[index] AT-DC2552XS コマンドリファレンス 2.5.3.1

運用・管理 / SNMP


  - SNMPv1/SNMPv2c
   - 基本設定
   - その他
  - SNMPv3
   - 基本設定
   - その他
  - SNMPv1/v2c/v3の共通事項

本製品は、ネットワーク管理プロトコルSNMP(Simple Network Management Protocol)のバージョン1(SNMPv1)、バージョン2c(SNMPv2c)、バージョン3(SNMPv3)に対応しています。

SNMPv3では、認証・暗号化機能やMIBオブジェクトへのアクセス制御など大幅な拡張がなされています。そのため、バージョン1、2cとバージョン3では設定方法が大きく異なります。以下では、最初にバージョン1、2cの設定を紹介し、その後バージョン3の設定について解説します。

Note - SNMPを利用するには、事前にIPの設定が必要です。IPの設定については、「IP」の「一般設定」をご覧ください。

SNMPv1/SNMPv2c

ここでは、SNMPv1/SNMPv2cの設定方法について解説します。

基本設定

SNMPv1/SNMPv2cを利用するために必要な最小限の設定を紹介します。以下の例では、IPの設定は終わっているものとします。IPの設定については、「IP」の「一般設定」をご覧ください。

ここでは、SNMPコミュニティー「viewers」を定義し、次のようなアクセス権を設定します。


  1. SNMPエージェントを有効にします。

    awplus(config)# snmp-server
    


  2. SNMPコミュニティーを作成します。ここでは、読み出しのみ(ro)が可能なコミュニティー「viewers」を作成しています。

    awplus(config)# snmp-server community viewers ro
    


    Note - コミュニティー名は大文字と小文字を区別するのでご注意ください。

    Note - コミュニティー名はSNMPにおいてパスワードのような役割を果たします。よく考えた上で命名してください。特に、書き込み権限のあるコミュニティー名の設定には注意が必要です。不用意に書き込み権限のあるコミュニティーを作成すると、スイッチの設定を外部から変更されてしまう可能性がありますのでご注意ください。

    Note - 多くのネットワーク機器やSNMPマネージャーソフトには、慣例として読み出し権限のみのコミュニティーとして「public」が、書き込み権限ありのコミュニティーとして「private」が初期設定されています。

  3. SNMPコミュニティー「viewers」に通知メッセージ(TRAP/InformRequest)の送信先ホストを追加します。通知メッセージは、ここで指定したホストにのみ送信されます。通知メッセージの送信先を追加するときは、送信するメッセージのバージョンと形式を指定する必要があります。ここでは、192.168.10.2に対してはバージョン2c TRAP形式で、192.168.20.2に対してはバージョン2c InformRequest形式で送信するよう設定します。

    awplus(config)# snmp-server host 192.168.10.2 traps version 2c viewers
    awplus(config)# snmp-server host 192.168.20.2 informs version 2c viewers
    


  4. 有効にする通知メッセージの種類を指定します。
    Note - リンクステータス通知メッセージの制御は、snmp-server enable trapコマンドではなくsnmp trap link-statusコマンドで行います。

    Note - 本製品がサポートする通知メッセージについては、snmp-server enable trapコマンドのページをご覧ください。

基本設定は以上です。

これにより、ネットワーク上のSNMP管理ホストから本製品に対してポーリングを行い、MIB情報を取得できるようになります。また、本製品からのSNMP通知メッセージが送信先ホストに送信されるようになります。

その他

■ 通知メッセージの送信先を追加するには、snmp-server hostコマンドを使います。次の例では、バージョン1 TRAPの送信先として「192.168.10.10」を追加しています。

awplus(config)# snmp-server host 192.168.10.10 traps version 1 viewers


たとえば、192.168.10.10にはSNMPv1形式のTRAPを送り、192.168.10.20にはSNMPv2c形式のTRAPを送るには、次のように設定します。

awplus(config)# snmp-server host 192.168.10.10 traps version 1 viewers
awplus(config)# snmp-server host 192.168.10.20 traps version 2c viewers


Note - 通知ホストを追加するときは、通知メッセージのバージョンと形式を指定してください。SNMPv1/v2cで有効な指定は、「traps version 1」(バージョン1 TRAP)、「traps version 2c」(バージョン2 TRAP)、「informs version 2c」(バージョン2 InformRequest)の3種類です。

■ 書き込み権限のあるコミュニティーを作成するには、snmp-server communityコマンドの権限指定時にroではなくrwを指定します(権限省略時は読み込みのみ(ro)と見なされます)。次の例では、書き込み権限のあるコミュニティー「admins」を作成しています。

awplus(config)# snmp-server community admins rw


■ SNMPv1/SNMPv2cの設定を確認するには、show snmp-serverコマンド、show snmp-server communityコマンドを使います。また、show running-configコマンドにオプション「snmp」を付けて、「show running-config snmp」のように実行すると、ランニングコンフィグのうち、snmp関連の設定だけを見ることができます。

awplus# show running-config snmp
snmp-server enable trap auth
snmp-server community viewers
snmp-server host 192.168.20.2 version 2c viewers


