[index] CentreCOM GS900M V2シリーズ コマンドリファレンス 2.3.2

QoS/ポリシーベースQoS


  - 概要
  - 構成要素
   - スイッチポート
   - QoSポリシー
   - トラフィッククラス
   - フローグループ
   - クラシファイア
   - パケットの照合順序について
  - 基本設定
   - QoSポリシーとスイッチポート
   - トラフィッククラス
   - フローグループ
   - クラシファイア
  - 詳細設定
   - 最大帯域(帯域制限)
   - DSCPフィールドの書き換え
   - 送信優先度の設定
  - 設定例
   - 帯域制限
   - DiffServ
   - 優先度変更


本製品は、ユーザーが定義したポリシーに基づき、各種トラフィックに任意のサービスレベルを割り当てるポリシーベースQoS(Quality of Service)機能を備えています。

ここでは、コマンドラインインターフェースによる設定方法を中心に説明します。なお、Web GUIでは「スイッチ設定」-「ポリシーベースQoS」で設定できます。(詳細は「Web GUI」/「スイッチ設定」をご覧ください。)

 

概要

ポリシーベースQoSでは、クラシファイアと呼ばれる汎用のパケットフィルターを用いてパケットを分類し、クラスごとに帯域を割り当てます。

ポリシーベースQoSを使うと、次のことが可能です。


Note - 出力ポートにQoSポリシーを関連づけた場合、フィルターの対象となるのは学習済みのユニキャストアドレス宛てのトラフィックのみです。未学習のユニキャスト/マルチキャストアドレス、およびブロードキャスト宛てのトラフィックは対象になりません。また、学習済みのマルチキャストアドレス宛てのトラフィックも対象になりません。

Note - ポリシーベースQoSとDHCP Snoopingの併用はできません。

Note - スイッチ内部のパケットバッファー制御を、パケット転送のパフォーマンスよりQoSの優先制御を優先するように設定するには、ENABLE QOSコマンドを使用します。有効にしない場合でも、QoS動作は行いますが、優先制御の効果が効きづらい状態になる場合があります。

 

構成要素

本製品のポリシーベースQoS機能は、以下の基本要素から成り立っています。



以下、各要素について説明します。

 

スイッチポート

本製品のQoS機能は、スイッチポート(入力および出力)ごとに設定します。これは、後述するQoSポリシーをスイッチポートに割り当てることで行います。

本製品は、ポートを通過するパケットをトラフィッククラスに分類し、各クラスの設定に基づいて送信帯域や送信順序を制御します。

 

QoSポリシー

QoSポリシーは、入力および出力ポートで帯域制御を行う、またトラフィックの送信優先度を決めるためのメカニズムで、ポリシーベースQoSの中心となる構成要素です。QoSポリシーは、トラフィッククラスの集合として定義します。

本製品では、QoSポリシーを64個まで作成可能です。

QoSポリシーをスイッチポートに関連付けると、指定したポートで入力および出力するトラフィックに対して、該当するトラフィッククラスで定められた最大帯域の割り当てや、送信の優先度の変更が行われます。

 

トラフィッククラス

トラフィッククラスは、同等のQoS(帯域)を与えるべきパケットフローをひとまとめにしたものです。トラフィッククラスはフローグループの集合として定義します。帯域割り当てや送信の優先度の変更など、QoSパラメーターの多くはトラフィッククラス単位で設定します。QoSポリシー内のトラフィッククラスは、各クラスの設定に基づき、ポート帯域を分け合うことになります。

ポリシーベースQoSでは、トラフィッククラスごとに送信時の最大帯域幅、送信の優先度などを設定できます。

たとえば、トラフィッククラス「TCP」とトラフィッククラス「UDP」を定義し、TCPにポート帯域の70%、UDPに20%、その他に10%を割り当てるようなことができます。

Note - 実際のトラフィッククラスは「TCP」「UDP」のような名前ではなく、番号で識別します。ただし、覚え書きとして文字列を割り当てることはできます(DESCRIPTIONパラメーター)。

本製品では、トラフィッククラスを64個まで作成可能です。

トラフィッククラスは、QoSポリシーに割り当てて使います。

Note - トラフィッククラスは64個まで作成可能ですが、1つのQoSポリシーに割り当てられるのは63個までです。

 

