[index] CentreCOM 9600/8600シリーズ コマンドリファレンス 2.2

スイッチング/スパニングツリープロトコル

対象機種:8624、9606


  - 基本設定
  - マルチプルSTPドメイン
  - スパニングツリーパラメーターの設定変更


スパニングツリープロトコル(STP)は、スイッチ(ブリッジ)ネットワークにおいて、冗長経路(複数経路)の設定を可能とし、ネットワークの耐障害性を高めるプロトコルです。

ネットワーク上に複数の経路を設定し、障害発生時に迂回路を使えるようにすることは自然な発想ですが、Ethernetではループ状の経路がブロードキャストストームによるネットワーク停止を招くため、そのままでは複数経路の設定自体ができません。

スパニングツリープロトコルを使用すると、ブリッジ同士がメッセージを交換し合うことにより、すべてのブリッジを含むツリー状の論理経路(スパニングツリー)が自立的に構築されます。物理的にループが存在しても、ツリーを構成しないポートは自動的にブロックされるため、パケットがループすることはありません。

また、障害が発生して一部の経路が不通になったときは、ツリーの再計算が行われ、自動的に新しい経路に切り替わる冗長機能も備えています。


 

基本設定

本製品は、VLANグループ(1つ以上のVLANで構成)ごとに個別のスパニングツリーを構成するマルチプルSTPドメインに対応していますが、デフォルトの設定ではVLAN default、ユーザー定義のVLANとも、すべてのVLANがデフォルトのSTPドメイン「Default」所属となります。

以下、スパニングツリープロトコルの基本設定コマンドについて解説します。

■ スパニングツリープロトコルを有効にするには、ENABLE STPコマンドを使います。各STPドメインのデフォルト設定は無効です。デフォルトSTPドメイン「Default」でスパニングツリープロトコルを有効にするには、次のようにします。


■ スパニングツリープロトコルを無効にするには、DISABLE STPコマンドを使います。


■ スパニングツリーの設定を確認するには、SHOW STPコマンドを使います。


■ スパニングツリーのポート情報を確認するには、SHOW STP PORTコマンドを使います。


■ スパニングツリーの統計カウンターを確認するには、SHOW STP COUNTERコマンドを使います。



 

マルチプルSTPドメイン

本製品は、VLANグループ(1つ以上のVLANで構成)ごとに個別のスパニングツリーを構成するマルチプルSTPドメインに対応しています。各STPドメインは、それぞれ個別のスパニングツリーパラメーターを持ち、別々にルートブリッジを選出してスパニングツリーを構成します。

複数のSTPドメインを設定するときは、以下の点に注意してください。


なお、通常の環境では複数のSTPドメインを作成する必要はありません。

デフォルトの設定では、VLAN default、ユーザー定義のVLANとも、すべてのVLANがデフォルトのSTPドメイン「Default」所属となります。


■ デフォルト以外のSTPドメインを作成するには、CREATE STPコマンドを使います。


■ STPドメインにVLANを追加するには、ADD STP VLANコマンドを使います。


Note - 本コマンドでは、デフォルトSTPドメインにVLANを追加することはできません。DELETE STP VLANコマンドを使ってVLANをデフォルト以外のSTPドメインから削除すると、自動的にデフォルトSTPの所属となります。

■ STPドメインからVLANを削除するには、DELETE STP VLANコマンドを使います。デフォルト以外のSTPドメインから削除されたVLANは、デフォルトSTPドメインの所属に戻ります。


■ STPドメインを削除するには、DESTROY STPコマンドを使います。所属VLANがあるSTPドメインは削除できないので、DELETE STP VLANコマンドで削除してから本コマンドを実行してください。所属VLANを削除後、STPドメインを削除するには次のようにします。



 

スパニングツリーパラメーターの設定変更

設定タイマーの変更方法や複数STPドメインの作成方法など、より詳細な設定について解説します。

■ STPドメインのスパニングツリーパラメーター(各種タイマーとブリッジプライオリティー)を変更するには、SET STPコマンドを使います。変更できるパラメーターは次のとおりです。

表 1
パラメーター
説明
FORWARDDELAY フォワードディレイタイム。ネットワーク構成の変更後に、ルートブリッジ内のポートがリスニングからラーニング、ラーニングからフォワーディング状態に遷移するまでのそれぞれの間隔(秒)を示す。有効範囲は4〜30秒。デフォルトは15秒。
HELLOTIME ハロータイム。ルートブリッジがBPDU(Bridge Protocol Data Unit)を送信する間隔(秒)。有効範囲は1〜10秒。デフォルトは2秒。
MAXAGE 最大エージタイム。ルートブリッジからBPDUが届かなくなったことを認識するまでの時間(秒)。この時間内にBPDUを受信できなかった場合、STPD内の各ブリッジはスパニングツリーの再構成を開始する。2×(HELLOTIME + 1) 以上、かつ、2× (FORWARDDELAY - 1) 以下でなくてはならない。有効範囲は6〜40秒。デフォルトは20秒。
PRIORITY ブリッジプライオリティー。小さいほど優先度が高く、ルートブリッジになる可能性が高くなる。有効範囲は0〜65535。デフォルトは32768。


■ STPドメインのスパニングツリーパラメーターをデフォルト値に戻したいときは、SET STPコマンドのDEFAULTオプションを使います。


■ スイッチポートのスパニングツリーパラメーターを変更するには、SET STP PORTコマンドを使います。変更できるパラメーターは次のとおりです。

表 2
パラメーター
説明
PATHCOST パスコスト。該当ポートを通過する際のコストを示すもので、一般的には帯域幅に応じて設定される。有効範囲は0〜1000000。通信速度ごとのデフォルト値と推奨範囲は別表を参照のこと。
PORTPRIORITY ポートプライオリティー。小さいほど優先度が高く、ルートポートになる可能性が高くなる。有効範囲は0〜255。デフォルトは128。


表 3:パスコストの推奨範囲とデフォルト値
通信速度
推奨範囲
デフォルト値
10Mbps 50〜600 100
100Mbps 10〜60 19
1000Mbps 3〜10 4


■ スイッチポートのスパニングツリーパラメーターをデフォルト値に戻したいときは、SET STP PORTコマンドのDEFAULTオプションを使います。


■ 特定ポートでスパニングツリープロトコルを無効にしたいときは、DISABLE STP PORTコマンドを使います。


■ 特定ポートでスパニングツリープロトコルを再度有効にするには、ENABLE STP PORTコマンドを使います。


■ スパニングツリーの再初期化を行うにはRESET STPコマンドを実行します。


■ スパニングツリープロトコルの設定をすべて消去するには、PURGE STPコマンドを使います。デフォルト以外のSTPドメインはすべて削除され、パラメーターはすべてデフォルトに戻ります。







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