<前頁 次頁> << >> 目次 (番号順 (詳細)回線別 (詳細)機能別 (詳細)

CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #19

ISDNによる専用線の補助(PPPデマンドリンク)


PPPデマンドリンクを利用して、ISDNを専用線メイン回線の補助として使用する設定例です。PPPデマンドリンクはメイン回線(PPPプライマリーリンク)のトラフィック量がしきい値を超えたときに自動的に起動され、マルチリンクバンドルに追加されるリンク(回線)です。

ここでは、次のようなネットワーク構成を例に解説します。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
プライマリーリンク 専用線128Kbps 専用線128Kbps
TDMグループ名 PRIMARY PRIMARY
デマンドリンク ISDN Bチャンネル×2 ISDN Bチャンネル×2
ISDN番号 03-1234-1111 06-1234-2222
ISDNコール名 DEMAND DEMAND
ISDN発着優先 発呼優先 着呼優先
ISDN識別方式 発番号識別 発番号識別
WAN側物理インターフェース(専用線) bri0 bri0
WAN側物理インターフェース(ISDN) bri1 bri1
マルチリンクPPP(MP) 使用する 使用する
WAN側(ppp0)IPアドレス 192.168.100.1/24 192.168.100.2/24
LAN側(eth0)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24



ルーターAの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「PRIMARY」を作成します。


  3. ISDNの接続先を作成します。コール名を「DEMAND」とし、ルーターBと同時に通信が発生した場合は発呼を優先するよう設定します。着呼時は発信者番号による識別を行います。また、発呼に使うインターフェースとしてbri1を指定します。


  4. TDMグループ「PRIMARY」上にPPPインターフェース「ppp0」を作成します。


  5. PPPインターフェース「ppp0」にISDNコール「DEMAND」をデマンドリンクとして追加します。


  6. IPモジュールを有効にします。


  7. EthernetインターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. PPPインターフェースにIPアドレスを設定します。


  9. 経路情報を設定します。


  10. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



ルーターBの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「PRIMARY」を作成します。


  3. ISDNの接続先を作成します。コール名を「DEMAND」とし、ルーターAと同時に通信が発生した場合は着呼を優先するよう設定します。着呼時は発信者番号による識別を行います。また、発呼に使うインターフェースとしてbri1を指定します。


  4. TDMグループ「PRIMARY」上にPPPインターフェース「ppp0」を作成します。


  5. PPPインターフェース「ppp0」にISDNコール「DEMAND」をデマンドリンクとして追加します。


  6. IPモジュールを有効にします。


  7. EthernetインターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. PPPインターフェースにIPアドレスを設定します。


  9. 経路情報を設定します。


  10. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ

■ デマンドリンク(TYPE=DEMAND)は、プライマリーリンクの回線負荷率が一定値を上回ったときに起動されるリンクです。同一PPPインターフェース上に複数のデマンドリンクを設定することも可能で、その場合は高負荷時に1本ずつリンクが追加されていきます。

デマンドリンクには、ISDN回線やアナログ電話回線を使用します。デマンドリンクは、プライマリーリンクと回線種別が異なってもかまいません。

デマンドリンクを設定すると、自動的にBACP/BAPが付加されます。これにより、SET PPPコマンドを使って、デマンドリンクの起動条件(UPRATE/UPTIME)や切断条件(DOWNRATE/DOWNTIME)を調整することができます。次に、これらのパラメーターについて説明します。

表 2:デマンドリンクのパラメーター
パラメーター
説明
UPRATE デマンドリンクの起動条件となる回線負荷率を指定します(デフォルトは80%)。負荷率がUPRATEを越えるとデマンドリンクは起動準備状態に入り、負荷率>UPRATEの状態がUPTIMEで指定された時間続いた時点で、デマンドリンクが実際に起動されます。
UPTIME 回線負荷率がUPRATEを超えてから、実際にリンクが起動されるまでの監視時間を指定します(デフォルトは30秒)。監視時間中に負荷率がUPRATEを下回らなければ、UPTIME経過後にデマンドリンクが起動されます。
DOWNRATE デマンドリンクの切断条件となる回線負荷率を指定します(デフォルトは20%)。負荷率がDOWNRATEを下回るとデマンドリンクは切断準備状態に入り、負荷率<DOWNRATEの状態がDOWNTIMEに指定された時間続いた時点で、デマンドリンクが実際に切断されます。
DOWNTIME 回線負荷率がDOWNRATEを下回ってから、実際にリンクが切断されるまでの監視時間を指定します(デフォルトは60秒)。監視時間中に負荷率がDOWNRATEを超えなければ、UPTIME経過後にデマンドリンクが切断されます。


次に、デマンドリンクの起動/切断と上記パラメーターの関係を図示します。



■ デマンドリンクの設定を行う場合は、必ずプライマリーリンクの設定を行ってください。次の例のように、すべてのPPPリンクをTYPE=DEMANDに設定すると、トラフィック量がDOWNRATE以下のときにリンクが不安定になります。

よくない設定例(プライマリーリンクが設定されていない)


正しい設定例(専用線をプライマリーリンクに設定)

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=PRIMARY INT=bri0 SLOTS=1-2
ADD ISDN CALL=DEMAND NUMBER=0612342222 PREC=OUT SEARCHCLI=ON INTREQ=bri1
CREATE PPP=0 OVER=TDM-PRIMARY
ADD PPP=0 OVER=ISDN-DEMAND TYPE=DEMAND
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.2


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=PRIMARY INT=bri0 SLOTS=1-2
ADD ISDN CALL=DEMAND NUMBER=0312341111 PREC=IN SEARCHCLI=ON INTREQ=bri1
CREATE PPP=0 OVER=TDM-PRIMARY
ADD PPP=0 OVER=ISDN-DEMAND TYPE=DEMAND
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.1





CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #19

Copyright (C) 1997-2003 アライドテレシス株式会社

PN: J613-M0507-00 Rev.G

<前頁 次頁> << >> 目次 (番号順 (詳細)回線別 (詳細)機能別 (詳細)