ブリッジング / 一般設定
本製品は、インターフェース間でEthernetフレームを中継するブリッジ(ソフトウェアブリッジ)として動作させることができます。ここでは、ブリッジ機能の設定方法について説明します。
ブリッジングが可能なインターフェース(ブリッジポートとして使用可能なインターフェース)は次のとおりです。
インターフェース種別 |
送受信するEthernetフレーム |
タグなし |
タグ付き |
通常のソフトウェアブリッジ(br1~br255) |
Ethernetインターフェース(ethX) |
○ |
× |
802.1Q Ethernetサブインターフェース(ethX.Y) |
× |
○ |
ボンドインターフェース(bondX) |
○ |
× |
802.1Qボンドサブインターフェース(bondX.Y) |
× |
○ |
OpenVPN Tap(L2)トンネルインターフェース(tunnelX) |
○ |
× |
802.1Q OpenVPN Tap(L2)トンネルサブインターフェース(tunnelX.Y) |
× |
○ |
VAPインターフェース(vapX.Y) |
○ |
× |
デフォルトで存在するVLAN対応ブリッジ(br0) |
Ethernetインターフェース(ethX) |
○ |
○ |
ボンドインターフェース(bondX) |
○ |
○ |
OpenVPN Tap(L2)トンネルインターフェース(tunnelX) |
○ |
○ |
VAPインターフェース(vapX.Y) |
○ |
○ |
ソフトウェアブリッジにVAPインターフェースを割り当てたときは、wireless ap-configuration apply ap localコマンドを実行し、無線設定を再適用してください。
同じソフトウェアブリッジに所属するインターフェースのMTU値が異なる場合は、それぞれのMTU値を合わせるようにしてください(mtuコマンド)。
ここでは、ソフトウェアブリッジの基本的な設定方法を説明します。
ソフトウェアブリッジのより具体的な使用例については、「設定例集」をご覧ください。
ローカルブリッジ
基本設定
下記のインターフェース間ですべてのプロトコルをブリッジします。
- ソフトウェアブリッジ「1」を作成します。これにはbridgeコマンドを使います。
awplus(config)# bridge 1 ↓
- ソフトウェアブリッジ「1」にeth1を追加します。これにはインターフェースモードのbridge-groupコマンドを使います。
awplus(config)# interface eth1 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 1 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
- ソフトウェアブリッジ「1」にeth2を追加します。
awplus(config)# interface eth2 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 1 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
ローカルブリッジとしての設定は以上です。
リモートブリッジ(L2TPv3)
L2TPv3は、既存のIPv4/IPv6ネットワーク経由でEthernet LAN同士をブリッジ接続するための仕組みです。
本製品では、固定IP/IPv6アドレスを持つ拠点間のL2接続(ブリッジ接続)に使います。
L2TPv3の詳細設定については、「VPN」の「L2TPv3」をご覧ください。
基本設定(タグなしフレーム)
ここでは、下記の構成において、ルーターA・Bのeth1同士をリモートブリッジ接続し、タグなしフレームのブリッジングを行います。

以下では、ルーターA側の設定例を示します。
なお、前提事項として、ルーターA(自装置)のWAN側IPアドレスは10.1.1.1、ルーターB(対向装置)のWAN側IPアドレスは10.2.2.2とし、ルーターA・B間で通信を行うために必要なIPの設定はすんでいるものとします。
- L2TPv3トンネルインターフェースtunnel0を作成します。
L2TPv3の詳細設定については、「VPN」の「L2TPv3」をご覧ください。
awplus(config)# interface tunnel0 ↓
awplus(config-if)# tunnel mode l2tp v3 ↓
awplus(config-if)# tunnel source 10.1.1.1 ↓
awplus(config-if)# tunnel destination 10.2.2.2 ↓
awplus(config-if)# tunnel local id 101 ↓
awplus(config-if)# tunnel remote id 102 ↓
awplus(config-if)# mtu 1500 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
- ソフトウェアブリッジ「1」を作成します。これにはbridgeコマンドを使います。
awplus(config)# bridge 1 ↓
- ソフトウェアブリッジ「1」にeth1を追加します。これにはインターフェースモードのbridge-groupコマンドを使います。
awplus(config)# interface eth1 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 1 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
- ソフトウェアブリッジ「1」にtunnel0を追加します。
awplus(config)# interface tunnel0 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 1 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
設定は以上です。
応用設定(タグ付きフレーム)
ここでは、下記の構成において、ルーターA・B間でvlan2、vlan3のタグ付きフレームをブリッジングします。

以下では、ルーターA側の設定例を示します。
なお、前提事項として、ルーターA(自装置)のWAN側IPアドレスは10.1.1.1、ルーターB(対向装置)のWAN側IPアドレスは10.2.2.2とし、ルーターA・B間で通信を行うために必要なIPの設定はすんでいるものとします。
- LAN側インターフェースeth1上にvlan2、vlan3のタグ付きパケットを送受信する802.1Qサブインターフェースeth1.2とeth1.3を作成します。これにはencapsulation dot1qコマンドを使います。
awplus(config)# interface eth1 ↓
awplus(config-if)# encapsulation dot1q 2 ↓
awplus(config-if)# encapsulation dot1q 3 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
- L2TPv3トンネルインターフェースtunnel0を作成します。
L2TPv3の詳細設定については、「VPN」の「L2TPv3」をご覧ください。
awplus(config)# interface tunnel0 ↓
