インターフェース / 一般設定


インターフェースの階層構造
物理インターフェース
WAN/SFPポート
LANポート
USB型データ通信端末
ルーティング/ブリッジング可能インターフェース
Ethernetインターフェース
802.1Q Ethernetサブインターフェース
VLANインターフェース
PPPoE/PPPインターフェース
トンネルインターフェース
ブリッジインターフェース
ルーティング/ブリッジング用モジュール
IPv4ルーティングモジュール
IPv6ルーティングモジュール
ブリッジングモジュール
インターフェース名
特殊なインターフェース名
インターフェースの指定方法
インターフェースの設定例
インターフェースの情報確認


ここでは、各種インターフェースの基本的な操作方法について解説します。

インターフェースの階層構造

ルーターの設定は、最下位に位置する物理インターフェースの上にさまざまな論理インターフェースを重ねていく形で行います。次に本製品のインターフェース階層図を示します。


一番下にあるのが、物理インターフェース(ポート)です。
本製品では、次の3種類があります。
種類
AT-AR2050V
AT-AR3050S
AT-AR4050S
備考
LANポート
port1.0.1~port1.0.4
port1.0.1~port1.0.8
 
WAN/SFPポート
eth1
eth1~eth2
AT-AR2050VではWANポート(SFPなし)
USB型データ通信端末
cellular0
 

その上にあるのが、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用可能なインターフェース群です。
本製品では大きく分けて下記の6種類をサポートしています。
これらのインターフェースにはIPv4/IPv6アドレスを設定してIPv4/IPv6パケットをルーティングすることができます。
また、一部を除き、ソフトウェアブリッジに関連付けて任意のプロトコルをブリッジングすることができます。
Note
USB型データ通信端末上のPPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

一番上にあるのが、インターフェース間でパケットをルーティング/ブリッジングするための機能モジュールです。本製品ではIPv4、IPv6のルーティングと、任意プロトコルのブリッジングをサポートしています。

物理インターフェース

本製品の物理インターフェースは次の3種類です。
(コンソールポートはネットワークポートでないため除外しています)

このうち、WAN/SFPポートはそのままルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できますが、LANポートとUSBデータ通信端末は上位層の設定を行わないとルーティングやブリッジングには使えません。

WAN/SFPポート

WAN/SFPポート(10/100/1000BASE-TとSFPのコンボポート)はそのままルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。
Note
AT-AR2050Vは、WANポート(10/100/1000BASE-T)のみでコンボのSFPスロットはありません。

LANポート

本製品のLAN側は4または8ポートの10/100/1000M Ethernetスイッチになっており、複数のコンピューターを接続することができます。
(AT-AR2050Vは4ポート、AT-AR3050S/AT-AR4050Sは8ポート)

LAN側スイッチでは、リンクアグリゲーション(IEEE 802.3ad)により複数ポートを束ねて1つの論理的なスイッチポート(LAG)として扱うことができます。また、ポートVLAN、タグVLAN(IEEE 802.1Q)に対応しており、スイッチポートを任意にグループ分けすることが可能です。

LAN側に対する上位層の設定(IPアドレスの設定など)は、個々のLANポート(スイッチポート)ではなく、スイッチポートやLAGを束ねたVLANインターフェースに対して行います。詳しくは「インターフェース」の「リンクアグリゲーション(IEEE 802.3ad)」「L2スイッチング」の「バーチャルLAN」をご覧ください。

Note
本マニュアルでは「LANポート」のことを、スイッチ製品にならって「スイッチポート」と表記しています。「LANポート」と「スイッチポート」は同じ意味ですので、適宜読み替えてください。また同様に、「スイッチ」は「LAN側スイッチ」のことを表しています。

USB型データ通信端末

本製品のUSBポートは、USB型データ通信端末を装着して、WAN接続用の物理インターフェースとして使用することができます。

WAN接続の設定は、上位のPPPインターフェースで行います。詳しくは「PPP」の「一般設定」をご覧ください。

ルーティング/ブリッジング可能インターフェース

ルーティングが可能なインターフェースは次の7種類です。
Note
USB型データ通信端末上のPPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

また、ブリッジングが可能なインターフェースは次の5種類です。
Note
トンネルインターフェースはさまざまなトンネリングプロトコルに対応していますが、ブリッジングが可能なのは、L2TPv3トンネルインターフェース、OpenVPN Tap(L2)トンネルインターフェースとそれらのサブインターフェースのみです。

Ethernetインターフェース

前述のとおり、WAN/SFPポート、すなわち、Ethernetインターフェースは特別な設定をすることなく、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

