アライドテレシスマネージメントフレームワーク(AMF) / 概要


特長
用語と概念
クイックツアー
管理ネットワークの自動構成
ワーキングセット
一括バージョンアップ
バックアップ
オートリカバリー


アライドテレシスマネージメントフレームワーク(AMF)は、スイッチ製品間で管理専用ネットワークを自動構成し、スイッチやネットワークの管理・保守作業を効率化する技術です。

ここでは、AMFの特長と基本概念について簡単に説明した後、AMFの機能や動作、使用感をつかんでいただくための「クイックツアー」をご紹介します。

特長

AMFには次の特長があります。


用語と概念

本マニュアルでは以下の用語や概念を使用しています。


クイックツアー

AMFの基本的な機能や動作、使用感を示すため、サンプルネットワーク上で実際にAMFを使ってみます。

Note
本クイックツアーはAMFの概要紹介を目的としており、AMFの設定手順や運用方法を述べるものではありません。そのため、個々の手順や操作、コマンドについての詳細な説明は行っていません。AMFの設定手順や運用方法については、必ず導入編運用編応用編、ならびに各コマンドのページをご覧ください。

ここでは、以下の機器を用意して、図のような構成を作るものとします。
表 1
機種
ノード名
AMFにおける役割
所属グループ
概要
SwitchBlade x8100 SBx81 マスター - コアスイッチ
AT-x510-28GTX FSW241 メンバー floor, 1F フロアスイッチ
AT-x510-28GTX FSW242 メンバー floor, 2F フロアスイッチ
AT-x510-52GTX ESW231 メンバー edge, 2F エッジスイッチ


管理ネットワークの自動構成

AMFでは、簡単な設定を施した対応スイッチ同士を接続するだけで、管理ネットワークが自動構成され、マスターのCLIを通じた操作が可能になります。
一般的なIPベースの管理機構(SNMP、syslog、Telnet、SSHなど)では、事前に管理用IPアドレスの設定などが必要ですが、AMFでは必要ありません。

以下では、実際に設定、接続を行いながら、AMFネットワークが自動構成される様子を見てみましょう。

AMFの初期設定

最初に、ご購入時状態の各スイッチを起動してAMFの初期設定を行います。スイッチ同士はまだ接続しません。
マスターとなる機器では、AMFマスターライセンスがすでに有効化されているものとします。

各スイッチに必要な初期設定項目は次のとおりです。

Note
AT-DC2552XSの場合のみ、AMFとスパニングツリーの併用がサポート対象外のため、spanning-tree enableコマンドをno形式で実行し、スパニングツリーを無効化する必要があります。

以下、各スイッチの具体的な設定内容を示します。

AMFの設定を有効にするため、上記の設定が終わったらスタートアップコンフィグを保存して再起動します。各スイッチの再起動が完了したら、AMFの初期設定は完了です。

メンバーの接続

初期設定が済んだら、マスターとメンバーを接続してみます。
  1. マスターのポート1.1.1とフロアスイッチFSW241のポート1.0.1を接続します。


    すると、マスターのコンソールに、FSW241がJoin(AMFネットワークに参加)したことを示すメッセージが出力されます。
    06:08:52 SBx81 ATMF[1953]: FSW241 has joined. 2 members in total.
    

  2. 続いて、マスターのポート1.1.2とフロアスイッチFSW242のport1.0.1を接続します。


    先ほどと同様、マスターのコンソールに、FSW242が参加したことを示すメッセージが出力されます。
    06:10:30 SBx81 ATMF[1953]: FSW242 has joined. 3 members in total.
    

  3. さらに今度はフロアスイッチFSW242のポート1.0.2とエッジスイッチESW231のポート1.0.1を接続してみます。


    これまでと同様、マスターのコンソールにESW231が参加したことを示すメッセージが出力されます。
    06:14:14 SBx81 ATMF[1953]: ESW231 has joined. 4 members in total.
    

