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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #166
WANロードバランス機能によるトラフィック負荷分散(Weighted Fast Response モード)
ヘルスチェック機能によって、WANロードバランスのインターフェースからヘルスチェック用ホストに対してICMPエコー要求が送信され、応答時間によりWeighted fast responseモードの負荷分散を行います。xDSL回線を2本使用し、それぞれ異なるインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続し、WANロードバランス機能によってトラフィック負荷を分散させます。
Note
- 本機能はオプション機能ですので、ご使用にはフィーチャー(追加機能)ライセンスが必要です。
表 1:ルーターに対して ISP から提供された情報
|
ISP-A |
ISP-B |
PPPユーザー名 |
user@ispA |
user@ispB |
PPPパスワード |
isppasswdA |
isppasswdB |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
指定なし |
IPアドレス |
グローバルアドレス1個 (動的割り当て) |
グローバルアドレス1個 (動的割り当て) |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- xDSL回線を2本使ってそれぞれ異なるインターネットサービスプロバイダーに接続します。
- WANロードバランス機能(Weighted Fast Responseモード)を使って、外部ホストからの応答時間を測定し、2回線のうち応答時間が早い回線を使用するように負荷分散を行います。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にWAN側へのアクセスができるようにします。
- ファイアウォールのダイナミックENAT機能を利用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、WAN側インターフェースに設定されたアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターからインターネットへの同時アクセスが可能になります。
表 2:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース(ISP-A接続インターフェース) |
eth0 |
WAN側物理インターフェース(ISP-B接続インターフェース) |
eth1 |
WAN側(ppp0)IPアドレス(ISP-A接続インターフェース) |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
WAN側(ppp1)IPアドレス(ISP-B接続インターフェース) |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にISP-Aとの接続用のPPPインターフェース「0」を作成します。
「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISP-Aから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
- もう一方のWAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にISP-Bとの接続用のPPPインターフェース「1」を作成します。
「OVER=eth1-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=1 OVER=eth1-ANY ↓
- ISP-Bから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=1 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- ISP-A接続用のWAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISP-Aとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- ISP-B接続用のWAN側(ppp1)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISP-Bとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートをISP-AとISP-Bの両方に向けます。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。
LAN側(vlan1)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- ISP-A接続用のWAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- ISP-B接続用のWAN側(ppp1)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC ↓
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。
パケットがISP-A側、ISP-B側のどちらに転送された場合でもENATが使用できるようにします。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1 ↓
- WANロードバランス機能を使用するため、等価コストマルチパス(ECMP)ルーティングを無効にします。
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH ↓
- WANロードバランス機能を有効にします。
Note
- ECMPがオンのときは、WANロードバランス機能を有効化できません。
- WANロードバランス機能の動作モードをWeighted Fast Responseに切り替えます。
SET WANLB SELECT=WFASTRESPONSE ↓
- 負荷分散対象のWAN側インターフェースを指定します。
ADD WANLB RESOURCE=ppp0 ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp1 ↓
- WANロードバランスのヘルスチェック機能(各インターフェースの接続状態を定期的に確認)を有効にします。
ENABLE WANLB HEALTHCHECK ↓
- WANロードバランスのヘルスチェック用ホスト(接続状態確認の宛先)を追加します。
ADD WANLB HEALTHCHECK=1 HOST=20.0.0.1 ↓
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
■ 本機能は ICMP Echo パケットの応答時間によって負荷分散します。応答時間の差として、1000msec〜2000msec まで認識可能です。2000msec を超える遅延は HEALTHCHECK エラーとして認識されます。
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
CREATE PPP=1 OVER=eth1-ANY ↓
SET PPP=1 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1 ↓
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH ↓
ENABLE WANLB ↓
SET WANLB SELECT=WFASTRESPONSE ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp0 ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp1 ↓
ENABLE WANLB HEALTHCHECK ↓
ADD WANLB HEALTHCHECK=1 HOST=20.0.0.1 ↓
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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #166
(C) 2005-2014 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M0710-04 Rev.P
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