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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #104
L2TPによるリモートアクセス型VPN(LNS/LAC)
L2TPによるリモートアクセス型接続(L2TP LACおよびL2TP LNS)の設定です。ここでは、L2TP LACとL2TP LNSリモートユーザーからのPPP接続をPPPoE AC機能を使用して受け入れたあと、自分自身がPPPoEクライアントとなって Internet 経由でLNSとL2TPトンネルを張ることで、リモートユーザーからの通信をLNSへ転送するための設定を示します。
ルーターA は ISP から次の情報を提供されているものとします。
表 1:ルーターA に対してISPから提供された情報
PPPユーザー名 |
user@ispA |
PPPパスワード |
isppasswdA |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
IPアドレス |
グローバルアドレス1個 (動的割り当て) |
表 2:ルーターB に対してISPから提供された情報
PPPユーザー名 |
user@ispB |
PPPパスワード |
isppasswdB |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
IPアドレス |
200.100.11.10/32(固定) |
表 3:ルーターAの基本設定
WAN側物理インターフェース |
eth0 |
AC インターフェース(PPPoE クライアント接続インターフェース) |
vlan1 |
WAN側(ppp0)IPアドレス(ISP接続インターフェース) |
Unnumbered(動的割り当て) |
表 4:ルーターBの基本設定
WAN側物理インターフェース |
eth0 |
WAN側(ppp0)IPアドレス |
200.100.11.10/32(固定) |
LAN側(vlan1)IPアドレス |
192.168.5.1/24 |
L2TP関連の設定項目は次のとおりです。ルーターAはLACとして動作し、リモートユーザー(PC-1 または PC-2)からの認証パケットを受信すると、ルーターB(LNS) との間で L2TP接続を開始します。
L2TP確立後、再度、リモートユーザーとルーターB間でPPPネゴシエーションが開始されます。
この時、ルーターA(LAC)はリモートユーザーからのPPPパケットをルーターB(LNS)へ転送します。
同様に、ルーターB(LNS) からのPPPパケットはリモートユーザーへ転送します。
表 5:ルーターA(LAC)のL2TP設定
L2TPサーバーモード |
LAC |
L2TPサーバーパスワード |
Password! |
L2TPユーザー名 |
remote |
L2TPアクション |
DATABASE |
表 6:ルーターB(LNS)のL2TP設定
L2TPサーバーモード |
LNS |
L2TPサーバーパスワード |
Password! |
LAC(ルーターB)のアドレス |
200.100.11.10 |
登録ユーザー名 |
test@example.com |
登録パスワード |
router-b! |
IPアドレスプール |
100.100.10.10〜100.100.10.127 |
- L2TPモジュールを有効にします。
- L2TPサーバーをLACモードで起動します。
- ACTIONパラメーターでDATABASEを指定することで、IPパラメーターで指定したLNSとの間にL2TPトンネルを張ります。また、LNSへのトンネル接続要求時にLNSが認証するためのパスワード「Password!」を設定します。
ADD L2TP USER=REMOTE ACTION=DATABASE PASS=Password! IP=200.100.11.10 ↓
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY IPREQUEST=ON ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF USERNAME="user@ispA" PASSWORD="isppasswdA" LQR=OFF ECHO=ON ↓
- PPP テンプレートを作成します。本設定はPPP認証パケットを処理するために必要です。
CREATE PPP TEMPLATE=1 BAP=OFF AUTHENTICATION=CHAP ↓
- リモートユーザー側に対する設定を行います。
AC サービス名、PPP 受信インターフェース、PPP 最大接続数を登録します。また、動的に作成された PPPインターフェースに対しては、PPP テンプレート「1」を適用します。また、リモートユーザー最大接続数を2台とします。
ADD PPP ACSERVICE=REMOTE TEMPLATE=1 ACINTERFACE=vlan1 MAXSESSION=2 ↓
- Access Concentrator モジュールを有効にします。
ENABLE PPP ACCESSCONCENTRATOR ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
- インターネット接続用のWAN(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISPとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートをインターネット(ISP)側に向けます。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
- L2TPトンネル経由で接続してくるリモートユーザーのための設定を行います。
最初に、リモートユーザーをユーザー認証データベースに登録します。
ADD USER=test@example.com PASSWORD=router-b! LOGIN=no ↓
- L2TPの設定を行います。最初にL2TPモジュールを有効にします。
- L2TPサーバーをLNSモードで起動します。
- LAC(ルーターA)からのトンネル接続要求時に認証するためのパスワード「Password!」を設定します。
ADD L2TP PASSWORD=Password! ↓
- PPP テンプレートを作成します。本設定はPPP認証パケットを処理するために必要です。トンネル経由でユーザーが接続してきたときに動的に作成するPPPインターフェースのテンプレート「1」を作成します。接続時の認証はCHAP、PAPのどちらでも行えるようにし、アドレス割り当てにはIPアドレスプール「POOL」を使用します。
CREATE PPP TEMPLATE=1 BAP=OFF MULTI=OFF IPPOOL="POOL" AUTHENTICATION=EITHER ↓
- IPアドレスプール「POOL」を作成し、リモートユーザーに割り当てるアドレスの範囲を指定します。
CREATE IP POOL="POOL" IP=100.100.10.10-100.100.10.127 ↓
- LAC(ルーターB)からの接続時に動的作成するPPPインターフェースの雛形として、PPPテンプレート「1」を使うよう指定します。
ADD L2TP IP=0.0.0.0-255.255.255.255 PPPTEMPLATE=1 ↓
- WAN側 Ethernetインターフェース(eth0)上にPPPインターフェースを作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISPから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF BAP=OFF ECHO=ON ↓
- IPモジュールを有効にします。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.5.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- WAN側(ppp0)インターフェースにISPから割り当てられたIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=ppp0 IP=200.100.11.10 MASK=255.255.255.255 ↓
- デフォルトルートを設定します。
ADD IP ROU=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
ルーターA(LAC)のコンフィグ
[テキスト版]
ENABLE L2TP ↓
ENA L2TP SERVER=LAC ↓
ADD L2TP USER=REMOTE ACTION=DATABASE PASS=Password! IP=200.100.11.10 ↓
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY IPREQUEST=ON ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF USERNAME="user@ispA" PASSWORD="isppasswdA" LQR=OFF ECHO=ON ↓
CREATE PPP TEMPLATE=1 BAP=OFF AUTHENTICATION=CHAP ↓
ADD PPP ACSERVICE=REMOTE TEMPLATE=1 ACINTERFACE=vlan1 MAXSESSION=2 ↓
ENABLE PPP ACCESSCONCENTRATOR ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTE ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
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ルーターB(LNS)のコンフィグ
[テキスト版]
ADD USER=test@example.com PASSWORD=router-b! LOGIN=no ↓
ENABLE L2TP ↓
ENABLE L2TP SERVER=LNS ↓
ADD L2TP PASSWORD=Password! ↓
CREATE PPP TEMPLATE=1 BAP=OFF MULTI=OFF IPPOOL="POOL" AUTHENTICATION=EITHER ↓
CREATE IP POOL="POOL" IP=100.100.10.10-100.100.10.127 ↓
ADD L2TP IP=0.0.0.0-255.255.255.255 PPPTEMPLATE=1 ↓
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF BAP=OFF ECHO=ON ↓
ENABLE IP ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.5.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=200.100.11.10 MASK=255.255.255.255 ↓
ADD IP ROU=0.0.0.0 MASK=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXT=0.0.0.0 ↓
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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #104
(C) 2005-2014 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M0710-04 Rev.P
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