  4. マスターのCLIからshow atmf nodesコマンドでAMFノード情報を確認してみます。
    SBx81# show atmf nodes
    
    Node Information:
    
      * = Local device
    
     SC = Switch Configuration:
      C = Chassis   S = Stackable   N = Standalone
    
      Node                 Device             ATMF                             Node
      Name                 Type               Master  SC  Parent               Depth
    --------------------------------------------------------------------------------
    * SBx81                AT-SBx81CFC400       Y     C   none                  0
      FSW242               x510-28GTX           N     S   SBx81                 1
      FSW241               x510-28GTX           N     S   SBx81                 1
      ESW231               x510-52GTX           N     S   FSW242                2
    
     Current ATMF node count 4
    
    すべてのスイッチがAMFネットワークに参加していることを確認できます。
    これ以降、マスターのCLIから、Node Name欄に表示されているAMFノード名を使って各スイッチの操作が可能です。

ワーキングセット

複数台のスイッチを集中管理したい場合、SNMPを利用して監視する方法や、各スイッチのログをsyslogサーバーに集め、これをソフトウェアや人の目で監視する方法がありますが、SNMPやログからは得られない情報もあるため、最終的に各スイッチのネイティブ管理インターフェースであるCLIからの確認が必要となるケースは少なくありません。

また、日常的な監視作業と比べると頻度は下がりますが、各スイッチの設定作業も台数が多ければ多いほど手間がかかるものです。

AMFでは、これらの手間を解消する目的で、マスターのCLIからすべてのメンバーの設定や状態確認を一括して行うことのできるワーキングセット機能を提供しています。

通常のTelnetやSSHでも、管理端末からメンバーにリモートログインして一台ずつ操作することはできますが、ワーキングセット機能を利用すれば、一回のコマンド入力で複数のメンバーに同じコマンドを発行できるため、設定や状態確認の手間を軽減することが可能です。
また、ワーキングセット機能では、単にコマンドを一括発行するだけでなく、コマンドの出力するメッセージも可能な限り集約して表示するため、状態確認作業をさらに効率化できます。

ここでは、ワーキングセットの使用感をつかんでいただくため、マスターのCLIにログインして、実際にいくつか操作をしてみます。
  1. マスターのCLIにログインします。
    AMFネットワークでは、基本的にマスターのCLIにだけログインすればよく、個々のメンバーにログインする必要はほとんどありません。
    Note
    AMF使用時でも、個々のメンバーのCLIに直接ログインすることは可能です。各メンバーのコンソールターミナルからログインする場合も、TelnetやSSHで各メンバーにリモートログインする場合も、AMFを使っていないときと違いはありません。
    SBx81 login: manager 
    Password: friend ↓ (実際には表示されません)
    
    AlliedWare Plus (TM) 5.4.7 xx/xx/xx xx:xx:xx
    
    SBx81> 
    

  2. 共通設定を一括で実行する例として、すべてのスイッチでHTTPサーバーとDNS問い合わせを無効にしてみます。
    マスター以外のノード、あるいは、複数のノードを操作対象にするときは、特権EXECモードのatmf working-setコマンドで対象ノードを指定し、「ワーキングセットプロンプト」に移動します。
    これは、interfaceコマンドで操作対象ポートを複数指定するのとよく似たイメージです。

    ここでは、group all、すなわち、すべてのノードを対象とするワーキングセットプロンプトに移動しています。
    SBx81> enable
    
    // これが通常のプロンプト(ローカルプロンプト)
    SBx81# 
    
    // ワーキングセットの指定コマンド。group allは全ノードの意味
    SBx81# atmf working-set group all
    
    // group allに該当する具体的なノード名の一覧
    ==============================
    ESW231, FSW241, FSW242, SBx81:
    ==============================
    
    Working set join
    
    
    // ワーキングセットプロンプト。AMF001はネットワーク名。[4]は対象ノード数
    AMF001[4]# 
    

    プロンプトが SBx81# から AMF001[4]# に変わったことがわかります。
    AMF001[4]# は、通常のプロンプト(ローカルプロンプト)と対比してワーキングセットプロンプトと呼ばれ、AMFネットワーク「AMF001」に所属する「4」台のノードに対してコマンドを実行できる状態にあることを示しています。

