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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #13

ISDNによるIPX3点間接続


ISDN回線を使って3つのIPXネットワークを接続します。

ここでは、次のような構成のネットワークを例に解説します。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
ルーターC
ISDN番号 03-1234-1111 06-1234-2222 045-123-3333
ISDNコール名(1) TOOS(対B) TOOS(対A) YOTO(対A)
ISDNコール名(2) YOTO(対C)    
ISDN発着優先(1) 着呼優先(対B) 発呼優先(対A) 発呼優先(対A)
ISDN発着優先(2) 着呼優先(対C)    
ISDN識別方式 発番号識別 発番号識別 発番号識別
WAN側物理インターフェース bri0 bri0 bri0
WAN側(ppp0)ネットワーク番号(1) 1002(対B) 1002(対A) 1003(対A)
WAN側(ppp1)ネットワーク番号(2) 1003(対C)    
LAN側(eth0)ネットワーク番号 100 200 300
ステーション番号(MACアドレス) 0000f4740012 0000f4740022 0000f4740032
Ethernetフレームタイプ 802.2 802.2 802.2
ファイルサーバー名 NW-SERVER (なし) (なし)
ファイルサーバー内部ネットワーク番号 7500 (なし) (なし)
ファイルサーバーステーション番号 1 (なし) (なし)
ファイルサーバーソケットアドレス 0451 (なし) (なし)



ルーターAの設定

  1. 接続先情報(ISDNコール)を定義します。ここではルーターBに対するコール名を「TOOS」、ルーターCに対するコール名を「YOTO」としています。PRECEDENCEパラメーターにより、ルーターBと同時に通信が発生した場合は着呼(IN)を優先、ルーターCと同時に通信が発生した場合も着呼(IN)を優先するよう設定します。また、「INTREQ=bri0」により、発呼に使用する物理インターフェースとしてbri0を指定します。


  2. 「SEARCHCLI=ON」を指定し、着呼時に発信者番号による識別を行うよう設定します。これにより、「TOOS」と「YOTO」は、手順1のNUMBERパラメーターで指定した番号からの着信呼にのみ応答するようになります。


  3. ISDNコール「TOOS」「YOTO」上にPPPインターフェース「0」および「1」を作成します。また、「IDLE=ON」により、必要に応じて自動発呼するダイヤルオンデマンド機能を有効にします。


  4. IPXモジュールを有効にします。


  5. LAN側(eth0)インターフェースにIPXネットワーク番号を設定します。CIRCUITには任意の番号を、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。


  6. WAN側(ppp0、ppp1)インターフェースにIPXネットワーク番号を設定します。CIRCUITには任意の番号を指定します。また、ダイヤルアップ環境向けのパラメーター「DEMAND=ON」を指定し、RIPパケットやSAPパケットの定期交換を行わないようにします。


  7. スタティックルートを設定します。ROUTEには接続先LANのIPXネットワーク番号、NEXTHOPには接続先ルーターのWAN側IPXアドレス(WAN側ネットワーク番号:MACアドレス)を指定します。


    Note - MACアドレスにはコロンやハイフンを含めないでください。ルーターのMACアドレスは、SHOW ETH MACADDRESSコマンド、または、SHOW ETH CONFIGURATIONコマンドで確認できます。

  8. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。




ルーターBの設定

  1. 接続先情報(ISDNコール)を定義します。ここではコール名を「TOOS」とし、接続先番号として「0312341111」を指定しています。「PRECEDENCE=OUT」は、ルーターAと同時に通信が発生した場合に、発呼を優先するよう指示するものです。また、「INTREQ=bri0」により、発呼に使用する物理インターフェースとしてbri0を指定します。


  2. 「SEARCHCLI=ON」を指定し、着呼時に発信者番号による識別を行うよう設定します。これにより、「TOOS」は手順1のNUMBERパラメーターで指定した番号からの着信呼にのみ応答するようになります。


  3. ISDNコール「TOOS」上にPPPインターフェース「0」を作成します。また、「IDLE=ON」により、必要に応じて自動発呼するダイヤルオンデマンド機能を有効にします。


  4. IPXモジュールを有効にします。


  5. LAN側(eth0)インターフェースにIPXネットワーク番号を設定します。CIRCUITには任意の番号を、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。


  6. WAN側(ppp0、ppp1)インターフェースにIPXネットワーク番号を設定します。CIRCUITには任意の番号を指定します。また、ダイヤルアップ環境向けのパラメーター「DEMAND=ON」を指定し、RIPパケットやSAPパケットの定期交換を行わないようにします。


  7. スタティックルートを設定します。ROUTEには接続先LANのIPXネットワーク番号、NEXTHOPには接続先ルーター(ルーターA)のWAN側IPXアドレス(WAN側ネットワーク番号:MACアドレス)を指定します。


    Note - MACアドレスにはコロンやハイフンを含めないでください。ルーターのMACアドレスは、SHOW ETH MACADDRESSコマンド、または、SHOW ETH CONFIGURATIONコマンドで確認できます。

  8. ルーターA側にあるNetWareサーバーへの経路と、サーバーが提供するサービスをスタティックに登録します。ROUTEにはサーバーのインターナルネットワーク番号を指定します。SERVICEにはサーバー名を、ADDRESSにはファイルサーバーのインターナルネットワーク番号:ステーション番号:NCPソケットアドレスを指定します。TYPEにはサービスの種類を、HOPSにはサーバーまでのホップ数を指定します。