フローグループ

フローグループは、同等な性格を持つパケットのフロー(流れ)をグループ化したものです(アプリケーションの「行き」と「戻り」など)。QoSパラメーターの多くはトラフィッククラスのレベルで設定しますが、トラフィッククラスに割り当てられた帯域の中でより細かい制御を行いたい場合は、フローグループごとに帯域制御の方法を微調整することができます。

たとえば、前述のトラフィッククラス「TCP」に対し、「Web」、「FTP」、「その他」という3つのフローグループを定義し、「FTP」、「Web」、「その他」のそれぞれに対して異なる送信の優先度を設定することができます。

Note - 実際のフローグループは「Web」「FTP」「その他」のような名前ではなく、番号で識別します。ただし、覚え書きとして文字列を割り当てることはできます(DESCRIPTIONパラメーター)。

本製品では、フローグループを64個まで作成可能です。

パケットフローは、クラシファイアと呼ばれる汎用のパケットフィルターによって定義します。したがって、フローグループはクラシファイアの集合として定義します。また、フローグループは、トラフィッククラスに割り当てて使います。

フローグループは、QoSパラメーターの最小設定単位です。

 

クラシファイア

クラシファイアは、IPアドレス、プロトコルなど、さまざまな条件に基づいてパケットを「フロー」に分類する汎用のパケットフィルターです

ポリシーベースQoSでは、クラシファイアを使ってパケットを「フロー」に分類します。ただし、QoSパラメーターの設定は、フローを束ねた「フローグループ」またはフローグループを束ねた「トラフィッククラス」を単位として行います。

 

パケットの照合順序について

パケットとクラシファイアの照合は、次の順序で行われます。

図中のトラフィッククラス、フローグループ、クラシファイアは、いずれも番号の小さいものから大きなものの順に上位のオブジェクトに追加されたものと仮定しています。

なお、ここでの「上位のオブジェクト」とは、トラフィッククラスに対するQoS ポリシー、フローグループに対するトラフィッククラス、クラシファイアに対するフローグループを意味しています。


次に例をあげて解説します。下記のコマンドを実行し、QoS ポリシー「1」を ポート「1」に適用するとします。

この場合、パケットとクラシファイアの照合は、クラシファイア 111, 112, 113, 121, 122, 211, 212, 213の順に行われます。

ここで注意すべきことがあります。照合順序を決めるのはトラフィッククラス、フローグループ、クラシファイアの ID(番号)ではなく、それらを上位のオブジェクトに追加した順序だということです。

例では、ID 順 = 追加順となるように設定しているため見落としがちですが、照合順序は ID 順ではなく追加(ADD)順によって決まります。

たとえば、上記設定例の (2) の部分を次のように変更した場合(3、4 行目を入れ替えた)、照合順序は 211, 212, 213, 111, 112, 113, 121, 122 となります。


なお、追加順序の確認は下記のコマンドで行います。

■ トラフィッククラスの追加順は、SHOW QOS POLICYコマンドのTraffic Class List で確認できます。

次の出力例では、トラフィッククラス 2, 1 の順に、ポリシーへの追加が行われていることがわかります。


■ 同様に、フローグループの追加順は SHOW QOS TRAFFICCLASSコマンドのFlow Group List で確認できます。

■ 同様に、クラシファイアの追加順は SHOW QOS FLOWGROUPコマンドのClassifier List で確認できます。

 

基本設定

ポリシーベースQoSの設定は、QoSポリシーを作成し、スイッチポートに関連付けることによって行います。QoSポリシーは前図のような階層構造になっているため、ポリシーの作成はこの階層を形づくる作業と言えます。

QoSポリシーの作成手順に明確な決まりはありません。最終的にすべての構成要素を1つにまとめられれば、どのような順番でもかまいません。ここでは、一例として次の手順をあげておきます。

Note - QoSポリシーをスイッチポートに関連付ける場合には、トラフィッククラスをQoSポリシーに割り当ててから行ってください。

  1. QoSポリシーを作成する
  2. トラフィッククラスを作成する
  3. トラフィッククラスをQoSポリシーに割り当てる
  4. フローグループを作成する
  5. フローグループをトラフィッククラスに割り当てる
  6. クラシファイアを作成する
  7. クラシファイアをフローグループに割り当てる
  8. QoSポリシーをスイッチポートに関連付ける

以下、QoSポリシーの基本的な設定項目について解説します。ポリシーの詳細設定については、次節「詳細設定」をご覧ください。また、全体的な設定例については、次々節「設定例」をご覧ください。

