バーチャルシャーシスタック(VCS) / 運用


VCSグループの運用状態確認
前提事項
基本的な考え方
マスターの確認
スタックリンク
初期状態
マスターシャーシ障害
スレーブシャーシ障害
スタックリンク障害(一部分のみダウン)
スタックリンク障害(すべてダウン)
VCSグループ運用中のメンテナンス作業
メンバーシャーシの交換
メンバーシャーシの取り外し
メンバーシャーシの追加
コントロールファブリックカードの追加
コントロールファブリックカードの取り外し
スタックモジュール、スタックケーブルの交換
ファームウェアバージョンアップ
ISSUによるファームウェアバージョンアップ(ヒットレス・アップグレード)
ISSUによるファームウェアバージョンアップ(ローリング・アップグレード)
USBメモリー上のファームウェアを通常用ファームウェアに指定する


VCS運用中の状態確認方法、障害発生時の対処方法、メンテナンス作業の手順について解説します。

VCSグループの運用状態確認

VCSグループの運用状態は、コントロールファブリックカード(CFC)上のSYS STATUS/CFC LEDやSFP+スロットのL/A LED、CLIコマンドの出力などを見ることで確認できます。

前提事項

以下の説明は次の前提に基づいています。異なる構成の場合は適宜読み替えてください。


基本的な考え方

マスターの確認

どのCFCの SYS STATUS/CFC LED が緑に点灯しているかを確認します。CFC 4台構成なら、1台が緑点灯(Active)、残り3台は橙点灯(Backup)しているのが正常です。緑点灯(Active)のCFCがあるシャーシがマスター、そうでないシャーシはスレーブとなります。知らないうちにActiveのCFCが変わっていたら、何らかの原因によりCFCの切り替えが起きたと推測できます。Active CFCがシャーシをまたいで移動している場合は、VCSマスターの切り替えが起きています。また、Active CFCが 2 つ以上存在している場合は、CFC間のスタックリンクがすべてダウンしている可能性があります。SFP+の1~4 L/A LED でスタックリンクの状態を確認し、VCSグループが分断されていないか確認するとよいでしょう。

スタックリンク

SFP+の1~4 L/A LEDで各メンバー間のスタックリンクが正常かどうか確認します。CFC 4台構成なら、各CFC4ポートずつ、合計16ポートのLEDがすべて緑点灯しているのが正常です。1つでも消灯していたら、その部分のリンクに障害が発生しています。物理的に接続されているのに LED が消灯している場合はケーブルかモジュールの障害が考えられます。スタックリンク障害時は、まずはケーブルを交換してみて、それでもだめなら関連するメンバーを停止してモジュールを交換してみるのがよいでしょう。

初期状態

初期状態では、ID=1のシャーシがマスターとなり、ID=2のシャーシがスレーブとなります。
内部的には、CFC 1.5がActiveとなり、残りのCFCはすべてBackupとなっています。

このとき、LED表示は次のようになります。
シャーシ
CFC
SYS STATUS
SFP+
ID
Pri
状態
スロット
状態
CFC
1 L/A
2 L/A
3 L/A
4 L/A
1
64
マスター
5
Active
6
Backup
2
128
スレーブ
5
Backup
6
Backup

マスターシャーシ障害

マスターシャーシが何らかの原因でダウンすると、スレーブシャーシの中でUptime(稼働時間)の長いほうのCFCが新Activeに昇格し、結果としてスレーブシャーシがマスターシャーシに昇格します。

たとえば、初期状態でマスターとして動作していたID=1のシャーシ全体がダウンすると、次のようにID=2のシャーシがスレーブからマスターに昇格します。
(ここではCFC 2.5が新しいActive CFCになったと仮定しています)

このとき、LED表示は次のようになります。
シャーシ
CFC
SYS STATUS
SFP+
ID
Pri
状態
スロット
状態
CFC
1 L/A
2 L/A
3 L/A
4 L/A
1
64
ダウン
5
×
×
×
×
×
6
×
×
×
×
×
2
128
マスター
5
Active
×
×
×
×
6
Backup
×
×
×
×