802.1Q Ethernetサブインターフェース

802.1Q Ethernetサブインターフェースは、Ethernetインターフェース上に作成する論理的なインターフェースで、インターフェースごとに異なるVLAN IDのタグ付きパケットを送受信できます。802.1Q Ethernetサブインターフェースは、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

802.1Q Ethernetサブインターフェースの設定については「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

VLANインターフェース

VLANはLANポート(スイッチポート)を論理的にグループ分けしたもので、各VLANがそれぞれ独立したブロードキャストドメインを形成します。VLANインターフェースは、ルーティング/ブリッジング用インターフェースとして使用できます。

VLANの設定については「L2スイッチング」の「バーチャルLAN」をご覧ください。

PPPoE/PPPインターフェース

PPPoEインターフェースは、おもにブロードバンド接続に使用されるインターフェースです。下位層として、Ethernetインターフェースを使用します。PPPoEインターフェースがサポートする上位層はIPv4、IPv6であり、必ずこれらのプロトコルと関連付けて、ルーティング用インターフェースとして使用します。ブリッジング用インターフェースとしては使用できません。

また、PPPインターフェースは、公衆回線を経由して離れた2点間のWAN接続を提供するインターフェースです。本製品では、下位層としてUSBポートに接続したUSB型データ通信端末を使用します。USB型データ通信端末上のPPPインターフェースがサポートする上位層はIPv4だけであり、必ずIPv4ルーティング用インターフェースとして使用します。ブリッジング用インターフェースやIPv6ルーティング用インターフェースとしては使用できません。

PPPoE/PPPの設定については「PPP」の「一般設定」をご覧ください。

なお、PPPインターフェースは、IPv4/IPv6ネットワーク上の仮想回線であるL2TPv2トンネル上に作成することもできます。これについては、「VPN」の「L2TPv2」をご覧ください。

トンネルインターフェース

トンネルインターフェースは、IPv4/IPv6ネットワーク上に構築される仮想的なインターフェースです。これを実現するためのプロトコルとしては、次の組み合わせをサポートしています。いずれの方式も下位層としてIPv4またはIPv6を使います。

L2TPv3とOpenVPN Tap(L2)トンネルインターフェースはおもにブリッジング用、IPsec、OpenVPN Tun(L3)、GREトンネルインターフェースはIPv4、IPv6のルーティング用インターフェースとして使用します。

トンネルインターフェースの作成方法については、「VPN」の「トンネルインターフェース」をご覧ください。

IPsecトンネルインターフェースの具体的な使用方法については、「VPN」の「IPsec」をご覧ください。

L2TPv3トンネルインターフェースの具体的な使用方法については、「VPN」の「L2TPv3」をご覧ください。

OpenVPNトンネルインターフェースの具体的な使用方法については、「VPN」の「OpenVPN」をご覧ください。

GREトンネルインターフェースの具体的な使用方法については、「VPN」の「GRE」をご覧ください。

ブリッジインターフェース

ブリッジインターフェースは、ブリッジ機能のソフトウェアブリッジ(仮想ブリッジ)を代表するインターフェースで、VLANにおけるVLANインターフェースとよく似た存在です。

ソフトウェアブリッジはブリッジング可能インターフェースをグループ化したもので、各ソフトウェアブリッジがそれぞれ独立したブロードキャストドメインを形成します。ブリッジインターフェースがサポートする上位層はIPv4、IPv6であり、必ずこれらのプロトコルと関連付けて、ルーティング用インターフェースとして使用します。

ブリッジ機能の設定については「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

ルーティング/ブリッジング用モジュール

本製品のルーティング/ブリッジング用モジュールは次の3種類です。

IPv4ルーティングモジュール

IPv4(IP)ルーティングモジュールは、ルーティング可能インターフェース間でIPv4パケットを転送(ルーティング)するモジュールです。

IPv4ルーティングモジュールを利用するには、前述のルーティング可能インターフェースにIPv4アドレスを設定して、IPv4インターフェースを作成します。IPv4パケットのルーティングは、IP経路表(RIB)とそこから派生するIP転送表(FIB)にもとづいて行われます。

IPv4インターフェースの作成方法については、「IP」の「IPインターフェース」をご覧ください。

IPv4の経路設定については、「IP」の「経路制御」「IP」の「経路制御(RIP)」「IP」の「経路制御(OSPF)」「IP」の「経路制御(BGP)」をご覧ください。

IPv6ルーティングモジュール

IPv6ルーティングモジュールは、ルーティング可能インターフェース間でIPv6パケットを転送(ルーティング)するモジュールです。

IPv6ルーティングモジュールを利用するには、前述のルーティング可能インターフェースにIPv6アドレスを設定して、IPv6インターフェースを作成します。IPv6パケットのルーティングは、IPv6経路表(RIB)とそこから派生するIPv6転送表(FIB)にもとづいて行われます。
Note
USB型データ通信端末上のPPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

