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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #30 
専用線によるインターネット接続(LAN側グローバル)
専用線を使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)にLAN型で接続します。この例では、NATを使用せず、LAN側端末にグローバルアドレスを直接割り当てます。また、ファイアウォールを使って外部からのアクセスを原則拒否しつつ、特定のサーバーだけを外部に公開します。
専用線接続では、ISPからいくつか(8個、16個など)固定的にIPアドレスを割り当てられ、ユーザーのLANをISPのネットワークに直接接続する形になります。
表 1:ISPから提供された情報
  | WAN側インターフェース | 
  Unnumbered | 
  | 使用できるIPアドレス | 
  4.4.4.0/28(4.4.4.0〜4.4.4.15) | 
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- LAN側端末はすべてグローバルアドレスで運用します。NATは使用しません。ISPから割り当てられているアドレスは16個ですが、ネットワークアドレス(4.4.4.0)、ブロードキャストアドレス(4.4.4.15)、ルーター自身のアドレス(4.4.4.1)にそれぞれ1個ずつ消費されるため、端末に設定できるアドレスは4.4.4.2〜4.4.4.14の13個となります。
 - ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
 - 外部からのアクセスは原則としてすべて遮断しますが、下記のサービスにはアクセスを許可します。
- SMTPサーバー:4.4.4.2:25/tcp
 - DNSサーバー:4.4.4.2:53/tcp、53/udp
 
 
ルーターの基本設定を次にまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
  | TDMグループ名 | 
  ISP | 
  | 回線速度 | 
  128Kbps | 
  | WAN側物理インターフェース | 
  bri0 | 
  | WAN側(ppp0)IPアドレス | 
  Unnumbered | 
  | LAN側(eth0)IPアドレス | 
  4.4.4.1/28 | 

- BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。
  
    SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓
  
 - bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対し、TDMグループ「ISP」を作成します。
  
    CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓
  
 - PPPインターフェース「0」をTDMグループ「ISP」上に作成します。LQRはオフにします。
  
    CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF ↓
  
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースに、ISPから提供されたアドレスブロックの先頭アドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.240 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースをUnnumbered(0.0.0.0)に設定します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
  
 - ファイアウォール機能を有効にします。
  
 - ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
  
    CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
  
 - ファイアウォールで拒否したパケットをログに記録するよう設定します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
  
 - ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE ↓
  
Note
 - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
 - ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
  
    DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
  
 - ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側インターフェース(eth0)をPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - WAN側インターフェース(ppp0)をPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
  
 
 - 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。
- SMTPサーバー(4.4.4.2のTCP25番)へのパケットは通過させます。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=25 ↓
  
 - DNSサーバー(4.4.4.2のTCP、UDP53番)へのパケットは通過させます。
  
    
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=53 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP IP=4.4.4.2 PORT=53 ↓
    
  
 
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
■ ISPからログイン名とパスワードを指定されている場合は、手順3の次に以下のコマンドを追加してください。ここでは、ログイン名として「ispuser」、パスワードとして「isppasswd」を設定しています。
  
    SET PPP=0 USER=ispuser PASSWORD=isppasswd ↓
  
■ ISPがUnnumberedを使用しておらず、WAN側インターフェース(ppp0)にもIPアドレスを割り当ててきた場合は、手順6でppp0に該当するIPアドレスを設定します。
たとえば、ISPから12.34.56.78/30というアドレスを割り当てられた場合は、手順6の代わりに次のように設定します。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=12.34.56.78 MASK=255.255.255.252 ↓
  
■ ファイアウォール関連のログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
  
    
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
    
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
■ 現在の設定内容を表示するには、次のコマンドを使います。
  
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2 ↓ 
CREATE TDM GROUP=ISP INT=bri0 SLOTS=1-2 ↓ 
CREATE PPP=0 OVER=TDM-ISP LQR=OFF ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.240 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE FIREWALL ↓ 
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACHABLE ↓ 
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=25 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=TCP IP=4.4.4.2 PORT=53 ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=ppp0 PROTO=UDP IP=4.4.4.2 PORT=53 ↓ 
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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #30 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
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