ID=1のシャーシがダウン後に再起動してきた場合は、マスターではなくスレーブとしてVCSグループに復帰します。

このとき、LED表示は次のようになります。
シャーシ
CFC
SYS STATUS
SFP+
ID
Pri
状態
スロット
状態
CFC
1 L/A
2 L/A
3 L/A
4 L/A
1
64
スレーブ
5
Backup
6
Backup
2
128
マスター
5
Active
6
Backup

スレーブシャーシ障害

スレーブシャーシがダウンした場合は、ダウンしたシャーシ上のポートが使えなくなりますが、VCSグループ全体の状態は変化しません。

たとえば、スレーブとして動作していたID=2のシャーシ全体がダウンすると、次のようにID=1のシャーシがマスター、ID=2のシャーシがスレーブという状態のままVCSグループは動作し続けます。

このとき、LED表示は次のようになります。
シャーシ
CFC
SYS STATUS
SFP+
ID
Pri
状態
スロット
状態
CFC
1 L/A
2 L/A
3 L/A
4 L/A
1
64
マスター
5
Active
×
×
×
×
6
Backup
×
×
×
×
2
128
ダウン
5
×
×
×
×
×
6
×
×
×
×
×

ID=2のシャーシがダウン後に再起動してきた場合は、再びスレーブとしてVCSグループに復帰します。

これは初期状態で同じ。したがって、このときのLED表示も次のように初期状態と同じになります。
シャーシ
CFC
SYS STATUS
SFP+
ID
Pri
状態
スロット
状態
CFC
1 L/A
2 L/A
3 L/A
4 L/A
1
64
マスター
5
Active
6
Backup
2
128
スレーブ
5
Backup
6
Backup

スタックリンク障害(一部分のみダウン)

スタックリンクが一部分(CFC 4台構成なら1~7本、CFC 2台構成なら1~3本)のみダウンしても、VCSグループ全体の状態は変化しません。
たとえば、CFC 1.5・CFC 2.5間のスタックリンク2本がダウンすると次のような構成になりますが、各CFCの状態は変化せず、ID=1のシャーシがマスター、ID=2のシャーシがスレーブという状態のままVCSグループは動作し続けます。


スタックリンクが一部分のみダウンした場合、もっとも可能性が高いのはスタックケーブルの問題です。この場合は問題のあるケーブルを交換するだけで、VCSグループが元の構成に戻ります。

スタックリンク障害(すべてダウン)

スタックリンクがすべて(CFC 4台構成なら8本、CFC 2台構成なら4本)ダウンするとVCSグループが分断されてしまいます。
VCSグループが分断されると、マスターシャーシからスタックリンク的に切り離されてしまったスレーブシャーシもマスターに昇格し、ネットワーク上に複数のマスターが存在する状態となります。

VCSグループ運用中のメンテナンス作業

メンバーシャーシの交換

メンバーシャーシの交換は次の手順で行います。
  1. 交換するシャーシの取り外し
  2. 新しいシャーシの追加

スレーブシャーシの交換はVCSグループ全体の状態には影響しませんが、マスターシャーシの交換はマスター切り替えをともないます。マスターとして動作中のメンバーを交換した後、交換後のメンバーをマスターにしたいときは、VCSグループを再起動してください。

以下では、例として次の構成におけるID=2のシャーシを交換することを考えます。


メンバーシャーシの取り外し

  1. ID=2のシャーシの電源を切ります。

  2. ID=2のシャーシからスタックケーブル、スタックモジュールを取り外します。これにより、VCSグループはID=1のみの1シャーシ構成で運用を継続します。


このように、スレーブを取り外した場合は、取り外したスレーブ上のポートが使えなくなりますが、VCSグループ全体の状態への影響はありません。
一方、マスターを取り外した場合は、次点のスレーブへのマスター切り替えが発生するため、一定時間の通信断が発生します。

