[index] CentreCOM 8948XL コマンドリファレンス 2.9

ADD IP ROUTEMAP

カテゴリー:IP / 経路制御(BGP-4)
備考:フィーチャーライセンス AT-FL-09またはAT-FL-09-B が必要


ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}]

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] MATCH ASPATH=1..99

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] MATCH COMMUNITY=1..99 [EXACT={NO|YES}]

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] MATCH NEXTHOP=ipadd

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] MATCH ORIGIN={IGP|EGP|INCOMPLETE}

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] MATCH PREFIXLIST=plist

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] MATCH TAG=1..65535

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] SET ASPATH={1..65534}[,...]

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] SET BGPDAMPID=1..100

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] SET COMMUNITY={NOEXPORT|NOADVERTISE|NOEXPORTSUBCONFED|asn:xxx|1..4294967295}[,...] [ADD={NO|YES}]

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] SET LOCALPREF=0..4294967295

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] SET MED={0..4294967295|REMOVE}

ADD IP ROUTEMAP=routemap ENTRY=1..4294967295 [ACTION={INCLUDE|EXCLUDE}] SET ORIGIN={IGP|EGP|INCOMPLETE}

routemap: ルートマップ名(0〜15文字。英数字とアンダースコアを使用可能。大文字小文字を区別する)
ipadd: IPアドレス
plist: プレフィックスリスト名(0〜15文字。英数字とアンダースコアを使用可能。大文字小文字を区別する)
asn:xxx: BGPコミュニティー(asnはAS番号(0〜65535)、xxxはASで定めたコミュニティー識別番号(0〜65535))


ルートマップにエントリーを追加する。あるいは、既存エントリーにMATCH節やSET節を追加する。

ルートマップは、BGP経路に対するフィルタリング機能の1つ。ASパスリストやコミュニティーリストなどと組み合わせて、送受信する経路エントリーをフィルタリング(許可・破棄)したり、特定の経路エントリーの属性値を書き換えたりするときに使用する。

ルートマップは複数のエントリーで構成されるリスト。個々のルートマップは名前によって区別される。ルートマップの検索はエントリー番号の若い順に行われ、最初にマッチしたエントリーでアクション(INCLUDEかEXCLUDE)が実行される。

アクションがINCLUDEのときは、該当経路は許可され、SET節があればそれも実行される。アクションがEXCLUDEのときは、該当経路は破棄され、SET節は実行されない。ルートマップの検索はマッチした時点で終了する。なお、ルートマップの末尾には「すべてINCLUDEかつSET節なし」、すなわち、すべての経路を許可する(ただし、属性は変更しない)暗黙のエントリーが存在する。

ルートマップ内の各エントリーは、0〜1個のMATCH節、1個のアクション(INCLUDEかEXCLUDE)、0〜複数個のSET節によって構成される。

・MATCH節は、経路エントリーと照合するための条件。MATCH節がないエントリーはすべての経路にマッチする。
・アクションは、マッチした経路を許可(INCLUDE)するか破棄(EXCLUDE)するかの指定。許可された経路には引き続きSET節が適用される。
・SET節は、許可(INCLUDE)された経路の属性を変更するための指定。1つのエントリーにおいて、複数種の属性を変更することができる。

作成したルートマップは、次のタイミングで適用できる

・BGPピアに経路を通知する直前(ADD BGP PEERコマンド、SET BGP PEERコマンドのOUTROUTEMAP)
・BGPピアから経路を受信した直後(ADD BGP PEERコマンド、SET BGP PEERコマンドのINROUTEMAP)
・経路をBGPに登録するとき(ADD BGP NETWORKコマンド)
・経路を集約するとき(ADD BGP AGGREGATEコマンド、SET BGP AGGREGATEコマンド)
・静的経路やIGP経路をBGPにインポートするとき(ADD BGP IMPORTコマンド、SET BGP IMPORTコマンド)
・BGP経路をルーターの経路表に登録するとき(SET BGPコマンドのTABLEMAP)

MATCH節にフィルターリスト(ASパスリスト、コミュニティーリスト、プレフィックスリスト)を指定した場合は、リストが「INCLUDE」か「MATCH」を返してきた場合にルートマップエントリーはマッチとなる。「EXCLUDE」か「NOMATCH」を返してきた場合はマッチとならない。