 

QoSポリシーとスイッチポート

ポリシーベースQoSの基本要素はQoSポリシーです。本製品では、スイッチポートにQoSポリシーを関連付けることで、該当ポートの動作を制御します。

■ QoSポリシーを作成するには、CREATE QOS POLICYコマンドを使います。


■ QoSポリシーをスイッチポートに関連付けるには、SET QOS POLICYコマンドのINGRESSPORTパラメーター(入力ポート)、EGRESSPORTパラメーター(出力ポート)を使います。

Note - QoSポリシーをスイッチポートに関連付けるには、あらかじめトラフィッククラスをQoSポリシーに割り当てておく必要があります。以下の例ではQoSポリシーにトラフィッククラスが割り当てられているものと仮定します。割り当て方法については、次節「トラフィッククラス」をご覧ください。


Note - QoSポリシーには、複数の入力ポート(INGRESSPORT)と1つの出力ポート(EGRESSPORT)を関連付けることができます。

Note - 複数のQoSポリシーにおいて、同じスイッチポートを入力ポート(INGRESSPORT)として指定することはできません。また、複数のQoSポリシーにおいて、同じスイッチポートを出力ポート(EGRESSPORT)として指定することもできません。

Note - QoSポリシーには、複数のトラフィッククラスを割り当てることができます。

Note - 出力ポート(EGRESSPORT)に関連付けたQoSポリシーは、フラッディングフレームには適用されません。

■ ポートからQoSポリシーを削除(関連付けを削除)するには、SET QOS POLICYコマンドのINGRESSPORTまたはEGRESSPORTパラメーターにNONEを指定します。


 

トラフィッククラス

トラフィッククラスは、同等のQoSを与えるべきトラフィック(たとえば、「TCPトラフィック」)をひとまとめにしたものです。QoSパラメーターの多くは、トラフィッククラスごとに設定します。

QoSポリシーは、複数のトラフィッククラスで構成されます。QoSポリシー内の各トラフィッククラスは、各クラスの設定に基づきポート帯域を分け合うことになります。

■ トラフィッククラスを作成するには、CREATE QOS TRAFFICCLASSコマンドを使います。


■ トラフィッククラスに割り当てる最大帯域(上限値)、DSCPフィールドの書き換え設定(後述)は、それぞれMAXBANDWIDTH、MARKVALUEパラメーターで指定します。


■ 作成したトラフィッククラスの設定を変更するには、SET QOS TRAFFICCLASSコマンドを使います。


■ トラフィッククラスをQoSポリシーに割り当てるには、ADD QOS POLICYコマンドを使います。パケットのチェック(クラシファイアとの照合)は、ポリシー内のトラフィッククラス追加順、トラフィッククラス内のフローグループ追加順、フローグループ内のクラシファイア追加順に行われます(前掲の図を参照)。


Note - QoSポリシーには複数のトラフィッククラスを割り当てることができます。

Note - トラフィッククラスは、1つのQoSポリシーにしか割り当てることができません。あるポリシーに割り当てたトラフィッククラスは、別のポリシーでは使用できません。

Note - トラフィッククラスには、複数のフローグループを割り当てることができます。

 

フローグループ

フローグループは、トラフィッククラスをさらに細分化したものです。QoSポリシーの設定の大半はトラフィッククラスのレベルで行いますが、同一トラフィッククラス内でより細かな設定をしたい場合は、トラフィッククラスを構成するフローグループごとに微調整が可能です。

フローグループは、クラシファイアによって分類された「フロー」をグループ化したものです。同じ性格を持つフロー(特定アプリケーションの「行き」と「戻り」など)を束ねたものと言えます。フローグループは、複数のクラシファイアで構成されます。

トラフィッククラスに割り当てられた帯域の中で、より細かい制御を行いたい場合は、フローグループごとに帯域制御の方法を微調整することができます。

■ フローグループを作成するには、CREATE QOS FLOWGROUPコマンドを使います。


■ パケットがどのフローグループに所属するかを決定するのは、汎用のパケットフィルターであるクラシファイアです。クラシファイアはCREATE CLASSIFIERコマンドで作成します。たとえば、Webトラフィック(HTTPとHTTPS)に対応するクラシファイアは次のようになります。