awplus(config-if)# tunnel mode l2tp v3 ↓
awplus(config-if)# tunnel source 10.1.1.1 ↓
awplus(config-if)# tunnel destination 10.2.2.2 ↓
awplus(config-if)# tunnel local id 101 ↓
awplus(config-if)# tunnel remote id 102 ↓
awplus(config-if)# mtu 1500 ↓
- トンネルインターフェースtunnel0上に802.1Qサブインターフェースを2つ作成します。これにはencapsulation dot1qコマンドを使います。
これらのサブインターフェースは、指定したVLAN IDのタグ付きEthernetフレームを送受信するためのものです。
awplus(config-if)# encapsulation dot1q 2 ↓
awplus(config-if)# encapsulation dot1q 3 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
- ソフトウェアブリッジ「2」、「3」を作成します。これにはbridgeコマンドを使います。
これらのソフトウェアブリッジには、それぞれvlan2、vlan3のタグ付きフレームをブリッジングさせます。
awplus(config)# bridge 2 ↓
awplus(config)# bridge 3 ↓
- eth1.2、eth1.3をそれぞれソフトウェアブリッジ「2」、「3」に割り当てます。これにはインターフェースモードのbridge-groupコマンドを使います。
awplus(config)# interface eth1.2 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 2 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
awplus(config)# interface eth1.3 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 3 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
- 802.1Qサブインターフェース「tunnel0.2」、「tunnel0.3」をそれぞれソフトウェアブリッジ「2」、「3」に割り当てます。
サブインターフェース名「tunnel0.X」の「X」には、encapsulation dot1qコマンドで指定したVLAN IDが入ります。
awplus(config)# interface tunnel0.2 ↓
awplus(config-if)# mtu 1500 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 2 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
awplus(config)# interface tunnel0.3 ↓
awplus(config-if)# mtu 1500 ↓
awplus(config-if)# bridge-group 3 ↓
awplus(config-if)# exit ↓
設定は以上です。
その他
ブリッジできない制御パケット
以下の制御パケットはブリッジできません。
01-80-C2-00-00-00 |
Spanning Tree BPDU |
01-80-C2-00-00-01 |
IEEE802.3x PAUSE |
01-80-C2-00-00-02 |
IEEE802.3ad LACP |
01-80-C2-00-00-03 |
IEEE802.1X EAPOL |
01-80-C2-00-00-0E |
IEEE802.1AB LLDP |
設定・状態の確認
■ 設定済みのソフトウェアブリッジと所属インターフェースはshow bridgeコマンドで確認できます。
awplus> show bridge ↓
ルーティングとPPPoE接続について
ソフトウェアブリッジに割り当てたインターフェースはL2インターフェース(ブリッジポート)となり、L3インターフェース(ルーティング用インターフェース)としての機能を失います。
たとえば、eth1にIPアドレスやIPv6アドレスを設定していたとしても、eth1をソフトウェアブリッジに割り当てた時点でeth1のIP/IPv6アドレスは削除されます。また、eth1をソフトウェアブリッジに割り当てた後で、eth1にIP/IPv6アドレスを設定することはできません。
また、ソフトウェアブリッジに割り当てたインターフェース上ではPPPoE接続もできません。
ソフトウェアブリッジと他のネットワークとの間でルーティングを行う場合、および、ソフトウェアブリッジに割り当てたインターフェース上でPPPoE接続を行う場合は、次に述べるブリッジインターフェースを使用してください。
ブリッジインターフェース
ブリッジインターフェースは、ソフトウェアブリッジ全体を表す仮想的なインターフェースで、ブリッジとして動作している本製品へのIP/IPv6アクセスや、ブリッジインターフェースと他のインターフェースとの間のIP/IPv6ルーティングに使用します。
ブリッジインターフェースは、VLAN対応スイッチにおけるVLANインターフェースを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
■ ブリッジインターフェースは、bridgeコマンドでソフトウェアブリッジを作成すると自動的に作られます。インターフェース名は「brX」(Xはブリッジ番号)です。
awplus(config)# bridge 1 ↓
これにより、ブリッジインターフェース br1 が作成されます。
■ 作成したブリッジインターフェースにはIPアドレスやIPv6アドレスを設定して、装置自身へのアクセスに使ったり、他のインターフェースとのルーティングを行ったりすることが可能です。
awplus(config)# interface br1 ↓
awplus(config-if)# ip address 192.168.100.1/24 ↓
なお、ブリッジインターフェース(brX)でサポート可能なL3機能は以下に限定されます。
- 運用・管理機能
- スタティックルーティング
- DHCPクライアント
- MSS書き換え
- MAP-E
- DS-Lite
- 国内標準プロビジョニング方式
- ダイナミックDNSクライアント
- DHCPサーバー
- DNSリレー
■ ブリッジインターフェース上にはPPP(PPPoE)インターフェースを作成して、PPPoE接続を行うことも可能です。
たとえば、eth2をソフトウェアブリッジに割り当てている場合、eth2上にPPPインターフェースを作成して本製品自身がPPPoE接続を行うことはできませんが、所属先のブリッジインターフェース上でencapsulation pppコマンドを実行し、PPPインターフェースを作成することにより、ソフトウェアブリッジでPPPoEパケットを転送しながら、本製品自身もPPPoE接続を行う構成が可能です。
awplus(config)# interface br1 ↓
awplus(config-if)# encapsulation ppp 0 ↓
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