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CentreCOM AR300/AR700 シリーズ 設定例集 2.3 #54

Ethernet上でのファイアウォール・スタティックNAT


Ethernet上でファイアウォールのスタティックNAT機能を使用する場合の注意点について説明します。この例では、既設のxDSLモデムルーター(ルーター機能付きモデム)の背後にファイアウォール兼NATボックスとして本製品を導入する環境を想定しています。インターネットサービスプロバイダー(ISP)からは、複数のグローバルIPアドレスをブロック単位で固定的に割り当てられているものとします。ダイナミックENATで本製品のLAN側クライアントがインターネットにアクセスできるようにし、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。また、LAN側に置かれたサーバー(プライベートアドレスで運用)を、スタティックNATで外部に公開します。

ここでは、次のような方針で設定を行います。



以下、ルーターの基本設定についてまとめます。

表 1:ルーターの基本設定
WAN側(eth1)IPアドレス 4.4.4.1/29
LAN側(eth0)IPアドレス 192.168.10.1/24
デフォルトゲートウェイ 4.4.4.6(モデムルーター)




ルーターの設定

  1. IPモジュールを有効にします。


  2. WAN側(eth1)インターフェースにISPから割り当てられたグローバルアドレスのうちの1つを設定します。


  3. WAN側(eth1)インターフェースをマルチホーミングし、サーバー用のスタティックNATアドレスを32ビットマスクで設定します。これは、WAN側Ethernetセグメントにおける、サーバーへのARP要求に応答するために必要な設定です。EthernetインターフェースでファイアウォールのスタティックNATを使う場合は、このような設定が必須です(PPPインターフェースの場合は必要ありません)。


    Note - マルチホーミングにおいて、単にeth1と書いた場合はeth1-0と同じ意味になります。

  4. LAN側(eth0)インターフェースにプライベートIPアドレスを設定します。


  5. デフォルトルートを設定します。ISPとの接続に使用しているxDSLモデムルーターがゲートウェイになります。


  6. ファイアウォール機能を有効にします。


  7. ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。


  8. ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。


    Note - デフォルト設定では、ICMPはファイアウォールを通過できません。

  9. ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。


  10. ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。NAT用インターフェースも忘れずに追加してください。


  11. LAN側ネットワークに接続されているサーバーを外部に公開するため、スタティックNATの変換ルールを設定します。アドレス変換は、GBLINTで指定したインターフェースで行われます。このことが、後ほど設定するポリシーフィルターが必要な理由になります。


  12. LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。グローバルアドレスには、WAN側(eth1-0)インターフェースのIPアドレスを使用します。


  13. 外部からのパケットをすべて拒否するファイアウォールの基本ルールに対し、サーバーへのパケットを通すための設定を行います。


  14. LAN側サーバー(192.168.10.3〜192.168.10.5)からのパケットが、それぞれのスタティックNAT用インターフェース(eth1-1、eth1-2、eth1-3)にルーティングされるよう、ポリシーフィルター「100」を設定します。ポリシーフィルターのフィルター番号は100〜199です。


  15. ポリシーフィルター「100」をLAN側(eth0)インターフェースに適用します。


  16. ポリシーフィルターによって設定されたポリシー値に基づいてルーティングが行われるよう、デフォルトルートの経路エントリーを追加します。


    Note - ポリシーフィルターの設定を行わないと、サーバー側から通信を開始したときにパケットがeth1-0に転送されるため、ダイナミックENATが適用されてしまいます。WAN側からサーバーに対して通信を開始した場合は、スタティックNATルールのとおりに変換されます。ポリシーフィルターは、サーバー側から通信を開始した場合にも、スタティックNATが有効に働くようにするためのものです。サーバー側からの通信にダイナミックENATが適用されても問題ないときは、ポリシーフィルターの設定は不要です。

  17. 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。



メモ

■ ファイアウォールで遮断されたパケットのログをとるには、次のコマンドを実行します。


記録されたログを見るには、次のコマンドを実行します。ここでは、「TYPE=FIRE」により、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。

まとめ

ルーターのコンフィグ [テキスト版]
ENABLE IP
ADD IP INT=eth1-0 IP=4.4.4.1 MASK=255.255.255.248
ADD IP INT=eth1-1 IP=4.4.4.2 MASK=255.255.255.255
ADD IP INT=eth1-2 IP=4.4.4.3 MASK=255.255.255.255
ADD IP INT=eth1-3 IP=4.4.4.4 MASK=255.255.255.255
ADD IP INT=eth0 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth1-0 NEXT=4.4.4.6
ENABLE FIREWALL
CREATE FIREWALL POLICY=net
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth0 TYPE=PRIVATE
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1-0 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1-1 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1-2 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net INT=eth1-3 TYPE=PUBLIC
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=eth0 IP=192.168.10.2 GBLINT=eth1-1 GBLIP=4.4.4.2
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=eth0 IP=192.168.10.3 GBLINT=eth1-2 GBLIP=4.4.4.3
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=STANDARD INT=eth0 IP=192.168.10.4 GBLINT=eth1-3 GBLIP=4.4.4.4
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=eth0 GBLINT=eth1-0
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=1 AC=ALLOW INT=eth1-1 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.2 GBLPORT=80 IP=192.168.10.2 PORT=80
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=2 AC=ALLOW INT=eth1-2 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.3 GBLPORT=25 IP=192.168.10.3 PORT=25
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=3 AC=ALLOW INT=eth1-3 PROTO=TCP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53
ADD FIREWALL POLICY=net RULE=4 AC=ALLOW INT=eth1-3 PROTO=UDP GBLIP=4.4.4.4 GBLPORT=53 IP=192.168.10.4 PORT=53
ADD IP FILTER=100 SOURCE=192.168.10.2 SMASK=255.255.255.255 POLICY=2
ADD IP FILTER=100 SOURCE=192.168.10.3 SMASK=255.255.255.255 POLICY=3
ADD IP FILTER=100 SOURCE=192.168.10.4 SMASK=255.255.255.255 POLICY=4
SET IP INT=eth0 POLICYFILTER=100
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth1-1 NEXT=4.4.4.6 POLICY=2
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth1-2 NEXT=4.4.4.6 POLICY=3
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=eth1-3 NEXT=4.4.4.6 POLICY=4





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