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CentreCOM 9924Ts コマンドリファレンス 3.1
IP/IPインターフェース
- VLANインターフェースの指定方法
- IPインターフェースの作成・削除
- DHCPによるIPアドレス自動設定
- マルチホーミング
- 始点IPアドレスの決定
- ローカルIPインターフェース
- ディレクティドブロードキャストパケットフィルタリング
IPインターフェースは、IPパケットの送受信を行うためのインターフェースです。IPモジュールを有効にし、IPインターフェースを複数作成した時点でIPパケットの転送(ルーティング)が行われるようになります。
IPインターフェースは、ADD IP INTERFACEコマンドでVLANにIPアドレス(とネットマスク)を割り当てることによって作成します。
IP関連の設定時には下位のインターフェースとしてVLANを指定する場面が数多くあります。VLANインターフェースの指定方法を次に示します。
- VLAN名による指定
VLAN名が「myname」なら、vlan-mynameのように「vlan-」+VLAN名と指定します。次に例を示します。
ADD IP INT=vlan-myname IP=192.168.100.10 MASK=255.255.255.0 ↓
- VLAN ID(VID)による指定
VIDが10ならば、vlan10のように「vlan」+VIDのように指定します。VLAN名のときとは異なり、ハイフンが入らないことに注意してください。
ADD IP INT=vlan10 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ IPインターフェースを作成するにはADD IP INTERFACEコマンドを使って、VLANにIPアドレスとネットマスクを割り当てます。ネットマスク省略時は、指定したIPアドレスのクラス標準マスクが使用されます。
ADD IP INT=vlan-white IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0 ↓
Note
- 複数のインターフェースに対し、同一サブネットのIPアドレスを割り当てることはできません。たとえば、vlan-whiteにIPアドレス192.168.100.1、ネットマスク255.255.255.0を割り当てた場合、192.168.100.2〜192.168.100.254の範囲は同一IPサブネットになるので、この範囲を他のインターフェースに割り当てることはできません。
■ IPインターフェースの設定を変更するにはSET IP INTERFACEコマンドを使います。
SET IP INT=vlan-white IP=192.168.100.20 MASK=255.255.255.0 ↓
■ IPインターフェースを削除するにはDELETE IP INTERFACEコマンドを使います。
DELETE IP INT=vlan-white ↓
■ 割り当てられたIPアドレスなど、IPインターフェースの情報はSHOW IP INTERFACEコマンドで確認できます。
Note
- IPアドレスを設定できるVLANインターフェースの数に制限はありません。
ネットワーク上のDHCPサーバーを利用して、VLANインターフェースのIPアドレスを自動設定することもできます(DHCPクライアント機能)。
Note
- 本製品はDHCPサーバーとして、クライアントにIPアドレスやIPパラメーターを割り当てることもできます。ここで説明しているのは、本製品がDHCPクライアントとして別のDHCPサーバーからアドレスをもらうための設定です。DHCPサーバー機能については、「DHCPサーバー」の章をご覧ください。
- IPアドレスの動的設定機能を有効にします。DHCPクライアント機能を使うときは、必ず最初に動的設定を有効にしてください。
Note
- ENABLE IP REMOTEASSIGNコマンドの実行を忘れると、DHCPサーバーからアドレスの割り当てを受けても、インターフェースにはアドレスが設定されません。SHOW DHCPコマンドではIPアドレスを取得したと表示されるにもかかわらず、SHOW IP INTERFACEコマンドではIPアドレスが「0.0.0.0」のままといった場合は、SHOW IPコマンドを実行して、「Remote IP address assignment」がEnabledになっているかどうかを確認してください。DisabledのときはENABLE IP REMOTEASSIGNを実行し、その後該当するIPインターフェースをDELETE IP INTERFACEコマンドでいったん削除し、再度DHCPを指定してください。
- IPインターフェースを作成します。このとき、IPパラメーターにDHCPを指定します。
ADD IP INT=vlan-auto IP=DHCP ↓
■ DHCPでIPアドレスを配布するインターネットサービスプロバイダー(ISP)をご利用の場合、接続認証用の「コンピューター名」を指定されることがあります。その場合は、DHCPクライアント機能の設定に先立ち、SET SYSTEM NAMEコマンドで指定されたコンピューター名を設定してください。これにより、同コマンドで設定したコンピューター名が、DHCPパケットのHostnameフィールドにセットされて送信されるようになります。
SET SYSTEM NAME="mycomputername" ↓
■ 本製品のDHCPクライアント機能では、IPアドレス、サブネットマスクに加え、DNSサーバーアドレス(2個まで)とデフォルトルート、ドメイン名の情報も取得・自動設定できます。
■ DHCPサーバーから割り当てられたIPアドレス、DNSサーバーアドレス、ゲートウェイアドレスなどは、SHOW DHCPコマンドで確認できます(「DHCP Client」セクションに表示されます)。
■ インターフェースに設定されたIPアドレスは、SHOW IP INTERFACEコマンドで確認します。
