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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #47 
PPPoEによる端末型インターネット接続
PPPoEを使ってインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。PPPoEは、xDSLやFTTHなどのいわゆる「ブロードバンド」系サービスで広く使用されているプロトコルです。この例は、接続時にアドレスを1つ割り当てられる端末型の基本設定です。ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。また、LAN側クライアントの設定を簡単にするため、DNSリレーとDHCPサーバーも利用します。
ISPからは次の情報を提供されているものとします。
表 1:ISPから提供された情報
  | PPPユーザー名 | 
  user@isp | 
  | PPPパスワード | 
  isppasswd | 
  | PPPoEサービス名 | 
  指定なし | 
  | IPアドレス | 
  グローバルアドレス1個(動的割り当て) | 
  | DNSサーバー | 
  接続時に通知される | 
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にインターネットへのアクセスができるようにします。
 - ファイアウォールのダイナミックENAT機能を使用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、ISPから与えられたグローバルIPアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターからインターネットへの同時アクセスが可能になります。
 - ルーターをDHCPサーバーとして動作させ、LANに接続されたコンピューターにIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーアドレスの情報を提供します。
 - ルーターのDNSリレー機能をオンにして、LAN側コンピューターからのDNSリクエストを、ISPのDNSサーバーに転送します。上記DHCPサーバーの設定により、LAN側コンピューターに対しては、DNSサーバーアドレスとしてルーター自身のIPアドレスを教えます。
 
以下、ルーターの基本設定とDHCPサーバーの設定についてまとめます。
表 2:ルーターの基本設定
  | WAN側物理インターフェース | 
  eth1 | 
  | WAN側(ppp0)IPアドレス | 
  接続時にISPから取得する | 
  | LAN側(eth0)IPアドレス | 
  192.168.10.1/24 | 
  | DHCPサーバー機能 | 
  有効 | 
表 3:ルーターのDHCPサーバーの設定
  | DHCPポリシー名 | 
  BASE | 
  | 使用期限 | 
  7200(秒) | 
  | サブネットマスク | 
  255.255.255.0 | 
  | デフォルトルート | 
  192.168.10.1 | 
  | DNSサーバー | 
  192.168.10.1 | 
  | DHCPレンジ名 | 
  LOCAL | 
  | 提供するIPアドレスの範囲 | 
  192.168.10.100〜192.168.10.131(32個) | 

- WAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth1-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
  
    CREATE PPP=0 OVER=eth1-ANY ↓
  
 - ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
  
    SET PPP=0 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓
  
Note
 - ファームウェアバージョン2.6以降、「IDLE=OFF」(デフォルト)に設定されたPPPoEインターフェースでは、PPPoEセッションキープアライブ機能が働くため、リンクダウン時に自動的に再接続を試みます(リンクダウンを検出するため「ECHO=ON」の設定は必要)。そのため、以前のバージョンで使用していた自動再接続のためのインターフェーストリガーは必要なくなりました。ただし、トリガーの設定があっても問題はありません。以前の設定もそのまま使用できます。
Note
 - バージョン2.6よりも前のファームウェアでPPPoEの自動再接続を行うにはインターフェーストリガーの設定が必要です。設定方法については、ご使用中のバージョンに対応したマニュアルをご覧ください。
 - IPモジュールを有効にします。
  
 - IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
  
 - LAN側(eth0)インターフェースにIPアドレスを設定します。
  
    ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISPとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
  
    ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
  
 - デフォルトルートを設定します。
  
    ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
  
 - DNSリレー機能を有効にします。
  
 - DNSリレーの中継先を指定します。通常、中継先にはDNSサーバーのアドレスを指定しますが、IPCPによりアドレスを取得するまでは不明であるため、ここではインターフェース名を指定します。
  
    SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓
  
 - ファイアウォール機能を有効にします。
  
 - ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
  
    CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
  
 - ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
  
Note
 - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。
 - ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
  
    DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
  
 - ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
- LAN側(eth0)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓
  
 - WAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
  
 
 - LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、ppp0のIPアドレスを使用します。
  
    ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=ppp0 ↓
  
 - LAN側PCのためにDHCPサーバー機能を有効にします。
  
 - DHCPポリシー「BASE」を作成します。IPアドレスの使用期限は7,200秒(2時間)とします。
  
    CREATE DHCP POLICY=BASE LEASETIME=7200 ↓
  
 - DHCPクライアントに提供する情報を設定します。ここでは、DNSサーバーアドレスとして、ルーターのLAN側インターフェースのIPアドレスを指定しています。
  
    ADD DHCP POLICY=BASE SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓
  
 - DHCPクライアントに提供するIPアドレスの範囲を設定します。
  
    CREATE DHCP RANGE=LOCAL POLICY=BASE IP=192.168.10.100 NUMBER=32 ↓
  
 - 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
  
    
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
    
  
 
■ 本設定では、ルーター起動直後にPPPoEセッションが確立され、以後常時接続された状態となります。したがって、PPPoEセッションの切断、再接続は手動で行う必要があります。
- セッションを切断するには、次のコマンドでPPPインターフェースをディセーブルにします。
  
 - 再接続するには次のコマンドでPPPインターフェースをイネーブルにします。
  
 
■ 常時接続ではなく、LAN側からインターネット側に対して通信要求が発生したときに自動的にPPPoEセッションを確立し、無通信状態が60秒続いたときにPPPoEセッションを切断するには、次のコマンドを入力します。
  
    SET PPP=0 OVER=eth1-ANY IDLE=60 ↓
  
■ DNSリクエストの転送先インターフェースを指定するコマンド(手順9)は、実在するインターフェースに対して適用する必要があります。この例では、2つのコマンドが必ず次の順序で実行されるようにしてください。
  
    
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0(手順6) ↓
SET IP DNSRELAY INT=ppp0(手順9) ↓
    
  
特に、設定ファイル(*.cfg)を直接「EDIT」で編集する場合や、作成済みの設定ファイルをダウンロード(LOAD)する場合、2つのコマンドの順序が入れ替わらないように注意してください。コマンド順序の違いによるトラブルは、わかりにくいため注意が必要です。
■ あらかじめDNSサーバーアドレスがわかっている場合は、手順9の代わりに、次のようにしてDNSサーバーを設定しておいてもかまいません。ただし、この場合は、ISP側の都合でアドレスが変更されると、手動で設定を変更する必要があります。
  
    
ADD IP DNS PRIMARY=12.34.11.11 SECONDARY=12.34.11.22 ↓
    
  
■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。
  
    ENABLE FIREWALL POLICY=net LOG=DENY ↓
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
■ インターネット側からのPING(ICMP Echo Requestパケット)を拒否するには、次のようなIPフィルターをWAN側インターフェースに設定します。この例では、「LOG=HEADER」により、フィルターで拒否したパケットをログに記録しています。
  
    
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 PROTO=ICMP ICMPTYPE=ECHO LOG=HEADER ACTION=EXCLUDE ↓
ADD IP FILTER=0 SO=0.0.0.0 ACTION=INCLUDE ↓
SET IP INT=ppp0 FILTER=0 ↓
    
  
記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=IPFIL」により、IPフィルターが出力したログメッセージだけを表示させています。
  
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth1-ANY ↓ 
SET PPP=0 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@isp PASSWORD=isppasswd LQR=OFF ECHO=ON ↓ 
ENABLE IP ↓ 
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓ 
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓ 
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓ 
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓ 
ENABLE IP DNSRELAY ↓ 
SET IP DNSRELAY INT=ppp0 ↓ 
ENABLE FIREWALL ↓ 
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓ 
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓ 
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓ 
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=ppp0 ↓ 
ENABLE DHCP ↓ 
CREATE DHCP POLICY=BASE LEASETIME=7200 ↓ 
ADD DHCP POLICY=BASE SUBNET=255.255.255.0 ROUTER=192.168.10.1 DNSSERVER=192.168.10.1 ↓ 
CREATE DHCP RANGE=LOCAL POLICY=BASE IP=192.168.10.100 NUMBER=32 ↓ 
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CentreCOM AR740 設定例集 2.6 #47 
(C) 1997 - 2008 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: 613-000216 Rev.C
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