メンバーシャーシの追加

  1. 追加するシャーシ(以下「新メンバー」とします)を単体起動し、VCS plusライセンスの有効化、VCSおよびスタックポートの有効化、スタックメンバーIDの変更、ファームウェアバージョン統一などの初期設定を行い、いったん電源を切ります(導入編のスタックメンバーの初期設定を参照)。

  2. 新メンバーにスタックモジュールを取り付け、スタックケーブルは接続せずに起動します。

  3. 必要に応じて、新メンバーのプライオリティーを変更します。これは、stack priorityコマンドを使います。

  4. 以下のコマンドを用いてスイッチチップに対する設定やVCSに関する設定を変更している場合は、運用中のVCSグループ(マスターシャーシ)と同一に設定します。

    Note
    上記コマンド以外にも設定変更時に以下のメッセージが表示されるコマンドにつきましても同様に運用中のVCSグループ(マスターシャーシ)と同一に設定してください。
    % The device needs to be restarted for this change to take effect.
    

    以下の例では、VCS管理用VLAN 4000, VCS管理用サブネットアドレス 172.21.255.64、バーチャルシャーシID 127(0x07f)と仮定しています。
    awplus> enable
    awplus# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
    awplus(config)# stack management vlan 4000
    awplus(config)# stack management subnet 172.21.255.64
    awplus(config)# stack virtual-mac
    awplus(config)# stack virtual-chassis-id 127
    

  5. 設定内容を確認し、スタートアップコンフィグに保存します。
    awplus(config)# end
    awplus# show running-config
    ...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
    awplus# copy running-config startup-config
    

  6. 新メンバーの電源を切ります。

  7. 稼働中のID=1(マスター)とID=2(新メンバー)をスタックケーブルで接続して、新メンバーの電源を入れます。これにより、新メンバーはスレーブとしてVCSグループに加わります。

    Note
    新メンバーの電源は切った状態でスタックケーブルを接続してください。電源オンの状態でVCSグループに接続するとマスター重複の状態となり、プライオリティーの低い機器でリブートが発生します。

  8. 設定内容を確認し、スタートアップコンフィグに保存します。
    vcg(config)# end
    vcg# show running-config
    ...(表示されるコンフィグに問題がないことを確認) ...
    vcg# copy running-config startup-config
    

新メンバー追加後の構成は次のようになります。


運用中のVCSグループにメンバーを追加した場合、新メンバーはつねにスレーブとしてグループに加入します(既存メンバーよりもプライオリティー値が小さくてもマスターにはなりません)。新メンバーをマスターとして動作させたいときは、VCSグループを再起動してください。