    ワーキングセットプロンプトでも、モード移動やコマンド実行の手順は通常と同じです。それでは無効化コマンドを実行してみましょう。
    AMF001[4]# configure terminal
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    AMF001[4](config)# no service http
    AMF001[4](config)# no ip domain-lookup
    
    上記ワーキングセットプロンプトから入力した3つのno形式コマンドは、すべてのノードに対して実行されます。

  3. 他の設定もワーキングセット機能を使って同じ要領で進めることができます。


  4. ワーキングセット機能では、設定内容や動作状態の確認も全ノード一括して行うことができます。
    たとえば、VLAN情報を確認するには、全ノードを対象とするワーキングセットプロンプトで、show vlanコマンドを実行します。
    ワーキングセットプロンプトでは、次のようにノード間で出力内容が同じ場合は集約して表示されます。
    AMF001[4]# show vlan 1
    // 以下は ESW231 の出力
    =======
    ESW231:
    =======
    
    VLAN ID  Name            Type    State   Member ports
                                             (u)-Untagged, (t)-Tagged
    ======= ================ ======= ======= ====================================
    1       default          STATIC  ACTIVE  port1.0.1(u) port1.0.2(u) port1.0.3(u)
                                             port1.0.4(u) port1.0.5(u) port1.0.6(u)
                                             port1.0.7(u) port1.0.8(u) port1.0.9(u)
                                             port1.0.10(u) port1.0.11(u)
                                             port1.0.12(u) port1.0.13(u)
                                             port1.0.14(u) port1.0.15(u)
                                             port1.0.16(u)
    
    // 以下は FSW241とFSW242で共通の出力
    ===============
    FSW241, FSW242:
    ===============
    
    VLAN ID  Name            Type    State   Member ports
                                             (u)-Untagged, (t)-Tagged
    ======= ================ ======= ======= ====================================
    1       default          STATIC  ACTIVE  port1.0.1(u) port1.0.2(u) port1.0.3(u)
                                             port1.0.4(u) port1.0.5(u) port1.0.6(u)
                                             port1.0.7(u) port1.0.8(u) port1.0.9(u)
                                             port1.0.10(u) port1.0.11(u)
                                             port1.0.12(u) port1.0.13(u)
                                             port1.0.14(u) port1.0.15(u)
                                             port1.0.16(u) port1.0.17(u)
                                             port1.0.18(u) port1.0.19(u)
                                             port1.0.20(u) port1.0.21(u)
                                             port1.0.22(u) port1.0.23(u)
                                             port1.0.24(u) port1.0.25(u)
                                             port1.0.26(u) port1.0.27(u)
                                             port1.0.28(u)
    
    // 以下は SBx81 の出力
    ======
    SBx81:
    ======
    
    VLAN ID  Name            Type    State   Member ports
                                             (u)-Untagged, (t)-Tagged
    ======= ================ ======= ======= ====================================
    1       default          STATIC  ACTIVE  port1.1.1(u) port1.1.2(u) port1.1.3(u)
                                             port1.1.4(u) port1.1.5(u) port1.1.6(u)
                                             port1.1.7(u) port1.1.8(u) port1.1.9(u)
                                             port1.1.10(u) port1.1.11(u)
                                             port1.1.12(u) port1.1.13(u)
                                             port1.1.14(u) port1.1.15(u)
                                             port1.1.16(u) port1.1.17(u)
                                             port1.1.18(u) port1.1.19(u)
                                             port1.1.20(u) port1.1.21(u)
                                             port1.1.22(u) port1.1.23(u)
                                             port1.1.24(u) port1.2.1(u)
                                             port1.2.2(u) port1.2.3(u) port1.2.4(u)
                                             port1.2.5(u) port1.2.6(u) port1.2.7(u)
                                             port1.2.8(u) port1.2.9(u)
                                             port1.2.10(u) port1.2.11(u)
                                             port1.2.12(u) port1.2.13(u)
                                             port1.2.14(u) port1.2.15(u)
                                             port1.2.16(u) port1.2.17(u)
                                             port1.2.18(u) port1.2.19(u)
                                             port1.2.20(u) port1.2.21(u)
                                             port1.2.22(u) port1.2.23(u)
                                             port1.2.24(u)
    