■ フローグループにクラシファイアを関連付けるには、ADD QOS FLOWGROUPコマンドを使います。クラシファイアのチェックは、本コマンドで追加した順番で行われます。


■ 通常、QoSパラメーター(最大帯域、DSCP値、送信の優先度)はトラフィッククラス単位で設定しますが、DSCP値および送信の優先度はフローグループ単位で設定することもできます。これらは、CREATE QOS FLOWGROUPコマンド、SET QOS FLOWGROUPコマンドのMARKVALUEパラメーターおよびPRIORITYパラメーターで指定します。


DSCP値や送信の優先度がフローグループとトラフィッククラスの両方に設定されている場合は、フローグループの設定が使用されます。フローグループで設定されていないパラメーターについては、トラフィッククラスの設定が使用されます。

■ フローグループは、トラフィッククラスに割り当てて使います。フローグループをトラフィッククラスに割り当てるには、ADD QOS TRAFFICCLASSコマンドを使います。パケットのチェック(クラシファイアとの照合)は、ポリシー内のトラフィッククラス追加順、トラフィッククラス内のフローグループ追加順、フローグループ内のクラシファイア追加順に行われます(前掲の図を参照)。


Note - フローグループは、1つのトラフィッククラスにしか割り当てることができません。一方、トラフィッククラスには、複数のフローグループを割り当てることができます。

 

クラシファイア

ポリシーベースQoS機能の中心要素がQoSポリシーだとすると、末端の要素はクラシファイアです。クラシファイアは汎用のパケットフィルターで、アドレス、プロトコルなどをもとにパケットを「フロー」に分類する働きを持ちます。

ポリシーベースQoSでは、パケットをフローグループやトラフィッククラスに分類して、グループやクラスごとに処理を行いますが、これらの分類の第一歩はクラシファイアによって行われます。

■ クラシファイアはCREATE CLASSIFIERコマンドで作成します。クラシファイアの詳細については、「クラシファイア」の章をご覧ください。


■ フローグループはクラシファイアの集合として定義します。フローグループにクラシファイアを割り当てるには、ADD QOS FLOWGROUPコマンドを使います。クラシファイアのチェックは、本コマンドで追加した順番で行われます。


Note - クラシファイアは、複数のフローグループに割り当てることができます。ただし、同一ポリシー内で同じクラシファイアを複数回指定しないでください。

Note - クラシファイアは、フローグループ、トラフィッククラスをポリシーを介してポートに割り当てられますが、1ポートに割り当てられるクラシファイアの数は、128個までです。

 

詳細設定

ここでは、より詳細なQoS設定に必要となる設定項目について解説します。

 

最大帯域(帯域制限)

トラフィッククラスには、それぞれ最大帯域(割り当てる帯域の上限値)を設定できます。

■ 最大帯域はCREATE QOS TRAFFICCLASSコマンド、SET QOS TRAFFICCLASSコマンドのMAXBANDWIDTHパラメーターで設定します。単位はM(Mbps = 1000Kbps)となります。


Note - 実際に制限される帯域は、MAXBANDWIDTHパラメーターで設定された最大帯域幅より高いレートとなる場合があります。トラフィックのフレームサイズが小さいほど誤差が大きくなり、最大15Mbps程度の誤差が発生します。

 

DSCPフィールドの書き換え

DiffServ(Differentiated Service)ドメインを運用する場合、IPパケットのDSCP(DiffServ Code Point)フィールドに基づいてQoSを割り当てたり、DSCPフィールドを書き換えたりする機能が必要になります。

ポリシーベースQoSでは、ポリシー、トラフィッククラスまたはフローグループ単位で、DSCPフィールドの書き換え設定が可能です。この機能は、おもにDiffServドメインのエッジルーター(スイッチ)で使います。

■ トラフィッククラスに所属するパケットのDSCPフィールドを書き換えるには、CREATE QOS TRAFFICCLASSコマンド、SET QOS TRAFFICCLASSコマンドのMARKVALUEパラメーターを使います。DSCP値の有効範囲は0〜63です。MARKVALUEパラメーターを指定しなかった場合、あるいは、NONEを指定した場合はDSCPを書き換えません。

たとえば、トラフィッククラス「2」のパケットにDSCP値20を設定するには次のようにします。


■ フローグループに所属するパケットのDSCPフィールドを書き換えるには、CREATE QOS FLOWGROUPコマンド、SET QOS FLOWGROUPコマンドのMARKVALUEパラメーターを使います。DSCP値の有効範囲は0〜63です。MARKVALUEパラメーターを指定しなかった場合、あるいは、NONEを指定した場合はDSCPを書き換えません。

