[index] CentreCOM FS900Sシリーズ コマンドリファレンス 1.0.0

バーチャルLAN/概要・基本設定


  - デフォルトVLAN
  - ポートVLAN
  - タグVLAN
   - VLANタグ対応サーバーの共用
   - VLANタグを利用したスイッチ間接続
  - マルチプルVLAN


バーチャルLAN(VLAN)は、スイッチの設定によって論理的にブロードキャストドメインを分割する機能です。レイヤー2スイッチは、宛先MACアドレスとフォワーディングデータベースを用いて不要なトラフィックをフィルタリングする機能を持ちますが、未学習の宛先MACアドレスを持つユニキャストフレームと、マルチキャスト/ブロードキャストフレームは全ポートに出力します。VLANを作成して、頻繁に通信を行うホスト同士をグループ化することにより、不要なトラフィックの影響を受ける範囲を限定し、帯域をより有効に活用できるようになります。


 

デフォルトVLAN

ご購入時の状態ではすべてのポートがVLAN default(VID=1)に所属しており、相互に通信可能な状態になっています。


 

ポートVLAN

ポートVLANは、ポート単位でVLANの範囲を設定する基本的なVLANです。

  1. 新規にVLANを作成するにはCREATE VLANコマンドを使います。VLAN作成時には、VLAN名とVLAN ID(VID)を割り当てる必要があります。VLAN名は任意の文字列(ただし、先頭が数字の文字列と「default」、「ALL」は使用できません)、VIDは2〜4094の範囲の任意の数値(1はVLAN defaultのために予約済みです)です。ここでは、4つのVLAN、A(VID=10)、B(VID=20)、C(VID=30)、D(VID=40)を作成します。


    これ以降、VLAN名を指定するときはVLAN名、VIDのどちらを使ってもかまいません。ここではVLAN名を使います。

  2. VLANを作成したら、ADD VLAN PORTコマンドでVLANにポートを割り当てます。ここでは、VLAN Aにポート9を、VLAN Bにポート1〜3を、VLAN Cにポート4〜6、VLAN Dにポート7〜8を割り当てます。


    このようにしてポートをdefault以外のVLANに割り当てると、そのポートは自動的にVLAN defaultから削除されます。すなわち、9ポートの製品であるFS909Sで上記の設定を終えるとVLAN defaultには所属ポートが1つもない状態になります。


これで、物理的には1台のスイッチでありながら、ネットワーク的には4台のスイッチに分割されたような状態となります。VLAN A、B、C、Dは完全に独立しており、互いに通信することはできません。

■ VLANの情報を確認するには、SHOW VLANコマンドを使います。

■ VLANからポートを削除するには、DELETE VLAN PORTコマンドを使います。例えば、ポート7と8をVLAN Dから削除するには、次のように設定します。default以外のVLANから削除されたポートは、自動的にVLAN defaultの所属に戻ります。


■ ポートが所属するVLANを変更する場合、例えば上記の例で、VLAN Dに所属していたポート8を、VLAN Bの所属に変更するような場合には、一度、ポート8をVLAN Dから削除してから、VLAN Bにポートを割り当ててください。

■ VLANを削除するには、DESTROY VLANコマンドを使います。VLANの削除は、所属ポートをすべて削除してからでないと行えません。VLAN Cを削除するには、次のように設定します。


Note - VLAN defaultは削除できません。

Note - VLANの設定は、ミラーポートの設定の前に行う必要があります。任意のポートのVLANの設定を変更(VLAN追加/削除、タグ付き/タグなしの変更)を行うときは、ミラーポートを一度解除し、VLAN変更後にミラーポートを再設定します。




 

タグVLAN

タグVLANを使用すると、1つのポートを複数のVLANに所属させることができます。これは、イーサネットフレームにVLAN IDの情報を挿入し、各フレームが所属するVLANを識別できるようにすることによって実現されます(802.1Q VLANタギング)。タグVLANは、複数のVLANを複数の筐体にまたがって作成したい場合や、802.1Q対応サーバーを複数VLANから共用したい場合などに利用します。

各ポートのVLAN設定には次のルールが適用されます。


 

VLANタグ対応サーバーの共用

VLANタグを利用して、ポート4を2つのVLANに所属させ、どちらのVLANからも802.1Q対応サーバーにアクセスできるように設定します。

Note - VLANタグを使用する場合、接続先機器もVLANタグ(802.1Q)に対応している必要があります。

ここでは次のようなネットワーク構成を例に説明します。


  1. VLAN A、Bを作成します。


  2. VLAN Aにポートを追加します。ポート1〜3はタグを使わない通常のポートに設定し、ポート4はタグを使用するポートとして設定します。VLANにタグ付きポートを追加するときは、ADD VLAN PORTコマンドのFRAMEパラメーターにTAGGEDを指定します。FRAMEパラメーターを付けなかったときはタグなし(UNTAGGED)となります。