  5. 設定の保存も、ワーキングセットプロンプトから全ノード一括で行えます。
    AMF001[4]# write memory
    // 以下は ESW231, FSW241, FSW242 で共通の出力
    =======================
    ESW231, FSW241, FSW242:
    =======================
    
    [OK]
    
    // 以下は SBx81 の出力(CFC間でファイルを同期しているため他とメッセージが異なる)
    ======
    SBx81:
    ======
    
    [OK]
    Synchronizing file across the chassis, please wait...
    File synchronization with card-6 successfully completed
    [DONE]
    AMF001[4]# 
    

一括バージョンアップ

頻繁に実施する作業ではありませんが、ファームウェアのバージョンアップもそれなりに手間のかかる作業です。
バージョンアップには、ファームウェアの転送、起動ファームウェアの指定、再起動など、いくつものステップがあって一台でも神経を使いますが、管理するスイッチの台数が増えてくればなおさらのこと、一台ずつ確実に作業していくことは大変な労力を要します。
AMFでは、前述のワーキングセット機能とリブートローリング機能を併用することで、指定したノード群のファームウェアを一括でバージョンアップすることができます。

ここでは、floorグループ(フロアスイッチグループ)に属する2台のAMFノードFSW241とFSW242のファームウェアをバージョンアップしてみましょう。

Note
5.4.7-0.9は説明上使用している架空のファームウェアです。本マニュアル作成時点では実在しませんのでご注意ください。

  1. マスターに装着したUSBメモリー、SD/SDHCカードの任意の場所に各AMFノードの最新ファームウェアイメージファイルを格納しておきます。
    ここでは、次のようにUSBメモリーの/fwディレクトリーにファームウェアを置きました。
    SBx81# dir usb:/fw/
     20570492 -rwx Aug 18 2014 13:16:34  x510-5.4.7-0.9.rel
    

  2. floorグループを指定したワーキングセットプロンプトに移動します。
    SBx81# atmf working-set group floor
    ===============
    FSW241, FSW242:
    ===============
    
    Working set join
    
    AMF001[2]# 
    

  3. リブートローリングによるファームウェアバージョンアップを実行します。
    AMF001[2]# atmf reboot-rolling usb:/fw/
    Retrieving data from FSW241
    Retrieving data from FSW242
    
    ATMF Rolling Reboot Nodes:
    
    // usb:/fw/ ディレクトリーで見つかった FSW242, FSW241 用の最新ファームウェア
                        Timeout
    Node Name           (Minutes)  New Release File           Status
    --------------------------------------------------------------------------------
    FSW242              60         x510-5.4.7-0.9.rel         Release ready
    FSW241              60         x510-5.4.7-0.9.rel         Release ready
    // 上記内容で続行してよいか?
    Continue upgrading releases ? (y/n):
    

    ここでは、atmf reboot-rollingコマンドでファームウェアのあるディレクトリー「usb:/fw/」だけを指定しており、具体的なファイル名までは指定していませんが、この場合上の例のように各AMFノードに適した最新のファームウェアが自動的に検索・選択され、バージョンアップを実行してよいか確認してきます。

    「y」で回答すると、次のように逐次バージョンアップと再起動が行われます。

    リブートローリング機能では、ネットワーク全体のダウンタイムを最小化するため、複数のAMFノードに対して逐次処理でバージョンアップ、再起動を実施します。すなわち、1台目(ファームウェア転送 → 再起動) → 2台目(ファームウェア転送 → 再起動)といったように順番に処理していきます。
    // y で続行を許可
    Continue upgrading releases ? (y/n): y 
    
