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CentreCOM AR570S 設定例集 2.9 #166

WANロードバランス機能によるトラフィック負荷分散(Weighted Fast Response モード)


ヘルスチェック機能によって、WANロードバランスのインターフェースからヘルスチェック用ホストに対してICMPエコー要求が送信され、応答時間によりWeighted fast responseモードの負荷分散を行います。xDSL回線を2本使用し、それぞれ異なるインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続し、WANロードバランス機能によってトラフィック負荷を分散させます。


Note - 本機能はオプション機能ですので、ご使用にはフィーチャー(追加機能)ライセンスが必要です。

表 1:ルーターに対して ISP から提供された情報
 
ISP-A
ISP-B
PPPユーザー名 user@ispA user@ispB
PPPパスワード isppasswdA isppasswdB
PPPoEサービス名 指定なし 指定なし
IPアドレス グローバルアドレス1個 (動的割り当て) グローバルアドレス1個 (動的割り当て)


ルーターには、次のような方針で設定を行います。


表 2:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース(ISP-A接続インターフェース) eth0
WAN側物理インターフェース(ISP-B接続インターフェース) eth1
WAN側(ppp0)IPアドレス(ISP-A接続インターフェース) グローバルアドレス1個(動的割り当て)
WAN側(ppp1)IPアドレス(ISP-B接続インターフェース) グローバルアドレス1個(動的割り当て)



ルーターの設定

  1. WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にISP-Aとの接続用のPPPインターフェース「0」を作成します。
    「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。


  2. ISP-Aから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  3. もう一方のWAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にISP-Bとの接続用のPPPインターフェース「1」を作成します。
    「OVER=eth1-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。


  4. ISP-Bから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。


  5. IPモジュールを有効にします。


  6. IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。


  7. LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. ISP-A接続用のWAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISP-Aとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。


  9. ISP-B接続用のWAN側(ppp1)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISP-Bとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。


  10. デフォルトルートをISP-AとISP-Bの両方に向けます。


  11. ファイアウォール機能を有効にします。


  12. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  13. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


  14. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  15. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
    LAN側(vlan1)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。


  16. ISP-A接続用のWAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。


  17. ISP-B接続用のWAN側(ppp1)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。


  18. LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。
    パケットがISP-A側、ISP-B側のどちらに転送された場合でもENATが使用できるようにします。


  19. WANロードバランス機能を使用するため、等価コストマルチパス(ECMP)ルーティングを無効にします。


  20. WANロードバランス機能を有効にします。


    Note - ECMPがオンのときは、WANロードバランス機能を有効化できません。

  21. WANロードバランス機能の動作モードをWeighted Fast Responseに切り替えます。


  22. 負荷分散対象のWAN側インターフェースを指定します。


  23. WANロードバランスのヘルスチェック機能(各インターフェースの接続状態を定期的に確認)を有効にします。


  24. WANロードバランスのヘルスチェック用ホスト(接続状態確認の宛先)を追加します。


  25. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ


■ 本機能は ICMP Echo パケットの応答時間によって負荷分散します。応答時間の差として、1000msec〜2000msec まで認識可能です。2000msec を超える遅延は HEALTHCHECK エラーとして認識されます。

まとめ

ルーターのコンフィグ [テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON
CREATE PPP=1 OVER=eth1-ANY
SET PPP=1 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON
ENABLE IP
ENABLE IP REMOTEASSIGN
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH
ENABLE WANLB
SET WANLB SELECT=WFASTRESPONSE
ADD WANLB RESOURCE=ppp0
ADD WANLB RESOURCE=ppp1
ENABLE WANLB HEALTHCHECK
ADD WANLB HEALTHCHECK=1 HOST=20.0.0.1





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