PPP / 一般設定


基本設定
PPPoE接続
USB型データ通信端末を利用したPPP接続
状態や設定の確認
上位層とのインターフェース


PPP(Point-to-Point Protocol)は、2点間でさまざまなネットワーク層プロトコルパケットを受け渡すためのデータリンク層プロトコルです。もともとはWANなどのシリアル回線上で使用するために開発されましたが、最近ではブロードバンドサービスの普及に伴い、Ethernet上などでも利用されています(PPPoE = PPP over Ethernet)。

本製品は次の形態でのPPP接続をサポートしています。

基本設定

PPP接続のための基本的な設定を示します。
より具体的な設定については、設定例集をご覧ください。

PPPoE接続

PPPoE接続には、WAN/SFPポート(eth1、eth2)を使用します。
(AT-AR2050VのWANポートはeth1のみでコンボのSFPスロットはありません)

ここでは、次の環境を想定し、PPPoE接続の基本的な設定手順を示します。

表 1
PPP接続用ユーザー名 userA
PPP接続用パスワード passwordA
WAN側物理インターフェース WANポート(eth1)
PPPインターフェース名 ppp0
WAN側(ppp0)IPアドレス 動的割り当て(IPCP)


  1. 物理インターフェースであるWANポート「eth1」上にPPPインターフェース「ppp0」を作成します。これにはencapsulation pppコマンドを使います。

    awplus(config)# interface eth1
    awplus(config-if)# encapsulation ppp 0
    awplus(config-if)# exit
    


  2. 前の手順で作成したppp0インターフェースに対し、PPP接続用のユーザー名とパスワードを指定します。これには、ppp usernameコマンドとppp passwordコマンドを使います。

    awplus(config)# interface ppp0
    awplus(config-if)# ppp username userA
    awplus(config-if)# ppp password passwordA
    


  3. ppp0インターフェースのIPアドレスをIPCPネゴシエーションで取得するよう設定します。これには、ip address negotiatedコマンドを使います。

    awplus(config-if)# ip address negotiated
    


  4. PPP接続時にDNSサーバーアドレスを要求し、接続相手からDNSサーバーアドレスの情報を受け取った場合はそれを使うように設定します。これにはppp ipcp dnsコマンドを使います。

    awplus(config-if)# ppp ipcp dns request
    


  5. LCP Echoパケットを使ってPPP接続の状態を監視し、接続が失われたと判断した場合はいったん切断して自動的に再接続を試みるように設定します。これにはkeepaliveコマンドを使います。

    awplus(config-if)# keepalive
    


  6. ppp0インターフェースを通過するTCPパケットのMSS値書き換えを有効にします。これにはip tcp adjust-mssコマンドを使います。書き換え後のMSS値は適宜調整してください。

    awplus(config-if)# ip tcp adjust-mss 1414
    

PPPoE接続の基本設定は以上です。


■ デフォルト経路をPPPインターフェースに向ける場合は、ip routeコマンドを次のように実行します。

awplus(config)# ip route 0.0.0.0/0 ppp0


USB型データ通信端末を利用したPPP接続

USBポートに装着したUSB型データ通信端末を利用して、PPP接続を行うための基本的な設定手順を示します。
ここでは、次の環境を想定します。

表 2
PPP接続用ユーザー名 userA
PPP接続用パスワード passwordA
アクセスポイント名(APN) testname.alliedtelesis
WAN側物理インターフェース USB型データ通信端末(cellular0)
PPPインターフェース名 ppp0
WAN側(ppp0)IPアドレス 動的割り当て(IPCP)


  1. USB型データ通信端末を表す「cellular0」インターフェース上にPPPインターフェース「ppp0」を作成し、アクセスポイント名(APN)と呼ばれる接続先情報を設定します。これにはencapsulation pppコマンドとapnコマンドを使います。

    awplus(config)# interface cellular0
    awplus(config-if)# encapsulation ppp 0
    awplus(config-if)# apn testname.alliedtelesis
    awplus(config-if)# exit
    