IPv6インターフェースの作成方法については、「IPv6」の「IPv6インターフェース」をご覧ください。

IPv6の経路設定については、「IPv6」の「経路制御」「IPv6」の「経路制御(RIPng)」「IPv6」の「経路制御(OSPFv3)」「IPv6」の「経路制御(BGP)」をご覧ください。

ブリッジングモジュール

ブリッジングモジュールは、同一ソフトウェアブリッジ(仮想ブリッジ)に属するブリッジング可能インターフェース間でEthernetフレームを転送(ブリッジング)するモジュールです。

ブリッジングモジュールを利用するには、ブリッジ機能を有効化し、ソフトウェアブリッジを作成して、前述のブリッジング可能インターフェースをソフトウェアブリッジに割り当てます。Ethernetフレームのブリッジングは、ソフトウェアブリッジごとに管理されるフォワーディングデータベースにもとづいて行われます。

ブリッジ機能の設定については「ブリッジング」の「一般設定」をご覧ください。

インターフェース名

各種コマンドでは、インターフェース名を「インターフェースの種類を表す記号(文字列)」と「同一種類のインターフェースを区別するための番号」を組み合わせた形式で表します。次にインターフェース名の具体例を示します。


特殊なインターフェース名

ここまでの説明で触れなかった特殊なインターフェースとして、次のものがあります。

インターフェースの指定方法

インターフェースに対する設定コマンドを実行するときは、グローバルコンフィグモードのinterfaceコマンドで設定対象のインターフェース名を指定し、該当インターフェースの設定を行うためのインターフェースモードに入る必要があります。

次に例を示します。

■ スイッチポート1.0.1の設定を行うため、インターフェースモードに移行する。
awplus(config)# interface port1.0.1
awplus(config-if)# 

interfaceコマンドでは、同じ種類であれば複数のインターフェースを一度に指定することも可能です。

Note
複数インターフェースを指定してインターフェースモードに入った場合、単一インターフェースに対してのみ意味を持つコマンドは実行できません。たとえば、IPアドレスは各インターフェースで重複しないよう設定する必要があるため、複数インターフェースを指定してインターフェースモードに移行した場合、ip addressコマンドを実行するとエラーになります。一方、インターフェースを無効化するshutdownコマンドは、複数インターフェースに対しても実行できます。


Note
インターフェースを複数指定するときは、カンマ、ハイフンの前後にスペースを入れないでください。入れるとエラーになります。

インターフェースの設定例

以下では、インターフェースの設定を行う具体的なコマンド例を示します。
なお、ここではあくまでもインターフェース設定の概要を示すことが目的なので、設定内容の詳細については、それぞれのコマンドのページや機能解説編をご覧ください。

■ スイッチポートにメモ(説明文)を付けます。説明文はshow interfaceコマンドで表示されます。
awplus(config)# interface port1.0.1
awplus(config-if)# description Connected to 3rd floor switch

■ スイッチポート1.0.3の通信モードを100M Full Duplex固定に設定します(デフォルトはオートネゴシエーション)。
awplus(config)# interface port1.0.3
awplus(config-if)# speed 100
awplus(config-if)# duplex full

■ スイッチポート1.0.1~1.0.4を束ねて手動設定のトランクグループ(スタティックチャンネルグループ)「1」を作成します。
awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.4
awplus(config-if)# static-channel-group 1

■ スイッチポート1.0.2を無効化します。
awplus(config)# interface port1.0.2
awplus(config-if)# shutdown

■ スイッチポート1.0.2を有効化します。
awplus(config)# interface port1.0.2
awplus(config-if)# no shutdown

■ VLAN 10を作成します。
awplus(config)# vlan database
awplus(config-vlan)# vlan 10

■ スイッチポートをVLAN 10に割り当てます。
awplus(config)# interface port1.0.1-1.0.4
awplus(config-if)# switchport mode access
awplus(config-if)# switchport access vlan 10

■ VLAN 10にIPアドレスを設定します。VLAN 10のインターフェース名は「vlan10」となります。
awplus(config)# interface vlan10
awplus(config-if)# ip address 192.168.10.1/24

■ ループバックインターフェースにIPアドレスを設定します。
awplus(config)# interface lo
awplus(config-if)# ip address 192.168.1.1/32

インターフェースの情報確認

■ インターフェースの全般的な情報は、show interfaceコマンドで確認します。
awplus# show interface


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