パラメーター

ROUTEMAP: ルートマップ名

ENTRY: ルートマップ内におけるエントリーの位置。必須パラメーター。他のフィルターとは異なり、1〜4294967295の範囲の任意の番号を指定できる(絶対指定)。間隔をあけてエントリーを配置することにより、エントリーの追加に対応できる。

ACTION: ルートマップエントリーにマッチした場合のアクション(INCLUDEかEXCLUDE)。INCLUDEの場合、該当経路は許可され、SET節の処理に進む。EXCLUDEの場合、該当経路は破棄され、SET節の処理は行われない。したがって、ACTION=EXCLUDEのエントリーにSET節を指定しても意味をなさないので注意。省略時はINCLUDE。

MATCH ASPATH: ASパスリスト番号。AS_PATH属性の内容によってマッチを行う場合に指定する。指定したASパスリストの検索結果が「INCLUDE」の場合、本ルートマップエントリーはマッチとなり、アクションが実行される。ASパスリストが「EXCLUDE」を返してきた場合は、次のルートマップエントリーのチェックに進む。

MATCH COMMUNITY: コミュニティーリスト番号。COMMUNITIES属性の内容によってマッチを行う場合に指定する。指定したコミュニティーリストの検索結果が「INCLUDE」の場合、本ルートマップエントリーはマッチとなり、アクションが実行される。コミュニティーリストが「EXCLUDE」を返してきた場合は、次のルートマップエントリーのチェックに進む。

EXACT: MATCH COMMUNITYパラメーターを指定した場合、コミュニティーリストとの照合を完全一致で行うかどうか。NOなら部分一致、YESなら完全一致検索となる。省略時はNO。

MATCH NEXTHOP: ネクストホップアドレス。NEXT_HOP属性の値によってマッチを行う場合に指定する。NEXT_HOP属性の値が指定したアドレスと等しければマッチとなり、アクションが実行される。そうでない場合は、次のルートマップエントリーのチェックに進む。

MATCH ORIGIN: 経路の起源。ORIGIN属性の値によってマッチを行う場合に指定する。ORIGIN属性の値が指定値と等しければマッチとなり、アクションが実行される。そうでない場合は、次のルートマップエントリーのチェックに進む。

MATCH PREFIXLIST: プレフィックスリスト名。プレフィックスリスト(ADD IP PREFIXLISTコマンドで作成)を用いて、NLRIフィールド内の個々のプレフィックスを照合する場合に指定する。指定したプレフィックスリストの検索結果が「MATCH」の場合、本ルートマップエントリーはマッチとなり、アクションが実行される。プレフィックスリストが「NOMATCH」を返してきた場合は、次のルートマップエントリーのチェックに進む。

MATCH TAG: 経路タグ値。スタティック経路に付与したタグ値(ADD IP ROUTEコマンドのTAGパラメーターで設定)によってマッチを行う場合に指定する。MATCH TAGは、ADD BGP IMPORTコマンド、ADD BGP NETWORKコマンドでスタティック経路を取り込むときにしか使えないので注意。取り込もうとするスタティック経路のタグ値として、指定した値が付与されている場合、本ルートマップエントリーはマッチとなり、アクションが実行される。そうでない場合は、次のルートマップエントリーのチェックに進む。

SET ASPATH: AS番号のリスト。許可(INCLUDE)された経路のAS_PATH属性には、指定したASパス番号が追加される。AS番号はカンマ区切りで最大10個まで指定可能。

SET BGPDAMPID: BGP-4ルートフラップダンピングのカスタムパラメーターセット番号。許可(INCLUDE)された経路には、指定したパラメーターセットが関連付けされる。カスタムパラメーターセットが関連付けられていない経路には、デフォルトのパラメーターセットが適用される。

SET COMMUNITY: BGPコミュニティーのリスト。許可(INCLUDE)された経路のCOMMUNITIES属性には、指定したコミュニティーがセットされる。コミュニティーは、通常「asn:xxx」形式の番号か単一の32ビット整数値(= asn × 65536 + xxx)で指定するが、Well-knownコミュニティーについてはキーワードを指定することも可能。カンマ区切りで10個まで指定できる。なお、COMMUNITIES属性は、ADD BGP PEERコマンド、SET BGP PEERコマンドのSENDCOMMUNITYパラメーターにYESを指定しないと送信されないので注意(デフォルトはNO)。