コントロールファブリックカードの追加

  1. シャーシにCFCを取り付けます。

  2. 新しいCFCが自動的に再起動を行い、コンフィグやライセンスが同期されます。

  3. スタックモジュール、スタックケーブルを取り付けます。

    Note
    スタックモジュール、スタックケーブルの取り外し・取り付け時には、1台・1本の作業ごとに3秒間隔をあけてください。

コントロールファブリックカードの取り外し

  1. CFCから、スタックモジュール、スタックケーブルを取り外します。

    Note
    スタックモジュール、スタックケーブルの取り外し・取り付け時には、1台・1本の作業ごとに3秒間隔をあけてください。

  2. シャーシからCFCを取り外します。

スタックモジュール、スタックケーブルの交換

各メンバーの電源は入れたまま、問題のあるスタックケーブル、スタックモジュールを取り外し、新しいスタックモジュール、スタックケーブルをつなぎなおしてください。

Note
スタックモジュール、スタックケーブルの取り外し・取り付け時には、1台・1本の作業ごとに3秒間隔をあけてください。

ファームウェアバージョンアップ

VCSグループの運用中にファームウェアをバージョンアップする場合は、次の手順にしたがってください。
ここでは説明のため、次の環境を想定します。

  1. show stackコマンドを実行し、VCSグループが正しく構築されていることを確認してください。

  2. TFTPサーバー上などで、新しいファームウェアイメージファイルのサイズを確認してください。Windowsならファイルの「プロパティ」や「dir」コマンド、UNIXなら「ls -l」コマンドなどで確認します。

  3. show file systemsコマンドを実行して、各CFCのフラッシュメモリー空き容量を確認します。

    空き容量とイメージファイルのサイズを比較して、すべてのCFCにイメージファイルを格納するのに充分な空きがあることを確認してください。

    いずれかのCFCの空き容量が足りない場合は、deleteコマンドで不要なファイルを削除して空きを作ってください。たとえば、CFC 1.6の空き容量が足りない場合は、次のようにして不要なファイルを削除します。
    vcg# dir vcg-1.6/flash:/*.rel
     ...
     1401740 -rw- Jan 01 2011 00:00:00  vcg-1.6/flash:/SBx81CFC960-nolonger-used.rel
     ...
    vcg# delete vcg-1.6/flash:/SBx81CFC960-nolonger-used.rel
    Deleting....................................................
    Successful operation
    

    ここで、コマンド中の「vcg-1.6/」はCFC 1.6のファイルシステムを指定するための書式で、VCSグループのホスト名(例ではvcg)、半角ハイフン、スタックメンバーID(例では1)、スロット番号(例では6)、半角スラッシュをつなげたものです。

    「vcg-1.6/」は一例ですので、実際にはご使用の環境におけるホスト名とスタックメンバーID、スロット番号を指定してください。たとえば、VCSグループのホスト名が「november」でスレーブのスタックメンバーIDが「2」、スロット番号が「5」のときは、「vcg-1.6/」の代わりに「november-2.5/」と指定します。なお、ホスト名を明示的に設定していない場合、VCSグループのホスト名は「awplus」となります(たとえば、「awplus-1.6/」などと指定します)。

    CFC上のファイルシステムの指定方法については、応用編をご覧ください。

  4. 新しいファームウェアのイメージファイルをマスターにダウンロードします。
    vcg# copy tftp://10.100.10.70/SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel flash
    Enter destination file name [SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel]:
    Copying....................................................
    Successful operation
    

  5. boot systemコマンドを使って、新しいイメージファイルを通常用ファームウェアに指定します。このコマンドを実行すると、マスター上のイメージファイルがスレーブメンバーに自動的にコピーされます。イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copyコマンドやwrite fileコマンド、write memoryコマンドなどでコンフィグに保存する必要はありません。
    vcg# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    vcg(config)# boot system SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel
    Synchronizing file across the chassis, please wait...
    File synchronization with card 1.6 successfully completed
    File synchronization with card 2.5 successfully completed
    File synchronization with card 2.6 successfully completed
    [DONE]
    

  6. show bootコマンドを実行して、通常用ファームウェアイメージの設定を確認します。また、各メンバーに対してdirコマンドを実行し、すべてのメンバーに新しいファームウェアのイメージファイルが存在することを確認してください。

  7. VCSグループ全体を再起動します。
    Note
    再起動中は通信断が発生します。
    vcg(config)# end
    vcg# reload
    Are you sure you want to reboot the whole stack? (y/n): y 
    ...
    

