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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #167
WANロードバランス機能によるトラフィック負荷分散(Weighted Least Connect モード)
各リソースに設定されたWeightとリソース上にあるセッション数から負荷分散の基準となるWLC値(Weighted Least Connect値)を算出し、WLC値が大きいリソースにセッションを割り振り、負荷分散を行います。xDSL回線を2本使用し、それぞれ異なるインターネットサービスプロバイダー(ISP)に接続し、WANロードバランス機能によってトラフィック負荷を分散させます。
Note
- 本機能はオプション機能ですので、ご使用にはフィーチャー(追加機能)ライセンスが必要です。
表 1:ルーターに対して ISP から提供された情報
|
ISP-A |
ISP-B |
PPPユーザー名 |
user@ispA |
user@ispB |
PPPパスワード |
isppasswdA |
isppasswdB |
PPPoEサービス名 |
指定なし |
指定なし |
IPアドレス |
グローバルアドレス1個 (動的割り当て) |
グローバルアドレス1個 (動的割り当て) |
ルーターには、次のような方針で設定を行います。
- xDSL回線を2本使ってそれぞれ異なるインターネットサービスプロバイダーに接続します。
- WANロードバランス機能(Weighted Least Connectモード)を使って、PPP1のWLC値をPPP0のWLC値より大きくし、PPP1にセッションを優先的に割り振るようにします。
- ファイアウォールを利用して、外部からの不正アクセスを遮断しつつ、内部からは自由にWAN側へのアクセスができるようにします。
- ファイアウォールのダイナミックENAT機能を利用して、LAN側ネットワークのプライベートIPアドレスを、WAN側インターフェースに設定されたアドレスに変換します。これにより、LANに接続された複数のコンピューターからインターネットへの同時アクセスが可能になります。
表 2:ルーターの基本設定
WAN側物理インターフェース(ISP-A接続インターフェース) |
eth0 |
WAN側物理インターフェース(ISP-B接続インターフェース) |
eth1 |
WAN側(ppp0)IPアドレス(ISP-A接続インターフェース) |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
WAN側(ppp1)IPアドレス(ISP-B接続インターフェース) |
グローバルアドレス1個(動的割り当て) |
- WAN側Ethernetインターフェース(eth0)上にISP-Aとの接続用のPPPインターフェース「0」を作成します。「OVER=eth0-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
- ISP-Aから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
- もう一方のWAN側Ethernetインターフェース(eth1)上にISP-Bとの接続用のPPPインターフェース「1」を作成します。「OVER=eth1-XXXX」の「XXXX」の部分には、ISPから通知されたPPPoEの「サービス名」を記述します。ISPから指定がない場合は、どのサービス名タグでも受け入れられるよう、「ANY」を設定します。
CREATE PPP=1 OVER=eth1-ANY ↓
- ISP-Bから通知されたPPPユーザー名とパスワードを指定し、接続時にIPアドレス割り当ての要求を行うように設定します。LQRはオフにし、代わりにLCP Echoパケットを使ってPPPリンクの状態を監視するようにします。また、ISDN向けの機能であるBAPはオフにします。
SET PPP=1 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON ↓
- IPモジュールを有効にします。
- IPCPネゴシエーションで与えられたIPアドレスをPPPインターフェースで使用するように設定します。
- LAN側(vlan1)インターフェースにIPアドレスを設定します。
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
- ISP-A接続用のWAN側(ppp0)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISP-Aとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
- ISP-B接続用のWAN側(ppp1)インターフェースにIPアドレス「0.0.0.0」を設定します。ISP-Bとの接続が確立するまで、IPアドレスは確定しません。
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
- デフォルトルートをISP-AとISP-Bの両方に向けます。
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
- ファイアウォール機能を有効にします。
- ファイアウォールの動作を規定するファイアウォールポリシー「net」を作成します。
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
- ICMPパケットはPing(Echo/Echo Reply)と到達不可能(Unreachable)のみ双方向で許可します。
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
- ルーターのidentプロキシー機能を無効にし、外部のメール(SMTP)サーバーなどからのident要求に対して、 ただちにTCP RSTを返すよう設定します。
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
- ファイアウォールポリシーの適用対象となるインターフェースを指定します。 LAN側(vlan1)インターフェースをPRIVATE(内部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
- ISP-A接続用のWAN側(ppp0)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
- ISP-B接続用のWAN側(ppp1)インターフェースをPUBLIC(外部)に設定します。
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC ↓
- LAN側ネットワークに接続されているすべてのコンピューターがENAT機能を使用できるよう設定します。 パケットがISP-A側、ISP-B側のどちらに転送された場合でもENATが使用できるようにします。
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1 ↓
- WANロードバランス機能を使用するため、等価コストマルチパス(ECMP)ルーティングを無効にします。
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH ↓
- WANロードバランス機能を有効にします。
Note
- ECMPがオンのときは、WANロードバランス機能を有効化できません。
- WANロードバランス機能の動作モードをWeighted Least Connectedに切り替えます。 また、ORPHANTIMEOUTによって、負荷分散セッションのタイムアウト(秒)を設定します。
SET WANLB ORPHANTIMEOUT=300 SEL=WLEASTCONNECT ↓
- 負荷分散対象のWAN側インターフェースを指定します。また、ppp0に2000、ppp1に20000の重み付けを 設定します。これにより、ppp0とppp1には2000:20000(すなわち1:10)でトラフィックが分散されます。
ADD WANLB RESOURCE=ppp1 WEIGHT=20000 ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp0 WEIGHT=2000 ↓
Note
- Weighted Least Connectedモードを指定した場合、Weightのデフォルト値は1000です。
- 設定は以上です。設定内容をファイルに保存し、SET CONFIGコマンドで起動時設定ファイルに指定します。
CREATE CONFIG=router.cfg ↓
SET CONFIG=router.cfg ↓
ルーターのコンフィグ
[テキスト版]
CREATE PPP=0 OVER=eth0-ANY ↓
SET PPP=0 OVER=eth0-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispA PASSWORD=isppasswdA LQR=OFF ECHO=ON ↓
CREATE PPP=1 OVER=eth1-ANY ↓
SET PPP=1 OVER=eth1-ANY BAP=OFF IPREQUEST=ON USER=user@ispB PASSWORD=isppasswdB LQR=OFF ECHO=ON ↓
ENABLE IP ↓
ENABLE IP REMOTEASSIGN ↓
ADD IP INT=vlan1 IP=192.168.10.1 MASK=255.255.255.0 ↓
ADD IP INT=ppp0 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP INT=ppp1 IP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp0 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ADD IP ROUTE=0.0.0.0 INT=ppp1 NEXTHOP=0.0.0.0 ↓
ENABLE FIREWALL ↓
CREATE FIREWALL POLICY=net ↓
ENABLE FIREWALL POLICY=net ICMP_F=PING,UNREACH ↓
DISABLE FIREWALL POLICY=net IDENTPROXY ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=vlan1 TYPE=PRIVATE ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp0 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net INT=ppp1 TYPE=PUBLIC ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp0 ↓
ADD FIREWALL POLICY=net NAT=ENHANCED INT=vlan1 GBLINT=ppp1 ↓
DISABLE IP ROUTE MULTIPATH ↓
ENABLE WANLB ↓
SET WANLB ORPHANTIMEOUT=300 SEL=WLEASTCONNECT ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp1 WEIGHT=20000 ↓
ADD WANLB RESOURCE=ppp0 WEIGHT=2000 ↓
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CentreCOM AR550S 設定例集 2.9 #167
(C) 2005-2014 アライドテレシスホールディングス株式会社
PN: J613-M0710-04 Rev.P
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