ADD: SET COMMUNITYパラメーターを指定した場合、既存のCOMMUNITIES属性を置き換えるか、既存の属性に追加するかを指定する。NOはCOMMUNITIES属性を置き換える。YESを指定した場合は、既存のCOMMUNITIES属性値にSET COMMUNITYパラメーターで指定した値を追加する。省略時はNO。

SET LOCALPREF: Local Preference(LOCAL_PREF)値。許可(INCLUDE)された経路のLOCAL_PREF属性には、指定した値がセットされる。

SET MED: Multi-Exit Discriminator(MED)値。許可(INCLUDE)された経路のMULTI_EXIT_DISCRIMINATOR属性には、指定した値がセットされる。キーワードREMOVEを指定した場合は、該当経路からMED属性が削除される。

SET ORIGIN: 経路の起源。許可(INCLUDE)された経路のORIGIN属性には、指定した値がセットされる。



すべての経路にコミュニティー「65001:100」を設定するルートマップ「mark_all_100」を作成。この例のように、MATCH節のないエントリーはすべての経路にマッチする。
ADD IP ROUTEMAP=mark_all_100 ENTRY=1 ACTION=INCLUDE
ADD IP ROUTEMAP=mark_all_100 ENTRY=1 SET COMMUNITY=65001:100

ローカル経路(ASパスが空)にAS番号「65001」を2度追加するルートマップ「prepend2」を作成。MATCH ASPATHには、対象のASパスそのものではなく、ASパスリストの番号を指定することに注意。
ADD IP ASPATHLIST=1 INCLUDE="^$"
ADD IP ROUTEMAP=prepend2 ENTRY=1 ACTION=INCLUDE
ADD IP ROUTEMAP=prepend2 ENTRY=1 MATCH ASPATH=1
ADD IP ROUTEMAP=prepend2 ENTRY=1 SET ASPATH=65001,65001

コミュニティー「65001:100」を持つ経路にMED値「500」をセットするルートマップ「med_on_c100」を作成。MATCH COMMUNITYには、対象のコミュニティーそのものではなく、コミュニティーリストの番号を指定することに注意。
ADD IP COMMUNITYLIST=1 INCLUDE=65001:100
ADD IP ROUTEMAP=med_on_c100 ENTRY=1 ACTION=INCLUDE
ADD IP ROUTEMAP=med_on_c100 ENTRY=1 MATCH COMMUNITY=1
ADD IP ROUTEMAP=med_on_c100 ENTRY=1 SET MED=500

プレフィックス「10.98.0.0/16」を破棄するルートマップ「excl_net10_98」を作成。MATCH PREFIXLISTには、対象のプレフィックスそのものではなく、プレフィックスリストの番号を指定することに注意。
ADD IP PREFIXLIST=net10_98 ENTRY=1 ACTION=MATCH PREFIX=10.98.0.0 MASKLEN=16
ADD IP ROUTEMAP=rm_net10_98 ENTRY=1 ACTION=EXCLUDE
ADD IP ROUTEMAP=rm_net10_98 ENTRY=1 MATCH PREFIXLIST=net10_98



関連コマンド

ADD BGP PEER
DELETE IP ROUTEMAP
SET BGP PEER
SET IP ROUTEMAP
SHOW IP ROUTEMAP



参考

RFC1771, A Border Gateway Protocol 4 (BGP-4)
RFC1772, Application of the Border Gateway Protocol in the Internet
RFC1930, Guidelines for creation, selection, and registration of an Autonomous System (AS)
RFC1997, BGP Communities Attribute
RFC2385, Protection of BGP Sessions via the TCP MD5 Signature Option
RFC2439, BGP Route Flap Damping
RFC2796, BGP Route Reflection - An Alternative to Full Mesh IBGP
RFC2842, Capabilities Advertisement with BGP-4
RFC2918, Route Refresh Capability for BGP-4
RFC3065, Autonomous System Confederations for BGP


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