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CentreCOM AR560S コマンドリファレンス 2.9
WANロードバランス/概要・基本設定
- 基本仕様
- 基本設定
- Round Robinモード
- Weighted Lotteryモード
- Weighted fast responseモード
- Weighted least connectモード
本製品は、複数のWAN回線を利用してトラフィック負荷を分散させるWANロードバランス機能を備えています。
本機能を使用すると、特定宛先へのパケットを複数回線に振り分けることで回線負荷を分散し、帯域を有効活用できるとともに、回線ダウン時は別回線に切り替えることでWAN接続の信頼性を高めることができます。
Note
- WANロードバランス機能を使用するにはフィーチャーライセンスAT-FL-15-Bが必要です。
WANロードバランス機能の基本仕様をまとめます。
- 複数のIPインターフェースを指定することにより動作可能となる。
- 負荷分散の対象となるのは、宛先への経路を複数持つIPv4パケット(ただし、ICMPは対象外)。なお、複数の経路がある場合、経路表のメトリック値や優先度値は無視される。複数経路があっても常に決まった経路を使いたい場合は、ポリシーフィルターを使用する。
- ルーター自身が送信するパケットは負荷分散の対象外。
- 負荷分散は「セッション」単位で行われる。「セッション」は、始点・終点IPアドレスとL4プロトコル(TCPかUDP)によって識別される。
Note
- 本仕様により、WANロードバランス機能とNATを併用した場合は、TCPとUDPを同時に使用するようなアプリケーションが正しく動作しない場合があります。このようなアプリケーションを使用する場合は、ポリシーフィルター(ポリシーベースルーティング)などを利用して、該当アプリケーションのパケットが負荷分散されないようにしてください。
- LAN 側インターフェース(VLAN)から WAN 側インターフェース(PPP、ETH)を通過するパケットに対して、新規にセッションを作成します。 逆方向(WAN 側インターフェースから LAN 側インターフェース)については、新規にセッションを作成しません。
- 等価コストマルチパスルーティング(ECMP)との併用はできない。ECMPはデフォルト有効なので、WANロードバランス機能を使うときはあらかじめ無効に設定すること。
- ファイアウォール、およびファイアウォールNATとの併用は可能。(レンジNATとの併用は不可。)
ただし、ファイアウォールNATにおいてGBLIPパラメーターでIPアドレス(またはIPアドレス範囲)を指定するNAT変換は併用不可。
また、ファイアウォールNATを使用している場合、転送先インターフェースによって始点アドレスが異なるアドレスに書き換えられることになる。
- UPnPとの併用は可能。ただし、UPnP関連トラフィックは負荷分散の対象にはならない(UPnPの設定ではWAN側インターフェースを1つしか指定できないため)。
- ポリシーフィルター(ポリシーベースルーティング)との併用は可能。ただし、ポリシーフィルターにマッチしたパケットは負荷分散の対象にはならない。これを利用すれば、複数経路を持つが通常は片方の経路を使いたいトラフィックを負荷分散の対象から外すことができる。
WANロードバランス機能の基本的な設定方法について説明します。
Round Robinモードは、WAN側へのトラフィックを各インターフェースに均等かつ決められた順序で割り振る基本的な動作モードです。このモードでWANロードバランス機能を使用するための設定は以下のとおりです。
ここでは、IPの基本設定までは完了しているものと仮定します。WAN側インターフェースとしては、ppp0(10M xDSL)とppp1(10M xDSL)の2つがあるものと仮定します。
- 各WANインターフェースにデフォルトルートを向けておきます。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- 等価コストマルチパス(ECMP)ルーティングを無効にします。ECMPがオンのときは、WANロードバランス機能を有効化できません。
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH ↓
- WANロードバランス機能を有効化します。
- 負荷分散対象のWAN側IPインターフェースを指定します。
ADD WANLB RESOURCE=ppp0 ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp1 ↓
Weighted Lotteryモードは、各インターフェースに設定された優先度の比率になるようトラフィックを分散するモードです。各インターフェースへの割り振り順序は一見ランダムですが、実際にはあらかじめ設定された分散比率になるよう選択されています。
たとえば、2つのインターフェースにそれぞれ「10」「100」の優先度を設定しておけば、トラフィックは10:100の割合で分散されます。WANインターフェースの回線速度が異なるような場合に便利な機能です。
ここでは、IPの基本設定までは完了しているものと仮定します。WAN側インターフェースとしては、ppp0(10M xDSL)とppp1(100M FTTH)の2つがあるものと仮定します。
- 各WANインターフェースにデフォルトルートを向けておきます。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- 等価コストマルチパス(ECMP)ルーティングを無効にします。ECMPがオンのときは、WANロードバランス機能を有効化できません。
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH ↓
- WANロードバランス機能を有効化します。
- WANロードバランス機能の動作モードをWeighted Lotteryモードに変更します。
SET WANLB SELECT=WLOTTERY ↓
- 負荷分散対象のWAN側IPインターフェースを指定します。また、ppp0に10、ppp1に100の重み付けを設定します。これにより、ppp0とppp1には10:100(すなわち1:10)でトラフィックが分散されます。
ADD WANLB RESOURCE=ppp0 WEIGHT=10 ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp1 WEIGHT=100 ↓
Note
- WEIGHTパラメーターは、負荷分散の比率を示すものです。したがって、WEIGHT比1:10、10:100、100:1000はいずれも同じ動作になります。
Note
- Weighted Lotteryモードにおいて、WEIGHT=0は負荷分散にそのインターフェースを使わないの意味ですが、負荷分散の対象でないパケットの送信には使用されます。また、他のインターフェースがリンクダウンした場合は、WEIGHT=0のインターフェースも使用されます。
Weighted fast responseモード |
このモードでは、ヘルスチェック機能によって外部ホストからの応答時間を測定して、その結果に応じて負荷分散を行います。このモードを利用するには、SET WANLBコマンドでのモード設定の後、ADD WANLB HEALTHCHECKコマンド、ENABLE WANLB HEALTHCHECKコマンドでヘルスチェック機能の設定を行います。
Weighted least connectモード |
このモードでは、WANポートごとの現在の負荷に応じて負荷分散を行います。このモードを利用するには、SET WANLBコマンドでのモード設定の後、ADD WANLB RESOURCEコマンドのWEIGHTパラメーターで優先度の設定を行います。
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