設定例集#109: 5G対応ワイヤレスWANモジュールによる端末型インターネット接続
AR4050S-5Gの内蔵ワイヤレスWANモジュールを利用して、5G通信サービス経由でインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続します。
この例では、ワイヤレスWANモジュールによりIPアドレスを動的に割り当てられる端末型接続の基本設定を示します。
ダイナミックENATで1個のアドレスを共用し、ファイアウォールで外部からの不正アクセスを防止します。
また、LAN側クライアントの設定を簡単にするため、DNSリレーとDHCPサーバーも利用します。
構成
本設定例では、AT-AR4050S-5GのSIM1スロットに5G契約のSIMカードを装着しているものと仮定しています。
| IPアドレス/ネットマスク | 動的割り当て |
| デフォルトゲートウェイ | 自動取得 |
| DNSサーバー | 自動取得 |
| WAN側(wwan0)IPアドレス | 自動取得 |
| LAN側(vlan1)IPアドレス | 192.168.10.1/24 |
| DHCPサーバー機能 | 有効 |
| DHCPプール名 | pool10 |
| リース時間 | 2時間 |
| 対象サブネット | 192.168.10.0/24 |
| デフォルトゲートウェイ | 192.168.10.1 |
| DNSサーバー | 192.168.10.1 |
| 提供するIPアドレスの範囲 | 192.168.10.100~192.168.10.131(32個) |
設定開始前に
自動設定の確認と削除
本設定例に掲載されているコマンドは、設定がまったく行われていない本製品の初期状態(スタートアップコンフィグなしで起動した状態)から入力することを前提としています。そのため、通常は erase startup-config を実行し、スタートアップコンフィグが存在しない状態で起動してから、設定を始めてください。
ただし、本製品はスタートアップコンフィグなしで起動した場合でも、特定の条件を満たすと自動的な設定を行うことがあるため、その場合は設定例にしたがってコマンドを入力しても、コマンドがエラーになったり、全体として意図した動作にならない可能性があります。
これを避けるため、設定開始にあたっては次のいずれかの方法をとることをおすすめします。
- ネットワークケーブルを接続せずに起動する。
起動時に自動設定が実行されるための条件の一つに、特定インターフェースのリンクアップがあります。
ネットワークケーブルを接続しない状態で起動することにより、自動設定の適用を回避できます。
- 自動設定を手動で削除してから設定を行う。
前記の方法を採用できず自動設定が適用されてしまった場合は、「自動的な設定内容の削除」にしたがって、これらを手動で削除してから設定を開始してください。
システム時刻の設定
ログなどの記録日時を正確に保ち、各種機能を適切に動作させるため、システム時刻は正確にあわせて運用することをおすすめします。ご使用の環境にあわせ、次のいずれかの方法でシステム時刻を設定してください。
- 手動で設定する方法 - 「運用・管理」/「システム」
- NTPで自動設定する方法 - 「運用・管理」/「NTP」
ルーターの設定
- LANポートにおいて初期状態で有効化されているスパニングツリープロトコル(RSTP)を無効化します。これにはspanning-tree enableコマンドをno形式で実行します。
スパニングツリープロトコルの詳細は「L2スイッチング」/「スパニングツリープロトコル」をご覧ください。
no spanning-tree rstp enable
- 内蔵ワイヤレスWANモジュールの接続先情報(APN)を登録します。これには、apn(wwan)(グローバルコンフィグモード)、name、carrierの各コマンドを使います。
ワイヤレスWANインターフェースの詳細は「インターフェース」/「ワイヤレスWAN」をご覧ください。
apn spmode name spmode.ne.jp carrier docomo
- SIM1スロットに装着したSIMカードを有効にします。これには、sim enableコマンドを使います。
sim enable sim1
- ワイヤレスWANインターフェースwwan0の設定を行います。使用するSIMスロットとAPNを指定することで、IPアドレスは自動的に取得されます。これにはapn(wwan)コマンド(インターフェースモード)を使います。
IPインターフェースの詳細は「IP」/「IPインターフェース」をご覧ください。
interface wwan0 apn sim1 spmode
- LAN側インターフェースvlan1にIPアドレスを設定します。これにはip addressコマンドを使います。
IPインターフェースの詳細は「IP」/「IPインターフェース」をご覧ください。
interface vlan1 ip address 192.168.10.1/24
- ファイアウォールやNATのルール作成時に使うエンティティー(通信主体)を定義します。
エンティティー定義の詳細は「UTM」/「エンティティー定義」をご覧ください。
内部ネットワークを表すゾーン「private」を作成します。
これには、zone、network、ip subnetの各コマンドを使います。
zone private network dhcp ip subnet 0.0.0.0/0 interface vlan1 network lan ip subnet 192.168.10.0/24
- 外部ネットワークを表すゾーン「public」を作成します。
前記コマンドに加え、ここではhost、ip addressの各コマンドも使います。
zone public network wan ip subnet 0.0.0.0/0 interface wwan0 host wwan0 ip address dynamic interface wwan0
- ファイアウォールやNATのルール作成時に通信内容を指定するために使う「アプリケーション」を定義します。
これには、application、protocol、sport、dport、icmp-type、icmp-codeの各コマンドを使います。
アプリケーション定義の詳細は「UTM」/「アプリケーション定義」をご覧ください。
ここでは、DHCPパケットを表すカスタムアプリケーション「dhcp」を定義します。