■ デフォルトルートはSHOW IP ROUTEコマンドで確認します。「Destination」が0.0.0.0のエントリーがデフォルトルートです。
■ DNSサーバーアドレスの設定状況は、SHOW IPコマンドで確認します。「Name Server」、「Secondary Name Server」欄をご覧ください。
マルチホーミングは、1つのVLAN上に複数の論理IPインターフェースを作成する機能です。この機能はIPエイリアスなどとも呼ばれ、同一物理セグメント上に複数のIPサブネットを混在させることができます。論理インターフェースは1VLANあたり16個まで作成できます。
論理インターフェースは「VLAN-name-n」、または、「VLANvid-n」の形式で指定します(nameはVLAN名、vidはVLAN ID)。「n」は論理インターフェース番号(0〜15)です。「-n」を省略した場合は、論理インターフェース0を指定したことになります(VLAN-name-0またはVLANvid-0)。
■ VLAN white上にIPインターフェースを2つ作成します。「vlan-white-0」は単に「vlan-white」と書いてもかまいません。
ADD IP INT=vlan-white-0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=vlan-white-1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
■ 上と同じ設定をVLAN IDで指定するときは次のようにします。「vlan10-0」は「vlan10」と書くこともできます。
ADD IP INT=vlan10-0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=vlan10-1 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0 ↓
Note
- 複数のインターフェースに対し、同一サブネットのIPアドレスを割り当てることはできません。たとえば、vlan-white-0にIPアドレス192.168.10.1、ネットマスク255.255.255.0を割り当てた場合、192.168.10.2〜192.168.10.254の範囲は同一IPサブネットになるので、この範囲を他のインターフェース(たとえばvlan-white-1)に割り当てることはできません。この制限はマルチホーミングによる論理インターフェースに限らず、すべてのインターフェースに適用されます。
Note
- マルチホーミングによってVLAN上に複数のIPインターフェースを作成した場合、そのVLANではDHCPサーバー機能、DHCP/BOOTPリレー機能を使用できません。DHCPサーバー機能、DHCP/BOOTPリレー機能を使用するVLANではマルチホーミングを使わないでください。
Note
- マルチホーミングとVRRPは併用できません。
ルーター(レイヤー3スイッチ)は複数のインターフェースを持つため、IPアドレスも複数あるのが普通です。ルーター本来の役割を果たすとき、すなわち他のホストが送信したパケットを中継するときには、IPパケットにルーター自身のIPアドレスが入ることはありません。
しかし、ルーター自身がパケットを送信するときには、複数あるIPアドレスのどれが始点アドレスとして使われるのかが重要なケースがあります。ここでは、本製品自身が送信するパケットの始点アドレスとして、どのアドレスが使われるのかを例を挙げながら解説します。
本製品自身がIPパケットを送信するとき、始点アドレスは以下の基準にしたがって決定されます。
- コマンドで始点アドレスまたは始点インターフェースを明示的に指定した場合は、そのアドレスが使用される。PINGコマンドのSIPADDRESSパラメーターやADD BGP PEERコマンドのLOCALパラメーターなどがこれに当たる。
- 1に該当せず、なおかつ、デフォルトローカルIPインターフェース(LOCAL)のIPアドレスが指定されている場合は、そのアドレスが使用される。デフォルトローカルIPインターフェースのアドレスは、SET IP LOCALコマンドで指定する。
- 1、2のいずれにも該当しない場合は、パケットを送出するインターフェースのIPアドレスが始点アドレスとして使用される。
ローカルIPインターフェース(ループバックインターフェース)は、下位層(物理層/データリンク層)との関連を持たない仮想的なIPインターフェースです。物理的なインターフェースに割り当てたIPアドレスは、該当インターフェースのリンクダウンにより到達不能になる可能性がありますが、ローカルIPインターフェースは下位層の状態に依存しないため、このインターフェースのIPアドレスを広告することで、本製品への到達性を高めることができます。
ローカルIPインターフェースに割り当てたアドレスは、本製品が送信するRIP、OSPF、BGP-4、RADIUS、SNMP、PIM、NTP、Pingパケットなどの始点アドレスとして使用することができます。
■ ローカルIPインターフェースを作成するには、ADD IP LOCALコマンドを使います。ローカルIPインターフェースは15個まで作成可能です。LOCALパラメーターにはローカルIPインターフェース番号(1〜15)を指定します。作成したローカルIPインターフェースには「localX」形式の名前が付きます(Xは番号。1〜15)。
ADD IP LOCAL=1 IP=192.168.0.1 ↓
■ ローカルIPインターフェースのIPアドレスを変更するには、SET IP LOCALコマンドを使います。
SET IP LOCAL=1 IP=172.28.0.1 ↓
■ ローカルIPインターフェースを削除するには、DELETE IP LOCALコマンドを使います。
■ ローカルIPインターフェースの情報を確認するには、SHOW IP INTERFACEコマンドを使います。「localX」がローカルIPインターフェースです。なお、「LOCAL」はデフォルトのローカルIPインターフェース(後述)です。