  8. 再起動完了後、show systemコマンドでファームウェアバージョンを確認し、show stackコマンドでVCSグループが正しく構築されていることを確認します。問題がなければ、以上でバージョンアップは完了です。

ISSUによるファームウェアバージョンアップ(ヒットレス・アップグレード)

ISSU(In-Service Software Upgrade)は、コントロールファブリックカードAT-SBx81CFC960(以下、CFC960)を複数使用した冗長化構成において、システムを完全停止せずにファームウェアを更新する機能です。

VCSグループ内の各シャーシにCFC960が2枚ずつ装着されている場合は、同一シャーシ内でアクティブCFCの切り替えが起こるだけで、マスターシャーシの切り替えは発生しないヒットレス・アップグレード(hitless upgrade)が可能です。

ISSUを利用して、VCSグループの運用中にヒットレス・アップグレードを行う場合は、次の手順にしたがってください。ここでは説明のため、次の環境を想定します。


  1. show stackコマンドを実行し、VCSグループが正しく構築されていることを確認してください。

  2. TFTPサーバー上などで、新しいファームウェアイメージファイルのサイズを確認してください。Windowsならファイルの「プロパティ」や「dir」コマンド、UNIXなら「ls -l」コマンドなどで確認します。

  3. show file systemsコマンドを実行して、各CFCのフラッシュメモリー空き容量を確認します。

    空き容量とイメージファイルのサイズを比較して、すべてのCFCにイメージファイルを格納するのに充分な空きがあることを確認してください。

    いずれかのCFCの空き容量が足りない場合は、deleteコマンドで不要なファイルを削除して空きを作ってください。たとえば、CFC 1.6の空き容量が足りない場合は、次のようにして不要なファイルを削除します。
    vcg# dir vcg-1.6/flash:/*.rel
     ...
     1401740 -rw- Jan 01 2011 00:00:00  vcg-1.6/flash:/SBx81CFC960-nolonger-used.rel
     ...
    vcg# delete vcg-1.6/flash:/SBx81CFC960-nolonger-used.rel
    Deleting....................................................
    Successful operation
    

    ここで、コマンド中の「vcg-1.6/」はCFC 1.6のファイルシステムを指定するための書式で、VCSグループのホスト名(例ではvcg)、半角ハイフン、スタックメンバーID(例では1)、スロット番号(例では6)、半角スラッシュをつなげたものです。

    「vcg-1.6/」は一例ですので、実際にはご使用の環境におけるホスト名とスタックメンバーID、スロット番号を指定してください。たとえば、VCSグループのホスト名が「november」でスレーブのスタックメンバーIDが「2」、スロット番号が「5」のときは、「vcg-1.6/」の代わりに「november-2.5/」と指定します。なお、ホスト名を明示的に設定していない場合、VCSグループのホスト名は「awplus」となります(たとえば、「awplus-1.6/」などと指定します)。

    CFC上のファイルシステムの指定方法については、応用編をご覧ください。

  4. 新しいファームウェアのイメージファイルをマスターにダウンロードします。
    vcg# copy tftp://10.100.10.70/SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel flash
    Enter destination file name [SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel]:
    Copying....................................................
    Successful operation
    

  5. issu bootコマンドを使って、新しいイメージファイルを通常用ファームウェアに指定します。このコマンドを実行すると、マスター上のイメージファイルがスレーブメンバーに自動的にコピーされます。イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copyコマンドやwrite fileコマンド、write memoryコマンドなどでコンフィグに保存する必要はありません。「y」を選択すると、自動的にCFCの再起動が始まります。
    vcg# issu boot SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel
    This will update the preferred release file to SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel.
    The CFCs will then be rebooted one at a time and will rejoin running the new release.
    To complete ISSU, the line-cards must be manually rebooted at a later convenient time.
    Start the ISSU process now? (y/n): y 
    Synchronizing file across the chassis, please wait...
    File synchronization with card 2.5 successfully completed
    File synchronization with card 2.6 successfully completed
    File synchronization with card 1.6 successfully completed
    [DONE]
    
    Note
    現在動作しているファームウェアがフラッシュメモリー上に存在しない場合は、issu bootコマンドを実行できません。issu bootコマンドを実行する前に、show bootコマンドで「Current boot image」が「file exists」となっていることを確認してください。