    ================================================================================
    // FSW242にファイルを転送中
    Copying Release    : x510-5.4.7-0.9.rel to FSW242
    // FSW242の起動イメージを設定中
    Updating Release   : x510-5.4.7-0.9.rel information on FSW242
    ================================================================================
    // FSW242を再起動中
    ATMF Rolling Reboot: Rebooting FSW242
    ================================================================================
    // FSW242配下のESW231が離脱
    16:07:59 SBx81 ATMF[1946]: ESW231 has left. 3 members in total.
    // FSW242が離脱
    16:07:59 SBx81 ATMF[1946]: FSW242 has left. 2 members in total.
    
    // FSW242がワーキングセットの対象外に
    % FSW242 has left the working-set
    // FSW242が再参加
    16:09:29 SBx81 ATMF[1946]: FSW242 has joined. 3 members in total.
    // FSW242復帰により配下のESW231も再参加
    16:09:29 SBx81 ATMF[1946]: ESW231 has joined. 4 members in total.
    // FSW242の再起動完了
    Reboot of FSW242 has completed
    
    ================================================================================
    // FSW241にファイルを転送中
    Copying Release    : x510-5.4.7-0.9.rel to FSW241
    // FSW241の起動イメージを設定中
    Updating Release   : x510-5.4.7-0.9.rel information on FSW241
    ================================================================================
    // FSW241を再起動中
    ATMF Rolling Reboot: Rebooting FSW241
    ================================================================================
    // FSW241が離脱
    16:10:12 SBx81 ATMF[1946]: FSW241 has left. 3 members in total.
    
    // FSW241がワーキングセットの対象外に
    % FSW241 has left the working-set
    // FSW241が再参加
    16:11:46 SBx81 ATMF[1946]: FSW241 has joined. 4 members in total.
    // FSW241の再起動完了
    Reboot of FSW241 has completed
    

    すべてのノードの再起動が完了すると、次のように結果が表示されます。
    ================================================================================
    ATMF Rolling Reboot Complete
    Node Name           Reboot Status    Release Name                Release Status
    -------------------------------------------------------------------------------
    FSW242              Rebooted         x510-5.4.7-0.9.rel          Upgraded
    FSW241              Rebooted         x510-5.4.7-0.9.rel          Upgraded
    ================================================================================
    

Note
同系列機種のSHシリーズとxシリーズが混在する下記いずれかのAMFネットワークの組み合わせにおいて、atmf distribute firmwareコマンドまたはatmf reboot-rollingコマンドでAMFノードのファームウェアを更新する場合、SHシリーズとxシリーズは、他の機種と同時に更新しないでください。 例えば、510系列機種(SH510シリーズとx510/x510Lシリーズ)の場合は、「SH510シリーズだけ」、「x510/x510Lだけ」というように個別にワーキングセットを指定して更新してください。 詳しくは、「アライドテレシスマネージメントフレームワーク(AMF)」/「運用」の「ファームウェアバージョンアップ」をご覧ください。



バックアップ

いつ起こるかわからない機器故障に備えることは、ネットワークを管理する上で大切な作業です。

故障した機器を代替機と交換する場合、故障した機器の設定内容を引き継ぐ必要がありますが、故障した機器からは設定情報を取り出せない可能性があるため、日常的に各機器の最新コンフィグをバックアップしておくことが重要です。

AMFには、各スイッチの動作に必要なファイル(ファームウェア、ライセンス、コンフィグ、スクリプト、GUIアプレットなど)をバックアップする機能があります。バックアップ処理は、マスターがAMFネットワーク経由でメンバーのファイルを取りに行く形で行われ、バックアップデータはマスターに装着したUSBメモリー、SD/SDHCカード、または、外部SSHサーバーに保存されます。

Note
AT-AR4050Sは外部メディアとしてUSBメモリーとSDHCカードの両方をサポートしていますが、AMFバックアップ機能においてはSDHCカードのみ使用可能です。

