UTM / アプリケーションコントロール(DPI)


基本設定
判別されたアプリケーション定義の使用


アプリケーションコントロール(DPI = ディープパケットインスペクション)は、本製品を通過するパケットのデータ部分を検査し、通信内容(レイヤー7)にもとづいてどのアプリケーションのトラフィックであるかを判別する機能です。
Note - アプリケーションコントロール(DPI)機能はAT-AR2050Vでは使用できません。
Note - アプリケーションコントロール(DPI)機能を使用するにはサブスクリプションライセンスが必要です。

最近は多くのアプリケーションが通信チャンネルとしてHTTPを使うようになっているため、L3/L4ヘッダーだけではこれらのアプリケーションがすべて「HTTP」としか判定できず、個々のアプリケーションを見分けることができませんが、アプリケーションコントロール(DPI)機能を使えば、随時更新されるアプリケーションシグネチャデータベースによって、各種アプリケーションに特有の通信パターンを検出し、個々のアプリケーションを判別することができるようになります。
Note - HTTPSのように暗号化されたパケットは検査・判別できません。

アプリケーションコントロール(DPI)機能自体はアプリケーションの判別を行うだけですが、その情報は動的な「アプリケーション定義」として、ファイアウォールルールとトラフィックシェーピングルールの設定時に利用できます。
Note - NAT機能でもルール設定時にアプリケーションの指定を行いますが、NATルールではアプリケーションコントロール(DPI)によって判別されたアプリケーションは指定できません。ruleコマンド(NATモード)でNAT対象トラフィックを指定するときは、あらかじめ定義されている事前定義済みアプリケーションか、applicationコマンドで定義するカスタムアプリケーション、あるいは、すべてを意味する「any」キーワードを指定してください。

アプリケーション定義については「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

ファイアウォールについては「UTM」/「ファイアウォール」を、トラフィックシェーピングについては「トラフィック制御」/「トラフィックシェーピング」をご覧ください。

また、データベースの更新をつかさどるアップデートマネージャーについては「UTM」/「アップデートマネージャー」をご覧ください。

アプリケーションコントロール(DPI)機能の具体的な使用例については、「設定例集」をご覧ください。

基本設定

アプリケーションコントロール(DPI)の設定は、DPIモード(dpiコマンド)で行います。
provider proceraコマンドでシグネチャデータベースの提供元を指定した後、enableコマンドで有効化します。

以下、アプリケーションコントロール(DPI)機能の基本的な設定手順を示します。
  1. アプリケーションコントロール(DPI)機能の設定を行うため、DPIモードに移行します。これにはdpiコマンドを使います。

    awplus(config)# dpi
    


  2. アプリケーションシグネチャデータベースの提供元を指定します。これにはprovider proceraコマンドを使います。

    awplus(config-dpi)# provider procera
    

    Note - アプリケーションコントロール(DPI)機能とファイアウォール機能を併用する場合は、アプリケーションシグネチャデータベースを更新するため、本製品からインターネットへのDNS通信とHTTPS通信を許可する必要があります。

    3.アプリケーションコントロール(DPI)機能を有効化します。これにはenableコマンドを使います。

    awplus(config-dpi)# enable
    


設定は以上です。

■ アプリケーションコントロール(DPI)機能によって判別できるアプリケーションは、show applicationコマンドのdetail dpiオプションで確認できます。

awplus# show application detail dpi


■ アプリケーションシグネチャデータベースの更新チェック間隔は、update-intervalコマンドで変更可能です。初期値は1時間です。

awplus(config)# dpi
awplus(config-dpi)# update-interval days 1


■ アプリケーションシグネチャデータベースは通常自動更新されますが、update nowコマンドで手動更新することも可能です。

awplus# update dpi_procera_app_db now


■ アプリケーションシグネチャデータベースの更新ステータスはshow resourceコマンドで確認できます。

awplus# show resource dpi_procera_app_db
--------------------------------------------------------------------------------
Resource Name          Status       Version   Interval  Last Download
                                                        Next Download Check
--------------------------------------------------------------------------------
dpi_procera_app_db     unknown      -         10        None
                                              minutes   N/A


■ アプリケーションコントロール(DPI)機能の有効・無効とアプリケーションシグネチャデータベースの提供元、バージョン、更新チェック間隔は、show dpiコマンドで確認できます。

awplus# show dpi
Status:      unlicensed
Provider:    procera
Resource version:         not set
Resource update interval: 1 hour


■ アプリケーションコントロール(DPI)機能によって判別されたアプリケーションの統計情報は、show dpi statisticsコマンドで確認できます。

awplus# show dpi statistics
Application  Packets            Bytes
-------------------------------------------------
http         30                 2020
icmp         348                29232
telnet       45                 2553


判別されたアプリケーション定義の使用

アプリケーションコントロール(DPI)機能によって判別されたアプリケーションの情報は、動的な「アプリケーション定義」として、ファイアウォールルールとトラフィックシェーピングルールの設定時に利用できます。
Note - NAT機能でもルール設定時にアプリケーションの指定を行いますが、NATルールではアプリケーションコントロール(DPI)によって判別されたアプリケーションは指定できません。ruleコマンド(NATモード)でNAT対象トラフィックを指定するときは、あらかじめ定義されている事前定義済みアプリケーションか、applicationコマンドで定義するカスタムアプリケーション、あるいは、すべてを意味する「any」キーワードを指定してください。

Note - アプリケーションコントロール(DPI)機能では、各アプリケーション固有の通信パターンを検出するために一定量のパケットを受信してそのデータ部分を検査する必要があります。判別が完了していないトラフィック(判別中のトラフィック)は、特殊なアプリケーション名「undecided」で表されます。

アプリケーション定義の詳細については、「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

■ ファイアウォールルールは、ファイアウォールモードのruleコマンドで作成します。

アプリケーションコントロール(DPI)機能では、各アプリケーション固有の通信パターンを検出するために一定量のパケットを受信してそのデータ部分を検査する必要がありますが、ファイアウォールはその仕様として初期設定ですべてのパケットを破棄するため、ファイアウォールとアプリケーションコントロール(DPI)を併用する場合は注意が必要です。


ファイアウォールの詳細については、「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。

■ トラフィックシェーピングルールは、トラフィックシェーピングモードのruleコマンドで作成します。

トラフィックシェーピングとアプリケーションコントロール(DPI)を併用する場合は、ファイアウォールでデフォルト拒否の設定をするときのように「permit undecided」ルールを作成する必要はありません。未判別のトラフィックはデフォルトキューで処理され、判別後は該当アプリケーションに対応するルールにしたがって処理されます。

トラフィックシェーピングの詳細については、「トラフィック制御」/「トラフィックシェーピング」をご覧ください。


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