  2. 前の手順で作成したppp0インターフェースに対し、PPP接続用のユーザー名とパスワードを指定します。これには、ppp usernameコマンドとppp passwordコマンドを使います。

    awplus(config)# interface ppp0
    awplus(config-if)# ppp username userA
    awplus(config-if)# ppp password passwordA
    


  3. ppp0インターフェースのIPアドレスをIPCPネゴシエーションで取得するよう設定します。これには、ip address negotiatedコマンドを使います。

    awplus(config-if)# ip address negotiated
    


  4. PPP接続時にDNSサーバーアドレスを要求し、接続相手からDNSサーバーアドレスの情報を受け取った場合はそれを使うように設定します。これにはppp ipcp dnsコマンドを使います。

    awplus(config-if)# ppp ipcp dns request
    


  5. LCP Echoパケットを使ってPPP接続の状態を監視し、接続が失われたと判断した場合はいったん切断して自動的に再接続を試みるように設定します。これにはkeepaliveコマンドを使います。

    awplus(config-if)# keepalive
    


  6. ppp0インターフェースを通過するTCPパケットのMSS値書き換えを有効にします。これにはip tcp adjust-mssコマンドを使います。書き換え後のMSS値は適宜調整してください。

    awplus(config-if)# ip tcp adjust-mss 1300
    

設定は以上です。


■ デフォルト経路をPPPインターフェースに向ける場合は、ip routeコマンドを次のように実行します。

awplus(config)# ip route 0.0.0.0/0 ppp0


状態や設定の確認

■ PPPインターフェースの状態を確認するには、show interfaceコマンドを使います。

awplus# show interface ppp0
Interface ppp0
  Link is UP, administrative state is UP
  Hardware is PPP
  IPv4 address 10.0.0.1/32
  index 16778240 metric 1 mtu 1454
  <UP,POINTOPOINT,RUNNING,NOARP,MULTICAST>
  PPP is running over interface eth1
  LCP Opened IPCP Opened
  MRU(bytes): Local config 1492, Local negotiated 1492, Peer negotiated 1454
  Magic number: Local config ON, Local negotiated ON, Peer negotiated ON
  Authentication: Local config None, Local neg None, Peer neg CHAP
  Echo Request Timer (seconds): 10
  IPv4 addresses: Local config 0.0.0.0
                  Local neg 10.0.0.1, Peer neg 10.0.0.2
  Local DNS addresses: 10.0.0.10, 10.0.0.100
  IPv6 Id Local config: 0000:0000:0000:0000
  PPPoE is using the default service
  SNMP link-status traps: Disabled
    input packets 3, bytes 54, dropped 3, multicast packets 0
    output packets 3, bytes 54, multicast packets 0 broadcast packets 0
  Time since last state change: 0 days 00:00:30


上位層とのインターフェース

PPPインターフェースがサポートする上位層はIPv4、IPv6です。必ずこれらのプロトコルと関連付けて、すなわち、IPv4、IPv6アドレスを設定して、ルーティング用インターフェースとして使用します。実際、IPv4アドレスかIPv6アドレスの設定をしないと、PPPの接続は開始されません。
Note - USB型データ通信端末上のPPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。

Note - PPPインターフェースを直接ソフトウェアブリッジに割り当てることはできませんが、L2TPv3トンネルインターフェースを利用すれば、PPP接続環境でリモートブリッジングを行うことが可能です。詳しくは「VPN」の「トンネルインターフェース」「ブリッジング」の「一般設定」「VPN」の「L2TPv3」をご覧ください。

■ PPPインターフェースのIPv4アドレスは、次の各コマンドで設定します。
詳しくは「IPルーティング」の「IPインターフェース」をご覧ください。

■ PPPインターフェースのIPv6アドレスは、次の各コマンドで設定します。
Note - USB型データ通信端末上のPPPインターフェースはIPv4ルーティングだけをサポートします(IPv6ルーティングは未サポート)。
詳しくは「IPv6ルーティング」の「IPv6インターフェース」をご覧ください。


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