application dhcp protocol udp sport 67 to 68 dport 67 to 68
- 外部からの通信を遮断しつつ、内部からの通信は自由に行えるようにするファイアウォール機能の設定を行います。
これには、firewall、rule、protectの各コマンドを使います。
・rule 10 - 内部でのDHCPによる通信を許可します
・rule 20 - 内部から内部への通信を許可します(ここでは本製品・端末間の通信)
・rule 30 - 内部から外部への通信を許可します
・rule 40 - 本製品のWAN側インターフェースから外部へのDNS通信を許可します
ファイアウォールの詳細は「UTM」/「ファイアウォール」をご覧ください。
firewall rule 10 permit dhcp from private.dhcp to private.dhcp rule 20 permit any from private.lan to private.lan rule 30 permit any from private.lan to public rule 40 permit dns from public.wan.wwan0 to public.wan protect
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがダイナミックENAT機能を使用できるよう設定します。
これには、nat、rule、enableの各コマンドを使います。
NATの詳細は「UTM」/「NAT」をご覧ください。
nat rule 10 masq any from private to public enable
- LAN側ネットワークに接続されているコンピューターのためにDHCPサーバー機能の設定を行います。
DHCPサーバー機能の詳細は「IP付加機能」/「DHCPサーバー」をご覧ください。
これには、ip dhcp poolコマンドでDHCPプールを作成し、以下の情報を設定します。
・サブネット(network)
・リースするIPアドレス(range)
・デフォルトゲートウェイ(default-router)
・DNSサーバーアドレス(dns-server)
・リース時間(lease)
ip dhcp pool pool10 network 192.168.10.0 255.255.255.0 range 192.168.10.100 192.168.10.131 default-router 192.168.10.1 dns-server 192.168.10.1 lease 0 2 0
- DHCPサーバーを有効化します。これには、service dhcp-serverコマンドを使います。
service dhcp-server
- DNSリレー機能を有効にします。これには、ip dns forwardingコマンドを使います。
DNSリレー機能の詳細は「IP付加機能」/「DNSリレー」をご覧ください。
ip dns forwarding
- 以上で設定は完了です。
end
設定の保存
設定が完了したら、現在の設定内容を起動時コンフィグとして保存してください。これには、copyコマンドを「copy running-config startup-config」の書式で実行します。awplus# copy running-config startup-config
Building configuration...
[OK]
また、write fileコマンド、write memoryコマンドでも同じことができます。
awplus# write memory
Building configuration...
[OK]
その他、設定保存の詳細については「運用・管理」/「コンフィグレーション」をご覧ください。
ファイアウォールログについて
ファイアウォールのログをとるには、次のコマンド(log(filter))を実行します。awplus(config)# log buffered level informational facility local5
記録されたログを見るには、次のコマンド(show log)を実行します。ここでは、ファイアウォールが出力したログメッセージだけを表示させています。
awplus# show log | include Firewall
ルーターのコンフィグ
! no spanning-tree rstp enable ! apn spmode name spmode.ne.jp carrier docomo ! sim enable sim1 ! interface wwan0 apn sim1 spmode ! interface vlan1 ip address 192.168.10.1/24 ! zone private network dhcp ip subnet 0.0.0.0/0 interface vlan1 network lan ip subnet 192.168.10.0/24 ! zone public network wan ip subnet 0.0.0.0/0 interface wwan0 host wwan0 ip address dynamic interface wwan0 ! application dhcp protocol udp sport 67 to 68 dport 67 to 68 ! firewall rule 10 permit dhcp from private.dhcp to private.dhcp rule 20 permit any from private.lan to private.lan rule 30 permit any from private.lan to public rule 40 permit dns from public.wan.wwan0 to public.wan protect ! nat rule 10 masq any from private to public enable ! ip dhcp pool pool10 network 192.168.10.0 255.255.255.0 range 192.168.10.100 192.168.10.131 default-router 192.168.10.1 dns-server 192.168.10.1 lease 0 2 0 ! service dhcp-server ! ip dns forwarding ! end