たとえば、フローグループ「10」のパケットにDSCP値25を設定するには次のようにします。


■ ポリシーでDSCPフィールドを書き換えるには、CREATE QOS POLICYコマンド、SET QOS POLICYコマンドのINDSCPOVERWRITEパラメーターを使います。DSCP値の有効範囲は0〜63です。INDSCPOVERWRITEパラメーターを指定しなかった場合、あるいは、NONEを指定した場合はDSCPを書き換えません。また、REMARKINDSCPパラメーターがNONEの場合も、書き換えは行われません。

たとえば、ポリシー「1」のパケットにDSCP値25を設定するには次のようにします。


なお、フローグループにMARKVALUEが設定されている場合は、該当フローグループのMARKVALUEに基づいてDSCPフィールドの書き換えが行われます。フローグループにMARKVALUEが設定されていない場合は、トラフィックグループのMARKVALUEが使用されます。フローグループおよびトラフィックグループにMARKVALUEが設定されていない場合は、ポリシーのINDSCPOVERWRITEが使用されます。

 

送信優先度の設定

本製品では、トラフィッククラスやフローグループごとに、送信優先度(プライオリティー)を設定することができます。
パケット送信時の優先度は、タグヘッダー内の、ユーザープライオリティーフィールド(802.1p)のフィールド値に従って決定されますが、トラフィックやフローグループでプライオリティーが設定されていた場合は、この値が優先されます。

■ トラフィッククラスに所属するパケットのプライオリティーを設定するには、CREATE QOS TRAFFICCLASSコマンド、SET QOS TRAFFICCLASSコマンドのPRIORITYパラメーターを使います。プライオリティーの有効範囲は0〜7です。タグヘッダー内のユーザープライオリティー値を、トラフィッククラスに設定したプライオリティーで上書きするする場合には、REMARKPRIORITYパラメーターにYESを設定します。REMARKPRIORITYパラメーターにNOを設定した場合は、上書きは行われません。

たとえば、トラフィッククラス「2」のパケットにプライオリティー7を設定するには次のようにします。


■ フローグループに所属するパケットのプライオリティーを設定するには、CREATE QOS FLOWGROUPコマンド、SET QOS FLOWGROUPコマンドのPRIORITYパラメーターを使います。プライオリティーの有効範囲は0〜7です。タグヘッダー内のユーザープライオリティー値を、トラフィッククラスに設定したプライオリティーで上書きするする場合には、REMARKPRIORITYパラメーターにYESを設定します。REMARKPRIORITYパラメーターにNOを設定した場合は、上書きは行われません。

たとえば、フローグループ「10」パケットにプライオリティー4を設定するには次のようにします。


なお、フローグループにPRIORITYが設定されている場合は、該当フローグループのPRIORITYに基づいて送信優先度が決定されます。フローグループにPRIORITYが設定されていない場合は、トラフィックグループのPRIORITYが使用されます。

 

設定例

ここでは、ポリシーベースQoSの基本的な設定方法について説明します。

QoS機能を使用すると、IPアドレスやTOS優先度などのIPヘッダー情報、TCPやUDPのポート番号などに基づき、パケット送信時の最大帯域を設定することができます。

最初に必要なのは「ポリシー」を設計することです。どのトラフィックにどの程度のQoSを提供するのかをよく考えてください。

 

帯域制限


帯域制限の設定例を示します。

ここでは、ポート5を通過するUDP通信(入力)に割り当てる帯域の上限を80Mbpsに設定します。

  1. QoSポリシー「1」を作成します。


  2. トラフィッククラス「1」を定義し、最大帯域を割り当てます。


  3. トラフィッククラス「1」をQoSポリシー「1」に割り当てます。


  4. トラフィックグループ「1」と対応するフローグループ「1」を作成します。


  5. トラフィッククラス「1」にフローグループ「1」を割り当てます。


  6. UDP通信を分類するクラシファイアを作成します。


  7. フローグループにクラシファイアを割り当てます。


  8. QoSポリシー「1」をポートに関連付けます。


設定は以上です。

 

DiffServ

DiffServ(Differentiated Service)は、ネットワーク境界(エッジ)で流入トラフィックをクラス分け・マーキングし、ネットワーク内部ではマーカーだけを見てQoSを適用できるようにする技術です。