バックアップには、スケジュールにもとづく自動実行と、atmf backup nowコマンドによる手動実行の2とおりの方法があります。
初期設定では、毎晩3時に全ノードのスケジュールバックアップが自動実行されます。

バックアップしたファイルは、USBメモリー、SD/SDHCカードをPCに装着して内容を確認したり、PCにコピーしたりすることができるため、それだけでも便利な機能ですが、後述するオートリカバリー機能と併用することで、機器交換の手間をさらに大幅に削減することができます。

ここでは、マスターにUSBメモリーを装着して、全ノードの手動バックアップを実行してみます。
  1. AMFバックアップを手動で行うには、マスターのCLIからatmf backup nowコマンドを実行します。
    SBx81# atmf backup now
    
    Backup successfully initiated
    
    SBx81# 
    

  2. バックアップはバックグラウンドで処理されるため、プロンプトはすぐに戻ってきますが、実際の処理はしばらく続きます。
    AMFバックアップ状況を確認するには、show atmf backupコマンドを使います。
    SBx81# show atmf backup
    
    Scheduled Backup ...... Enabled
      Schedule ............ 1 per day starting at 03:00
      Next Backup Time .... 23 Jan 2013 03:00
    Backup Media .......... USB (Total 14774.5MB, Free 12717.2MB)
    Current Action ........ Doing manual backup
      Started ............. 22 Jan 2013 16:20
      Current Node ........ FSW242
    
    Node Name                      Date         Time      In ATMF  On Media  Status
    --------------------------------------------------------------------------------
    ESW231                         22 Jan 2013  16:20:49  Yes      Yes       Good
    FSW241                         22 Jan 2013  16:21:08  Yes      Yes       Good
    FSW242                         -            -         Yes      Yes       -
    SBx81                          -            -         Yes      No        -
    

  3. AMFバックアップが完了すると、以下のログメッセージが出力されます。
    初期設定ではコンソールには出力されないので、show logコマンドで確認してください。
    SBx81# show log tail
    
    <date> <time> <facility>.<severity> <program[<pid>]>: <message>
    -------------------------------------------------------------------------
    2013 Jan 22 16:20:22 user.notice SBx81 IMISH[12321]: atmf backup now
    2013 Jan 22 16:20:23 user.notice SBx81 ATMFFS[26921]: ATMF backup: Manual backup has started
    2013 Jan 22 16:20:31 user.notice SBx81 IMISH[12321]: show atmf backup
    2013 Jan 22 16:21:33 user.notice s_src@SBx81 IMISH: Last message 'show atmf backup ' repeated 2 times, suppressed by syslog-ng on SBx81
    2013 Jan 22 16:21:33 user.notice SBx81 ATMFFS[26921]: ATMF backup: Backup of all nodes completed successfully
    2013 Jan 22 16:21:50 user.notice SBx81 IMISH[12321]: show atmf backup
    2013 Jan 22 16:21:55 user.notice SBx81 IMISH[12321]: show log tail
    

  4. バックアップしたデータは、USBメモリーの下記フォルダ以下に保存されています。
    ここでNETWORKNAMEはAMFネットワーク名、NODENAMEはノード名です。

    USBメモリーをPCに装着して該当フォルダーを開けば、ファームウェアイメージやコンフィグなど、スイッチのフラッシュメモリーに存在するファイルがコピーされていることを確認できます。



オートリカバリー

故障した機器の交換は、代替機に交換前の機器と同じバージョンのファームウェアやコンフィグをインストールするなど、人手のかかる作業です。

AMFでは、前述のバックアップ機能で取得したバックアップデータを元にオートリカバリーという処理を行うことで、機器交換時における代替機の事前設定を不要とします。

ここでは、エッジスイッチESW231を新品の代替機と交換し、オートリカバリーによって自動復元してみます。

  1. エッジスイッチESW231と同じ型番の新しいスイッチ(代替機)を用意します。代替機はご購入時の状態であればよく、事前設定は一切不要です。

  2. エッジスイッチESW231の電源を切り、LANケーブルを抜きます。

  3. エッジスイッチESW231と代替機を交換します。

  4. 代替機にLANケーブルを元通り(交換前と同じポートに)接続し、電源を入れます。
    なおここではオートリカバリーの進捗を確認するため、代替機にコンソールを接続しておきます。

