設定例集#3: Ethernetによる端末型インターネット接続(アドレス固定)


構成
設定開始前に
自動設定の確認と削除
システム時刻の設定
ルーターの設定
設定の保存
ファイアウォールログについて
ルーターのコンフィグ



ケーブルモデムやxDSLモデムを介して、Ethernetでインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します(PPPoEは使用しません)。
この例では、グローバルIPアドレスを1個固定で割り当てられる端末型接続の基本設定を示します。
ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。
また、LAN側クライアントの設定を簡単にするため、DNSリレーとDHCPサーバーも利用します。

構成

ISPから提供された情報
IPアドレス/ネットマスク 172.31.28.131/20
デフォルトゲートウェイ 172.31.16.1
DNSサーバー 172.30.130.5, 172.30.130.205
ルーターの基本設定
WAN側(eth1)IPアドレス 172.31.28.131/20
LAN側(vlan1)IPアドレス 192.168.10.1/24
DHCPサーバー機能 有効
DHCPサーバーの設定
DHCPプール名 pool10
リース時間 2時間
対象サブネット 192.168.10.0/24
デフォルトゲートウェイ 192.168.10.1
DNSサーバー 192.168.10.1
提供するIPアドレスの範囲 192.168.10.100~192.168.10.131(32個)

設定開始前に

自動設定の確認と削除

本設定例に掲載されているコマンドは、設定がまったく行われていない本製品の初期状態(スタートアップコンフィグなしで起動した状態)から入力することを前提としています。

そのため、通常は erase startup-config を実行し、スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動してから、設定を始めてください。

ただし、本製品はスタートアップコンフィグなしで起動した場合でも、特定の条件を満たすと自動的な設定を行うことがあるため、その場合は設定例にしたがってコマンドを入力しても、コマンドがエラーになったり、全体として意図した動作にならない可能性があります。

これを避けるため、設定開始にあたっては次のいずれかの方法をとることをおすすめします。
自動設定が行われる条件などの詳細については、AMF応用編のAMFネットワーク未検出時の拡張動作をご参照ください。

システム時刻の設定

ログなどの記録日時を正確に保ち、各種機能を適切に動作させるため、システム時刻は正確にあわせて運用することをおすすめします。
特に本製品はリアルタイムクロックを内蔵していないため、起動するたびに時刻をあわせる必要があります。
ご使用の環境にあわせ、次のいずれかの方法でシステム時刻を設定してください。

ルーターの設定

  1. WANポートeth1にIPアドレスを設定します。これにはip addressコマンドを使います。
    IPインターフェースの詳細は「IP」/「IPインターフェース」をご覧ください。
    interface eth1
     ip address 172.31.28.131/20
    
  2. LAN側インターフェースvlan1にIPアドレスを設定します。これにはip addressコマンドを使います。
    IPインターフェースの詳細は「IP」/「IPインターフェース」をご覧ください。
    interface vlan1
     ip address 192.168.10.1/24
    
  3. ファイアウォールやNATのルール作成時に使うエンティティー(通信主体)を定義します。
    エンティティー定義の詳細は「UTM」/「エンティティー定義」をご覧ください。

    内部ネットワークを表すゾーン「private」を作成します。
    これには、zonenetworkip subnetの各コマンドを使います。
    zone private
     network dhcp
      ip subnet 0.0.0.0/0 interface vlan1
     network lan
      ip subnet 192.168.10.0/24
    
  4. 外部ネットワークを表すゾーン「public」を作成します。
    前記コマンドに加え、ここではhostip addressの各コマンドも使います。
    zone public
     network wan
      ip subnet 0.0.0.0/0 interface eth1
      host eth1
       ip address 172.31.28.131
    
  5. ファイアウォールのルール作成時に通信内容を指定するために使う「アプリケーション」を定義します。
    これには、applicationprotocoldportの各コマンドを使います。
    アプリケーション定義の詳細は「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。

    DHCPパケットを表すカスタムアプリケーション「dhcp」を定義します。
    application dhcp
     protocol udp
     dport 67 to 68
    
  6. 外部からの通信を遮断しつつ、内部からの通信は自由に行えるようにするファイアウォール機能の設定を行います。
    これには、firewallruleprotectの各コマンドを使います。