    本構成において、各CFCは次の順序で更新されます。


    Note
    なんらかの原因で一定時間内(issu abort-timeout)にスタンバイCFCが復帰しなかった場合、ISSU処理は中断されます。このとき、CFC間でファームウェアバージョンの不一致が発生しますが、この状態での運用はサポート対象外であるため、手動で同一ファームウェアに設定しなおす必要があります。ISSU中断後は「Current boot image」が旧ファームウェアのままですので、reboot/reloadコマンドのcardパラメーターを利用して、更新済みのスタンバイCFCを再起動することにより、全CFCのファームウェアがISSU実行前のものに戻ります。その後、再度issu bootコマンドを実行することも可能ですし、通常のファームウェア更新手順(こちらを参照)にしたがいboot systemコマンドで新ファームウェアを指定し、reboot/reloadコマンドでシステムを再起動することもできます。

  6. 全CFCの再起動が完了したら、show systemコマンドでファームウェアバージョンを確認し、show stackコマンドでVCSグループが正しく構築されていることを確認します。

    Note
    issu bootコマンドでは、ラインカードは自動的に再起動されません。ラインカードを手動で再起動して、すべてのラインカードがCFCと同じファームウェアになるまでは、厳密な意味でのISSU完了とはなりません。そのため、show systemコマンドの「Current software」は新しいファームウェアバージョンとなりますが、以下のメッセージが表示されます。
    Warning: ISSU is currently in progress.
    System may be running with different software versions
    

    Note
    ISSUでは、アクティブCFCが最後に再起動するため、アクティブCFCの切り替えが発生します。show stackコマンドで、アクティブCFCが切り替わっていることを確認してください。なお、本構成では、各シャーシに2枚ずつCFCが装着されているため、マスターシャーシ内でアクティブCFCが切り替わるだけで、マスターシャーシの切り替えは起こりません。

  7. 問題がなければ、以上で全CFCのバージョンアップは完了です。

    この時点では、CFCだけが新しいファームウェアで動作しており、ラインカードは古いファームウェアのままですが、この状態でも通常運用が可能です。

    ただし、新ファームウェアの追加機能を利用したり、新ファームウェアでの修正事項をシステム全体に適用したりするには、すべてのラインカードを手動で再起動し、システム全体を新ファームウェアで動作する状態にする必要があります。

    CFCのバージョンアップ完了後は、都合のよい時間帯にラインカードを再起動してください。
    ラインカードの再起動は、reboot/reloadコマンドのcardパラメーターを使って次のようにします。
    awplus# reboot card 1.1
    
    Note
    上記コマンド実行後は「Configuration update completed」のログメッセージが表示されるまで待ってから、次のラインカードを再起動してください。

  8. すべてのラインカードを再起動すると、ISSU完了となります。show issuコマンドで「Last ISSU status : Completed successfully ...」となっていることを確認してください。

ISSUによるファームウェアバージョンアップ(ローリング・アップグレード)

ISSU(In-Service Software Upgrade)は、コントロールファブリックカードAT-SBx81CFC960(以下、CFC960)を複数使用した冗長化構成において、システムを完全停止せずにファームウェアを更新する機能です。

VCSグループ内の各シャーシにCFC960が1枚ずつしか装着されていない場合は、アクティブCFCの切り替えにともないマスターシャーシの切り替えが発生するローリング・アップグレード(rolling upgrade)となります。