■ デフォルトローカルIPインターフェースは、システム起動時に自動的に作成されるローカルIPインターフェースです。SHOW IP INTERFACEコマンドでは、インターフェース名「LOCAL」として表示されます。
ADD IP LOCALコマンドで作成する通常のローカルIPインターフェースには任意のIPアドレスを割り当てることができますが、デフォルトローカルIPインターフェースに割り当てるアドレスは、実インターフェースに設定されているIPアドレスのどれか1つでなくてはなりません。
すなわち、デフォルトローカルIPインターフェースは、独立したインターフェースというよりも、本製品が持つ複数のIPインターフェースの中でどれを「デフォルト」のインターフェースとして使うか(どのインターフェースのアドレスをデフォルトのIPアドレスとして使うか)を指定するものといえます。
デフォルトローカルIPインターフェースのIPアドレスを指定するには、SET IP LOCALコマンドを使います。LOCALパラメーターには値を指定しないか、キーワードDEFAULTを指定してください。また、IPパラメーターには、実インターフェースに割り当てたIPアドレスのうちの1つを指定してください。これにより、指定したアドレスがデフォルトのIPアドレスとして使用されるようになります。
SET IP LOCAL IP=192.168.10.1 ↓
または
SET IP LOCAL=DEFAULT IP=192.168.10.1 ↓
■ ローカルIPインターフェースは、以下の各機能で使用することができます。
- RADIUSクライアント
RADIUS要求パケットの始点IPアドレスとして、任意のローカルIPインターフェースのアドレスを使用することができます。使用するローカルIPインターフェースは、通信相手のRADIUSサーバーごとにADD RADIUS SERVERコマンドのLOCALパラメーターで指定します。
ADD RADIUS SERVER=192.168.10.5 PORT=1812 ACCPORT=1813 SECRET=hgap9er LOCAL=1 ↓
- SNMP
SNMPパケットの始点IPアドレスとして、任意のローカルIPインターフェースのアドレスを使用することができます。本製品はSNMPの各バージョン(v1/v2c/v3)に対応していますが、バージョンごとに異なるローカルIPインターフェースを使用することも可能です。使用するローカルIPインターフェースは、SET SNMP LOCALコマンドで指定します。
SET SNMP LOCAL=1 VERSION=ALL ↓
- BGP-4
BGPパケットの始点IPアドレスとして、任意のローカルIPインターフェースのアドレスを使用することができます。使用するローカルIPインターフェースは、通信相手のBGPピアごとにADD BGP PEERコマンド、SET BGP PEERコマンドのLOCALパラメーターで指定します。また、BGPピアテンプレートを使用する場合は、ADD BGP PEERTEMPLATEコマンド、SET BGP PEERTEMPLATEコマンドのLOCALパラメーターで指定します。
ADD BGP PEER=192.168.0.2 REMOTEAS=65001 LOCAL=1 ↓
また、BGP識別子(ルーターID)としてデフォルトローカルIPインターフェース(LOCAL)のアドレスが使用されることもあります。本製品のデフォルト動作では、インターフェースに設定されたIPアドレスの中でもっとも大きなものがBGP識別子(ルーターID)として使われます。ただし、SET BGPコマンドのROUTERIDパラメーターでルーターIDを明示的に指定した場合はその値が使われます。また、明示的に指定していない場合でも、SET IP LOCALコマンドでデフォルトローカルIPインターフェース(LOCAL)のアドレスを指定している場合は、そのアドレスがルーターIDとして使われます。
ディレクティドブロードキャストパケットフィルタリング |
デフォルトでは、配下のネットワークに対するサブネット/ネットワーク指定ブロードキャストは該当ネットワークに転送されません(ディレクティドブロードキャストパケットフィルタリング)。ディレクティドブロードキャストパケットはサービス妨害(DOS)攻撃などで悪用される恐れがあるため、デフォルト状態のままご使用になることをお勧めします。
■ ディレクティドブロードキャストパケットフィルタリングの設定はIPインターフェースごとに行います。マルチホーミングを使用している場合は、論理インターフェースごとに設定できます。
ADD IP INTERFACEコマンド、SET IP INTERFACEコマンドのDIRECTEDBROADCASTパラメーターにOFFを指定するとフィルタリングが有効になります(デフォルト)。一方、ONを指定するとフィルタリングが無効になり、該当インターフェース配下のネットワークに対するブロードキャストパケットが転送されるようになります。
ADD IP INT=vlan-white DIRECTEDBROADCAST=ON ↓
SET IP INTERFACE=vlan-white DIRECTEDBROADCAST=OFF ↓
デフォルトではフィルタリングが有効です。前述の理由により、デフォルト設定のままご使用になることをお勧めします。
ディレクティドブロードキャストパケットのフィルタリングが有効な場合(転送不許可の場合)は、ディレクティドブロードキャストパケットを受信すると、メッセージタイプ「IPFIL」でサブタイプ「FRAG」のログメッセージが生成されます。
■ ディレクティドブロードキャストパケットフィルタリングの設定はSHOW IP INTERFACEコマンドで確認できます。「DBcast」の項目が「No」ならフィルタリングが有効(転送しない)、「Yes」ならフィルタリングが無効(転送する)です。
(C) 2005 - 2007 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000276 Rev.C