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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #20

ISDNによる専用線バックアップ(PPPセカンダリーリンク)


PPPセカンダリーリンクを利用して、ISDNを専用線メイン回線のバックアップとして使用する設定例です。PPPセカンダリーリンクはメイン回線(PPPプライマリーリンク)がダウンしたときに自動的に起動されるバックアップ用リンク(回線)です。

ここでは、次のようなネットワーク構成を例に解説します。

表 1
 
ルーターA
ルーターB
プライマリーリンク 専用線128Kbps 専用線128Kbps
TDMグループ名 PRIMARY PRIMARY
セカンダリーリンク ISDN Bチャンネル×2 ISDN Bチャンネル×2
ISDN番号 03-1234-1111 06-1234-2222
ISDNコール名 SECONDARY SECONDARY
ISDN発着優先 発呼優先 着呼優先
ISDN識別方式 発番号識別 発番号識別
WAN側物理インターフェース(専用線) bri0 bri0
WAN側物理インターフェース(ISDN) bri1 bri1
WAN側(ppp0)IPアドレス 192.168.100.1/24 192.168.100.2/24
LAN側(eth0)IPアドレス 192.168.10.1/24 192.168.20.1/24



ルーターAの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「PRIMARY」を作成します。


  3. ISDNの接続先を作成します。コール名を「SECONDARY」とし、ルーターBと同時に通信が発生した場合は発呼を優先するよう設定します。着呼時は発信者番号による識別を行います。また、発呼に使うインターフェースとしてbri1を指定します。


  4. TDMグループ「PRIMARY」上にPPPインターフェース「ppp0」を作成します。また、「LQR=10」でLQRパケットの送出間隔を10秒に、「CONFIGURE=2」で障害検出時のリンク再設定試行回数を2回に設定します。セカンダリーリンクを使用する場合は、必ずLQRをONにし、CONFIGUREオプションを有限な値に設定してください(デフォルトは無限にリトライ)。


  5. PPPインターフェース「ppp0」にISDNコール「SECONDARY」をセカンダリーリンクとして追加します。また、NUMBER=2を指定して、Bチャンネル2本(128Kbps)を使用するよう設定します。


  6. IPモジュールを有効にします。


  7. EthernetインターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. PPPインターフェースにIPアドレスを設定します。


  9. 経路情報を設定します。


  10. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。





ルーターBの設定

  1. BRIインターフェース「0」の全スロット(1〜2)を、常時起動のTDM(専用線)モードに設定します。


  2. bri0のスロット1〜2(128Kbps)に対して、TDMグループ「PRIMARY」を作成します。


  3. ISDNの接続先を作成します。コール名を「SECONDARY」とし、ルーターAと同時に通信が発生した場合は着呼を優先するよう設定します。着呼時は発信者番号による識別を行います。また、発呼に使うインターフェースとしてbri1を指定します。


  4. TDMグループ「PRIMARY」上にPPPインターフェース「ppp0」を作成します。また、「LQR=10」でLQRパケットの送出間隔を10秒に、「CONFIGURE=2」で障害検出時のリンク再設定試行回数を2回に設定します。セカンダリーリンクを使用する場合は、必ずLQRをONにし、CONFIGUREオプションを有限な値に設定してください(デフォルトは無限にリトライ)。


  5. PPPインターフェース「ppp0」にISDNコール「SECONDARY」をセカンダリーリンクとして追加します。また、NUMBER=2を指定して、Bチャンネル2本(128Kbps)を使用するよう設定します。


  6. IPモジュールを有効にします。


  7. EthernetインターフェースにIPアドレスを設定します。


  8. PPPインターフェースにIPアドレスを設定します。


  9. 経路情報を設定します。


  10. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。




メモ

■ セカンダリーリンク(TYPE=SECONDARY)は、プライマリーリンク(専用線)の障害発生時に起動されるバックアップ用リンクです。同一PPPインターフェース上に複数のセカンダリーリンクを設定することも可能で、その場合はプライマリーリンクがダウンすると、設定したセカンダリーリンクがすべて同時に起動されます。

プライマリーリンクの障害検出は、LQR(Link Quality Report)パケットによって行われます。そのため、セカンダリーリンクを使用する場合は、必ずプライマリーリンクのLQRをONにしておいてください(デフォルトはON)。また、CREATE PPPコマンド、SET PPPコマンドのCONFIGUREオプションの値を有限な値に変更してください(デフォルトはCONTINUOUS)。

プライマリーリンクでLQRパケットのタイムアウトが発生すると、本製品はプライマリーリンクをリセットした後、LCP Configure-Requestパケットを送信して再度リンクの確立を試みます。このとき、CREATE PPPコマンド、SET PPPコマンドのCONFIGUREオプションで設定した回数だけリトライしてもリンク確立に失敗する場合は、セカンダリーリンクが起動されます。

セカンダリーリンクを使用する場合は、必ずCONFIGUREオプションでリトライ回数の設定を行ってください(デフォルトではCONFIGURE=CONTINUOUS、すなわち無限にリトライする設定になっているため)。

セカンダリーリンクは、プライマリーリンクの障害検出後、指定時間が経過してから起動されます。セカンダリーリンクには、通常ISDN回線やアナログ回線を指定しますが、これらの回線はプライマリーリンクがダウンしている間中接続された状態となりますので、通信料金等にご注意ください。

まとめ

ルーターAのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=PRIMARY INT=bri0 SLOTS=1-2
ADD ISDN CALL=SECONDARY NUMBER=0612342222 PREC=OUT SEARCHCLI=ON INTREQ=bri1
CREATE PPP=0 OVER=TDM-PRIMARY LQR=10 CONFIGURE=2
ADD PPP=0 OVER=ISDN-SECONDARY TYPE=SECONDARY NUMBER=2
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.20.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.2


ルーターBのコンフィグ [テキスト版]
SET BRI=0 MODE=TDM ACTIVATION=ALWAYS TDMSLOTS=1-2
CREATE TDM GROUP=PRIMARY INT=bri0 SLOTS=1-2
ADD ISDN CALL=SECONDARY NUMBER=0312341111 PREC=IN SEARCHCLI=ON INTREQ=bri1
CREATE PPP=0 OVER=TDM-PRIMARY LQR=10 CONFIGURE=2
ADD PPP=0 OVER=ISDN-SECONDARY TYPE=SECONDARY NUMBER=2
ENABLE IP
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.20.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP INT=ppp0 IP=192.168.100.2 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=192.168.10.0 MASK=255.255.255.0 INT=ppp0 NEXTHOP=192.168.100.1





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PN: J613-M0507-00 Rev.G

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