トラフィック制御 / トラフィックシェーピング


基本設定


トラフィックシェーピングは、パケット出力(送信)時の速度(送信間隔)を調整することで、ネットワークトラフィックを一定のレートにならす機能です。

本製品では、特定のトラフィックに送信レートの最小・最大値と優先度を設定することで、トラフィックタイプごとに帯域確保、帯域制限、優先制御を行うことが可能です。また、出力インターフェースごとに送信レートの最大値(仮想帯域)を設定することも可能です。
Note - トラフィックシェーピングの対象はIPv4/IPv6トラフィックです。
Note - トラフィックシェーピングはトンネルインターフェースを除くルーティング用インターフェースでのみ機能します。トンネルインターフェースとブリッジ用インターフェースでは動作しません。なお、トンネルインターフェースの下位インターフェース(eth1上のトンネルインターフェースtunnel0の場合、eth1)において、トンネリングパケット(IPsecの場合ESPパケット)を制御対象にすることは可能です(トンネルの総帯域を制限する、など)。


基本設定

トラフィックシェーピング機能の基本的な設定方法を示します。
トラフィックシェーピングの具体的な使用例については「設定例集」をご覧ください。

■ トラフィックシェーピング機能の設定を行うには、最初にtraffic-shapingコマンドを実行してトラフィックシェーピングモードに入り、shaping enableコマンドでトラフィックシェーピング機能を有効化します。

awplus(config)# traffic-shaping
awplus(config-ts)# shaping enable


■ 特定のトラフィックに対してシェーピングを行うには、トラフィックシェーピングモードのruleコマンドを使って、トラフィックシェーピングルールを追加します。

対象トラフィックの指定には、UTMのファイアウォール機能やNAT機能と同様、送信元と宛先のエンティティー定義、および、アプリケーション定義を用います。
なお、出力インターフェースを特定するため、宛先エンティティーは1つ以上のインターフェースと関連付けられている必要があります(ip subnet / ipv6 subnetコマンドで interface パラメーターが指定されていること)。
Note - エンティティー定義、アプリケーション定義の詳細については、「UTM」/「エンティティー定義」「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

また対象トラフィックに対しては、下記の制御が可能です。

たとえば、ゾーン「public」(ppp0)からゾーン「private」(vlan1)へのHTTPトラフィックに対し、優先度を最低の「7」に設定して他のトラフィックを妨げないようにした上で、送出インターフェースの帯域に余裕があるときは最大50Mbpsまで使用できるよう設定するには、次のようにします。
Note - トラフィックシェーピングルールの宛先エンティティーではインターフェースの指定が必須です。この例ではゾーン「private」を宛先エンティティーとして指定しているため、ゾーン「private」内のネットワーク「lan」でサブネットアドレスを指定するときにインターフェース名「vlan1」も指定しています。インターフェース指定のない宛先エンティティーを指定したルールは無効となり動作しませんのでご注意ください。

awplus(config)# zone public
awplus(config-zone)# network internet
awplus(config-network)# ip subnet 0.0.0.0/0 interface ppp0
awplus(config-network)# exit
awplus(config-zone)# exit

awplus(config)# zone private
awplus(config-zone)# network lan
awplus(config-network)# ip subnet 192.168.10.0/24 interface vlan1
awplus(config-network)# exit
awplus(config-zone)# exit

awplus(config)# traffic-shaping
awplus(config-ts)# shaping enable
awplus(config-ts)# rule match http from public to private rate 1 max 50000 priority 7


なお、トラフィックシェーピングルールで指定したエンティティー定義やアプリケーション定義が不完全な場合、該当ルールは有効になりません。トラフィックシェーピングルールが有効かどうかをチェックするには、show traffic-shaping rule config-checkコマンドを実行します。

awplus# show traffic-shaping rule config-check
Rule 15:
  "To" entity does not exist

この例では、宛先エンティティーの定義が存在しないためルール「15」が無効であると表示されています。

■ インターフェースに対して送信レートの上限値(仮想帯域)を設定するには、virtual-bandwidth interfaceコマンドを使います。

たとえば、eth1インターフェースの送信レートを50000Kbpsに制限するには次のようにします。

awplus(config)# traffic-shaping
awplus(config-ts)# shaping enable
awplus(config-ts)# virtual-bandwidth interface eth1 rate 50000

Note - 802.1Qサブインターフェース(ethX.Y、tunnelX.Yなど)では仮想帯域を設定しないでください(設定しても無効です)。なお、トラフィックシェーピングルールの出力インターフェースがサブインターフェースであっても問題はありません。

■ トラフィックシェーピング機能の有効・無効など全般的な情報はshow traffic-shapingコマンドで確認できます。

awplus# show traffic-shaping


■ トラフィックシェーピングルールの情報はshow traffic-shaping ruleコマンドで確認できます。

awplus# show traffic-shaping rule


■ トラフィックシェーピングルールが有効かどうかをチェックするには、show traffic-shaping rule config-checkコマンドを使います。

トラフィックシェーピングルールの作成時にはエンティティーとアプリケーションの両定義を使用しますが、これらの定義が不完全な場合(指定したアプリケーションやエンティティーが未定義である、アプリケーション定義でIPプロトコルが未指定、など)、該当ルールは有効にならず無視されてしまいます。

このような事態を避けるには、ルール作成後にshow traffic-shaping rule config-checkコマンドを実行してルールが有効かどうかをチェックしてください。

awplus# show traffic-shaping rule config-check
Rule 15:
  "To" entity does not exist

同コマンドでは、無効なルールがある場合、それが理由とともに示されます。

この例では、次の理由によりルール「15」が無効であることが示されています。

また、次の例では、すべてのルールが有効であることが示されています。

awplus# show traffic-shaping rule config-check
All rules are valid


トラフィックシェーピングルールは次の場合に無効とされます。

■ トラフィックシェーピングルールの統計情報はshow traffic-shaping rule countersコマンドで確認できます。

awplus# show traffic-shaping rule counters


■ インターフェースに設定した送信レートの上限値(仮想帯域)や、トラフィックシェーピングルールによって予約された帯域などの情報は、show traffic-shaping interfaceコマンドで確認できます。

awplus# show traffic-shaping interface


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