容を見るには、SHOW FILEコマンドで(ワイルドカードでない)ファイル名を指定します。ただし、SHOW FILEコマンドで見ることができるのはテキスト形式のファイル(.txt、.scp、.cfgなど)だけです。


■ ファイルを削除するにはDELETE FILEコマンドを使います。ワイルドカードで複数ファイルをまとめて消すことも可能です。


Note - config.ins、prefer.ins、base_pkg.lic、feature.licは、システムの動作に必要なファイルです。誤って削除しないようご注意ください。

Note - ワイルドカードを使ってファイルを削除するときは、必要なファイルまで削除してしまわないよう十分にご注意ください。

Note - 削除したファイルを元に戻すことはできません。ファイル操作時は十分注意を払ってください。

■ ファイルをコピーするにはCOPYコマンドを使います。


■ ファイル名を変更するにはRENAMEコマンドを使います。


■ テキスト形式のファイルを編集するには、EDITコマンド(内蔵フルスクリーンエディター)を使います。


LOADコマンドを使って、別のコンピューターからファイルをダウンロードすることもできます。次の例ではTFTPサーバー192.168.1.11からlong.scpをフラッシュメモリーにダウンロードしています。ダウンロードには、HTTPやZMODEMを使うこともできます。


UPLOADコマンドを使えば、テキスト形式のファイルをTFTPサーバーにアップロードすることができます。次の例では、設定スクリプトtaisetsu.cfgをTFTPサーバーにアップロードします。ZMODEMによるアップロードも可能です。


Note - TFTPサーバーの実装(UNIX系OSのtftpdなど)によっては、サーバー上にあらかじめファイルを作成しておかないとファイルのアップロードができないものがあります。これは、ファイルの新規作成に失敗するためです。このような場合は、サーバー上で空のファイルを作成し、すべてのユーザーに書き込み権限を与えてからアップロードしてみてください。








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