    ・rule 10 - 内部でのDHCPによる通信を許可します
    ・rule 20 - 内部から内部への通信を許可します(ここでは本製品・端末間の通信)
    ・rule 30 - 内部から外部への通信を許可します
    ・rule 40 - 本製品のWAN側インターフェースから外部へのDNS通信を許可します

    ファイアウォールの詳細は「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。
    firewall
     rule 10 permit dhcp from private.dhcp to private.dhcp
     rule 20 permit any from private.lan to private.lan
     rule 30 permit any from private.lan to public
     rule 40 permit dns from public.wan.eth1 to public.wan
     protect
    
  7. LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがダイナミックENAT機能を使用できるよう設定します。
    これには、natruleenableの各コマンドを使います。
    NATの詳細は「UTM」/「NAT」をご覧ください。
    nat
     rule 10 masq any from private to public
     enable
    
  8. DNSリレー機能の転送先DNSサーバーアドレスを手動設定します。これには、ip name-serverコマンドを使います。
    ip name-server 172.30.130.5
    ip name-server 172.30.130.205
    
  9. LAN側ネットワークに接続されているコンピューターのためにDHCPサーバー機能の設定を行います。
    DHCPサーバー機能の詳細は「IP付加機能」/「DHCPサーバー」をご覧ください。

    これには、ip dhcp poolコマンドでDHCPプールを作成し、以下の情報を設定します。

    ・サブネット(network
    ・リースするIPアドレス(range
    ・デフォルトゲートウェイ(default-router
    ・DNSサーバーアドレス(dns-server
    ・リース時間(lease
    ip dhcp pool pool10
     network 192.168.10.0 255.255.255.0
     range 192.168.10.100 192.168.10.131
     default-router 192.168.10.1
     dns-server 192.168.10.1
     lease 0 2 0
    
  10. DHCPサーバーを有効化します。これには、service dhcp-serverコマンドを使います。
    service dhcp-server
    
  11. DNSリレー機能を有効にします。これには、ip dns forwardingコマンドを使います。
    DNSリレー機能の詳細は「IP付加機能」/「DNSリレー」をご覧ください。
    ip dns forwarding
    
  12. デフォルト経路をISPから通知された172.31.16.1に向けて設定します。これには、ip routeコマンドを使います。
    IP経路設定の詳細は「IP」/「経路制御」をご覧ください。
    ip route 0.0.0.0/0 172.31.16.1
    
  13. 以上で設定は完了です。
    end
    

設定の保存

■ 設定が完了したら、現在の設定内容を起動時コンフィグとして保存してください。これには、copyコマンドを「copy running-config startup-config」の書式で実行します。
awplus# copy running-config startup-config
Building configuration...
[OK]

また、write fileコマンド、write memoryコマンドでも同じことができます。
awplus# write memory
Building configuration...
[OK]

その他、設定保存の詳細については「運用・管理」/「コンフィグレーション」をご覧ください。

ファイアウォールログについて

■ ファイアウォールのログをとるには、次のコマンド(log(filter))を実行します。
awplus(config)# log buffered level informational facility kern msgtext Firewall

■ 記録されたログを見るには、次のコマンド(show log)を実行します。ここでは、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
awplus# show log | include Firewall

ルーターのコンフィグ

!
interface eth1
 ip address 172.31.28.131/20
!
interface vlan1
 ip address 192.168.10.1/24
!
zone private
 network dhcp
  ip subnet 0.0.0.0/0 interface vlan1
 network lan
  ip subnet 192.168.10.0/24
!
zone public
 network wan
  ip subnet 0.0.0.0/0 interface eth1
  host eth1
   ip address 172.31.28.131
!
application dhcp
 protocol udp
 dport 67 to 68
!
firewall
 rule 10 permit dhcp from private.dhcp to private.dhcp
 rule 20 permit any from private.lan to private.lan
 rule 30 permit any from private.lan to public
 rule 40 permit dns from public.wan.eth1 to public.wan
 protect
!
nat
 rule 10 masq any from private to public
 enable
!
ip name-server 172.30.130.5
ip name-server 172.30.130.205
!
ip dhcp pool pool10
 network 192.168.10.0 255.255.255.0
 range 192.168.10.100 192.168.10.131
 default-router 192.168.10.1
 dns-server 192.168.10.1
 lease 0 2 0
!
service dhcp-server
!
ip dns forwarding
!
ip route 0.0.0.0/0 172.31.16.1
!
end



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