    ご購入時状態のAMF対応スイッチでは、起動時にAMFネットワークを検出して自動的に参加する処理が働きます。

    この過程でオートリカバリーが可能かどうかの判断を行い、可能と判断した場合はマスターのUSBメモリー、SD/SDHCカード、または、外部SSHサーバーに格納されたバックアップデータを取り寄せてフラッシュメモリーの内容を復元し、その後自動的に再起動して交換前の機器と同一の状態でAMFネットワークに参加します。

    なおこの間、「AMFセーフコンフィグ」が適用されてAMF接続ポート(AMFリンクまたはAMFクロスリンク)以外のポートはすべてシャットダウンされるため、通常のネットワークポートでループなどが発生する恐れはありません。

  5. 起動中、代替機のローカルコンソールには次のようなログメッセージが表示されます。

    また、代替機の機種や拡張モジュールによっては、ポートLEDの表示によってもリカバリー実行中であることが示されます(詳細はatmf recover led-offコマンドのページをご覧ください)。
    // AMFネットワークを検出
    16:52:05 awplus ATMF[839]: ATMF network detected
    // セーフコンフィグを適用
    16:52:05 awplus ATMF[839]: ATMF safe config applied (forwarding disabled)
    // AMF接続ポート以外をシャットダウン
    16:52:15 awplus ATMF[839]: Shutting down all non ATMF ports
    // オートリカバリー処理を開始
    16:52:16 ESW231 ATMF[839]: Automatic node recovery started
    // ESW231としてのリカバリーを試行中
    16:52:16 ESW231 ATMF[839]: Attempting to recover as ESW231
    // マスターの存在を確認中
    16:52:16 ESW231 ATMF[839]: Checking master node availability
    // マスターを確認。総メンバー数2
    16:52:22 ESW231 ATMF[839]: SBx81 has joined. 2 members in total.
    // FSW241を確認。総メンバー数3
    16:52:22 ESW231 ATMF[839]: FSW241 has joined. 3 members in total.
    // FSW242を確認。総メンバー数4
    16:52:22 ESW231 ATMF[839]: FSW242 has joined. 4 members in total.
    // マスターからリカバリーデータを取得中
    16:52:27 ESW231 ATMFFSR[3375]: Retrieving recovery data from master node SBx81
    // リカバリー完了。いったん再起動します
    16:54:27 ESW231 ATMFFSR[3375]: File recovery from master node succeeded. Node will now reboot
    

  6. オートリカバリーが成功すると、代替機はいったん再起動し、ESW231としてAMFネットワークに参加してきます。
    マスターのCLIからノード情報を確認してみましょう。
    SBx81# show atmf nodes
    
    Node Information:
    
      * = Local device
    
     SC = Switch Configuration:
      C = Chassis   S = Stackable   N = Standalone
    
      Node                 Device             ATMF                             Node
      Name                 Type               Master  SC  Parent               Depth
    --------------------------------------------------------------------------------
    * SBx81                AT-SBx81CFC400       Y     C   none                  0
      FSW241               x510-28GTX           N     S   SBx81                 1
      FSW242               x510-28GTX           N     S   SBx81                 1
      ESW231               x510-52GTX           N     S   FSW242                2
    
     Current ATMF node count 4
    
    新しいスイッチがESW231として復元され、AMFネットワークに参加していることを確認できます。
Note
何らかの理由でオートリカバリーに失敗した場合、応用編の「オートリカバリー失敗時の再試行手順」を参照して、再度オートリカバリーを試みてください。

ナビゲーション

■ AMFの導入手順については、第2部 導入編をご覧ください。


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PN: 613-001681 Rev.R