ISSUを利用して、VCSグループの運用中にローリング・アップグレードを行う場合は、次の手順にしたがってください。ここでは説明のため、次の環境を想定します。


  1. show stackコマンドを実行し、VCSグループが正しく構築されていることを確認してください。

  2. TFTPサーバー上などで、新しいファームウェアイメージファイルのサイズを確認してください。Windowsならファイルの「プロパティ」や「dir」コマンド、UNIXなら「ls -l」コマンドなどで確認します。

  3. show file systemsコマンドを実行して、各CFCのフラッシュメモリー空き容量を確認します。

    空き容量とイメージファイルのサイズを比較して、すべてのCFCにイメージファイルを格納するのに充分な空きがあることを確認してください。

    いずれかのCFCの空き容量が足りない場合は、deleteコマンドで不要なファイルを削除して空きを作ってください。たとえば、CFC 1.6の空き容量が足りない場合は、次のようにして不要なファイルを削除します。
    vcg# dir vcg-2.5/flash:/*.rel
     ...
     1401740 -rw- Jan 01 2011 00:00:00  vcg-2.5/flash:/SBx81CFC960-nolonger-used.rel
     ...
    vcg# delete vcg-2.5/flash:/SBx81CFC960-nolonger-used.rel
    Deleting....................................................
    Successful operation
    

    ここで、コマンド中の「vcg-2.5/」はCFC 2.5のファイルシステムを指定するための書式で、VCSグループのホスト名(例ではvcg)、半角ハイフン、スタックメンバーID(例では2)、スロット番号(例では5)、半角スラッシュをつなげたものです。

    「vcg-2.5/」は一例ですので、実際にはご使用の環境におけるホスト名とスタックメンバーID、スロット番号を指定してください。たとえば、VCSグループのホスト名が「november」でスレーブのスタックメンバーIDが「2」、スロット番号が「6」のときは、「vcg-2.5/」の代わりに「november-2.6/」と指定します。なお、ホスト名を明示的に設定していない場合、VCSグループのホスト名は「awplus」となります(たとえば、「awplus-2.5/」などと指定します)。

    CFC上のファイルシステムの指定方法については、応用編をご覧ください。

  4. 新しいファームウェアのイメージファイルをマスターにダウンロードします。
    vcg# copy tftp://10.100.10.70/SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel flash
    Enter destination file name [SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel]:
    Copying....................................................
    Successful operation
    

  5. issu bootコマンドを使って、新しいイメージファイルを通常用ファームウェアに指定します。このコマンドを実行すると、マスター上のイメージファイルがスレーブメンバーに自動的にコピーされます。イメージファイルの設定は、コマンド実行時にシステムファイルに保存されるため、copyコマンドやwrite fileコマンド、write memoryコマンドなどでコンフィグに保存する必要はありません。「y」を選択すると、自動的にCFCの再起動が始まります。
    vcg# issu boot SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel
    Warning: There is at least one simplex system in this stack.
    Continuing with ISSU will cause network outage.
    
    This will update the preferred release file to SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel.
    The CFCs will then be rebooted one at a time and will rejoin running the new release.
    To complete ISSU, the line-cards must be manually rebooted at a later convenient time.
    Start the ISSU process now? (y/n): y 
    Synchronizing file across the chassis, please wait...
    File synchronization with card 2.5 successfully completed
    [DONE]
    
    Note
    現在動作しているファームウェアがフラッシュメモリー上に存在しない場合は、issu bootコマンドを実行できません。issu bootコマンドを実行する前に、show bootコマンドで「Current boot image」が「file exists」となっていることを確認してください。

    本構成において、各CFCは次の順序で更新されます。


    Note
    ヒットレス・アップグレードとは異なり、ローリング・アップグレードではCFCと同時にラインカードも再起動されます。

    Note
    なんらかの原因で一定時間内(issu abort-timeout)にスタンバイCFCが復帰しなかった場合、ISSU処理は中断されます。このとき、CFC間でファームウェアバージョンの不一致が発生しますが、この状態での運用はサポート対象外であるため、手動で同一ファームウェアに設定しなおす必要があります。ISSU中断後は「Current boot image」が旧ファームウェアのままですので、reboot/reloadコマンドのcardパラメーターを利用して、更新済みのスタンバイCFCを再起動することにより、全CFCのファームウェアがISSU実行前のものに戻ります。その後、再度issu bootコマンドを実行することも可能ですし、通常のファームウェア更新手順(こちらを参照)にしたがいboot systemコマンドで新ファームウェアを指定し、reboot/reloadコマンドでシステムを再起動することもできます。