  9. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。




ルーターCの設定

  1. 接続先情報(ISDNコール)を定義します。ここではコール名を「YOTO」とし、接続先番号として「0312341111」を指定しています。「PRECEDENCE=OUT」は、ルーターAと同時に通信が発生した場合に、発呼を優先するよう指示するものです。また、「INTREQ=bri0」により、発呼に使用する物理インターフェースとしてbri0を指定します。


  2. 「SEARCHCLI=ON」を指定し、着呼時に発信者番号による識別を行うよう設定します。これにより、「YOTO」は手順1のNUMBERパラメーターで指定した番号からの着信呼にのみ応答するようになります。


  3. ISDNコール「YOTO」上にPPPインターフェース「0」を作成します。また、「IDLE=ON」により、必要に応じて自動発呼するダイヤルオンデマンド機能を有効にします。


  4. IPXモジュールを有効にします。


  5. LAN側(eth0)インターフェースにIPXネットワーク番号を設定します。CIRCUITには任意の番号を、ENCAPSULATIONにはフレームタイプを指定します。


  6. WAN側(ppp0、ppp1)インターフェースにIPXネットワーク番号を設定します。CIRCUITには任意の番号を指定します。また、ダイヤルアップ環境向けのパラメーター「DEMAND=ON」を指定し、RIPパケットやSAPパケットの定期交換を行わないようにします。


  7. スタティックルートを設定します。ROUTEには接続先LANのIPXネットワーク番号、NEXTHOPには接続先ルーター(ルーターA)のWAN側IPXアドレス(WAN側ネットワーク番号:MACアドレス)を指定します。


    Note - MACアドレスにはコロンやハイフンを含めないでください。ルーターのMACアドレスは、SHOW ETH MACADDRESSコマンド、または、SHOW ETH CONFIGURATIONコマンドで確認できます。

  8. ルーターA側にあるNetWareサーバーへの経路と、サーバーが提供するサービスをスタティックに登録します。ROUTEにはサーバーのインターナルネットワーク番号を指定します。SERVICEにはサーバー名を、ADDRESSにはファイルサーバーのインターナルネットワーク番号:ステーション番号:NCPソケットアドレスを指定します。TYPEにはサービスの種類を、HOPSにはサーバーまでのホップ数を指定します。


  9. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ

■ ルーターのMACアドレスは、SHOW ETH CONFIGURATIONコマンドかSHOW ETH MACADDRESSコマンドで確認できます。


■ 手順6でDEMAND=OFF(デフォルト)に設定すると、定期的にRIPやSAPの交換が行われるため、そのたびに回線接続が発生して電話料金が加算されてしまいます。また、帯域が狭められてしまいますので、ダイヤルアップでご使用の方は通常DEMAND=ONに設定するようお勧めします。


■ 特定のサービスの情報をWAN越しに交換したくない場合は、ADD IPX SAPコマンドでSAPフィルターを作成し、これをWAN側IPXサーキットに適用します。

たとえば、プリンターサーバーの情報を交換したくない場合は次のようにします。ここでは、IPXサーキット「2」をWAN側と仮定します。2行目の設定により、プリンターサーバー以外のサービス情報は接続先にも送られます。


■ 特定のステーションやネットワークからのトラフィックをフォワードしたくない場合は、ADD IPX EXCLUSIONコマンドでトラフィックフィルターを設定します。次の例は、ステーション「10:0000f4123456」からのIPXパケットを遮断する設定です。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=TOOS NUMBER=0612342222 PRECEDENCE=IN INTREQ=bri0
ADD ISDN CALL=YOTO NUMBER=0451233333 PRECEDENCE=IN INTREQ=bri0
SET ISDN CALL=TOOS SEARCHCLI=ON
SET ISDN CALL=YOTO SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-TOOS IDLE=ON
CREATE PPP=1 OVER=ISDN-YOTO IDLE=ON
ENABLE IPX
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=100 ENCAPSULATION=802.2
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp0 NETWORK=1002 DEMAND=ON
ADD IPX CIRCUIT=3 INTERFACE=ppp1 NETWORK=1003 DEMAND=ON
ADD IPX ROUTE=200 CIRCUIT=2 NEXTHOP=1002:0000f4740022
ADD IPX ROUTE=300 CIRCUIT=3 NEXTHOP=1003:0000f4740032


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=TOOS NUMBER=0312341111 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0
SET ISDN CALL=TOOS SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-TOOS IDLE=ON
ENABLE IPX
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=200 ENCAPSULATION=802.2
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp0 NETWORK=1002 DEMAND=ON
ADD IPX ROUTE=100 CIRCUIT=2 NEXTHOP=1002:0000f4740012
ADD IPX ROUTE=7500 CIRCUIT=2 NEXTHOP=1002:0000f4740012
ADD IPX SERVICE=NW-SERVER ADDRESS=7500:00000001:0451 TYPE=file CIRCUIT=2 HOPS=2


ルーターCのコンフィグ [テキスト版]
ADD ISDN CALL=YOTO NUMBER=0312341111 PRECEDENCE=OUT INTREQ=bri0
SET ISDN CALL=YOTO SEARCHCLI=ON
CREATE PPP=0 OVER=ISDN-YOTO IDLE=ON
ENABLE IPX
ADD IPX CIRCUIT=1 INTERFACE=eth0 NETWORK=300 ENCAPSULATION=802.2
ADD IPX CIRCUIT=2 INTERFACE=ppp0 NETWORK=1003 DEMAND=ON
ADD IPX ROUTE=100 CIRCUIT=2 NEXTHOP=1003:0000f4740012
ADD IPX ROUTE=7500 CIRCUIT=2 NEXTHOP=1003:0000f4740012
ADD IPX SERVICE=NW-SERVER ADDRESS=7500:00000001:0451 TYPE=file CIRCUIT=2 HOPS=2





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