DiffServでは、マーキング用にIPヘッダーのTOSオクテットを再定義しています。従来、TOSオクテットは3ビットの優先度フィールドと、3または4ビットのTOSフラグフィールド、および予約済みフィールドで構成されていましたが、DiffServでは先頭6ビットをDSCP(DiffServ Code Point)として定義しなおしています。DSCPフィールドは0〜63の値をとるマーカーフィールドであり、各値の意味は個々のネットワーク主体(DiffServドメイン)が独自に定義します。たとえば、DSCP=20は低遅延・狭帯域、DSCP=21は中遅延・広帯域などといった定義が可能です。


ここでは、スイッチA、B、CのDiffServ設定を示します。

スイッチAの設定
  1. QoSポリシー「1」を作成します。


  2. 8つのトラフィッククラス「1」〜「8」を定義し、それぞれに最大帯域を割り当てます。また、各クラスに対し、DSCP値「21」〜「28」を付加するよう設定します。


  3. トラフィッククラス「1」〜「8」をQoSポリシー「1」に割り当てます。


  4. トラフィックグループ「1」〜「8」と1対1で対応するフローグループ「1」〜「8」を作成します。


  5. トラフィッククラス「1」〜「8」にフローグループ「1」〜「8」を割り当てます。


  6. ヘッダー情報に基づいてパケットを分類するクラシファイアを作成します。


    Note - 本例はあくまでも説明のためのサンプルです。トラフィッククラスは綿密な計画とテストに基づいて作成してください。

  7. フローグループにクラシファイアを割り当てます。


  8. QoSポリシー「1」をスイッチポートに関連付けます。


スイッチBの設定
  1. QoSポリシー「1」を作成します。


  2. DSCP値「21」〜「28」に対応する8つのトラフィッククラスを定義し、それぞれに最大帯域を割り当てます。


  3. トラフィッククラス「1」〜「8」をQoSポリシー「1」に割り当てます。


  4. トラフィックグループ「1」〜「8」と1対1で対応するフローグループ「1」〜「8」を作成します。


  5. トラフィッククラス「1」〜「8」にフローグループ「1」〜「8」を割り当てます。


  6. IPヘッダーのDSCP値によってパケットを分類するクラシファイアを作成します。


  7. フローグループにクラシファイアを割り当てます。


  8. QoSポリシー「1」をスイッチポートに関連付けます。


スイッチCの設定
  1. QoSポリシー「1」を作成します。


  2. DSCP値「21」〜「28」に対応する8つのトラフィッククラスを定義し、それぞれに最大帯域を割り当てます。また、各クラスに対し、DSCP値を「11」〜「18」に書き換えるよう設定します。


  3. トラフィッククラス「1」〜「8」をQoSポリシー「1」に割り当てます。


  4. トラフィックグループ「1」〜「8」と1対1で対応するフローグループ「1」〜「8」を作成します。


  5. トラフィッククラス「1」〜「8」にフローグループ「1」〜「8」を割り当てます。


  6. IPヘッダーのDSCP値によってパケットを分類するクラシファイアを作成します。


  7. フローグループにクラシファイアを割り当てます。


  8. QoSポリシー「1」をスイッチポートに関連付けます。


設定は以上です。

 

優先度変更


ここでは、次のようなネットワーク構成を例に送信優先度の設定例を示します。


ポート1〜3にはそれぞれ1台ずつクライアントが接続されています。

ポート1に接続しているクライアントからサーバーへ向けた通信のプライオリティーを高く設定し、ポート2、3に接続しているクライアントからの通信のプライオリティーは低く設定します。

  1. QoSポリシー「1」を作成します。


  2. トラフィッククラス「1」〜「2」を定義し、それぞれにプライオリティーを割り当てます。


  3. トラフィッククラス「1」〜「2」をQoSポリシー「1」に割り当てます。


  4. トラフィッククラス「1」〜「2」と1対1で対応するフローグループ「1」〜「2」を作成します。


  5. トラフィッククラス「1」〜「2」にフローグループ「1」〜「2」を割り当てます。


  6. 各クライアントからのパケットに対応するクラシファイアを定義します。


  7. フローグループにクラシファイアを割り当てます。


  8. QoSポリシー「1」を入力ポートに関連付けます。


設定は以上です。






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