  6. 全CFCの再起動が完了したら、show systemコマンドでファームウェアバージョンを確認し、show stackコマンドでVCSグループが正しく構築されていることを確認します。

    Note
    ISSUでは、アクティブCFCが最後に再起動するため、アクティブCFCの切り替えが発生します。show stackコマンドで、アクティブCFCが切り替わっていることを確認してください。なお、本構成では、各シャーシに1枚ずつしかCFCが装着されていないため、アクティブCFCの切り替えにともない、マスターシャーシも切り替わります。

  7. 問題がなければ、以上でISSU完了となります。
    show issuコマンドで「Last ISSU status : Completed successfully ...」となっていることを確認してください。

USBメモリー上のファームウェアを通常用ファームウェアに指定する

本製品では、USBメモリーに保存したファームウェアイメージファイルを、通常用ファームウェアとして直接使用することができます。スタックメンバーのフラッシュメモリー上にファームウェアを保存する必要がないので、スタックメンバーのフラッシュメモリーの空き容量を気にする必要がありません。また、USBメモリーに保存したコンフィグファイルを通常用コンフィグとして直接使用することもできます。
本機能を使用するときは、同一種類かつ同一容量のUSBメモリーがスタックメンバーに装着されているコントロールファブリックカード(CFC)の台数分必要となります。

本機能を使用してファームウェアをバージョンアップする場合は次の手順にしたがってください。ここでは説明のため、次の環境を想定します(以下の説明では、実際のバージョンや画面とは異なる場合があります)。

  1. show stackコマンドを実行し、VCS グループが正しく構築されていることを確認してください。

  2. 新しいファームウェアイメージファイルをUSBメモリーに保存します。新しいファームウェアイメージファイルを保存するのはアクティブCFCで使用するUSBメモリーのみでも問題ありませんが、この場合はスタンバイCFCで使用するすべてのUSBメモリーに新しいファームウェアイメージファイルを保存できる空き容量があることを確認してください。

  3. USBメモリーをすべてのCFCのUSBポートに挿入します。

  4. boot systemコマンドのbackupパラメーターを使って、USBメモリーが挿入されていなかったときに使用するバックアップ用ファームウェアを指定します。バックアップ用ファームウェアが設定されていないと、USBメモリーに保存されているファームウェアを通常用ファームウェアに設定できません。現在通常用ファームウェアとして指定しているファームウェアをバックアップ用ファームウェアとして指定する場合は、「no boot system」を先に実行してください。
    vcg# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    vcg(config)# no boot system
    vcg(config)# boot system backup SBx81CFC960-5.4.7-1.1.rel
    Synchronizing file across the chassis, please wait...
    File synchronization with card 1.6 successfully completed
    File synchronization with card 2.5 successfully completed
    File synchronization with card 2.6 successfully completed
    [DONE]
    

  5. boot systemコマンドを使って、USBメモリーに保存されている新しいファームウェアを通常用ファームウェアに指定します。
    vcg(config)# boot system usb:/SBx81CFC960-5.4.7-1.2.rel
    Synchronizing file across the chassis, please wait...
    File synchronization with card 1.6 successfully completed
    File synchronization with card 2.5 successfully completed
    File synchronization with card 2.6 successfully completed
    [DONE]
    

  6. show bootコマンドを実行して、通常用ファームウェアとバックアップ用ファームウェアの設定を確認します。

  7. reload/rebootコマンドによりVCSグループ全体を再起動します。
    vcg# reload
    Are you sure you want to reboot the whole stack? (y/n): y 
    

  8. 再起動完了後、show systemコマンドでファームウェアバージョンを確認し、show stackコマンドでVCS グループが正しく構築されていることを確認します。問題がなければ、以上でバージョンアップは完了です。

ナビゲーション

■ VCSの高度な使い方については、第4部 応用編をご覧ください。



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