  3. VLAN Bにポートを追加します。ポート5〜8はタグを使わない通常のポートに設定し、ポート4はタグを使用するポートとして設定します。


以上で設定は完了です。

これにより、ポート1〜8から送受信されるフレームは次のようになります。

表 1
ポート1〜3 送信 ポート1〜3から送信するフレームはVLAN A宛てのタグなしフレーム
受信 ポート1〜3で受信したタグなしフレームはVLAN A(VID=10)所属とみなされる
ポート4 送信 ポート4から送信するフレームは、VLAN A宛てならVID=10のタグ付きで、VLAN B宛てならVID=20のタグ付きで送信される
受信 ポート4ではVLAN A、B両方のトラフィックを受信する。受信するフレームはタグ付き。タグのVIDにより、所属VLANを判断する
ポート5〜8 送信 ポート5〜8から送信するフレームはVLAN B宛てのタグなしフレーム
受信 ポート5〜8で受信したタグなしフレームはVLAN B(VID=20)所属とみなされる


■ 上記の設定では、ポート4はVLAN defaultにも(タグなしポートとして)所属したままになっています。他にもVLAN default所属のポートがあってトラフィックが流れている場合、ポート4にもVLAN defaultのブロードキャストパケットが送出されます。これが望ましくない場合は、DELETE VLAN PORTコマンドを使って、ポート4をVLAN defaultから削除します。



 

VLANタグを利用したスイッチ間接続

VLANタグを利用して、2台のスイッチにまたがるVLANを作成します。ここでは次のようなネットワーク構成を例に説明します。ポート16をタグ付きに設定し、VLAN A、B両方のトラフィックがスイッチ間で流れるように設定します。


スイッチの設定(A、B共通)

  1. VLAN A、Bを作成します。


  2. VLAN Aにポートを追加します。ポート1〜5はタグを使わない通常のポートに設定し、ポート16はタグを使用するポートとして設定します。VLANにタグ付きポートを追加するときは、ADD VLAN PORTコマンドのFRAMEパラメーターにTAGGEDを指定します。FRAMEパラメーターを付けなかったときはタグなし(UNTAGGED)となります。


  3. VLAN Bにポートを追加します。ポート6〜15はタグを使わない通常のポートに設定し、ポート16はタグを使用するポートとして設定します。


設定は以上です。

■ 複数のスイッチにまたがるVLANを作成する場合は、各筐体で同じVLAN IDを設定するようにしてください。一方、VLAN名は個々の筐体内でしか意味を持たないので、スイッチごとに異なっていてもかまいません(ただし、混乱を防ぐ意味では同じ名前を付けた方がよいでしょう)。

■ 上記の設定では、ポート16はVLAN defaultにも(タグなしポートとして)所属したままになっています。他にもVLAN default所属のポートがあってトラフィックが流れている場合、ポート16にもVLAN defaultのブロードキャストパケットが送出されます。これが望ましくない場合は、DELETE VLAN PORTコマンドを使って、ポート16をVLAN defaultから削除します。


Note - VLANの設定は、ミラーポートの設定の前に行う必要があります。任意のポートのVLANの設定を変更(VLAN追加/削除、タグ付き/タグなしの変更)を行うときは、ミラーポートを一度解除し、VLAN変更後にミラーポートを再設定します。

 

マルチプルVLAN

CREATE VLANコマンドにPORTPROTECTEDオプションをつけると、Protected Ports VLANになります。Protected Ports VLANに属するポートには、アップリンク属性(UPLINKを指定)またはクライアント属性(グループ番号を指定)を設定します。
同一グループ番号同士のポート間では通信が可能ですが、グループ番号の異なるポート間では通信ができません。アップリンクポートとクライアントポート間での通信は可能です。
次に、Protected Ports VLANの設定例を示します。(この例は、インターネットマンションなどでの一般的な使用例です。)


  1. Protected Ports VLAN mvを作成します。


  2. VLANにポートを割り当てます。


設定は以上です。異なるグループ間では通信する事ができませんが、同じグループに属するポート同士、またはアップリンクポート間では通信が可能です。


■ Protected Ports VLANの設定には、次の決まりがあります。



Note - VLANの設定は、ミラーポートの設定の前に行う必要があります。任意のポートのVLANの設定を変更(VLAN追加/削除、タグ付き/タグなしの変更)を行うときは、ミラーポートを一度解除し、VLAN変更後にミラーポートを再設定します。


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