SNMPv3

ここでは、SNMPv3の設定方法について解説します。

基本設定

SNMPv3を利用するために必要な最小限の設定を紹介します。以下の例では、IPの設定は終わっているものとします。

ここでは、SNMPビュー「most」を定義し、次のようなアクセス権を設定します。

  1. SNMPエージェントを有効にします。

    awplus(config)# snmp-server
    


  2. ビューを定義します。ビューは、MIBツリーのどの部分にアクセスさせるかを定義するものです。

    ここでは、internetノード(1.3.6.1)以下を表すビュー「most」と、mib-2ノード(1.3.6.1.2.1)以下をあらわずビュー「standard」を作成します。

    awplus(config)# snmp-server view most 1.3.6.1 included
    awplus(config)# snmp-server view standard 1.3.6.1.2.1 included
    


    Note - ビュー名は大文字と小文字を区別するのでご注意ください。

  3. ユーザーグループを作成します。SNMPv3の設定では、ユーザーグループごとに、通信時の認証・暗号化の有無(セキュリティーレベル)とビューへのアクセス権を設定します。

    ここでは管理者グループ「admins」と閲覧者グループ「operators」を定義します。adminsグループのユーザーには、mostビューへのフルアクセス権を与えます。また、通信時には認証と暗号化の両方を必須とします。一方、operatorsグループのユーザーには、standardビューへの読み出しアクセス権だけを与えます。こちらは認証だけを必須とします。

    awplus(config)# snmp-server group admins priv read most write most notify most
    awplus(config)# snmp-server group operators auth read standard
    


  4. ユーザーを作成します。ユーザー作成時には所属グループを指定します。また、所属グループで定められたセキュリティーレベルにあわせて、認証・暗号化に使うプロトコルとパスワードを指定します。

    ここでは、adminsグループのユーザーsupervisor、administratorとoperatorsグループのユーザーzeinを作成します。

    awplus(config)# snmp-server user supervisor admins auth sha jogejoge priv des mugomugo
    awplus(config)# snmp-server user administrator admins auth md5 doonkeee priv des fooobarr
    awplus(config)# snmp-server user zein operators auth md5 fugafuga
    


  5. 通知メッセージ(TRAP/InformRequest)の送信先ホストを追加します。通知メッセージは、ここで指定したホストにのみ送信されます。通知メッセージの送信先を追加するときは、送信するメッセージのバージョンと形式を指定する必要があります。ここでは、192.168.10.2に対してはバージョン3 TRAP形式で、192.168.20.2に対してはバージョン3 InformRequest形式で送信するよう設定します。また、通知メッセージの送信時に使用するセキュリティーレベルとユーザー名も指定します。

    awplus(config)# snmp-server host 192.168.10.2 traps version 3 priv supervisor
    awplus(config)# snmp-server host 192.168.20.2 informs version 3 priv administrator
    


  6. 有効にする通知メッセージの種類を指定します。
    Note - リンクステータス通知メッセージの制御は、snmp-server enable trapコマンドではなくsnmp trap link-statusコマンドで行います。

    Note - 本製品がサポートする通知メッセージについては、snmp-server enable trapコマンドのページをご覧ください。

基本設定は以上です。

これにより、SNMPv3対応の管理ソフトウェアから本製品のMIB情報を取得できるようになります。また、本製品からの通知メッセージが送信先ホストに送信されるようになります。

その他

■ SNMPエンジンIDを変更するには、snmp-server engineid localコマンドを使います。

awplus(config)# snmp-server engineid local 001122334455667788


SNMPv1/v2c/v3の共通事項

■ 本製品の設置場所(system.sysLocation.0)を設定するにはsnmp-server locationコマンドを使います。

awplus(config)# snmp-server location 5F@UPD3


■ 本製品の管理責任者(system.sysContact.0)を設定するにはsnmp-server contactコマンドを使います。

awplus(config)# snmp-server contact netadmin@example.com


■ 本製品のシステム名(system.sysName.0)を設定するには、hostnameコマンドを使います。システム名を設定すると、コマンドプロンプトにシステム名が表示されるようになります。

awplus(config)# hostname myswitch
myswitch(config)# 


■ システム名を初期値に戻すには、hostnameコマンドをno形式で実行します。

myswitch(config)# no hostname
awplus(config)# 

Note - ホスト名を設定していない場合、コマンドプロンプトの表示はawplusですが、sysNameの値は空文字列となります。

■ 本製品は次のRMONグループをサポートしています。

RMONの設定は、通常SNMPマネージャーを用いてRMON MIBの各テーブルにエントリーを作成することで行いますが、CLIから以下のコマンドを実行して行うことも可能です。

■ SNMPエージェントを無効にするには、snmp-serverコマンドをno形式で実行します。なお、SNMPエージェントを無効にしても、その他のSNMP設定は削除されません。

awplus(config)# no snmp-server


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PN: 613-001633 Rev.C